草木も眠る丑三つ時・・・・・
少年は夢を見ていた。懐かしい、前世の光景だった。草木が咲き乱れ、鳥が歌を歌い、すべてが平和だった原始の地球。アンデットの楽園。
自分は趣味で笛を吹くのが好きだった。美しい音色が辺りに響くと、動物たちが集まってきて静かに耳を澄ましている。
このままずっと・・・・平和だと思っていた
ある日・・・・そいつらは突然やってきた!!
自分たちとは全く違う力を持ち、野山を焼き動物を殺した!!
許すことなどできようか!!
少年は戦った。仲間はすぐに集まった。互いに死力を尽くしての長きにわたる戦いが終わったことには、皆傷つき疲れ果てていた。少年も同様だった。すでに命は尽きかけ、歩くこともままならない。いよいよ、時分に終わりの時が近づいたとき、少年はあることを願った。
『今度生まれるときには・・・・この恐ろしい力を奮うことのない、慈しみある存在になりたい』
それだけを願って、少年は力つきた。
その者の名は、カリス
またの名を、JOKER
JOKER−ジョーカー−
第一話・嵐の前の・・・!!
午前9:30・・・・少年はまだ眠りこけていた。
だが、おもむろに飛び起きて目覚まし時計を見る。
「遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そこからは疾風のような動きだった。トレードマークのジーパンとジージャンを身につけ、愛用のバンダナを額に巻いてカップラーメンをかき込むと突風のごとき足の速さで恐ろしい上司が待つ事務所へ向かった。
因みに、少年のあまりの足の速さに注目したアメフトのスカウトがいたことはお気になさらずに。
・・・・とにかく少年は走りに走って、ようやく事務所に辿り着いた。
「おはようございます!!横島です!!京浜線が事故で遅れていたんです!!空から最高神のお導きの声が聞こえたんです!!サっちゃん様とキーやん様が悪いんです!!」
『こりゃっ!!わてらに罪を擦り付けるなや!!いてまうど!!』
『そうです!!サっちゃんはともかくとして、私まで巻き込まないでください!!』
お話を戻します・・・・引かないでください
いつもいつも遅刻してくる部下に、上司・美神令子はこめかみをひくつかせながらため息をついた。おキヌやタマモ、シロまで苦笑している。しかし、空気はとても和やかだった。
「はあ〜〜〜〜、まあいいわ。但し!!今度遅刻したら時給150円に落とすからね!!」
「あう・・・殺生な・・・・」
「なんか文句ある!!」
「ありません!!」
本当は天に向かって己の不幸さを、神に叫びたいくらい文句があったがここは良しとしなければならない。そうでないと、明日の保証さえも危うくなってしまう!!男として無力感を感じる横島忠夫であった。
横島忠夫、元最強のアンデット“JOKER”。幾多の戦いを制し、地上の楽園を守り抜いた伝説の存在。それが今では、惨めな丁稚暮らし。あの頃とは、ずいぶん違う生活である。
だが、ある意味これこそが望んだ生活であった。人間として生まれ変わり、忌まわしき力を奮うこともなく、綺麗な女性に飛びついて跳ね返される毎日。あの頃とは違う新しい生活だった。それに、実際のところ生活に困るようなことはなかった。ナルニアにいる両親が自分に内緒で積み立てていた預金と、このところの節制のおかげで人並みの生活をしていたのだ。それでも、苦しくなっているのは事実だったが・・・・
ただ、たまに考えてしまった。もし、アシュタロスの前で自分の正体を明かしていたのなら、ルシオラは助かったのではないかと。
そうしたら、今とは別の自分がいたと思うが後悔したかどうかはわからない。
でも、彼女との思いでは決して色あせることはないのだから。
「んで?今度の依頼はなんなんすか?」
「それは、ママに聞いてちょうだい。でしょ?」
すると、ドアを開けて美神美智恵が入ってきた。ワルキューレやジーク、小竜姫も一緒だ。ただ、いつもと違っていたのは美智恵が少し深刻そうな顔をしていて、他は何だかにこやかな表情をしていたからだ。気づいた横島が反応する。
「ど・・どうしたんですか?隊長?そんなに思い詰めた目をして?」
「ま、ママ?」
「令子・・・・あなたまだ横島君に正規の給料を支払っていないの?!これを見なさい!!横島君のお母様からのお手紙よ!!」
「え?!うちの母親から!!」
令子は手紙を読んでみた。初めは何のことはなく読み進めていたが、ある一点にきて顔色が真っ青になった。
「うっ、訴えられていたの?あたし・・・・いつのまに?」
「とうとう、来るべきことが来たようね?」
タマモはおもしろそうに口笛まで吹いている。それが令子の神経を逆なでするのだが、今はそんなことは言っていられない。どうやら百合子は、密かにGSの活動とそのお金の流通を調べていたらしい。息子に正規の給料が支払われていないと知った百合子は、国を味方に付けてGSとオカルトGメンを訴えると書いてきたのだ。令子はこれまでに脱税してためたお金をすべてスイスの秘密口座と、秘密基地として購入した住宅に隠していたのだが、それを差し押さえ刑務所に送られる可能性もでてきているらしい。
「あの・・・隊長。それで、お袋はなんと?」
「今までの滞納分の給料と、脱税していた一部を国に納めれば訴えを取り下げてくれるそうよ?あなたのお母様をなめてたわ・・・・」
「ははははは・・・・」
お金好きの令子もさすがに肝を冷やしたのか、すぐに行動を開始した。国税局の役人に小切手で1億2千万円切ると、今度は横島の口座に1億3千万円を即金で振り込んだ。それでもかなりの額が残っているのに、令子は真っ白なはいになって燃え尽きていた。
「あの・・・・隊長?美神さん?今、母も入金を確認したので告訴を取り下げてくれるそうです」
「そう・・・・これからは“円満な関係”を築いていきましょうと伝えてちょうだい・・・・。それから、どうぞ娘に愛想を尽かしたりしないでと・・・・」
「は、はい・・・伝えておきます」
とりあえずこの話は一件落着したのでよかったが、美智恵は依頼についてさらに深刻な表情を浮かべて、通信の録音テープを流した。
『ギ・・ギ・・・ギ・・こ・・・ら・・GS本・・部・・応答願います!!こ・・・ばけ・・も・・・手に負えません!!ギ・・ギ・・ギィィィィィィィィィ』
断末魔にも似た雑音を最後に、通信は途絶えたらしかった。
「で?ママ。これだけじゃないんでしょう」
「ええ・・・これが何か分かる?」
美智恵が取り出したのは、一枚の写真。何か写っていたが、歪んでいてなにも分からなかった。だが、一人横島はその正体に気がついていた。
続く!!
ども!!ども!!初投稿のクロークルワッハです!!この物語はGS美神に仮面ライダーブレイドのアンデット設定を織り込んだ物語です。
横島をカリスに設定したのは・・・・カリスが大好きだからです!!
ご意見、感想などありましたらばよろしくお願いします!!
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