実際問題。
始まったばかりの相談所。
いずればれるとは思うのだが今の段階でそれは望んでいるわけでもなく。
「…自分で探しにいくか。
もしくは、伝を頼るしかあるまいなあ…所長に任せるぞ?」
どこからか拾ってきたソファ。
クッションもほとんど効かない、掃除しただけのそれに座りながら。部屋の中央、入って突き当たりの机に陣取る横島に、カオスは視線を向ける。
どことなくではあるが、それが美神の事務所、その配置と似ているような気はするが。
「…GSの知り合い…まあ一人範疇外がいるが…
あいつはあいつで怠惰と倦怠感と無気力の塊のようなやつだし…昼寝王国の建国を!!!!とか言い出さないだけましだが。」
ふう…とため息をつくのは何のためか。
資金面に関してはまったくといっていいほど問題はない。
横島の相棒。
それは紛れもなく、全盛期の明確な思考。
用があればどこへでも飛び回る活力。
確かに『ヨーロッパの魔王』ドクターカオスなのだ。
最近は魔鈴めぐみに手ほどきをしているらしいが、詳しいことは横島は知らない。
彼女のようなタイプから見てこのころのカオスは教師としては最良の人材だろうが。
振動。
それが不意に横島の体に伝わる。
携帯だ。
身に着けているシャツ、そのポケットからごそり、とそれを抜き出す。
元々は事務所時代から持っていたがすぐに番号は変えた。
だから今の番号を知っているのは修行時代の知り合い、ということになる。
アドレス。
表示されている名前を見て…横島は露骨に嫌な顔をした。
確かに知り合いだ。
だが、あまり深く係わり合いになりたくない。
そんな相手だったから。
画面にはこう映っている。『紅尉晴明』
「何のようかな、紅尉…そちらへの貸しは返したはずだが…?」
回線をつなげた横島は先手をうとうとした。
厄介ごと。
彼がもたらすそれにかかわらないために。
彼の場合はよく言っても利用されているのだ。
結果的に、多くの人間のためになってたり、
命や存在を救っているため文句もあまり吐き出せないのだが
『何を言っているのかわからないな。
かつての知人と出くわさないのは誰のおかげがわかっていないようだね?
今、君がそういう生活をできていること。
それ自体が、私への貸しなのだよ。
で、協力してもら「ことわる」…まだ用件も何も言っていないのだが?』
「お前にかかわってろくなことはない。
魔力回数に縛られない俺やカオスはいい手札なのだろうが…」
『わかっているんならいいではないか。
今の状態、維持したいのだろう?』
今現在。
横島とかつてのメンバーとは二重三重の情報遮断が引かれている。
そのひとつ、横島側から作られたのが、紅尉晴明のネットワークによるものだ。
『何…簡単なことだ。
明後日…私と何人か、そちらを尋ねていく。
そのときに、詳しいことを話そうではないか』
「…何を、やらせる気だ…」
『相談、だよ。
そちらの場所はつかんでいる。
楽しみに、待っていたまえ』
その言葉を最後に。ツーツーという音のみが、横島の耳に届いてくる。
ため息。
それをつくと幸福が逃げる、という言葉もあるが、かまわず思いっきり吐いた。
もう逃げていく幸福はない。
それに、だ。
「不幸は…黙ってたってやってくるしなあ…」
カオスのどこか苦笑するような笑み、それを見ながら、すすけた窓ガラス、そこから見える外を、ゆっくりと眺めていた…。
レス返しってことでまずは。
>次郎三郎様
プロット時ではユッキーもセットだったりしたのですが。
ああ…気がついたらマリア今回出番がない。
美知恵悪役は事務所の面子で悪者になるとしたらで決めたらこの人位しかいなかったという理由。
まあ気を張らずにお気楽にどーぞ。
>D,さん
2作品はそれですね・・・最後ひとつはかけらも出してませんが。
舞台が同じ地域というぐらいでしょうか。
美知恵の台詞…さーどーでしょう。
>放浪の道化師さん
うわあ誤字ってるよママン。
えらいものを置いてかれてしまったとか思いつつ。
圧力は…なんともいえませんやねー。
あきらめた理由のひとつのヒントは今回に?
>くれさん
確かに陳腐っすねー。
まあ、ダーク展開にはしようと思ってもできないので。
残された面子は後でまとめて書こうかな…とか思います。
なぜか?と言われれば…いろいろとあるのですよ。
妙神山組は、そう時間かからず出てきますが。
>タカちゃんさん
性悪オバハンはしばらく出てきません。
次に出てくるのはどこぞの資料室室長とセットになる予定。
BACK<