脱ヘタレを決意した我らが＜ロサ・へタレ＞こと支倉 令さま。
由乃ちゃんから主導権を奪い、へタレのイメージを払拭できるのか？
お風呂に浸かりながら鼻歌なんて歌ってる場合じゃないですよ！
ああっ令さまっ！〜Oh my HETARE！〜
実践編
支倉家 お風呂場
そばかす なんて 気にしないわ〜♪
おや？
わらって〜 わらって〜 わらってキャ○ディ〜♪
・・・まぁ、令さまらしいといえばらしいです。
後日知ったのですが・・・
剣道部では試合前にレギュラーで円陣を組んで、この歌を大声で（しかも振り付き）合唱して士気を高めるそうです。
恐るべし、リリアン女学園剣道部！！（いろんな意味で）
お風呂から上がった令さまは、牛乳を一杯お飲みになります。
乙女の園に通う乙女らしく、腰に手を当てて グイッ などとはしたないまねはしません。
するのはお隣に住むS・Yさん（仮名）です。
グラスを両手で包み込むように持って、コクコクと可愛らしく飲みます。
リラックスして、幸せそうな表情です。
アニマルプリントのパジャマに着替えてナイトキャップを被って・・・
おやすみなさい
・
・
・
あ、まだまだ本編はこれからですよ？
翌日 PM16：30 薔薇の館
とりあえずいつもどうり現在まで過ごした令さま。
一仕事終えた後の紅茶をチビチビ飲みながら、隣に座る由乃ちゃんを盗み見る。
決してビクついている訳ではありません。
「よ…」
意を決して口を開いたその瞬間
ガタッ
「お姉さま、そろそろ参りましょうか？」
「そうね。令ち・・・お姉さま、皆さん。私は瞳子とお買い物をしてから帰るので、お先に失礼します」
ごきげんよう
二人はそう言ってビスケット扉から帰って行った。
余りにもあっさりとした退室に、令さまただ一言
「あ、余り遅くならない様にね・・・」
令さま 光の速さで敗退
更に翌日 同時刻
「ねぇ由乃、久しぶりにケーキでも食べに行こうか」
仕事が終わるや否や電光石火の発言。
今日は先手を取りました。
誰かとの約束が無いのは確認済みです。
人間は学習する生き物なのです。
「えっと、私はそれよりもお姉さまの作ったケーキが食べたいです」
ダメ？令ちゃん？
そんなふうに首を傾げながら令さまを見上げる由乃ちゃん。
ほんの少しだけ潤んだ唇が艶かしいです。
「うん。じゃあ真っ直ぐに帰ってシフォンケーキでも焼こうか」
「やったぁ。だから令ちゃんって大好き！」
「こら、お姉さま。でしょ？」
周りの皆はそんな二人に、仲の良い事でと苦笑する。
翌日、薔薇の館でシフォンケーキのおすそ分けをする令さまの背中は煤けて見えたそうです。
帰ってから自分の押しの弱さに自己嫌悪。
令さま 妹の色仕掛けに敗退
それからというもの・・・
「ねえ由乃、映画の無料招待券を貰ったんだ。一緒に観に行かない？」
「・・・ごめん令ちゃん。これ先週瞳子と観た」
タイミングが悪かったり
「令、帰りがけに悪いけど至急この書類に目を通して頂戴。明日の職員会議で必要らしいの」
「・・・わかった」
山百合会の仕事に
「由乃。今日放課後に」
「あ、令ちゃんちょうどいいところに！手伝ってほしい事があるの」
押し負けたり
「祐巳ちゃん、由乃知らない？」
「あれ？令さまを探しに校舎のほうに行きましたけど」
すれ違ったり
令さま 「神サマ？」とつぶやきながら敗退
半日授業の土曜日 薔薇の館
窓際に椅子を置き外ぼーっとを眺める
焦点が定まっていない瞳が虚空を泳ぐ
テーブルの上にはボーリングの割引券
