一日の仕事を終えて帰宅したわたしはクリ−ニングをまず行う。
クリ−ニングといっても掃除や洗濯ではなく、仕掛けてある盗聴器の撤去である。
正直セキュリティにはかなり気を使っているのだが、それでも毎日毎日山のように見つかる。
あまりにひどいので師匠に相談してその手のプロを紹介してもらい、クリ−ニングを仕込んでもらった。
週に一度その人のところで「戦利品」をもっていく。
送信機だけだが相当いいモノを使っているらしくかなりの値で売れるそうだ。
もうすぐ、その金額だけでふたりオ−ストリア旅行に行けそうなくらい貯まっている。
あ、いけない急いで晩御飯を作らなければあのひとが帰ってくる。もし帰ってきてしまったら・・・
などと考えた時、玄関で話し声がする。
「ありがとう送ってくれて。おかげで助かったよ」
「ゲロゲロ、この程度なんでもないのであります。我輩と清麿どのは友達であるからして。
で・・・先日のお願いは・・・」
「ああ、MG『赤くてツノ生えてて何かと三倍な総帥専用アッガイ』と
PG『Gの影忍』だね。用意しておくよ」
「感謝するであります。それではこれにて」
? 何の話かしら・・・
がちゃ「ただいま−」あ、いけない。玄関でだんなさまをお出迎え。主婦の醍醐味のひとつよね。
「おかえりなさい。じつは、わたしもさっき帰ったところで」
「それじゃあおれが作ろうか」
これだ、これを恐れていたんだ。
自分で言うのもナンだがわたしはかなり料理が上手い。しかしこのひとはわたしより上手いのだ。
あまりに上手いので何故男なのにそんなに上手いのか聞いてみた事がある。
それの返事が「中学の時料理で大失敗してね。あんまり悔しいんでお袋に料理習ったんだ」
それを聞いて二重になるほどと思った。
あのひとは負けず嫌いだ。「他人が自分に勝つのは許せるが自分が他人に負けるのは許せない」と公言している。
(全然変わらないように聞こえるが実は微妙に違うらしい)
そしてあのひとのお母さん(わたしのお義母様ってコトになるのかしら)は本当に料理が上手い。
正直わたしが「負けた」と思う料理を作るのはこのひととお義母様、そして「日々平穏」という食堂の料理人だけだ。
幾人かガッシュくん絡みであの家を訪れた魔物達はその美味に悉く魅了されたらしい。
結婚前あのひとが知人を集めてホ−ムパ−ティを開いた時もお義母様の料理を食べて
どこぞの料理協会の会長が大声上げて外に飛び出していったし陶芸家と新聞記者は変なウンチクたれて口喧嘩はじめたし。
・・・・・・ほんっとどこでそんな人達と知り合いになったのだろう。
「まあ、今から作るってのもアレだからね。外へ食べに行こうか。
美味しいラ−メン作る所知ってるんだ」
ひさしぶりのデ−トみたいな感じ。すぐ着替えなくちゃ。
というワケで二人して夜の町を歩いています。
少々肌寒いので、という口実であのひとの右腕にぶら下がるように掴まる。
えへへっ 交際してた頃はマスコミ対策とやらであまりデ−ト出来なかったので正直かなり嬉しい。
遠くから聞こえてきていた拍子木の音が段々近づいてきたかと思うと女性の二人組が声をかけてきた。
「火の−よ−じん。あれ、清麿さんじゃないですか。こんばんわ−」「やっほ−」
「こんばんわ、ゆ−こちゃん、カモミ−ルさん」「前から言ってるでしょ。あたしの事はカモちゃんって呼んでって」
それはともかく「お知り合い?」ギリギリ
「痛い痛い痛い。お願いだからつねらないで。ただの知り合いだって。
この近くの道場の人達だよ。第一彼女ら彼氏居るし」
「居るの?」「居るっていうか・・・一人の男を何人かで共有してるっていうか」
「・・・」「そういやもういっここの辺りにある楯岡道場も道場主を何人かの女性で共有してるそうだね」
「まああたしが惚れるようないい男っちゃから大勢の女虜にするのも当然かなって。
そう思ったら『まあみんなで一緒に』という境地に達してしまったワケよ。ところでお二人さんどちらへ?」
「ちょっとラ−メン食べようかと」
「ラ−メンか。いいなぁ」
「見回り終わったら島田君と一緒に食べに行こうか」
そんな凸凹コンビと分かれてしばらく夜道を歩く。
「そういえば今日はもう少し遅くなるんじゃなかったの?」
「いやね、『完全リサイクル・無公害新エネルギ−』の論文発表途中にシズマ博士とフォ−グラ−博士が喧嘩始めちゃって
学会は中止になったんだ。
あ、あれあれ。あそこのラ−メンが美味しいんだ」
そちらへ目をやると「いかにも」って感じの屋台があり、髪を頭の両側に束ねたアルピノっぽい少女がチャルメラを吹いている。
お客も二人ほどいるようだ。
続きます
少々気分変えたくてこの二人を書いてみたのですが・・・どうでしょう?
いい年こいた男がこんな文体キモッ というのは言わないで下さい。
あとクロスオ−バ−というか、他作品ネタをいくつか仕込んでみましたがどの程度わかります?
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