-------龍美視点----------------------------------------------
[港・倉庫街]
ズゴっ! ガコっ! ドゴンっ!!
近くに置いてあったドラム缶が三つほど蹴り飛ばされた。
ドン! ドン! ドゴーン!
三つとも派手な音を出して壁にめり込んだ。
(魔力を使わずしてアレか・・・流石は竜神一族)
「はぁはぁはぁ「荒れてるねぇ、一体どうしたんだメドーサ」っ誰だいっ!!」
メドーサは界人の言葉に警戒したようで、矛を構え戦闘体勢をとった。
「初めまして、メドーサ。俺は愚者に限りなく近い賢者(自称)名は界人(かいと)だ」
メドーサの様子など一行に解さぬように淡々と自己紹介を始めた。
(私の時と同様の紹介だな)
メドーサは納得していない様だった。
「賢者・・・ねぇ、それに聞いた事も無い名ね。それにあんたの声は、あの横島って奴にそっくりだ。・・・そろそろ正体を―――
(来るっ!)
―――現しなっ!!」
ダっ! ブオン
「な、かわした!?」
(私にも超加速時の姿は捉えられぬのに!)
私には辛うじて加速前の一瞬が分かるのみで、加速中の姿は認識できないのだ。
「おいおい、行き成り何するんだよ。危ないだろうが」
(こやつ・・・素のままで今の攻撃を避けおった・・・霊力など殆ど使わずに)
このような者が唯の人間であるはずが無い。私はこやつの認識を改めた。
「それに暴れちまうとGSやらなにやらが大挙してやって来るぞ? さっきみたいな超加速での一瞬ならそれは無いだろうが」
(構えを解いたか、だがまだ警戒はしているようだ)
「ふん、あんたの狙いはなんだい」
「話が早くて助かる。別に大した事じゃないんだ。俺は知り合いが居なくてね。寝るところが無いんだ。ここに泊まらせてくれ」
「あたしには関係ないね。それよりも質問に答えな。あんたの正体は?」
(それは私も聞きたい事だな)
界人が少し苦笑してるように感じた。
「正体って言われてもなー、龍美にも言ったが俺は俺。それ以上でもそれ以下でもない。それで納得してくれ」
「ふん、龍美ってな誰だい。それと、そのサングラスを外しな!それが礼儀ってもんだろう?」
ニヤリと笑うメドーサ。
(むぅ、私を外せとは・・)
少なからずメドーサに敵意を抱いてしまった。
「ははは、メドーサに礼儀を説かれるとはな」
「あんた・・・・。横島って坊やじゃないのは認めてあげるよ。気配、態度、全てが違うからね・・・だが、どいうことだ、兄弟か何かかい? 気配も丸っきり全てが違うって訳でもない」
(うむ、それは私も感じた)
「俺に親兄弟は居ない。お前の言う横島って坊やは俺とは別人だが全くそうという訳でもない」
「それ【それはどういう事だ】誰だいっ!」
私は自身の好奇心を隠す事が出来ずに声に出してしまった。
「小竜姫の気配を微弱ながら感じる、お前・・・・やはりあいつの手の者か!!」
(しまった!)
