魔法回数は平均十数回、それが世間の評価。だが式森の家にしてみればどうでも良いこと、なぜならかの家は『魔術師』なのだから。
『魔術師』、一般に伝わる魔法とは威力、使い易さとも比べ物にならないほどの『魔術』と呼ばれる「力」を使う者たち。
魔術師達は自分たちの力を『魔術』と呼ぶ、彼らにとって『魔法』は、奇跡の力そのもの。
式森の家は魔術師にとっては危険すぎる、歴史上幾多の魔術師の血を受け継ぎ今現在では『青崎』、『遠坂』といった家系も血に繋がる。
だから式森雫は、兄式森和樹と違いその魔術師としての血を色濃く受けづいてしまう。
その強力な潜在魔力ゆえ研究材料になることを恐れた彼女の母は知人の青の魔法使いに娘を預ける。
逆にその兄はまったくと言って良いほど魔術の才能がなかった。
それゆえに和樹は普通の生活ができるはずだった・・・
しかし彼は魔術が使えない代わりに別の力を持っていた。
人を超えた身体能力、そして神や魔に匹敵する呪われた力、だがこれすらも彼の「力」の前では無意味。
彼の本当の力・・・・女性を無意識に引き寄せるフェロモン・・・別名『人間磁石』だからこそ彼に平穏はない。
幾多の女性を無意識に落とし、世界の99%の男性から命を狙われる始末。(残りの1%は和樹の同類にして心友)
だから彼に平穏はない。彼の名は式森和樹・・・・ハーレムを作る業を背負う者・・・・
<和樹十二歳>ドイツにて、
『和樹、これからあなたには数多くの不幸が降りかかるでしょう・・・主に女性関係で』
最後に不吉な言葉を聞いた気がするのは気のせいだろうか?
『だけど負けてはいけません。あなたにはそれに打ち勝つだけの力があるのですから・・・母はハーレムを許しますよ。』
また母の最後の言葉が聞き取れん。というか聞き取ってはいけない気がする・・・何故だ?
『もう時間ですね。和樹これだけは覚えておいてね。母はいつでもあなたの味方ですよ・・・母じゃなかったら私も狙ったのになあ・・・』
母よ勘弁してください、お願いですから。
『さよなら、母よ』
そういい残し俺はタクシーに乗りその場を後にする。母は終始笑顔だった。
しばらくすると後ろののほうから「和樹は何処に言ったの?」「くす、残念ですが息子の居場所は、ショタ痴女や愚娘、淫乱黒姫には教えられません」
といった声や爆音が聞こえたり、白い閃光や赤い奔流が見えたりしたのが、ドイツ時代の最後の思い出だ・・・・嬉しくないな(涙
<和樹、十七歳>
今俺は、人じゃない存在つまり異形に囲まれています。ライブでピンチ・・・ではさほどありません。
「こんなに死者がいるなんて聞いてないんだけどな。これって明らかに労働基準とかそういったものに引っかかるんじゃないのかな?」
死者の攻撃を身をそらしてかわし、その勢いを利用しまわし蹴りを叩き込む。
ドゴン!
死者の一人が壁に激突する。
「ぐがあ」
それを見て俺を危険と判断したのか、死者の一人が俺に襲い掛かるが、
ドン、ドン、ドン!
別の方から無数の銃弾を浴びせられ俺に襲い掛かろうとした死者が消滅する。
「燈子様の依頼なのですから、こう言った理不尽さなどいつものことかと」
そう良いながらも油断なく二丁拳銃で死者どもを撃ちまくるのは、銀色の髪を後ろで纏めすべてが整った美女。だが一番目に付くのは彼女が着ている服装、何故かメイド服。
「いや、でもリーラ・・いい加減バイト代払ってもらわないとサバイバル生活に入りそうなんだよな俺」
「和樹様、こういってはなんですが、燈子様にお金のことを期待するのは無謀かと」
「わかってるんだけどね・・・」
そう言いながらも俺とリーラは死者どもを次々なぎ倒す。
リーラ・・・ある事件で知り合った少女、MMM(もっともっとメイドさん)という組織に所属しているメイド。
何故か俺を主人にすることになり誓約の儀式がどうのこうのとなっていたが、気がついたらパートナーに近い関係になっていた・・・なんでだろう?
しかも彼女は重火器の扱いや格闘術さらに『魔術』まで使えるのだ。
その理由を聞いてみたところ
「メイドですから」
と言ったよくわからん答えが帰ってきたことがあった。
「しかし、次から次といい加減うざくなってきたな」
何しろはじめはこの建築中のビルに化け物がでる。と言った依頼が俺のバイト先でもある『伽藍の堂』にきたのだが、バイトでもある俺にいかすなよ燈子さん。
まあ正社員の幹也さんは三ヶ月の断食の結果入院、式ちゃんはその付き添いで俺しかいなかったのは仕方がないが、勘弁してほしいものだ。リーラと連絡取るの大変なんだから。
「リーラ下がれ一気にけりをつける」
「わかりました」
そういいながら俺の後ろに下がるリーラ、俺はそれを確認し右腕を横に突き出す。
「ぐうを?」
三十近い死者が何かを感じ取ったのか、動きが止まる。
だが無意味だ、俺の右腕から鱗のついた蛇が現れる。
「スネーク・バイト」
その言葉とともに俺は一瞬で死者の群れを突き抜けるそして・・・
ずしゃ!!ぐしゃ!!
不気味な音を立てながら死者どもが崩れ落ちる。崩れ落ちた死者たちは全員何かに食いちぎられたような後を残し息絶える。
「終わりと」
「お疲れ様でした」
あの後俺は燈子さんに報告しリーラと別れて彩雲寮に帰る途中だ。
「しかし協力を要請するたびに一線を越えなければいけないのはな・・・」
いくら手伝いの代金とはいえリーラ・・・身体がもたんぞ!
「明日は魔力検査があったような・・・」
まあどっちにしろいつものようにだらだら過ごすだけだしな。
そのとき俺は知らなかった、俺の葵学園の日常(?)が明日で終わることを・・・三人の美少女の手によって。
あとがき
華の残照が更新不可という事でこちらに更新しました。ここはまぶらほSSが少ないので私みたいな駄文書きが受け入れられるか心配です。
>NEXT