志津香、シィルが合流した翌日、各軍はバレスの作戦通りに動いていた
流石にかつての同僚達の戦いと言う事もありそう士気は高くはないが
あくまで戦力の無力化を狙うと言うバレスの英断により
戦いに挑む上での最低限の士気の向上は起こっていた・・・
その中で、唯一敵軍の殲滅を志す部隊があった・・・その部隊は
貴族の私兵が集っているサウスに進行するランス直属の黒の軍であった
しかし、正規軍出陣の報はすぐに反乱軍に届き
各軍、各々の将の指示の元に防備を固めて言った・・・・
だが、唯一足並みがそろっていない街があった・・・
その街はサウス、奇しくも、敵軍の殲滅を唯一指示された街であった
サウスの街 城門前 反乱軍Side
城門前に集結した軍の前で、老人と青年が言いあっていた・・・
老人の名はペガサス・フォード、前白の軍の将軍であり
青年はソル・デューク、反乱の首謀者デューク候の長男であった・・・・
「だからいっているであろう!!
リーザス正規軍はそう易々と敗れるような存在ではない!!
兵数で勝っているからこそ、守りに徹するべきなのだ!!」
「確かに・・・リーザス正規軍は手ごわいでしょうが・・・
馬の骨が指揮しているのならおそるるには足らぬでしょう?」
「何を言うか!!バレス自慢の息子がそう容易く敗れるわけがなかろう!!」
「・・・・ふっ・・ご老人はしばらく休んでいてください
この私が、華麗にあの馬の骨を蹴散らしてきましょう
皆の者、でるぞ!!」
必死に打って出る愚かさを説くペガサスであったが
貴族の『騎士』を相手には、その説得はまったくの無意味であった
そもそもあいては反乱に加勢した貴族達の総大将の息子である
いくらその指揮能力を認められ、私兵団を預けられていたとしても・・・
ソルとペガサス、貴族の私兵がどちらを選ぶのかときかれれば・・・
ほぼ全員が、ソルを選ぶだろう
事実、ペガサスの意見に従い、サウスに残ったのは100人にも満たなかった
サウス近辺 正規軍Side
『黒』一色で統一された一団が、早歩きの速度でサウスへと進んでいる
その全員の目は真剣そのもの、いつ戦闘が起きても対応できるようになっている
その部隊を率いるランスもまた、いつでも指揮が取れるような体制であったが
その傍にいる黒の軍の軽装備を着込んだ志津香は、いまだ違和感を感じていた
「ねぇ・・・・どうして魔法隊も黒の軍の装備を着る必要があったの?」
鎧を渡されて、そう間を置かずに出陣になったために
今の今まで聞きそびれていた疑問を、志津香はランスにぶつけた
「あぁ・・・魔法兵だとすぐにわかると集中攻撃を受けやすいからな
おそらく、ペガサス将軍ほどの人物なら堅実に篭城するはずだ・・・
その際に別働隊を回されて背後を突かれた場合・・・
対処しきる自信はあるけど・・・集中して魔法兵が狙わる可能性が高い
そうなったら、余計な混乱を招きやすい、だからだ」
「なるほど、一般兵に紛れ込ませて誰が魔法兵かをわからなくするか・・・
木は森の中に隠せって言うことか」
「そう言う事・・・・・・・何?」
志津香と話しているうちにサウスに近づいた事を悟り
手だけで進軍停止の合図を送り、前方を確認していたランスが呆れた様な顔をした
「・・・・予想外れたみたいね・・・」
同じく前方を確認した志津香が、ランスにそう言葉をかける
「いや・・・外にでててくれた方がやりやすいんだがな・・・
・・・・どこの馬鹿が指揮を取っているんだか・・・」
はるか遠方に見える反乱軍の旗と軍勢を確認したランスは
そう呆れたような言葉を発すると、即座に全軍に響くような声で言った
「全将兵に告げる!!敵は野戦を仕掛けてきた!!
これ即ち、我らが組し易いと見たからであろう!!
