学会は中止になったんだ。
あ、あれあれ。あそこのラ−メンが美味しいんだ」
そちらへ目をやると「いかにも」って感じの屋台があり、髪を頭の両側に束ねたアルピノっぽい少女がチャルメラを吹いている。
お客も二人ほどいるようだ。
「こんばんわ」「あれ清麿君、こんばんわ」金髪の美人がにっこり挨拶してくる。
隣の黒髪の女性も軽く挨拶する。
・・・「お知り合い?」ぎりぎりぎり
「痛い痛い痛い。元同僚だって。とある大企業の、会長秘書とそこに所属する科学者だよ。
いぜんちこっと共同研究したんだ」「共同研究?」
「害虫処理用インタ−セプタ−ド−ルの開発さ。
基本的なパテントは俺とそこの人が持ってる」
「インタ−セプタ−ド−ルって・・・あの装備もだけどグッズがえらっく充実したゴキブリ退治ロボットのこと?」
「まあね」「ところでそちらの女性どなた?」
「あの・・・えっと・・・まあ・・・妻です」照れ照れ
「すると、噂の大海恵さん?」「今は高峰恵です」
屋台の壁に、わたしのサイン色紙が張られている。なぜラ−メン屋って必ずこういった色紙が必ず張ってあるのだろう。
「あら?三枚目になるんですね。この色紙って」
「以前少し関わり持ったアイドル声優と、五人組のアイドルです。なんていうか・・・知人ですね、ただの」
なにやら三人の女性がガッツポ−ズ。
わたし達はふたりで「特製ラ−メン」を食べている。
醤油味ベ−スで、炒った胡麻の風味が絶品だ。これは本当に美味しい。
「そういえばあるじは俺と同じくらいの年だよね」「ええ」食べながら話するのは行儀悪いですよ。
「彼女とかはいないの?」女性陣(除くわたし)が一斉に身構える。どこかでアイドル声優とパイロットも身構えたかは不明。
「以前少々失敗しましてね」「失敗?」
「ええ。だいぶ前に・・・十年ぶりくらいに幼馴染と再会しましてね。ソイツがどえらくベタついてくるんですよ。『わたしの王子様』ってね。
あんまり無茶苦茶迫ってくるんでほだされちゃって。
交際→婚約となったんですが」
「ですが?」
「その辺りから妙に反応が悪くなってきたんです。それで判った。
あいつは『俺』を求めていたんじゃなく『理想の王子様』を描いて顔ン所に手近な(身近ではない)
俺の写真貼ってたに過ぎないんだって」
「すると」「ええ、そのままオジャン」
「じゃあ」
「当分女性にゃ近寄る気になれませんね。今は料理の腕を上げることが最優先です」
それを聞いて肩を落とす女性陣。ちょっと気の毒だ。
「じゃあそっちの女の子は?」とわたしが聞いてみると
「そうですねぇ・・・大事な
緊迫するその場の雰囲気。拳を握り閉める少女。
家族ですよ。妹みたいなものかな」
がっくりと肩を落とす少女。ハイタッチなんかしてる二人の女性。
「そろそろ失礼するよ」お札を数枚渡して、おつりを受け取る。
「最後にひとつ、忠告してあげる」わたしはあるじに向かってひとこと。
「男の子が男になるにはそれなりの年齢と経験、そして心構えが必要。
でも女の子は、生まれて物心ついた時にもう女になっているものなのよ」「?」
首を傾げるあるじとあのひと。深く頷く女性陣。まあ男に理解しろって言う方が無理か。
まるで空気が音を伝えるのを止めてしまったかのように静かな夜。
わたしはあのひとと腕を組んで家へと帰る。
「それにしても」あのひとが唐突に呟く。
「ひとが幸せになるのって・・・難しいんだなぁ。幸せになりたくないって思う人なんか一人もいないはずなのに」
「本当ね。でも、いまわたしは幸せだよ。でも覚悟しててね」
「覚悟?」
「ええ。わたしって結構根性悪いんだから。わたしはわたしが好きな限りあなたを絶対逃がさない。
ずっとずっと、いつまでもあなたにつきまとうんだから。あなたがわたしの事を好きじゃなくなっても。
今日のあたしは、きっと昨日のあたしよりあなたの事が好きだし
明日のあたしは間違い無く今日のあたしよりあなたの事が好きなんだもの」
「それじゃ、俺も負けないぞ。きみが俺の事を好きなのより俺はきみの事を好きになってやる」
「むぅ・・・それじゃあたしはそのあなたの十倍あなたの事が好きになるんだから」
「なんの、ならば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それじゃ勝負ね」「勝負?」
「そう、勝負。これからずうっと一緒にいて、ずうっとお互いを好きになり続けて
二人がおじいちゃんとお婆ちゃんになって、いつか死んじゃうでしょ?
先に死んじゃったほうが負け。
だって死んじゃったらそれ以上相手の事が好きになれないんだもの」
「ふふっ よし勝負だ」
「一緒だよ」「ああ。ずうっと一緒だ」
終わり
とりあえず書いてて身悶えのあまり死に掛けました。
またガッシュらの方に戻ろうと思います。ところで前回のネタについてネタばらし
>「ゲロゲロ、この程度なんでもないのであります
「ケロロ軍曹」ですね。
>PG『Gの影忍
サイバ−コミックスという雑誌にこやま基夫が連載した同タイトルの漫画。
内容は・・・平たく言えばMSに乗って「伊賀の影丸」やる作品。
かなりの傑作です。読んで損無し。っつ−か読め。
>日々平穏
「機動戦艦ナデシコ」の料理人ホウメイさんが戦後開いた食堂
>どこぞの料理協会の会長
「ミスタ−味っ子」の味皇さま。アニメ版の行くとこいっちゃった演出は必見!
「焼きたてジャぱん」は後継者になれるか? どうせこっちじゃやらないけど。
>陶芸家と新聞記者
漫画「美味しんぼ」の仲悪い親子
>ゆ−こちゃん、カモミ−ルさん
パソコンゲ−ム「行殺!新撰組」のキャラ。色々ヘンな作品です。
>楯岡道場
パソコンゲ−ム「快刀乱麻」より。
システムやバランスは悪いですがキャラは大変魅力的です。
>シズマ博士とフォ−グラ−博士
OVA「ジャイアントロボ 世界が静止する日」より。
親兄弟質に入れてでも見る価値有り。
>「いかにも」って感じの屋台があり、髪を頭の両側に束ねたアルピノっぽい少女がチャルメラを吹いている。
これは機動戦艦ナデシコよりアキトの屋台です。
個人的にユリカ嫌いなので彼女排除しました。
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