「風水師のウォンさんね？」
「放せ！君らいったい！」


ある時間、ある場所、ある倉庫内にてウォンと呼ばれる男が
奇妙な姿をした男達に身動きを封じられていた。
そしてウォンの前にたたずむリーダー格の男


「ある方のために特製の風水盤を作るんだけど、
　そのためにあなたに協力してほしいのよ。」


男が合図した後、ウォンの後ろに居た男がナイフを取り出す

「まってくれ！私には家ぞ”ザシュッ”ぎゃーーーーー！！」
「新鮮な風水師の生き血が大量にないとこれは役にたたないのよね・・・」

男が見つめる先には一つの鉄針が血に塗れていた








――心眼は眠らない　その５――





現在、美神たちは香港にいた。

理由は小竜姫からある依頼を受けたからだ。
依頼内容は風水師の行方不明の調査である。
そう、香港では現在多くの風水師が行方不明になっていたのである。
小竜姫は、彼女達だけでは難しいと判断し、
助っ人を現地に頼んでいた。


ＧＳ試験で横島と戦った雪乃丞である。


「よぉ、久しぶりだな！横島」
「伊達雪乃丞！助っ人ておまえか！」
『ほぉ、おぬしか』

ちなみに美神チームは、美神、横島、ピートである
本来は唐巣も同行するはずであったが別の用事で忙しく、
せめて弟子のピートだけは同行させた。
ちなみにオキヌちゃんはお留守番らしい

彼らは繁華街にある料理店で現在の状況を話し合った。

「で、状況はどうなってるの？」
「ああ、厄介な状況になってやがる！
　あの野郎、元始風水盤を発動させようしてやがる！」

元始風水盤とは、普通の風水盤とは異なり、大地の気を自由に
動かせる事が可能な代物である。つまり、使用者の気まぐれで、
地震をはじめ、様々なことができる。
そして、それは神魔のバランスを崩すキッカケになる。

「そんなやっかいなもの作ってるの？で、黒幕は？」
「あぁ、メドーサの可能性が高い！
　一回あいつらに接触した際、勘九朗を見かけたからな。」

そのあと雪乃丞は鉄針の写真をみせる

「これがなければ、ただの風水盤だ。
　俺達はこの針を奪取する！」

その後も話し合いを続ける美神たち。

「まぁなんとかなるだろさ。切り札もある事だし、
　それに日本ＧＳ界のトップクラスが４人もいるんだぜ！」

美神、雪乃丞、ピート、・・・・横島？

「えっ？」

自分の実力がよく分かっていない横島が声をだすが

『ふむ、コヤツがトップクラスかどうかはわからぬが、
　すくなくとも足手まといにはさせんつもりだ。』

心眼は否定とも、肯定ともわからぬ返答をする











アジトに潜入できる場所までいき、

「なるほど、僕なら霧になって侵入が出来るってことか」
「一人でいくのか？」

ピートは侵入できるルート、壁の亀裂を見つめる
そこへ横島の問い掛け

「いえ、もう一人連れて行くことは可能です。」
「なら私が行くわ！」

そう言い残すと、美神とピートは霧になり侵入を開始した。

「だいじょうぶかな？」
『・・・（いやな予感がするな、悪い事が起きなければよいが。）』

心眼は横島の独り言に反応せず、考えに没頭する。
そして、





「おい、行くぜ！晩飯はフカヒレとアワビだ！」

自分の金じゃないので好き勝手食べようとする雪乃丞であった。















美神とピートが侵入に成功した途端、突如結界に引っかかる

「中に入るには、ここしかないからね。
　必ず来ると思ってたわ、まぁ雪乃丞じゃないのは意外だけどね。」
「「勘九朗！」」

魔装術を開始する勘九朗

「逃がしはしないわ、ここで終わりよ！」
「こっちこそ逃げる気なんかないけどね！
　アンタ倒せばそれで済むんだから！」

互いに戦闘隊形に入る。

「ピート、アンタは針を探して！」
「はっはい！」

奥に向かうピート、勘九朗はそれを止める気配はない

「へぇ〜止めないの？」
「えぇ、必要ないわよ、だって―――」

美神に対して勘九朗は、











「―――あそこにはメドーサ様がいるもの。」
「なっ！」

絶望の一言を投げかける、そして

「それより、自分の心配でもしなさい！」

勘九朗の一撃が美神を襲う
それを神通根でいなす美神
美神は距離を取ろうとするが

「ッ早い！（以前と違う！）」

勘九朗の追撃がそれを許さない
何とか体制を立て直す美神

「あのボウヤに不覚を取ってからね・・・
　ちょっと自分を鍛えなおしたのよ。」

勘九朗は事も無げに美神の疑問に答えてあげる。
そう、勘九朗はＧＳ試験後、横島に不覚を取ったことを反省し、
さらなる強さを求め、修行に励んでいた。


「そうよね、あの横島クンにやられちゃうんだもの、
　私だったら本当、人様に顔向けできなくなるわ！
　（全く横島クンったら碌なことしないわね！）」
「減らず口はいいわ、とっとと死になさい」