そもそも、この反乱のきっかけは、
我らがかつての同胞と戦う派目になったのは
全て、私利私欲におぼれ、己を省みぬ
貴族達の、愚かな行動のせいである!!
その尖兵となった者らが、我らの目の前にいる!!
しかもその者らは、我らを弱者と思っているのだ!!
ならば、思い知らせてやろうではないか!!
リーザスの精鋭たる我らの力を、強さを
奴らに、死を持って教えてやろうぞ!!」
「オォ〜〜〜〜〜!!!!!」
ランス独特の鼓舞が全軍に響き、黒の軍の将兵全てがそれに応える
鼓舞としてはどこか誤っている鼓舞ではあるが・・・・
ランスのカリスマ性もあってか、その効果は正しく絶大であった
全将兵が気合を入れなおし、先ほどまで以上により鋭い顔を見せる
「今回は魔法兵部隊との混合作戦だ!!
よって、作戦は『死の焔』とする!!」
ランスのその言葉と共に、黒の軍全軍が横広がりに布陣する
「ち・・・ちょっとランス・・・それ、どういう作戦なの?」
自分が指揮すべき魔法兵達をどこに配置するかわからなくなった志津香は
自らも前面に出ようとしていたランスに言葉をかける
「合図を叫んだら一斉に敵軍に向かって魔法を発してくれれば良い
それまでは中央の中陣か後陣辺りにいてくれれば良い」
ランスはそう答えると即座に前線へと進んで言った・・・・
サウスの街 城門前 反乱軍Side
「ソル様、敵が動き出しました
横広がりに布陣をしいており
また、中央の前線部分に敵の将軍を発見しました」
斥候に出ていた兵が、ソルにそう告げる
「ふっ・・・・流石は馬の骨だ・・・
これほどの軍勢相手に横広がりとはな・・・
全兵、突撃するぞ!!奴らを中央から引き裂く!!」
ソルの指示と共に、全軍が矢のような形状で突撃して行った
ソルの読みなら、即座に貫けると思われていたのだが・・・・
その予想は愚かとしか言いようがなかった
ソルの指示は正しいのかもしれない・・・
今回のランスのような布陣だったなら
将軍のいる中陣を貫き、敵の混乱を誘った後、各個撃破する
しかしそれは攻撃側の火力が高いか、相手と同等の場合である
ランス率いる黒の軍相手に、そう易々と貫けるはずがない
確かに、赤の軍ほどの突破力があれば貫けるだろうが・・・
所詮貴族が金で雇った寄せ集めの兵のようなものである
それほどの突破力を求めるのは、あまりにも酷であろう
そして、この突撃が、この戦いの命運を分けるものとなった・・・
サウスの街から比較的はなれた場所
正規軍が布陣を敷き始めた場所からほんの少しだけサウスの街に近い場所で
ランス率いる正規軍と、ソル率いる反乱軍が衝突した
反乱軍はランスがいる中軍に殺到するが・・・
ランスは中軍を上手に退かせ、誰一人として死者を出さぬまま
その配置はまるで矢をつがえた弓のような・・・・・
ランスの率いる全軍が弓、反乱軍が矢のような配置にして言った
ランス率いる中軍が退くと共に魔法兵を引かせていた志津香も
ランスがなぜ、そのような戦い方をしているのか理解していた
自分の持つ最高の魔法である白色破壊光線もそうだし
連射性を誇れる炎の矢もまた、直線の軌道の魔法である
ランスは自分達魔法兵を最高に活用するために
あえて敵軍の突撃を受け、わざと引いているのだと
また、ランスも常に前線に立ったまま、指示を出し続けていた
「傷ついた兵から後方に引け!!
敵の狙いはあくまでこの中軍だ
負傷した兵は両翼に逃れるようにせよ
このような戦で命を捨てるな!!」
一個人ずつの兵力では確実に勝っている正規軍と言えども
数を頼りに殺到してくる反乱軍相手に負傷しないものはいなかった
ランスの周りには常に10人以上の護衛兵が集まっており
また、傷ついた兵と交代で両翼から中軍に合流するものも多かった
流石のランスもこれ以上長引けば洒落にならないと感じたのか
志津香率いる魔法兵部隊に指示を出すタイミングを計り始めた頃・・・
「どうした、まともに反撃もできぬのか?
