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▽レス始

「.hack//Dawn 第18話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-03-16 10:47)
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「ここは……」

 俺が目を覚ました時は、まだ【サイリス】はザ・ワールドにログイン中であった。

 目覚めた場所はマク・アヌにある俺のホーム。 何故、こんな場所で目覚めたのか最初は分からなかったが、すぐに俺は思い出した。

「……負けたのか……俺は」

 負けたのだ。

 【蒼天のバルムンク】に。

「くそ……」

 自分がこんなに弱かったとは思わなかった。 フラグメントからプレイして、レベルもプレイヤースキルもそれなりだと思っていたのに……。

 スケィスのような特定の攻撃でしか倒せない奴ならともかく、あれは普通に倒せた筈だ。

 多分だが、あの【蒼天のバルムンク】はトライエッジと同類なんじゃないか?

 【カイト】の姿を模した【トライエッジ】。

 【バルムンク】の姿を模した【蒼天のバルムンク】。

 あれの本質は分からないが、二つは同類な気がする。 もちろん勘にすぎないが。

「……今は落ち込んでる暇はない……」

 まだトライエッジ達の動きが分からない。

 間違いなく俺の事を知っている奴だと言う事だけしか分かっていない。

 だが、あいつ等にPKされれば、意識不明者になる。 俺達が無事だったのはHPが0にされなかった為だろう。

 何故、俺達を逃がしたのかは分からないけどな。

「強くなりたい……!」

 あいつ等を守れる程――!!


 .hack//Dawn 第18話 人詩遊吟・強者為瑠


「……はぁ」

 強くなると決意したのはいいが、今はとりあえず気を失っている二人をどうにかしなければならない。

 ホームにいたのは俺だけではなくパーティーを組んでいたミミルとBTの姿もあった。

 で、二人は仲良く一緒に気絶中だ。 まぁ、俺は一日で二回も気を失ったからな……。

 こっちから声をかけて起きるかね? ……そう簡単には起きないだろうな。

「おーい、起きろお二人さん!」

「……」

「……」

「反応なしか」

 声をかけてもうんともすんとも言わない。 まぁ、リアル程、うまくいくとはおもってないけどな。

 さて、声をかけても起きないと言う事は、自然回復を待つしかあるまい。

「……どうしたもんかな……」

 やる事がない。 ……いやあったか。 トライエッジの三爪痕を見に行く前に、事前に昴達に送ったメールをまだ見てないや。

 昴とカール、アルビレオからはなし、か。 その代わりほくとからメールが来てる。 なんだろ?

 内容は簡単だった。 今から会えないか? というものだった。 送られてきたのが10分程前、許容範囲内だろう。

 俺はすぐに、了承の趣旨を書いたメールを送り返す。 それから更に数分して待ち合わせ場所が書かれたメールが送られてくると、俺はそこに向かう事にする。

 待ち合わせ場所はマク・アヌの橋付近だからすぐそこだ。

 俺はホームの伝言掲示板みたいなものに、ミミルとBT宛の伝言を書き込んでから、パーティーを解散してホームから出発した。 まぁ、すぐそこだけどさ。

 歩いて数分。 橋付近に行くと、そこには見た目は小学生、中身は大人な呪紋使いがいた。 なんというか目立つな。

「やっほー! 久しぶりサイリス!」

「久しぶりだなほくと」

 メールとかで文通っぽい事はやっているが、直接会う事はあまりない。

 情報交換もメールでのやりとりしかしないからな。 で、今回は一体なんの用だろう?

「で、今回の用は?」

「むぅ、いきなり本題から切り出す?」

「……いや、だってなぁ……」

 何を話せと? 正直、女の子……じゃなくて女性が喜びそうな話題提供なんて俺には無理だぞ。

「まっ、サイリスがそんな気を回せるタイプじゃないって知ってるけどね」

「むっ……」

 なんか傷つくなそれ。 当たってるとは言え、正面堂々そう言われれば、さすがの俺だってねぇ……。

「あっ、もしかして拗ねた? 拗ねた?」

「拗ねてない」

「絶対拗ねてるでしょ」

「拗ねてない」

「絶対拗ねてる」

「拗ねてない」

「拗ねてるわよ」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「拗ねてない」

「拗ねてるわよ」

「それより今日の用件を……」

「逸らしたか」

「……」

 ほくと……。 素が出てるような気がするんだけど……。

 まぁ、ほくとのリアルなんて知らんが。

「いい加減話題に入ろうか」

「そうしてくれ」

「トライエッジの事」

「トライエッジ……」

 今日、ミミル達と一緒に向かった先には、トライエッジはいなかった。

 だが、トライエッジの後ろにいる奴が分かった。 いや、多分だが、真に黒幕なのはあの男ではないだろう。

 最初にトライエッジと戦った時に聞こえてきた女の声。 その主がトライエッジを操る黒幕なのだろう。

 だがその黒幕の正体がさっぱり分からない。 まぁ、会った事がないんだから当然なんだけど。

 しかし、あのザワン・シンや偽バルムンクを操っていた男の正体も分からないなぁ、当然だけど。

 だけどあの男の声……何処かで聞いた事があるような……。 それによくよく考えて見ればあの女の声だって聞いた事があるような気がする。

「……本当に?」

 ほくとに聞こえないように小さく呟く。 本当に聞いた事があるのだろうか?

