ある事件で住む所と家財道具を失った横島は幸福荘の住人となった。
(ちなみに、その事件はあまりの”おぞましさ”の為に評判が悪く短時間で歴史から削除しました。)
横島が入居する前に、やはり同じ事件が原因で小鳩一家も幸福荘の住人となっており元からの住人であるDr.カオスとアンドロイドのマリアなどオカルトに関係する者が集まっている。
ちょうどアパートの契約更新だったタイガーも値段のワリに居心地の悪い前のアパートから不動産屋めぐりの末ここに引っ越して来た。
彼女ができて正規のGS免許が欲しくなった伊達雪之丞はGS協会と役所に
「免許が欲しければモグリの営業と住所不定をなんとかしろ。」
との、指導を受け安くて良いアパートを探してここに辿り着いた。
ちなみに雪之丞はGS試験では合格ラインをクリアしていたが魔族の協力者という理由で不合格になったが、以前に少竜姫に協力してブラックリストから外されているので、幸福荘に入居して住民票などをキチンとしただけでGS免許を交付された。
見習い免許では営業できないのでエミに仮の師匠になってもらい正規のGS免許を手に入れた。(美神に借りを作るのはリスクがでか過ぎる。唐巣神父は善人すぎて気が引けた。)
エミの方も一人前のGSを(書類上は)1人養成した事になり、どちらにとっても、いい話だった。
タイガーは不満そうだったが。(ものすごく)
幸福荘の大家。通称「大家の婆さん」はナカナカの人物である。
このアパートは元は下宿屋で婆さんは家付き娘。下宿していた大学生を入り婿に。
現在は旦那に先立たれ、子供と孫がいるが婆さんの躾と教育が良かったのでまともな不動産会社を経営している。
子供や孫が手のかからない大人になったので、結婚を機に閉めてあった下宿屋を改装して現在のアパートに大家として住んでいる。
留学生と称して日本に来る不法労働者などは元が下宿屋のせいか断っているので、風呂はない。玄関は一つ。といった下宿風の造りが嫌われて入居者がいなかった。
「この際、多少変わったのでもOK」
と、不動産会社の社長である息子に言ったらカオスやマリアがやって来て店子となった。
この1人と1体は家賃の支払いが悪いが、意外と生活に楽しい張り合いをくれるので、オカルト関係で入居を断られる連中を引き受ける事にしたのだ。
働き過ぎて体を弱らせた母親とがんばり屋の可愛い娘、そして貧乏神という不吉な名前の幸運の神がアパートに来た。
大歓迎である。
損得ではない。
学生相手の下宿屋をやっていた婆さんや両親の楽しみは下宿人の学生達との毎日のやりとり、下宿生活を終えて社会に船出する彼等の姿だった。
楽しい事も困った事も多かったが今ではみな良い思いでだ。
そんな事を、日々の生活のちょっとした楽しみにする為に大家に返り咲いたのだ。
小鳩一家が店子になってすぐに、前のアパートで一家の隣に住んでいた高校生が入居した。
どうやら不動産会社がよく仕事を頼むが、
「仕事は確実。報酬は非常識。」
と言うので、やたらと恨みを買うので有名な除霊屋でバイトしており仕事の関係で住んでいたアパートから焼け出され要注意人物としてブラックリストに載ったらしい。本人が人様に迷惑をかけない学生ならば大丈夫だろう。
彼の人物は小鳩に確認したから。
さらにその高校生の友達がそれぞれ別口で入って来た。
幸福荘の平均年令は一気に若返った。 (カオスがいるので実際には殆ど変わらない。)
喜ばしい事だ。じじいのカオスとロボットのマリアだけでは婆さんが可哀想だ。
幸福荘は古い下宿を改装したものだ。
元は四畳半押し入れに風呂無し、トイレ共同。
食事の賄いもやっていたのだが、自分の年の事もあるし、今はそんな時代でもあるまいと改装した。
元の二部屋を一部屋にして、六畳間に押し入れ、トイレ、台所を付けた。
部屋に風呂を付けてやりたかったが、スペースが足りない。
近所に昔からやってる銭湯があるので、がんばって営業を続けて貰おう。
ここ十数年で東京の銭湯代は大幅に値上がりし、400円もするが、その分屋賃を抑えた。
賄いに使っていた台所は壁を壊して造り直し自転車やオートバイの置き場に。
共同トイレも完全に造り直して共同倉庫にした。
近所に息子が建てたマンションやビルの所為でテレビの電波が入らないので、文句を言って共同のケーブルテレビを引かせた。他に迷惑をかけていないか、しっかり確認をする様に睨みつけた。
電気や電話の配線もやり直して今の若者が不自由しない様にした。
(おかげでマリアを充電しても火事の心配が無い。)
新しい店子達にどんな迷惑をかけられるか、どんな顔で幸福荘から巣立っていくか。
婆さんはとても楽しみにしている。
BACK<