リーザスが誇る黒の軍と言えどこの程度か」
反乱軍の将、ソルの罵声が響いた・・・
「敵の戯言に耳を貸すな!!」
ランスはこの程度の挑発に誰も乗らないとは思ったが
用心の為に、挑発に乗らぬように前もって指示を発した
「それとも、馬の骨が指揮しているせいか?
くだらぬ指揮で力を振るえておらぬのか?」
なおもソルの挑発は続く・・・・
そして、この挑発で黒の軍全軍が一瞬で殺気立った
ランス直属の兵達にとっては、ランスは敬愛すべき将軍である
もしAL教とランス、どちらを選ぶかといわれれば・・・
兵達は全員、ランスを選ぶほど敬愛しているのである
そのランスの指揮が自分達を活かせてないのだと言われたのだ
自分達がランスの指揮を活かせてない事はまだ認められたとしても
ランスが自分達を活かせてない等と言う暴言を見捨てるわけにはいかない
そのような思いが、全将兵を殺気立たせていたのだ
そして、全将兵が今にも敵に襲い掛からんとした時・・・・
「気にするな!!
所詮何も分ってない奴の戯言だ!!」
その殺気を機敏に感じ取ったのか、ランスは再び沈静しようとする
将兵達もランスの言葉であるからこそ、攻撃を止めた
あくまで今は将軍の作戦を遂行すべき時、そう自分に言い聞かせたのだ
その事に気づかなかったソルは、臆病者達と見て、さらに挑発する
「この程度の将軍が英雄か・・・
名将、バレスも年と言う事か
馬の骨を養子にして
さらにその馬の骨を溺愛するあまり
まともに判断できなくなっているとはなぁ」
その言葉に、再び全軍が殺気立つ・・・しかし
「戯言だ・・・・
気にするな・・・・!!」
どこか、必死に耐えるような声で、再びランスは沈静しようとした
将兵達は、その声を聞いて、やっと冷静になった
ランスがどれだけ義父・・・バレスを敬愛し、その期待に応えるべく
どれほどの修練しているのか、彼らが一番知っているからだ
それこそ、自分達とは比べ物にならないほどの敬愛だということも
自身だけではなく、義父を侮辱された事を、ランスは必死に耐えているのだ
その心中を察する事など自分達にはできないだろう・・・・
しかし、自分達と比較にならぬほど怒り狂っているだろう事はわかる
だと言うのに・・作戦の為に冷静であろうとしているのだ
その事がわかった全将兵は、即座に作戦実行の為だけに専念しはじめる
挑発にまったく乗らぬことから、完全に恐れる必要などないと感じたのだろう
ソルは全軍突撃の指示を再び下し、自らも突撃して行った
しかし・・・悲しいかな、その突撃を指示した時の最前線が・・・
ランスの狙っていた、作戦実行のポイントだったのだ
「魔法兵!!一斉に放て!!」
ランスの声が戦場に木霊する・・・そして
「全員、力尽きるまで撃ちつくしなさい!!」
自らの得意とする白色破壊光線を放ちつつ、志津香は指示を下した
一筋の光が大軍を貫き、はるか上空に飛んでいき・・・
その光と共に何十と言う炎の矢が飛んで行くその光景は、幻想的であった
しかし、その幻想的な光景とは裏腹に、反乱軍は壊滅的な打撃をおった
そして、その壊滅的な打撃をおった反乱軍に・・死刑執行の指示が下された
「全兵、焔の如く包囲し
全ての敵を焼き尽くせ!!」
その指示と共に両翼の部隊が一斉に動き反乱軍を包囲する
魔法によって大打撃をおい、混乱寸前だった反乱軍に対処はできず
包囲された事によって恐慌状態となり、次々と討たれていった
その様は、火に包囲され、逃げ惑い、焼け死んでいく者達のようでもあった
そんな中、ランスはゆっくりと前に進んでいく・・・
自分の前に立ちはだかる敵を一瞬で物言わぬ人形にし
