写真に写っていたのはただ、歪んで何なのかさっぱり分からないものだったが、横島にはそれがなんなのか一瞬で理解できた。
『コーサカスアンデット・・・カテゴリーK(キング)だと!!』
たった一人きり君の存在が
いつか世界のすべて変えるだろう
ここにあるものは希望?絶望?
Round Zero 始まってる
知らないと言う罪と 知りすぎる罠
動けなくなる前に 動きだそう
風に捲られたカード
占うように笑う
迷わないハズもない それでも明日を探せ
めくるめく運命
壊れそうな時代に
切り札は君の中・・・研ぎ澄まされた勇気にして
BLADE BRAVE
JOKER-ジョーカー-
第二話・出現
どういうことだ?!
なぜこいつが、この時代に?!
横島は混乱しかかった頭を、必死になって整理した。そこから導き出された答えは、たった一つしかない。
『間違いない・・・・調査中にオカルトGメンか誰かが、あの“封印のレリーフ”を解いてしまったんだ!!
だとすると、おそらく彼奴らも・・・・くそっ!!厄介なことになった!!
早く何とかしないと、一万年前に起こったバトルロワイヤルの再現だ!!』
「・・・こらぁ!!横島ぁぁぁぁぁぁ!!」
「へ?あっ?は、はい!!何でしょうか!!美神さん!!」
さっきから呼ばれていたのか。全く反応しない横島を、全員心配そうな表情で見ている。
「おい・・・大丈夫か横島よ?旦那の吐息にも反応しないとは?!」
「横島さん!!どこか具合が悪いんですか?!」
「横島さぁぁぁん!!ワッシは!!ワッシは!!」
「横島君!!どうかしてしまったのかい?!令子ちゃんのモーションに反応しないなんて、まさか?!あのぼろアパートを追い出されそうになっているのか!!」
「横島さん!!具合が悪いんでしたらば、妙神山に帰って最高の医療チームを用意しますが!!」
「横島!!貴様まさか・・・破産しかかっているのか!!それならば、私の部隊にすぐにでも配置するぞ!!」
「せんせぇぇぇぇ!!拙者、及ばずながらお手伝いするでござるよ!!」
「ヨコシマ!!今日のお昼の油揚げおごってあげるから!!」
「横島君!!大丈夫よ!!ちゃんと正規の給料で振り込んだんだから!!」
「横島さん!!今日のお昼ご飯は横島さんの好きな物を持っていきますから!!食費はご心配なさらずに!!」
「お前ら、どういう感覚で俺を観察してんのじゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「「「「奇人変人で、女好き。おまけに、貧乏人」」」」
「・・・・・お前ら大嫌いだ」
人が真剣な表情で考え込んでりゃ、こいつらすぐこれか!!
俺は絶滅寸前の希少生物じゃないんだぞ!!
いや・・・アンデッドはある意味希少生物か?
ってそんなことは今はどうでもいい!!
「隊長、それでこのテープの持ち主は誰なんすか?」
「へ?あ、ああごめんなさい!!この持ち主は、先月富士山の青木ヶ原樹海に位置する洞窟に調査に行ったの。そこで、何かの遺跡を発見したらしいんだけど・・・」
「何者かに襲われたと・・・・?」
西条の問いに、美智恵はうなずいた。
「現場にはこの録音テープと、遺跡から発見されたこの機械が発見されたわ」
美智恵は袋に入った、ベルトのバックルのようなものを取り出した。
『ギャァァァァァ!!よりにもよって、俺のカリスラウザーを!!』
美智恵は休まず説明する。
「これと一緒にカードも発見されたわ。これよ」
『やっぱり・・・俺のラウズカードまで・・・・』
「この機械の驚くべきことは、この現代には存在し得ない物質で作られているということよ。
しかも、発見されたレリーフはおよそ一万年前の物だということも判明したわ。GS協会とオカルトGメンは研究調査チームを編成して、レリーフと・・・」
「あの・・・隊長」
横島は覚悟を決めて、話すことにした。
発見されたレリーフの真実、アンデッドの存在。
分かってもらえないかもしれないが、自分の正体を見せつければ・・・・
だが、その時!!
全員が何者かの気配を感じた。しかし、初めての感覚。妖怪や魔族でもなく、神族でもないこの異様な感覚。
そんな中、最初に外へ飛び出したのは横島だった。謎の機械とカードを机からひったくり、わき目もふらず走る!!
それに反応したかのように、異様な気配は事務所の近くにまで移動した!!
他のメンバーも、弾かれたように動き出した。
横島の行動・・・何かを知っているのだろうか?
いったい何を・・・・?
事務所の外に、赤いYシャツの青年が立っていた。
だが、そこから発散される気配はどう考えても人間のものではなかった。横島は青年とまっすぐに睨みあっている。
「お前・・・・キングだな?」
「ふっふ・・・お久しぶりだね、横島忠夫。いや、最強のアンデッド“ジョーカー”。」
ジョーカー・・・・青年の聞き慣れない言葉に、全員横島を見る。横島はかまわず話を進める。
「解かれたんだな・・・封印が」
「そうさ♪馬鹿な人間たちの調査隊がやってきて、僕たちを解き放ったんだよ。
だけど驚いたよ!!あの誇り高き君が、そんな人間の下でひいこら言いながら馬車馬みたいに働いているなんてさぁ。心境の変化でもあったのかい?ジョーカー?」
「その名で・・・俺を呼ぶな!!」
叫びと同時にラウザーが腰に装着され、体にとけ込む。そして、
「変身・・・!!」
カードが転送され横島の体が、何かに変化していく!!
「せんせぇぇぇぇ!!」
「よ、横島さん!!」
やがてそこから現れたのは・・・
黒い甲冑のような体、獣のような唸り声をあげる一人の戦士・・・・
『カリス』
「ヨ、ヨコシマ・・・あんたいったい・・・・」
タマモの呟きが聞こえて、横島は振り返った。
『話は・・・・こいつを封印してからだ!!ウアァァァァァァァァ!!』
「ふふふふ・・・!!いいだろう!!」
古のバトルロワイヤルが、今また始まろうとしていた!!
続く!!
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