内心、横島を罵倒しつつ、
勘九朗の斬撃をいままで培った経験で凌ぐ。

「どうしたの！抵抗するならしなさいよ！」
（たとえコイツを倒してメドーサが控えている。
　・・・どうする！）

仮に勘九朗を倒したところでピートがいないのなら壁の亀裂から脱出は不可能。
美神はどうすれば脱出できるか考えた、結果・・・







「そうよね、そんな事、アンタ倒してから考えるわよ！」
「フン！できるならね！」

互いに急所を狙いあう二人

「（横島クンが勝った相手に、師匠のあたしが・・・）
　負けてられないのよ！！」














結論から言えば作戦は成功した。
針の奪取だけは成功したのだ
ピートは傷だらけの体で横島たちが待機していたホテルに帰還することができた。
何故メドーサから逃げ果せたのかというと、
それは雪乃丞はピートと別れる前に小竜姫を呼び出せる角をポケットに
入れておいたのだ。結果、小竜姫の助けによりピートは、
メドーサに襲われるも命からがら帰還する事が出来た。


「たぶん、美神さんはメドーサに捕らわれたでしょう。
　そして、針との交換を要求するかもしれません。」

小竜姫は現在の状況を嘆く

「やはり、後手に回っていますね。
　もう少し対応が早ければなんとかなったんですが」
『すまぬ、ワレがついていながら。』

心眼も予測していた事態になってしまい謝罪する。

「私は妙神山にくくられる神なので、山から離れてあまり行動できないのです。
　ですから、今、私にできるのは」

そういってピートにヒーリングをかける。
目覚めて暴れるピートを落ち着かせる。

「メドーサとの決着の時、起こせばいいんだろ？
　安心しな、その代わり例の件頼むぞ。」
「わかってます」


返事をした後、元の角に戻る小竜姫
例の件とは、雪乃丞をＧＳ協会のブラックリストから外すことである。


ちなみに横島が小竜姫の色気のない寝姿に涙したのは置いておこう・・・











美神についてだが勘九朗と接戦を繰り広げていた時
ピートを逃がしてしまったメドーサが現れ
流石の美神も２対１の状況になってしまい敗れてしまっていた。

「あんたを使って時間を節約したいのよ。」

あらたな針を作る時間を惜しみ、
小竜姫の読みどおり、メドーサは美神と針を交換させようとしていた
その美神であるが全身を土で覆われる、土角結界にて拘束されていた。

「―――母親の能力のせいで、魔族に追われてるだって？
　そのうち私にも命令がくるかもね。」

美神の母親である美神美知恵は時間移動能力者であった。
そのため、その血筋を消すため美神はハーピーに狙われたのであった。

「命令？やっぱりあんた、何か強力な魔族のために働いてるのね？」

メドーサは質問に答えず、勘九朗に針を手に入れる指示を出す













横島たちはピートが脱出の際見つけた、抜け道を使うため地下にいた。

「ここだ！！霊波の流れがおかしい！」

横島が霊視し、抜け道を見つける
そこに雪乃丞が霊波砲を放つ。

「行くぜ！！みんな気ぃつけろよ！」
（美神さん！待っててくださいよ！）

横島の顔にも真剣さが浮かぶ

『不安か？』
「えっ！？」

心眼が横島のココロを透かす

『不安なのはしかたない。
　焦るのもしかたない。
　横島よ、だからこそいつも以上に冷静でなければならん。』
「・・・」

心眼は歴戦の戦士のごとく横島に語る

『諦めるな、最後の最後まであがけ。
　生きるとはそういうことだ。』
「あぁ、さんきゅ」





話の時間は終わる、目の前にはケルベロスの像があった。
そして像はお決まりのように動きだした。

「ざけんじゃねぇ！」

雪乃丞は霊波砲を放つがケルベロスはそれを弾く

「くそっ！全力で行くぜ！」
「油断するなよっ！」
「心眼！なんだあれ、霊波が体から流れてないんが！」
『ふむ、何か表面に霊的細工を施してあるようだ。
　まぁ、ああいうのは決まって物理攻撃に弱いと思うのだが』

