降りそそぐ追想の淡雪(U-side)





ルフィがやられそうになって、慌てて仮面をはずしちまったのは、まぁいい。
そしてその後のドタバタでうっかりそのままにしてしまったのも致し方ない。
しかしこうして落ち着いてみると、なんとも気まずく居た堪れない気分になって きた。
おれを探すルフィの声に慌てて、咄嗟に仮面を被っちまったおれを、だからどう か責めないで欲しい。
サンジの言うこともわかる。
でも、今更どんな顔してあいつに会えばいい?
メリーは戻ってきてくれたけど、おれとあいつの関係は、まだ戻っちゃいないん だ。
あれだけの啖呵を切ったんだ。事はそう簡単なことじゃない。
それにメリーの件もある。
ルフィはメリーをおれのだと言ったけれど、おれにはそうは思えない。
メリーはみんなの船で、おれ達の仲間だから。
戻るなら一緒にだ。それだけは譲れない。

順調に航海を続けるメリー。おれ達を助けてくれたメリー。
もうダメだなんて、やっぱりどうしても思えない。
今なら。
みんなにお前の声が届いた今なら、あの時とは違った結論を出すことができるん だろうか。


甘い考えが頭をよぎりかけた時、メリーの船体がガタンと傾いた。
それはあまりにも突然で。
けれどあまりにも当然で。
それでも。
驚き、慌て、何とかしてくれと懇願するルフィの姿。


本当は、全部わかってた。
メリーがもう走れないことも。
ルフィがメリーをどれほど大事に思っているのかも。
けれども決断を下さねばならなかったことも。

耐えられなかったのは、メリーとの別れではないんだぜ、ルフィ。
だからいいんだ。男の別れだ。
この勇敢な仲間の旅立ちを見送ることができただけで、全て良かったと思えるか ら。

燃え盛る炎の中で浮かんでは消えてゆく思い出達。
大切な仲間だった。
大好きだった。
守りたかった。
ただ一緒に旅をしたかった。

思いは同じ―

男の別れだ。
涙の一つもあってはならない。
だからおれは泣いてなどいない。
降る淡雪がマントを濡らしているだけのことだ。

だから心配すんな。
謝るな。
お前がここまで運んできてくれたから、みんなこの先の海へ進めるんだ。

耐えられなかったのは別れではないんだ。
だってこんなにも立派にメリーは生きた。
別れは辛い。それはもちろん当然のことで。
けれども今は、その生き様に敬意を表して。

なァ、メリー。お前は確かにこれ以上進むことはできないんだろうけどさ。
心配ねェさ、今度はおれ達がお前を乗せて進むから。
雪に風に波に胸に溶けた、お前の欠片を乗せて。

だから帰ろう。
おれと一緒に帰ろう。

おれ達の海へ。

おれ達を待っているに違いない、大切な仲間の元へ。



next
降りそそぐ追想の淡雪(L-side)



のぼのき
ドラ様

TOP


Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!