『彼等が進む道』を書き直した物です。
・・・・・・皆さん初めまして。
私、名も無き語り部でございます。
さていきなりですが、皆様方に質問がございます。
皆様方は一人でも生きていく事が出来ますか?
誰にも頼らず、生涯の伴侶も取らずに生きていくことが出来ますか?
答えは否です。
人は誰かの支えが無ければ生きていけない生き物なのです。
ここに、人を無意識の中で支え続けてきた青年がいました。
青年はどんな存在だろうと、嘘偽りの心が無く、本心で付き合っていました。
青年の名は横島忠夫。美神除霊事務所の従業員でした。
彼は人・神・魔・妖と種族に関係なく付き合い、
自然と彼の周りにはそういう人たちが集まりました。
まず一人目は美神令子。
彼女は前世で横島の前世と出会い、再会を約束しました。
ですが15の時に母親と別れ、一人で生きていく事を心に誓い、
心を閉ざしてしまいます。
それと共に前世での記憶を奥底まで完全に封印してしまいましたが、
横島と出会い少しずつ心を開いていきます。
彼女は横島が、何時までも自分の傍にいてくれると思うようになっていきました。
二人目は氷室キヌ。
彼女は昔人身御供となり、幽霊となって三百年間現世に留まり続けました。
そんな時に横島と出会い、自分は幽霊なのに普通の人と同じように接する横島に、
段々心を惹かれていきました。
生き返り記憶を戻した後も、変わらずに接する横島をもっと好きになり、
彼女もまたいつまでも自分の近くに横島がいてくれるものだと思っていました。
三人目は犬塚シロ。
彼女は唯一の肉親である父親の敵を討ちたく横島の弟子になりましたが、
彼の人なりに惹かれ、いつの間にか師匠とは違う感情で接するようになっていました。
彼女は子供心にいつまでも横島が近くにいてくれると信じていました。
四人目はタマモ。
彼女はかつて殺生石に封印されていた、金毛白面九尾の妖狐の生まれ変わりです。
彼女は霊力を長い間溜める事によって現世に蘇った妖怪です。
ですが、生き返って直ぐに人間に追いかけ回された為に、
過去と全く変わっていない人間を恨んでいましたが、
横島と接している内に人間の中にも自分と普通に接してくれる。
絶対に自分を裏切らない存在が、少人数でもいる事を知りました。
その中でも横島は自分を利用しようという感情も、嫌々自分と付き合っていないことを知り、
そして自分を守ってくれる存在だと思うようになりました。
彼女は何時までも横島が自分を守ってくれると信じていました。
五人目は魔鈴 めぐみ
彼女は長い年月を一人で過ごしてきました。近くにいるのは使い魔である黒猫だけでした。
何時しか、彼女は一人でいるのが当たり前だと思う様になりました。
それがどんなに悲しい事なのかに気付かないで。
しかし、それにも転機が訪れました。
彼女がイギリスから帰ってきて開いた店に一人の男性が訪れます。
その男性の名は横島 忠夫。
横島は彼女を魔女と言って見下さず、一人の女性として扱いました。
特に、横島は体だけを求めてくる他の男性とは違い、彼女の心も見ていました。
それは魔鈴にとって、新鮮でとても嬉しい事でした。
そして、横島が料理を本当に嬉しそうに食べている姿を見ていて、
何時の間にか好きになっていました。
そして、横島は何時までも自分の料理を食べに来てくれると信じていました。
六人目は小竜姫。
彼女が横島の秘められた力を見抜き、認めた最初の女性でした。
彼女は何が起ころうとも横島を見守り続けました。
どんな時も、自分の期待した答え以上の物を導き出す横島の姿を見守り続けたのです。
最初は横島の事を母や姉の様に見守っていましたが、
何時の間にか彼に守られたいと思うようになってきました。
そしてその願いは叶えられました。・・・横島の心に深い傷を残す形で。
そして彼女は横島の傷を少しでも無くしたいと思うようになっていきました。
彼女は彼が死ぬ前に必ず、その傷を治すことを心に誓いました。
七人目はワルキューレ。
彼女は最初横島を無能と罵り、邪魔者扱いをしましたが、
彼が修行をし、予想外の能力を身に付け敵の魔族を撃退した時に横島を戦士と認めました。
それから幾度も強敵を横島が倒していく内に心惹かれていき、
小竜姫と同じように横島に守られたいと思うようになってきました。
しかし、横島は自分とは寿命も生きる場所も違うと言う考えから、
自分の気持ちを横島に伝えようとは思いませんでした。
だから彼女は横島を陰から支えていこうと誓いました。
八人目はベスパ。
彼女はアシュタロスの乱が終わるまで、横島とは敵同士でした。
そしてその乱の中、自分の姉であり横島の彼女であったルシオラが、
この世から姿を消す要因を作ってしまいます。
しかし、彼女もまたその乱の中で大切な人を亡くします。
自分の生みの親であるアシュタロスを。
しかし乱後、ベスパは横島の事を好きになっていました。
何時好きになったのかはベスパ本人にもわかりませんでした。
そして自分の抱いている気持ちが、
アシュタロスに抱いていた気持ちと何処か違うのに気が付きました。
それが、親に抱く気持ちと異性に抱く気持ちに気付く出来事がありました。
その出来事とは、ヒャクメにお願いをして横島の事を何度か見ている時でした。
その時も横島は一人でルシオラを想い泣いていました。
それを見たベスパは、胸が締めつけられる様な痛みを覚え、
『私が近くに居れば、一人でなんか泣かせないのに』と思い、
横島を一人の男性として好きだと言う事に気が付きました。
ですが、ルシオラを殺してしまったのは自分と思っているベスパは、
ワルキューレと同じ様に、横島を陰から支えていこうと誓いました。
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