GS試験に誰よりも挑み続けた漢…………
そんな彼の試合の記録を、少しだけここで紹介しよう。
…あ、資料は『タイガー寅吉が落ち続けるのを見守る会』、通称『落ち研』より提供いただきました。
〜第3回目の挑戦より〜
「魔…魔理しゃんっ!?」
「タイガーか…悪いけど、全力でいかせてもらうよっ!!」
タイガーは困った。免許は欲しいが、さすがに自分の彼女は殴りたくない。
だが正直にそう言った所で聞いてくれる相手ではないのは良く解っている……むしろバカにするな、真面目に戦えと叱咤してくるだろう。
そこで彼が取った苦肉の策は…
「…魔理サン!ワッシは何があっても魔理さんを殴るなんて出来ませんケエ!」
「なんだって!?」
「最後まで聞いてツカーさい!ワッシからは手を出さんですジャ!その代わり全力でガードするケンノー!魔理サンが疲れて殴れなくなるのが先か!ワッシが倒れるのが先か!勝負ですジャー!!」
それは殴れないんで一方的に殴ってくれという、情けない宣言だったが…
勝負という単語を持ち出せば、引っかかるだろう。そんなタイガーの姑息な話術に思いっきり引っかかる一文字魔理。それでいーのか。
「よっし、わかった!勝負だタイガーー!!」
そして………
「勝者、一文字魔理選手!!」
15分後、ボロボロになって横たわるタイガーの姿があったそうな……
この一件に関しては誰もがノーコメントを貫いたが、唯一「あいつはあいつなりに精一杯やったんだ」と当事者がコメントを残している。
反撃されるのを考えもしない故の全力の攻撃。それを何発も叩き込み続けても立ち上がってきたタイガーを内心見直したらしい。
〜第6回目の挑戦より〜
毎度毎度、第2試合の相手がとんでもなかったり相性が悪かったり、自分の彼女だったりしていーかげん誰が来ても驚かない自信があったタイガーを、その相手は混乱の大渦潮に突き落とした。
「めっ…」
「あ〜、タイガー君だ〜、よろしくね〜?」
「なんでここにいるんですカー!?冥子サンんん〜〜!!?」
「ううっ…私〜、あんまり失敗ばっかりするんで〜、もう一回免許を取り直して来いって協会の人が〜」
「解ったぁ!!わっかりましたから、それ以上…」
「う…うう…私悪くないのに…うわ〜〜ん!!!」
「あああああぁああぁぁぁあああああ!!!!」
以下略(笑)
〜第9回目の挑戦より〜
「も〜、何でも来いって感じですノー。バッチコイですジャ」
いつになく自信にあふれているタイガー。
今回彼はコネを使って、とある決戦用アイテムを用意していたのだ。
「ふ…この精霊石弾装填のリボルバーに勝てる相手はおりませんケェ…」
オカGの嘱託に採用されたのを機に、美智恵に勧められて持ち込んだとゆーのが真相だったりする。
彼女もまた、彼のおもろい人生に涙した一員だったらしい。
しかし、そんな彼女の娘がその願いを打ち砕く。
「第2試合!タイガー寅吉VS美神ひのめ!!」
「って何でひのめサンがっ!?」
タイガー寅吉。気は小さくて、もとい優しくて力持ち。
そんな彼が小学生に銃を向ける事は、勿論出来なかった。
しかし、ひのめにそんな配慮も遠慮も通用するかと言うと。
「えいっ!」
「のわちゃちゃちゃ〜〜っ!?」
…サッパリ通用しなかったわけで(笑)
美神と横島のいつものコミュニケーションを見て育っているひのめに、手加減とか相手の心配とかゆーのを期待するのがそもそも間違っている気がしないでもない。
でもって。
「美神ひのめ選手!最年少でGS資格取得〜〜!!」
「も…も〜イヤ…なんでワシばっかりっっ…!」
タイガー寅吉28歳。
彼は今も、走り続けている……
<完>
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