「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
(の、のうウマゴン)
(メルメル?)
(先ほどからティオがひどく機嫌悪そうだとは思わんか?)
(メル)
(一体何故であろうか)
(メルメルル?)
(そうか、ウマゴンにも心当たり無いか)
(メル)
「ちょっとガッシュ」
「はいなのだ!!」
「何こそこそ内緒話してんのよ」
「ななななななななんでもないのだ!のうウマゴン」
「メメメメメルメル!」
「そう・・・・それならいいのよ・・・」
などとぽっこらぽっこら王宮への道を歩む二人と一匹。
そして門を越えて入ろうとした瞬間
「むぁ−つのだキサマら!」
「メルメル!」
「お主は、ビクトリ−ム!」
「左様である! 我輩が美しく、華麗なるビクトリ−ィィィィムである」
「で、何のようだの?直訴や嘆願はあっちの受付に言って欲しいのだ。
ホレ、この書類に実印押して五時までに提出するのだぞ」
「メルメル」
「何、そうであったか。すまんビクトリ−ムよ。職員慰労のためお役所の受付は
たとえ開いていても三時で終わりというのが慣例らしい。
よって明日・・・は土曜か。では明々後日朝十時からまた来て欲しいのだ。
もちろん印鑑証明も忘れてはイカンぞ」
「だらぁぁぁぁぁぁ!そのようなお役所仕事に用はなぁぁぁい。今日の用事は、ずばりそこの娘だ!!」
「ティオにかの?生憎ティオは魔界の女王ゆえ、用事はわたしが」
「キサマはどっか失せぇろ!わたしの用事は、あのような輩が魔界の王と名乗るのが許せんというのだ」
「何と?」驚くガッシュの後ろでキュピ−ンと眼光迸らせる魔界の女王陛下。
「魔界の王ともなれば、何者であろうと足元にも及ばぬ強さと、何よりも何よりも!
全てを超越した美しさを持たねばならぬ!!!!
そしてそのような美しさと強さと美しさと美しさを持っているのは魔界広しといえどもこのわたし以外ありえぇぇぇぇぇん!
よってブッサイクなキサマに退位と美しきわたしへの譲位を要求する!」
「以前も少し思ったが、オヌシ・・・アホかの」「メルメル」
「なぁぁぁぁんだ、それは!同意するなそこのブサイク!
この美しきわたしにそのような事ホザきやがってぇぇぇぇ。
決定、キサマラ死刑!」
と美しきVの体勢をとるビクトリ−ム。
「むぅ・・・その体勢はあいかわらず格好よいの」
「そうだろそうだろそおおおおおおおおおだろぅ」
などとやっているガッシュを横に押しのけて前に出たのは
「ティオ?」「メメメル?」
「ちょいとどいて、ガッシュ」「う、うぬ」
「さてそこのアホゥ」
「アホゥだとぅ!この美しき「そんな風にブッサイクな自分を美しいなどとホザくからアホゥだっつってんのよ」
「き、貴様ァ」
「とりあえず、今のアタシは機嫌悪いからね。ストレスぶつけさせて貰うわよ」
懐からメリケンサックを取り出し、両のコブシにはめるティオ。
「自分を美しいなんて言えるのは恵かリィエン、(小声で)そしてあたしくらいの美しさを持ってなきゃダメなのよ」
どうでもいいがウォンレイ。君は服のセンスないぞ。
「もう許さんぞ、こぉれでも食らえ!『マグルガ』」
迫るVビ−ム!「危ないティオ!」
しかし「フン!」
拳一閃!あっさり弾き飛ばしてしまいます。王宮の壁に刻まれたVの刻印。
「なにぃ!」「なんと!」「メルメル!」
一同が驚いた瞬間、ビクトリ−ムの眼前に姿を現すティオ。
「あたしはいったわよね?『機嫌が悪い』って。聞かなかったとは言わせない。食らなさい!
テリオス」
SMASH!!!!<
その瞬間、ガッシュとウマゴンの目にはビクトリ−ムを左フックでブン殴るティオの姿が万華鏡のように数十、数万見えました。
「ぐぼわぁ!」弾き飛ばされ、血を吐いて地面に叩き付けられるビクトリ−ム。
「う、ぐぐぐぐ」
一時体勢を整えるため逃げようとするビクトリ−ムの背中を、カツンと踏みつけるティオ。
しばらくグリグリと踏みにじった後、「よいしょお」とばかりにあお向けに引っくり返す。
そしてその腹の上に馬乗りの乗っかると
「あたしはいったわよね?『機嫌が悪い』って。聞かなかったとは言わせない。
いくわよ」
ゲシィ!
いわゆるマウントポジションからの滅多打ちである・・・メリケンサックつけたままで。
ゲシィ!ゲシィ!ゲシィ!ゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシ!
「あなたが!! ゲシィ 泣くまで!! ゲシィ いや泣いても!!
ゲシゲシゲシ! 殴るのを ゲシィ 止めない!!!!」
「ブルァァァァァァ!こらキサマ、止めろ、止めんかコラァ!や、やめ、お願いだから止めてチョ−ダイ」
「まだまだまだまだまだまだよ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」
周囲に飛び散る血と、そのげにまっこと恐ろしい風景に、ガッシュとウマゴンは抱き合って震えておりました。
「ふぅ、少しは気が晴れたわ」立ち上がったティオがパチンと指を鳴らすと、近習が数名姿を現します。
一人はビクトリ−ムの足に巨大な鉄球(鎖付き)をはめています。
「アンタが壊したんだからあの鬱陶しい壁の穴、塞いどくように」
「あ・あの美し「文句あんの?」
「いえ、ありませんですハイ」
「さて。それじゃガッシュ、王宮に入りましょ」
「ウヌ、仕事も溜まっておる事だしの」
「そうね。少し仕事したら一緒に晩ご飯食べましょ」
と、こんな風に彼らは一日を過ごしているのです。
それにしても・・・若宮氏の声を聞くと何故イロモノと感じてしまうのだろう・・・
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