インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「SASUKE 憑依伝 波の国突入編 10(NARUTO+オリジナル 現実→憑依)」

相原 (2007-03-16 16:51)
BACK< >NEXT


「コノヤクソウデイインデショウカオネエサン?」
「ええ。でもすいません、あなた達の邪魔をしてしまって、薬草摘みまで手伝ってくれて。」
「ハハハ、イイエ、コレクライナライクラデモテツダイマスヨ。」
「・・・どーして全部カタカナなんだってばよ?」


いや〜だってさ、もうそろそろこのイベントがある頃だよな、とは思ってたんだよ。だけどまさか俺まで白と顔合わす羽目になるとはなあ・・・・


思わずぼやきたくなったが何とか堪える。
だが何というか、この先の展開―今目の前にいる彼、いやこの世界じゃ彼女が、橋の上での俺達との戦いで再不斬を庇って死んでしまう―を考えると、本当に鬱になりそうだ。

だってこうやって素で顔を合わせてみると本当に良い奴なのだ。気絶したナルトを介抱してくれたし、驚かせたお詫びに俺達が薬草集めの手伝い(言い出しっぺはナルト)をする事になった時は本気で遠慮してたし。
ついでに実際に見てみると本当に綺麗な顔をしている。時折白の横顔とか原作じゃ男だったとは思えない位膨らんだ胸とかをチラチラ見てしまうのは・・・俺だって男なんだ、そこん所はカンベンな!


とにもかくにも(色んな意味で)良い子なのである。
だからこそ、この先彼女と殺し合いをするのを知っている俺からしてみれば、このほんわかした空気を楽しめる訳ゃないのだ。

雲隠れの奴の時は、知らない人間相手だったから情もへったくれもなく殺す事ができた。最初の奴なんか俺をいたぶる様なろくでもない人間だったし。

白の方は彼、じゃなくて彼女の事は原作を読んでたから違う意味で俺は知っている。だけど顔を合わせたのは変装していた時ぐらいで『原作のサスケ』はどういう人物か知らなかった筈だ。だからこそあんだけ手加減無しに戦ってたんだし、ナルトだってあそこで仮面が外れるまで白の正体を知らずにいたんだからあれだけ戦えてたのだ。


なら―――――最初から白の正体を知り、不本意ながらも彼女と接してどんな人間なのが直に知ってしまった俺は、どうなのだろう?


(いくらかこの先の展開を変えれそうな手は有るには有るが・・・・・)


頭を抱えたくなってきたが、とりあえず不審に思われないよう顔色を変えぬまま、手は自動運転で薬草を摘んでいく。
そんな俺の後ろでは、ナルトと白が楽しげに会話していた。


「ところでさっき君達は何をしていたんですか?その額当てからして、忍者か何かみたいだけど・・・」
「組み手をしてたんだってばよ!俺ってば体術は結構得意な方だけど、サスケにはまだかなわないってば。」


いや、むしろお前がベストな状態だったら俺、多分負けてると思うが。


「俺ってばまだまだだかんな。もっと強くなんねーと。」
「でもさっきの組み手を見てた限りでは、君もかなり強そうな気がしましたよ?」
「ダメダメ!俺ってばもっともっと強くなんなきゃ!なあ、そう思うよな、サスケ!?」


いや、俺に振るな!


「・・・まあ、確かに火影になりたきゃ今より遥かに強くならなきゃいけないだろうが、お前ならこれからもしっかり努力すれば、今よりずっと強くなれるだろうな。」
「そうか!よっしゃあ、もっともっと強くなってやるってばよぉ!」
「・・・・それは何の為に、ですか?」
「俺の里で1番の忍者になる為!そして里のみんなに俺の力を認めさせてやんだよ!」
「そうですか・・・・サスケ君でしたっけ?君はどうなんです?」


だから、お前も俺に聞かないでくれ!


