古き時代
人々に襲い掛かり、殺戮の限りをつくした種族が居た。
その名は、『グロンギ』
そしてそれに対抗するために人々はある存在を生み出した。
その存在を人々はこう呼んだ。戦士『クウガ』と・・・。
エピソード零 全ての始まり
「はぁ、はぁ、はぁ」
辺りを炎に包まれた広場に一人の戦士が立っていた。額に二又に分かれた黄金の角を持ち、目と鎧を真紅に染め、下腹部にはベルトのような銀色の装飾品が着けられていた。
「ふふふ、遂に僕達だけになっちゃったね。クウガ」
それに対峙するように立っているのは、同じく黄金の角を持ち、全身を白い鎧に包んだ究極の闇をもたらす者『ン・ダグバ・ゼバ』
「今こそ決着の時だ、ダグバ!!」
「そうだね、いい加減に終わらせようか。この楽しいゲームを!!」
二人は互いに構えた。・・・そして
「「うおおおおおおおおおおお!!」」
二つの影は激突した。
「はあっ!!」
クウガは一気に間合いを詰めると、拳に霊力を溜め打ち込んだ。ダグバはそれを避けるものの完全には避け切れなかったため、右腕の鎧にヒビが入り、そこから出血していた。
「なるほど〜、流石は皆を倒しただけはあるね。でも・・・それだけじゃ僕を倒すのは無理だよ」
そう言いながらダグバは左腕をクウガに向けて突き出した。その瞬間・・。
≪ゴオォォォォ≫
灼熱の炎がクウガを襲った。
「ガアァ!!パ、念力発火能力(パイロキネシス)だと!!」
念力発火能力・・・精神の力で炎を発動させる能力。この能力を自在に操るのは、人または人外であろうと難しいのだが・・・。
「はは、僕は君が倒した奴等の王なんだよ。これ位の力があっても不思議じゃないでしょ」
そう言って今度は両方の腕をクウガに向け、先ほどの倍の炎を放った。動きに気付くと、クウガは上空に跳躍し回避した。
≪ジュウウウウウ≫
先ほどまでクウガが立っていた場所は高温の熱で溶けていた。
(アレを今度まともに受けたら危険だ。いったいどうすればいい!!)
思考を研ぎ澄ましながらクウガは自身の身体を見た。肩当は熱で損傷が酷く、手首のリストも軽いものではなかった。まともに使えそうなのは両足だけだった。
(・・・覚悟を決めるか)
クウガはダグバの方を向くと、右足を前に出し、右腕を左斜め前に、左腕を腰に溜めた。そして一気に両手と右足を後方に下げると、ダグバに向けて走り出した。
「ふふ、死ににきたの?」
笑みを浮かべながらダグバは炎を放った。炎はクウガの身体を幾度と無く直撃するが、それでも走る勢いは止まらない。そして一気に上空に跳躍し、空中で一回転しながら右足を突き出した。
「なっ!?ならこれで!!」
ダグバは両手を合わせ、巨大な火球を放った。それはクウガを顔を直撃した。しかしそれでも止まらず、遂にダグバの身体を襲った。
「はあぁぁぁぁぁぁ!!」
そのまま更に右足に力を込め、ダグバを吹き飛ばすクウガ。
「そんな・・・バカなーーーーーーー!!」
そしてその場で大爆発を起こした。
「これで・・・全て終わった」
クウガは力が尽きたため膝をついた。顔に被っていた仮面は右半分が砕け散っており、そこからは安堵の表情を浮かべたの青年がいた。
(ふふふ、はっはっはっはっ!!)
「なっ、何!?」
突如頭の中に響いたダグバの声に青年は動揺した。急いでダグバの方を見るが、ピクリとも動いておらず、屍と化していた。
「・・・まさか」
(お前の予想通りだよ)
「ッ!?」
嫌な予感を感じていた青年の頭の中をまたダグバの声が響く。
(僕たちの肉体は死んだ。だけど君の力では魂までは滅ぼせなかったのさ。さあ、このままお前が護るべき人間に取り付いてやる)
「そんな事・・・させはしない!!」
そう言うと青年は両手をベルトに当て、霊力を中央部にある石に送った。するとその石から眩しい輝きが漏れ出した。
(まさかお前・・・アマダムの力を解放する気かい?)
「そうさ、そしてお前とその仲間達を来世に吹き飛ばす」
(そんな事をすればお前は・・・グワアアアアアーーーー!!)
青年は更に力をアマダムに送り、そこから放たれる光でダグバを包んだ。そして次の瞬間・・・そこは何も無かったように静まり返っていた。
「もう・・・限界か」
そう言うと青年はその場に大の字で倒れた。息は絶え絶えで、後数分持つかどうかという状況だった。それでも青年は両手を動かし、下腹部のベルトの上に置いた。
「霊石アマダムよ、戦士の最後の力を以って命ずる。来世に我と同じ魂を持つ者が戦う意志に目覚めし時、我が力全てをその者に託したまえ!!」
その言葉と共に天に向かって一筋の光が放たれた。その光は徐々に力を失い、そして消えた。
(私の使命は終わった。・・・頼むぞ、新たなる後継者よ・・・)
そして・・・青年は力尽きた。
そして月日は流れ・・・。
場所は変わってGS試験会場。その会場前の階段に一人の少年が座っていた。上下には青の皮ジャンとジーンズを着用し、額には“眼”の付いた赤いバンダナを着けていた。
「確かに・・・ここまでマグレでよくやったよな〜」
少年は心なしか釈然としない態度だった。
(どうした、そなたに悩みでもあるのか?相談になら乗るぞ)
少年が着けていたバンダナに付属していた“眼”が、彼の頭の中に語りかけてきた。
「・・・なぁ心眼。結構無茶な相談かもしれないが・・・」
(雪之丞をぶち倒すと言うなら手を貸すぞ)
少年の考えを呼んでいたのか心眼と呼ばれた“眼”は彼が言い終わる前に答えた。その答えに少年も僅かながら笑みを浮かべていた。
彼の少年“横島忠夫”はこの時まだ気付いていなかった。自身の中に新たなる変化が起きていることを・・・。
今回初投稿となるweyです。
まだまだ技術的に未熟なため駄文になっているかもしれませんが、最後まで読んで下さったならレスをいただけると大変嬉しいです。
初心者ですが全力を持って頑張らせて頂きます。
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