令さま なんか解らないけど敗退
そこに祐巳ちゃんと可南子ちゃん、志摩子さんと乃梨子ちゃんが連れたって入ってきた。
令さまはギギッと祐巳ちゃん達を見回し、それらが顔見知りの人間であると認識すると、脊髄反射で喋った。
ユミチャンタチ ワタシト ボーリングデモ イカナイ？
神経が磨り減っていたのか、やたらと平坦な声です。
主導権を取るということだけが今の令さまを動かしているのです。
自棄になっているともいいます。
一瞬引いた祐巳ちゃん達ですが、祐巳ちゃんと志摩子さんが互いに目配せすると、祐巳ちゃんが一歩進み出て
はい 喜んで御一緒します
祐巳ちゃんの言葉が承諾の意味だと理解するのにしばらくかかり
ちょっと涙が出ちゃいました
それからは令さまが主役の時間でした。
ボーリング場では、持ち前の運動神経を遺憾なく発揮してストライクを連発。
ギャラリーの喝采を浴びる令さまは輝いていました。
ちなみに他のメンバーはというと・・・
久しぶりという祐巳ちゃんと、ボーリング初体験の志摩子さん
ガーター スペア ストライク と賑やかなスコアとなり、かなり楽しんだみたいです。
乃梨子ちゃんは取れるスペアは確実に取って手堅くスコアを稼ぐのに対して、可南子ちゃんは力任せにボールを転がして、ガーターとストライク
を同じくらいの比率で取ります。
体育祭の玉運びを思い出しますね。
この後、まるで令さまは誰かの青信号が移ったかのように皆を引っ張っていきました。
カラオケでは祐巳をデュオに誘い、可南子の視線攻撃にも怯まず
「次は祐巳ちゃんと可南子ちゃんの二人で」といって、恥ずかしそうに歌う可南子ちゃんを眺めたり
聖歌を選択した志摩子さんには
「もちろん日舞付きよね？」とおっしゃり、志摩子さんを困らせたりと、先代の黄薔薇さまを彷彿させる行動をします。
ほら、今祐巳ちゃんに抱きついている令さま。とっても楽しそうに笑っています。
近頃はまったく見なくなった表情です。
祐巳ちゃん達は令さまの顔に笑顔が戻ったのを確認すると、お互いに微笑みました。
令さまが元気になって良かった。と…
カラオケで歌いつかれた後、ファミレスで早めの夕御飯。
空が茜色に染まるころには駅で解散となった。
なお ボーリング、カラオケ、ファミレスの代金は、
「大丈夫！お姉さんに任せなさい！」とばかりに令さまが強引に払いました。
さすがに気まずかった祐巳ちゃん達ですが、令さまのエネルギー満ち溢れた笑顔を見ると
「ま、いいか」
ということになり、ありがたくご好意に甘える事にしました。
○月×日 曇りのち快晴
今日はとても楽しかった。
祐巳ちゃんと可南子ちゃんと志摩子と乃梨子ちゃんと過ごした時間は
あっという間に過ぎていって、正直解散するのが惜しかった。
ついついお姉さんぶって、財布の中身がかなり軽くなったけど
ここのところモヤモヤしていた心はもっと軽くなった。
私を元気にしてくれた四人に感謝。
次は由乃と瞳子ちゃんを誘ってみよう。
「令ちゃんのバカー！」
集団浮気（？）がバレました。
高等部の二年を中心に、私服姿の令さま達がボーリングを行っている写真が出回っているようです。
中には令さまが祐巳ちゃんに抱きついたりしている写真もあり、かなり高額な値段で取引されているようです。
完全にヘソを曲げた由乃ちゃんは
「令ちゃんなんて知らないっ！」
と、松平家にプチ家出を敢行。
数日分の着替えと、制服と教科書まで持っていく長期戦の構えです。