霊視から敵があらゆる霊的攻撃を弾く事はわかった。

ではどうする、そこで横島は石を使って、ケルベロスの表面を削る

削ったところにサイキックスマッシュを叩き込む横島

「ギャオオオオオン！！」
「やったか！」
「さすがに俺に勝った事があるだけはあるぜ」
「（さすがに、裏技攻撃は強いな〜）」


ケルベロスを沈め、一段落つこうとした時だった










『横島っ！！（サイキックモードは・・・間に合わん！！）』
「あぶない！横島さん！」






背後から凄まじい勢いの剣が迫る





ピートは駆けつけるが








グサッ









回避は間に合わず、









横島の右腕を貫く






「ぐあぁーーーーー！！！」
『よっ横島！っくそ！』
「横島さん！！」







「雪乃丞・・・私達を裏切った以上・・・覚悟は出来てるわね？」
「勘九朗！」

雪乃丞の前に立つ勘九朗

「今の不意打ちはあの時のお礼よ、ボウヤ」

勘九朗は叫んでいる横島を見ながらそう言い捨てる

「っで、雪乃丞、あんたは私になぶり殺しになるけど覚悟はいいわね」

同門対決、それならば魔装術が優れている方が勝つのは道理である
そして勘九朗の魔装術は、はるかに雪乃丞を超える完成度。

「――そいつはどうかな？俺もてめーとは本気でやってみたかったぜ。だが――」




「これくらいのハンデはあっていいよな！！」
「！！魔装術じゃない！！」


そういい横島のサイキックソーサーを投げつめる



ドガァン



直撃―――





「小細工はおしまい？」
「なっ！！」



―――はしなかった

横島との一戦は勘九朗を大きく成長させたようであった。






「ぐぅぅぅっ！！」
『なんとか、致命傷はさけれたか』
「だいじょうぶですよ！横島さん！」

ピートはせめて横島の腕の止血を行っていた
そして雪乃丞は今度こそ魔装術で勘九朗とやり合っている


（いてぇよ！！ヤバイなんてもんじゃない！！・・そうだこれは夢なんや！）

無論、夢などではない
横島が痛みのあまり声も出す事すら苦しい
横島にとって霊能力を覚えここまで怪我を負ったのは初めてであった


そして徐々に追い詰められる雪乃丞


『ピート、おぬしは雪乃丞の手助けを！
　・・・横島よ、よく聞け。』
（だいたいなんで俺がこんなめにあわなくちゃいけないんだよ―――）
心眼は横島に語り始める



『横島よ、戦況は厳しい・・・
　このままいけば我らの負けは必至だ。』
（まける・・？・それがなんなんだ・・・？）
心眼は淡々と語る、横島の反応は薄い



『もし、我等が負ければどうなるかわかるか？』
（・・・）
徐々にだが心眼の声が響く

その間にも目の前の戦いは激しさを増していく







『世界は破滅へ向かい、人間達は滅びる』
（・・・）


ピートの参戦空しく二人を押し続ける勘九朗






『おぬしの肉親、親しきもの、皆滅びる』
「！！！」
心眼の言葉に反応する横島









『いいのか横島？世界の危機を前にして、
　腕が痛いから無理だとでも言うつもりか？』

心眼は傷ついた横島が戦力なるかどうかなどなど考えてなかった
ただ自分が信じる男が、相棒がこんなことで終わるとは信じたくなかった






『いい加減目を覚ますのだ！』
「おっ俺は・・・」
そして最後に叫ぶ










『男だろっ！？』
「！！」








横島の傷ついた右腕が輝きを増した―――











――心眼は眠らない　その５・完――







あとがき

いつもレスありがとうございます。
おかげさまで一週間連続投稿に成功！
バイオレンスは付けた方がよかったのでしょうか？（境界がわからない・・・

まぁバトルばっかなので香港編終わったらフラグの準備かも・・・

さぁ待ちに待った（待ってない？
”皆で創ろう、心眼計画・第２弾”
今回のご注文は
１、男（超大穴
２、女（大本命
どっち！（まぁ、レス読ませてもらってると聞くだけ無駄な感じがしますが念のために・・

＞片やマンさん
ミラクルオオポカ！？っ名前の書き忘れとかっでか？

＞pantokunさん
ありがとうございます。これからも心眼に愛の手を

＞法師陰陽師さん
ハルマゲドンなど来させやしないっ！（多分

＞紫竜さん
現世で新たな楽しみを見つけた心眼でした。

＞weyさん
まぁこれも横島の成長振りをかったんだと・・・

＞T城さん
いや〜これでいいですか、よかった！よかった！

＞ゼフィさん
第二回時給大決戦、勃発か！？

＞.さん
まぁあのときはサイキックソーサーを鋭角に折ったようですからね

＞九尾さん
試合に勝って、勝負では始めから負けていたということだと思います

＞．．．さん
鬼道の今後か〜さてどうなるのやら（何も考えてない作者・・・

＞wataさん
横島とお友達計画・・・・まかせてください！

＞・・・エクトプラズムさん
原作でも横島の成長の早さは凄まじいものでしたね

＞aさん
横島には常に最高のセコンドがついてますから！シャドウは・・・えぇと・・・

＞草薙京弥さん
秘策ですか・・・次の登場をご期待！

＞MAGIふぁさん
なるほど邪道か王道かということですか・・・

＞柳野雫さん
親父さんには隠居でもしてもらいましょう！

＞通りすがりさん
こんな感じなりそうです、（どうですか？

皆様、様々な心眼（竜神）を予想されていますが、
さてどうなるのでしょう！

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