>えげれすの国からやって来た 泣きほくろの似合うおねえ様
>めぐみ〜♪ めぐみ〜♪
と、いう訳で。 白魔法使いの魔鈴めぐみである。
>めぐみ♪ めぐみ♪ めぐたぁ〜〜〜ん♪
昼下がり横島はテクテクと大きな箱を抱えながら、お供にガルチャンずから選抜された2ガルを引きつれ、めぐみの店へと行進中である。
ガルチャンずは、基本形である省エネ版ではなく。 しっかりと通常版のメイド・サーバント(冥土にあらず)の服をしっかりと着こなししずしずと横島の後に続いて歩く。 その手にはちいさな箱を一つずつ持っている。
使い魔『クロさん』に軽く挨拶して、店からテーブルと椅子を借り。 店先にだし、オープン・カフェな雰囲気をてきぱきと作り出す。
「じゃぁ二人ともいいかな?」
「「はい、お父様」」
血は繋がっていないし種族も違うが、親と認めたものに近づいていくのは自然の摂理なんだろうか? 笑い方がそっくりである。
クロがめぐみを呼びに異空間にある家へといったん戻り、そして戻ってきて行儀よくちょこんと椅子に座る。
そして、
「なんですかクロさん。 今日は実験するって言ってた・・・ あら、横島さん今日はどうされました?」
めぐみの服装は何時もの魔女ルックであるが。 横島は黒い燕尾服を着、何時ものぼさぼさ頭を後ろに流している。 鼻先にはちょこんと本当に使っているのか叫びたいほど小さな鼻眼鏡をかけている。
横島なりにサーバントのイメージらしい。
横島とガルチャンずは、ゆったりと腰を折り挨拶をする。
「お嬢様、本日は志向を変えてお外などでお茶をどうでしょうか」
「えっ??? 横島さん」
横島はちょっと考える様子を作り。
「そうですね、そのお洋服では気分も変わらないでしょう。 ガルチャン」
「「はい、お父様」」
そう言ってガルチャンずはめぐみに近づいて、某番組で使用されていた生着替え用のフープを頭から掛け目隠しをおろす。
「種も仕掛けもございません。1・2・3!」
掛け声とともにフープが降ろされると、そこには魔女服からドレスに衣装が変わっているめぐみがいた。
「!!!」
ドレスは薄いライム・グリーン。 ビロード生地であろうか、陽射しを受けやわらかく光帯を作り出しめぐみの雰囲気を崩す事なく引き立てる。
「では、お嬢様。 どうぞこちらへ」
音も立てずテーブルと椅子の間に空間を作りめぐみを待つ。 誘われるままにめぐみはテーブルマナーどおりに腰を下ろす。 そのタイミングに椅子を押し出す横島、遠くもなく近くもない調度良い距離にめぐみは驚く。
横島はマナーは二の次、楽しく食べれればという心の持ち主だという事をめぐみは知っていたからである。
テーブルに乗るは、3段の銀円盤が拵えられたタワーであり、その銀盤には上から『シュー・ケーキ』『プティ・ケーキ』『サンドウィッチ』と行儀よく盛られていた。
「本日は私達がお嬢様のために心を込めてご用意いたしました」
横島の説明とともに、ガルチャンがポットカバーを外したティーポットを持ち上げ、めぐみ、クロさんの順で紅茶を注ぐ。
どうぞ、と促されめぐみは紅茶を一口。 味はそれほどでもないが何かが違う、そう、心がなぜか暖かいのだ。
シュー・ケーキをガルチャンに取って貰い一口分口に入れる。 なぜか目頭が熱くなる。
家庭料理の味だ。 久しく忘れていた家庭の味である。
微かに流れる、リュートから流れる古いメロディー。
まりんは眼を閉じゆっくりと背伸びをし、
「横島さん、ありがとうございます」
めぐみの笑顔は、切り取って写真立てに入れ飾りたい笑顔だった。
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