もしも……
もしも自分が、あそこでこうしていたら?
もしも、あそこでこうだったなら?
もしも……
だが、その言葉はif……
決して覆すことのできない、過去を思う
心の弱さか……
いや、強い意志なのか……
解らない……だが、もしも……
記憶と思いの果てに……第2話
アシュタロス戦後
横島にとって、絶対に欠かさないことがあった
それは、家に帰った後にすることである、
それは、普通の、いや、霊的な物に関係がある者でも
そうそうは、発見することができない、
不可視の力場を形成していた
周りを、計8個の文殊に四角形に覆われ
更にその、周りを、文殊4個で覆うという、
あまりと言ってしまえば、あまりにも守られたそこには
赤い、小さな箱がある
もちろん、それを知るのは横島のみの"はず"だが……
横島は、その箱に近づくと、
「ただいまルシオラ」
といい、箱を開けた……
だが、その箱の中には、かんじんのルシオラ……
正確にはルシオラの結晶がなかった……
!?
息を呑み……思考が停止するかと思った……
が、それを半ばで踏みとどまり、部屋中を探す
だが、やはり、ない!?
「そ、そんな、ど……どこか、どこかに!?」
そういいながら。必死で部屋中を探すが、
やはり……ない!?
「くそ!!」
そう叫ぶと、手の中に文殊を2個形成し、更に霊力を加え
「探」「索」
の文字を出す……
そして、その文殊が強く光った後
横島の右手にあった文殊は消えた……
「この部屋には……ない……?」
呆然としながら横島が呟く……
そのままの状態で立っていた横島だったが……
ふと、思いだしたように動き出すと
急いで部屋を出た……
美神除霊事務所
「はぁっはぁっはぁ……」
肩で息をしながら、なんとか必死に横島は
美神の事務所まで来ていた……
急いで部屋に入り、美神のいる部屋まで行く
バンッ
という音とともに、扉が開かれ、
そこから横島が部屋に入った
そこには……
「……給料上げてって言うのなら、聞かないわよ……」
と、横島を三白眼で見ながら言う美神がいた……
それに対して、まだ疲れが取れていないのだろう
肩で息をしながら横島が……
「美神さん……はぁ……ルシオラが……」
と言った、それに対して美神の肩がビクッと動いた
いつもの、麗子なら絶対にしないことだ
さすがに、横島も気づいた
「なにか知ってるんすね!?」
そういいながら、美神に近づき大声で叫ぶ
だが、それに対して麗子は
「な、何言ってんのよ!?私が知るわけないでしょう!?」
と目を横島とはあわそうとせずに叫んだ
「……嘘、ついてますね……教えてください!?
ルシオラは、ルシオラはどこなんですか!?」
そう、横島は叫んだ!
それは横島にとっての精一杯だった
早く、ルシオラに!
その思いが、例えルシオラは知らないものにでも
伝わるかと思うほどに……だが
「だから、知らないっていってるでしょう!?
大体あんたもいつまでもうじうじしてないで、
早く"あんなもの"のことなんか忘れるなりしなさいよ!」
と、美神が叫んだ……
嘘がばれたるのを恐れ、それを隠すために叫ぶように……
「……いま、何ていったんすか?」
その叫びに対して、横島は静かに……だが……
その、瞳の奥に、燃えるような怒りを抑えて……
「だから言ってるでしょ!?"あんなもの"のことは忘れて
うじうじするなって!!」
そう、美神が叫び返した瞬間……
横島の中で……何かが切れた……
「ふざけんな!!ふざけんな、ふざけんな!
ふざけんじゃねぇ!!!」
そう、叫ぶ!
「今、なんていった!?"あんなもの"?あんなものだと!?
ルシオラをあんなものだと!?俺達が今、生きているのは
誰のおかげだ!?俺達がこうして、話していられるのは、
誰のおかげだ!?言ってみろ!?いってみろぉ!!」
そう叫びながら、美神のむなぐらを掴む
「言えって言ってんだよ!だれのおかげか!
今、こうしていられるのが、誰のおかげかなぁ!?」
そのまま、美神を殴り飛ばすのではと言う時
後ろから不意に、声が聞こえた……
「……横島?」
横島が振り返るとそこには、タマモがいた……
その顔に、驚きの表情を浮かべ……
「……タマモ……帰ったのか……」
横島は力をなくしたように美神を掴んでいた
手を離し、タマモに向かって優しく言った
「う、うん、そうだけど……」
だが、タマモにとっては何がなんだか解らない
いざ、学校が終わり家(事務所)に帰ってみると、
中から、大声が聞こえた
また、美神が横島に向かって叫んでいるものと思い
家に入れば……
「………ふざけんじゃねぇ!」
その声を聞き
「……横島…?」
と言いながら、不審に思い部屋に入れば……
そこには、美神を掴み必死の表情
いや、今まで見たこともないほどの、
怒り……の表情を浮かべて、美神に向かって叫んでいる
横島がいたのだ……
「なにが……あったの?」
そういいながら、不安の表情を隠せず、
タマモが横島に聞くと
「なんでも、なんでもないから、な!」
といい、普段とは全然違う、必死に作った笑顔で
タマモに向かって、言う横島がいた
「なんでもないなんて顔、してないじゃない!」
その顔を見た瞬間、抑えられずにタマモは叫んでいた
だが、そんなタマモに対して、横島はまた
どこか、壊れそうな笑みを浮かべ
「大丈夫……大丈夫だから、タマモ」
そう、どこか弱々しげな声で言った……
そして、美神の方を向くと
「もう、あなたには聞きません……
隊長の所に言ってきます……」
そう言いながら、部屋を出た……
そして、事務所を出ようとしたところで
「横島!!」
という声が聞こえ、後ろを振り向くと
「帰って……くるよね?」
と、不安そうに、尋ねるタマモがいた……
「ああ、もちろんそうに決まってるだろ?
帰ってきたら、いなり寿司食わせてやっから
じゃあな!」
と、笑顔で言うと、横島は事務所を後にした……
「帰って、くるよね……?」
少女の願いは……
悲しき現実の前に……
砕かれる……
続く……
どうも、久しぶりの更新の狼虎です
実は、まぶらほのを書いてたりもしますが……
まあ、なによりも、更新?遅れてすいませんでした
次は、まぶらほを、そしたらこっちを
なんてしていけたらなぁと思ってます
次回、横島の行く末は!?
呼んでもらっていた方々には、わかりますが……orz
そこは、それで……(ぇ
では、ご意見ご感想よろしくお願いします