事情を知った令さまは松平家に出向き説得を試みるも、対応に出た使用人に
「申し訳ありませんが、瞳子お嬢様さまより支倉様はお通ししてはならないと言われておりますので・・・」
プッ・・・
それっきり、松平家の馬鹿でかい門柱に備え付けられたインターフォンが令さまの呼び掛けに答える事は無かった。
おのれドリル・・・へし折ってくれようか
それでも三時間ほど門の前で粘った令さまですが、瞳子ちゃんから連絡を受けて来た祐巳ちゃんに説得され
溜め息をつきながら帰って逝きました。
翌朝 薔薇の館
家出と言っても親公認。
制服と教科書を持ち出したことからも解るよう、に由乃ちゃんはちゃんと登校して来ました。
ただ、待ち構えていた令さまをひたすら無視するという
（由乃さん、子供じゃないいんだから・・・）
と祐巳ちゃんが思った行動にでました。
しかし
祐巳ちゃんが呆れたこの由乃ちゃんの行動は
令さまには怒られるより効いたらしく、なんとその場で土下座までして許しを請いました。
それでも頑なな態度に出る由乃ちゃんに、見かねて祐巳ちゃんが令さまのフォローに出ます。
今度の週末の由乃ちゃんと瞳子ちゃんのデートに荷物持ちとして無償で同行する。とゆうことで最終合意を得る事ができました。
何とか『第二次黄薔薇革命』を回避した令さま。
気付いていますか？日記に書かれた由乃ちゃんと瞳子ちゃんと遊びに行くとゆうのは果たされますよ。
半分だけですけど・・・
令さま 脱へタレ失敗！
「令。聞きたいことがあるの・・・」
「さ、祥子。そ、その写真はね」
「楽しかった？」
「え？」
「祐巳達と遊びに行って、楽 し かっ た か と聞いているのよ」
ガシィ！！
「タ、タノシカッタデス」
「あら令、急にどうしたの？台詞が不審者みたいに棒読みになって」
ギリギリ
「だ、だったら、今にも私の腕を握り潰さんばかりのその手を離してよ（泣）」
「なんのことかしら？」
ニッコリ
ギリギ・・・ミシィッ！
「はぐぅ、うｔｈふぇｆ！！ちょ、ちょっと待っｍｄｈｇー！」
「あら、さすが剣道有段者ね。腕がいろんな方向に曲がるわ」
グイッ グイッ グキィ ポギィ
「あ、謝るから、勘弁してっ！これ以上はいくらなんでも私の腕が折れる砕ける再起不能にー」
「もう、令ったら大げさねぇ♪」
ニッコリ
「えい♪」
クキャ
「あ━━━っっっ！！！」
ああっ令さまっ！
とりあえず 完
懺悔の間（別名あとがき）
書いてる内に自分の文才の無さに何度作品を放棄しようとしたか・・・
しかし、ＳＳ作家駆け出しにもなっていない身で、そんな事は許されないと
なんとかここに恥をさらす事ができました。
ネタがあるのに表現力が追いつかないのは辛いものですね・・・
あるＨＰのｂｂｓでＧＡＳＳの執筆宣言をしたくせに、次回作も「マリみて」予定です。
なんとかしろ、自分！
レス返し〜♪ マジうれしかったです。感謝！！
Ｄ，さま
元３年？この作品の時間軸だと蓉子さま達になりますが・・・「現」の間違いですか？
彼女達はむしろ超人級です。
あと、
＞
紅薔薇はロサ・キシャ―
黄薔薇はロサ・へタレ
白薔薇はロサ・ブッティスト
最後の祥子様の行動は、コレで急遽追加しました。
偽バルタンさま
それどころか、日光・月光やアリスのほうが目立ってますもんね。
まぁ、今回はゲストキャラに見せ場を譲ったとゆうことで・・・
次も出番は無さそうだな・・・
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