メドーサは殺気をぶつけてくる。
「落ち着け、説明してやるから・・・・ったく龍美、話し掛けるのは時と場所を選べ」
【すまぬ】
(邪魔をしてしまった・・・)
「分かれば良いさ、それとメドーサ」
「なんだい」
「少し冷静になれ、お前らしくも無い」
「ふん、今日会ったばかりの奴に私の何がわかるって言うんだい!・・・でも確かに、少し熱くなっちまったようだね」
「こいつは龍美。元は小竜姫の竜気から生まれた者だ。今日俺の相棒になった」
(「なった」では無い、正確には「した」のだろう)
そう思ったが、言わなかった。
「・・・小竜姫との繋がりは無いんだね」
【ああ、私は今日のGS試験で雪之丞の攻撃で消えた事になっているからな】
(そうだ、私のことは誰も知らぬ)
「あんた、あのバンダナかい。しかし何故小竜姫にすら秘密にしているんだい?」
秘密にしているのは私ではない。そう一瞬思ったが、見つかればそのまま消される可能性もあると、思い直した。
「理解が早いな、さすがだ。答えは簡単」
ニヤリ
「俺と言う存在はまだ秘密、だが龍美が欲しかった。それだけさ」
{欲しかった}その言葉で心が震えた。
この時既に私は界人に縛られていたのかもしれない。
「へぇ、単純な事だね・・・だが、行動に迷いは出ない」
「そういうことだ。それと俺と横島の関係だったな」
「ああ、それがあんたの正体を最も理解しやすい質問だからね」
「正体って・・・お前も拘るな。俺は俺だって言ってるのに・・・分かったよ、自称賢者として言ってやる。」
『俺は唯一なる者、時を止められし者、魔人。神魔族、人、何れにも属さぬ存在。それが俺』
(時を止められた魔人? 時の影響を受けぬ者など例え神魔の最高指導者だろうがあり得ぬのだぞ)
必死に考えていたが、「俺は俺だ」の一言が頭に浮かび、急に馬鹿らしくなって止めた。
「取りあえず、質問は終りだ。それにもう答える気も無いだろうし、あんたの事も多少は分かった。私の邪魔をしないならここは好きに使ってくれて構わないよ」
「そうか、ありがとう」
そう云って柔らかく微笑んだ界人。
「っ!」
「どうしたメドーサ? 風邪か?顔が赤いぞ」
(こやつ・・・・)
「な、なんでもないよ!」
外へ出て行ったメドーサの背中を見ながらまたも初めての感情が生まれた。
それは知識で知っていた。「嫉妬」と言う名の感情だと。
「どうしたんだ、一体?」
彼の呟きに返事は無かった。
無限の魔人 第六話 後編 〜接触〜
end
あとがき
龍美視点です。今13話まで書き終わってますが、それから中々進まない・・・ああ、原作が手元に無いのが辛い〜〜・・てことで、ちょっと買ってきました。
ふ・・・かなり忘れていた話が沢山っ! 細かい所は飛ばそうかな・・・(ぇ
レス返し
>無貌の仮面さん
一体何処までフラグは立ちつづけるのでしょうか!? 鈍感特性は・・・彼ですからね。
>九尾さん(レス神様)
炎の狐は使わせていただきます!しかし・・・スペイン語しらんとです!
ですので、その辺はてきとーに文珠で誤魔化します。
>視点を変えて同じシーンをやる作風が面白いです。
いやぁ、そう言って頂けると嬉しいです。確かに全編通して視点別にやるとなると話が全く進みそうにないので、重要又は面白そうな所だけやるようにします。
>紫竜さん
>本当にメドーサのフラグを立てるとは
>鈍感なのはいくつになってもおんなじですかww
>そういえば何時なったらラプラスは出てくるのですか?
フラグは寂しさゆえに!鈍感なのはもう治りません・・・周りの女性が不幸ですが、諦めてもらいましょう。彼はそれゆえに彼ですので。
ラプラスは9話から出てくる予定です。その時をお楽しみに
>AZCさん
>界人君こうなったらメドーサをオトシてアシュタロスに会って宴会でもしてアシ>ュタロスの愚痴でも聞いて亜神にでもして欲しいですね
んーアシュタロス云々はまだ考えてません。今の所は自称賢者がどうやって生活を送るか・・・です。
メドーサ若返り・・・一考します。私はおねーさまキャラが一人欲しかったんですが(フフフ
>ぴええるさん
初めまして。GETだぜ!正にポケモンを手に入れるが如く落としちゃいました。
そのうち手痛い反撃を食らいそうですねー。
>トレロカモミロさん
メドーサVS龍美 勃発間近!? これからの龍美の成長に期待ですね!(他人事
>柳野雫さん
界人君が巻き起こす風は穏やかなものか、はたまた暴風雨となり全てを巻き込む大事件となるか・・・まだまだ解りませんねー、いやいや楽しみです。
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