 ……分からない。 仕方がない。 憶測だけで物事を進めるのは危険だし、今は考えないでおこう。

 それよりもほくとの話を聞かないとな。

「最近、トライエッジが傷つけたって言う三爪痕の話題がBBSに上がってる事は知ってる?」

「ああ。 だけどそこまで言う程じゃないだろう」

 BBSは出来るだけ、見ているようにしている。

 トライエッジについての話題は、俺達が聖堂で戦った時から細々とBBSの話題に上がっていた。

 内容は簡単、そして不可解な事。

『トライエッジにPKされ、三爪痕を刻まれると、リアルでも死亡する』

 なんて言う怪談めいた内容だ。 もちろん今は噂、しかも都市伝説程度のものしかない。

 当然だろう。 たかがゲームでリアルのほうまで死亡するなどありえない。

 だが、この内容がある程度、事実に掠っているのも事実だ。

 トライエッジにPKされるとリアルでは死亡するのではなく、意識不明者になる。

 まだそんな事は起こってないから、話題に上がる事もないし、信じている者だっていないだろう。

「そっちの方の真意はともかく、三爪痕が最近、かなり見つかってるのは事実みたい」

「ああ、なるほど」

 トライエッジの攻撃でつく三爪痕。 あれは確かに結構発見されているらしい。

 実際に俺だって幾つか見つけているし、ミミル達も見つけている。

「転送出来る痕は?」

「転送?」

「ああ。 三爪痕が禍々しく赤色に光っているやつだ。 あれは俺達を転送出来るようになっている」

「そうなの?」

「間違いない。 さっき俺達がそれを使って転移したからな」

 俺は先程、会った事を出来るだけ説明した。

 転送された先が、見た事もないフィールド――多分、後にロストグラウンドと呼ばれる場所――モーリー・バロウ城砦に行った事。

 そこでフィアナの末裔が倒した筈のザワン・シンと遭遇して戦った事。

 そして一番重要な事として、【蒼天のバルムンク】と酷使したPCに敗北した事。 それをほくとに説明した。

 ほくとは黙って聞いてくれていた。 多分、俺が話した情報を頭の中で整理しているのだろう。

「……つまり偽者バルムンクはトライエッジの仲間って事ね」

「ああ」

 しかし改めて考えると謎だらけだ。

 トライエッジ。 【.hack//Roots】に現れ【.hack//G.U.】でも現れた存在。 だがそれはR:2の世界にしかいない存在。

 だからこそ敵の力が分からない。 あんなイレギュラーを従えている存在を……。

「……サイリスはどうする訳?」

「俺は……奴等を追う。 多分だけど奴等は俺のリアルを知っている」

「知り合いって事?」

「分からないさ……」

 俺の知り合い。 その誰かがあれを従えている可能性。 考えなかった訳ではないが、そんな事をするような奴が思いつかなかっただけだ。

 もしかしたら……だが、奴等は俺をこの【世界】に呼び寄せた奴等か……または俺と同じように呼ばれたかのどちらかだろう。

 もちろん俺達では分かる事ではないが。

「そっか。 なら、私はもう少し、情報を集めてみるね」

「……頼む」

 情報収集は俺よりもW・Bイェーツとしての顔を持ったほくとの方が高いだろう。

 正直な話、情報収集とかはあんまり得意じゃないし。


 ■□■□■


 そして、それから少しして俺のもとにアルビレオからメールが届いた。

 内容はほくと以上に簡潔だった。


『【Δ 隠されし 禁断の 聖域】で待つ』


続・あとがきっぽいもの
今回は短め。 前回が結構長かったし。 うん。 御免。
後2回ぐらいで終わらせたいなぁ……。

レス返しだと思う

・SSさん
本当に頑張って欲しい主人公です。
榊は……まだまだ謎で(汗
スケィスの中身の人。 私としてはどっちでもいいんですけどね(苦笑

・コピーさん
始めまして白亜です。
家の主人公は連戦連勝みたいな事にはなりません。 もう負ける時には思いっきり負けてもらいます。 つーか負けてるとこしか見た事ない!?
主人公も人の子。 鈍感で無意識にハーレム作るような奴にはしたくなかったので、最初から一本狙い。 他の人が惚れてハーレム、にはならない予定です。
サイリス君は榊の事は微かに覚えているようですが、もう忘れかけてます。 榊って誰?って感じ。

・ジョヌ夫さん
策略って何? それ美味しいの? と言った感じの主人公です。
家は完全にカオスです。 原作設定はある程度守ってますが、突拍子もない動きを見せたり現れたり。
まだ落ち込んでませんが、結構凹んでる様子。 ここで昴を……うん、御免。 まだ昴の出番が……orz
主人公の特別能力……微妙だな。 せっかくここまで一般PCで頑張ってるんだし最後まで一般で行く可能性が高いです。 まぁ、イベントで一回こっきりな能力とかは出るかも。 あんまり期待しないでください。


>追伸
>…………あれ?何か物凄い既視感があるような?
……いや、まぁ……ねぇ。 きっと電波です。

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