「俺は・・・・ただ、守りたいだけだ。大切な奴をみんな。その為に俺は、強くなろうと思った。」
「・・・・・・・・・・」


背中越しに、白の気配が微かに変わったのが分かった。殺意とかではないが、友好的とも少しニュアンスが違う感じだ。


「君は・・・僕と同じですね。」
「へ?」
「・・・・・・・」


たぶん訳が分からないような顔をしている筈のナルトに向けてだろう、白は言った。


「人は・・・大切な何かを守りたいと思ったときに本当に強くなれるものなんです。」


原作でもあったセリフだ。多分白の脳裏には、再不斬に拾われた時の思い出が流れているに違いない。


「うん!それは俺もよく分かってるってばよ!」
「そうですか。」


後ろで立ち上がる気配がした。そのまま踵を返して林の奥の方へと足元が遠のいていく。
だが少し離れた所でその足音は止まった。それに反応して白の方を見た。


「君達は強くなる・・・・またどこかで会いましょう。」
「うん!じゃあな、姉ちゃん!!」
「ああ―――『また今度』、な。」


反応はない。顔も見えないが、今の俺の言葉で白は何かに気づいただろう。白はそのまま歩き去った。


「かわいい姉ちゃんだったなあ・・・・」
「ああ、そうだな。」


ナルトの呟きにそう返事を返しながら立ち上がる。だが内心では、俺の中は激しい何かが吹き荒れていた。


―――――――――――チクショウ!!!


メギッ!!


衝動に突き動かされて俺はすぐ横の木を殴りつける。

殴られた木は直径1mはありそうな結構太めの木だったが、木全体が大きく揺れて木の葉が幾らか舞い落ちた。


「さ、サスケ、どうしたってばよ!?」
「・・・・・・・・」


心配したナルトの声も、今の俺には聞こえなかった。


その日のサスケは夜になってもなんだかいつもと違っていた。腕組みしてなにやら考え込んでから、大きくため息をつくのを繰り返している。
そんな折、今日もビショビショの濡れ鼠になったナルトがタズナの家に戻ってきた。だが今日はいつもより何やら嬉しそうな顔である。


「おう、戻ってきたか。何やら今日は超ご機嫌なようじゃな?」
「へへっ、やっと水の上に立ったままでも術が使えるようになったってばよ・・・」
「術というか、双龍牙と分身の術が使える様になっただけだろ?」


物思いにふけりつつも窓から修行の様子を見ていたサスケが突っ込む。


「それでもま、成長した事には変わりないさ。よし、ナルトも明日からサスケとサクラと一緒にタズナさんの護衛につけ。」
「押忍!!」
「頑張ったじゃないナルト!(あ〜、でもせっかくサスケ君と2人っきり?だったのにな〜)」


一見仲間の成長を喜んじゃいるが、内心残念なサクラ。そのお相手であるサスケはというと、タオルでナルトの髪を拭いてやりつつも、暖かく微笑みながら頭を撫でてやっている。


「ふー、だがわしも今日は橋作りでドロドロのバテバテじゃ・・・なんせもう少しで橋も完成じゃしな!!」
「ナルト君達も父さんもあまり無茶しないでね!」
「うーっす・・・・」
「うむ。」


たしなめる様にツナミは言った。タズナは頷くが、ナルトは疲れるあまり半ば空返事でサスケとカカシ、サクラは苦笑する。
だがそんな雰囲気の中、1人だけ暗い空気をまとった少年がいた。この場で一番の最年少であるイナリだ。反対側に座って机の上でへばりつつも、満足そうな表情なナルトを見たイナリの中に、どす黒い何かが沸き立つ。


なんでそんな顔をする?


なんでそんな頑張る?


なんでそんな無駄な事をして笑える?


なんでそんな――――あの人と同じよう表情(かお)をするんだ!!?


なぜだか分からないが、イナリの目から涙が溢れてくる。それに気づいたナルトが怪訝そうに首をひねって、それが合図だったかのようにイナリは両手をテーブルに叩きつけると、ボロボロ涙を流しながら叫んだ。


「なんでそんなになるまで必死にがんばるんだよ!!修行なんかしたってガトーの手下にはかないっこないんだよ!!いくらかっこいいこと言って努力したって、本当に強い奴の前じゃ弱い奴はやられちゃうんだ!!」


それを聞いたサクラやカカシ、タズナとツナミは驚いた表情になる。例外は言われた当人とその隣のサスケで、互いに怪訝そうに眉を顰めていた。


「うるせえなあ、別にお前とは違うんだってばよ・・・」
「お前見てるとムカツクんだ!!この国のこと知らないくせにでしゃばりやがって!!お前に僕の何がわかるんだ!つらいことなんて何も知らないでいつも楽しそうにヘラヘラやってるお前とは違うんだよぉ!!」
「言いたいことはそれだけか、悲劇の主人公きどり君よ?」
「!?」