ゆっくりと・・・ゆっくりと・・・死神の如く・・・・
義父を侮辱した、ソル・デュークの前まで歩み寄った
「き・・・貴様・・・よくも私の軍を!!」
この場にいたって情勢が分っていないのか・・・・
それとも、一瞬の壊滅によって情報を処理しきれていないのか・・・
ソルは勇猛にも剣を抜き、ランスに切りかかったが・・・・
ザシュ、ドスッ、ザクッ
ランスはそれを容易くかわし・・・
両腕を切り落とし、心臓を一突きにし、首を切り落とした
両腕と首を失い倒れていくソルを・・・ランスは冷酷な目で見続けていた
それからしばらく時間がたち、ランスは普段の顔に戻り、戦場を駆けていった
その後、野戦に出ていた全軍は潰滅させられ、負傷兵を治療し終わった後
ランスはサウスの街へと進軍した・・・・・
「やれやれ・・・流石はあのバレス自慢の息子と言う事か・・・」
ランス軍がサウスの街に接近した時
城門前に僅か100名にもみたぬ兵達が出ており
その中で、ランスが唯一見覚えのある人物・・ペガサスが、ランスに声をかける
「・・・ペガサス将軍・・・なぜこのような反乱に参加を・・・?」
ランスは、嘘は許さぬといわんばかりの真剣な眼差しで
ペガサスの瞳を見、問いかける・・・・
「・・・・・死に場所を探しておったのだろう
それより・・昔のよしみで二つ程頼みを聞いてもらえんか?」
「・・・・頼み?」
「うむ・・一つは・・こいつらをリーザス軍に投降させてやってくれ
こいつらも元々は軍に所属していた兵だったのだが・・・
兵の給与では、家族を賄えなくなったので、やむを得ず私兵になった奴らだ」
「・・・・・わかりました、このランスの名において、投降を認めます」
「・・・すまぬ・・・後もう一つは・・儂の首を・・そなたが落としてくれ」
「なっ・・・!!」
「自らの欲に破れ・・・王家に仇なした以上・・騎士として、死刑は免れん
だが・・・儂を少しでも武人として、騎士として認めてくれるのなら
黒の副将軍ランス、お主の手で・・・引導を渡して貰いたい」
ペガサスはそう言うと持っていた剣を捨て、仁王立ちをした
ランスは、剣を抜き、ペガサスの正面に立った
「・・・決意は・・・変わりませんか?」
「変わらん・・・・頼む・・・」
「ペガサス将軍・・・俺は・・貴方の事を忘れません・・・・・!!」
ザシュッッッ!!
ランスは・・・言葉と共に、ペガサスを袈裟懸けに斬りつけた
その一撃は正しく必殺・・・痛みを感じるまもなく、絶命した事であろう
そして・・・ゆっくりと倒れていくペガサスの顔は・・微笑んでいた
「全将兵!!勇敢なるリーザスの将
ペガサス・フォード将軍に敬礼!!」
ランスの掛け声と共に、その場にいる全員が
ペガサスの遺体に向かって、敬礼をした・・・・・・
その後、ペガサスの遺体は・・・サウスの街近くの丘に葬られた
その丘は・・・リーザス城が一望できる場所であった
その後、ランスはサウスの街に入り治安回復に徹し
負傷した兵達は傷の治療に専念し続けた・・・
エクスが決戦を挑んできたと言う報告が入る・・その時までは・・・・
後書き
何かと噛ませ犬状態のペガサス将軍を格好よく死なせたかった今回でした(爆
皆さんが少しでも格好良い散り方だったと言ってくれれば満足(マテ
次回は・・・またインターミッションかな・・・・?
後2回くらいで反乱決着になりますww
決着つけた後が大変だぁ・・・・(ぇ
まぁ、気長にのんびりとお待ちください・・・・
10/09 01:39分 気付いた部分の誤字などを修正
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