横島が事務所を立ち上げてからもう三年の月日が流れた。
美神、エミ、唐巣らの除霊を手伝う、彼らから流れてきた仕事を堅実にこなしてきた。
また六道学園で臨時講師をすることにより彼等の業界での知名度は上がり、彼らに来る仕事は着実に増えていった。
現在では固定客もつき、美神らの事務所と肩を並べるくらいに成長した
そしてその結果はある男にある行動を起こさせるには十分だった。
GS美神if19 ある行動に伴うある結果
今日は横島事務所はオフだ。
前から決まっていたこととはいえ、これは横島には都合がよかった。
横島はルシオラを誘いデートに出かけた。
事務所の誰もがいつものデートだと思っていただろう。
だがこれが横島と『ルシオラ』の最後のデートになるとは誰が想像できただろうか?
そして彼等の最後のデートが始まる。
彼等の収入ならいかようにも豪華なデートも出来るのだが、二人はさほど贅沢と言ったものに興味はなく、横島とルシオラはごく普通のデートコースを楽しんでいた。
ちなみに贅沢に興味がないのは横島事務所にいる全員に言える事である。
一番金を使うのはカオスだがほとんどが研究費とささやかな趣味である高級酒(と言ってもべらぼーに高いと言うモノではないが)ぐらいにしか使わない。
閑話休題
そしてデートも終わりに近づき、彼等のデートの常に行くあるところに来ていた。
彼等の思い出の地、東京タワーである。
ちょうど太陽が沈み始める時間であった。
彼らはアレから何度目になるかわからないほど夕焼けを見ているのだが、彼らは暇さえあれば夕焼けを見ていた。
多分この『昼と夜の一瞬のすきま短い間しか見れない』夕焼けは彼らにとって日常の、幸せの象徴なのだろう。
そして太陽は沈み、世界は闇に包まれた。
東京タワーの展望台で夕焼けを見終えた後、横島はポケットからひとつの小箱を取り出した。
「これルシオラに受け取って欲しい」
横島はルシオラにその小箱を手渡した。
「何これ? 開けてみていい?」
「ああ、いいよ」
ルシオラは小箱を開けた。
中に入っていたのはひとつの指輪であった。
「ヨコシマこれって…」
その意味が分かったのか動揺を隠し切れないルシオラ。
「お前と婚約してもう三年。事務所も安定してきたしそろそろきちんとしたいと思ってな」
「ヨコシマが言いたいことは分かっていると思う。でもきちんと言葉にして」
「しなきゃだめか?」
「せっかくの記念なんだからしてほしいな」
「そうだよな。けじめはつけないとな」
そして横島はルシオラにアシュタロス打倒を誓ったときより真剣な表情で言葉をつむぎだす。
「ルシオラ、俺と結婚してくれないか?」
今まで散々プロポーズの言葉を考えたていた横島であったが、口にしたのはそんな単純なものだった。
ルシオラは目に涙を浮かべつつ
「はい、喜んで!」
と抱きついた。
彼等のシルエットがひとつになるのは当然の流れであり、なかなか二つに戻らなかった。
しかし横島もルシオラもここが東京タワーの展望台という事を忘れていた。
その結果。
「おめでと〜」
「ヒューヒュー」
「お幸せにね〜」
「うらやまし〜」
などのありがたいお言葉を周りの皆さんからいただいた。
もちろん二人して顔を赤くしながら逃げるようにその場を立ち去った。
「あ〜恥ずかしかった」
「ホントよ。でも本当に嬉しかったな」
「サンキュー。そういってもらえると嬉しいよ」
それから一ヵ月後に行われた横島・ルシオラの結婚式の披露宴において何故かプロポーズの時の映像が流れた。
この映像を流した某神族の女性に対するお仕置きが彼らの夫婦としての初めての共同作業となった。
式は質素すぎず豪華すぎず、来場客全員に
「彼ららしい」
と思わせる雰囲気で進行された。
こうして『ルシオラ』は『横島ルシオラ』となった。
あとがき
いかがだったでしょか?
ちょっとだましの要素がありましたが(最後のデートのくだり)、どんな展開なるかはらはらドキドキしていただけたら嬉しいです。
といっても私はダークものは書けっこ無いのですけどね。
これにてGS美神ifは一応の区切りがついたと思います。
だからといって書くのを辞めるつもりは無いですが、GS美神ifは基本的に横島主体でした。
これからはGS美神ifの設定・流れを利用しつついろんなキャラモノを書いていきたいと思います。
いままで読んでくださった方、レスつけて下さった方、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
>NEXT