テーブルに突っ伏したままのナルトが発したのは、本人が発したとは思えないくらい暗く、冷たい声。


「だからピーピー泣き喚いてめそめそ文句だけ垂れてんのか?それならテメエみたいな馬鹿はずっと泣いてろ、この泣き虫ヤローが!」
「・・・・・!!」


その言葉に怯んだ様にビクリと震えたイナリを見て、ナルトはつまらなそうに鼻を鳴らしてから席を立つ。
サクラは子供(といってもほんの2〜3歳違いだが)にキツい事を言ったナルトになんか言ってやろうと後を追い、そしてサスケは外に出て行ったナルトとそれを追うサクラ、そして泣きじゃくるイナリを交互に見てからまた溜息をついたのだった。


(うわっ、暗っ!!)


家の裏で膝を抱えて座り込んでいるイナリ。その周囲が夜だからというにはえらく暗く感じるのは気のせいか?
あの後何だかそのまま入水自殺かましそうなくらい(いや、しないのは分かってたけど)どんよりしていたから、気になって様子を見に来たのである。

原作じゃこの辺りでカカシがイナリを慰めに現れる筈だが、周囲にカカシの姿は無い。多分俺が見に来た事により、役割が変わったのだろう。となると、俺が慰め役な訳だ。参った。


「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」


とりあえずイナリの隣にやってきて腰掛ける。
映画とかだと座ってから無造作にタバコを咥えて一服、とかなるんだろうが、生憎俺は『一応』未成年だし元々タバコは吸わない性質だ。


「・・・・・・・」
「・・・・・そんなにナルトが羨ましいか?あれだけ笑っていられるのが。」
「な・・・・羨ましくなんか、無い。」
「そうか?ま、そこん所はイナリにしか分からないからな。」
「・・・・・・・・・・・・」
「ナルトは最初っからああやって笑えた訳じゃない。俺が初めて見た時なんか今のイナリ並みに不景気な顔してたな。1人ぼっちで、誰も居ない公園で。」
「え・・・・・?」
「イナリの父さんの話はタズナさんから聞いたが・・・・ナルトの奴は、小さい時から父親どころか家族なんて誰も居なかった。まあぶっちゃけ、お前よりよっぽど辛い過去を持ってる。」


カカシの時は確かこう言ってたよな?


「正直言っちまうと俺も家族は誰も居ない。何年か前に一家どころか一族全員殺されたからな。俺もナルトもお互い1人ぼっちだったって訳だ。今じゃそうでもないけど、結構寂しい暮らしだったぜ?」


こっちの世界に来た頃を思い出して苦笑した。いくら前の世界でも1人暮らしをしてたとはいえ、あれだけデカい家に本当に1人で暮らしてると嫌でも孤独を感じたもんだ。
それを聞いたイナリは、驚いて目を見開いている。


「それじゃあ・・・なんで、あんなに・・・・」
「笑っていられるか、って?簡単な事だ。強いんだよ、ナルトは。色んな意味でな。だから例えどんなに高くて分厚い壁だろうが、アイツはどこまでも頑張って越えて行っちまう。」
「・・・・・・・」
「お前最初に言ったよな、『ヒーローなんて居ない』って。」
「うん・・・・・」
「・・・・ヒーローが居ないのなら、テメエがヒーローになればいい。ずっと泣き寝入りして生きていくよりは、よっぽどマシな生き方だと俺は思ってる。
そしてナルトは、その生き方を選んだから『強い』んだよ。本人がそれに気づいてるかは分からないけどな。」


そう言って俺は立ち上がった。イナリの視線が背中にチクチク突き刺さるような気がしたので、俺はプラプラと手を振ってみせながら家の中へと戻った。


(・・・・・こんなんで慰めたと言えるのかな?)


なんて考えながら。


あとがき:また微妙です。そして最後の辺りのセリフも元ネタ付です。あのセリフは自分も大好きなんですが、また使えればいいなあ・・・
ちなみに前回の衝撃云々〜は手裏剣などに貫かれてダメージを受ける可能性は低いが、命中時の衝撃でのダメージを受けるという意味のつもりです。最高級の防弾チョッキを着ていても、至近距離でショットガンを食らったら内臓破裂するらしいですし。

今日はこれで失礼。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI