アメリカ合衆国が打ち上げたそれは確かに見た。
日本と呼ばれた国が黒く染まっていくのを。
ボタンを一つかけちがえ if
何が起きたかは当初さっぱり分からなかった。
アメリカ側は事態を把握しようとするが、
首相官邸、外務省、横須賀基地、主要なチャンネルに応答はない。
衛星のデータを分析していたグループが最初に立てた仮説は、
大規模な停電だったがそれにしては連絡が一切つかないというのがありえない。
結局の所分かっていることは日本の関東地方、
冬木市を中心に日本列島が黒く染まっているということである。
アメリカは国内の日本大使を召喚、事態の説明を求めたが、
大使自身も何も把握してないということが分かっただけであった。
その間も黒いモノの侵食は続いていたが、列島全土及び朝鮮半島全土と
中国とロシアの一部に侵食した時点で停止。
五分後、観測していた人物が語るには一瞬で消え去ったという。
とにもかくにも不可思議な事態が終了したのだろうと考えたアメリカは、
至急、日本と在日米軍に連絡をとろうとしたが、相変わらず応答なし。
やはり黒いモノの侵食が観測された朝鮮も応答なし。
中国、ロシアの極東に存在する米国資本の企業も応答なし。
ことここに至って、大統領はデフコン3を発令。
ハワイの太平洋艦隊に日本の調査を命令した。
同時に、中国、ロシアに日本と朝鮮半島に異常事態が起きたらしいと、
公式、非公式ルートで伝達。
そこまで行った時点で、大統領はアメリカを裏から支配していると
言われる影の政府からの召喚を受けた。
そこで彼は今回の事態の説明を何故かいた神父に受ける。
曰く、日本は何らかの災厄に飲み込まれ、守護者が現れた、と。
大統領になった時点でこの世の裏に存在するものについても
知らされいたが大統領はそれを容易に信じることが出来なかった。
それはそれを現実として認めるならば、世界有数の経済大国と
極東の平和を維持していた合衆国の軍隊が消滅したということだからだ。
それは20世紀のモノとは比べ物にならない程の大恐慌を引き起こし、
巨大な空き地となった日本列島を巡る第三次世界大戦の引き金になりかねない。
哀れなるかな地球最強の国の元首。
彼の想像は数年の後に現実のものとなり、
世界は煉獄に飲み込まれることになる。
あとがき
ここで書くのもアレですが、冬木を中心として円状に影が侵食してます。
BACK<