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「麻帆良の守護者 第03話(GS+ネギま!)」

湖畔のスナフキン (2007-03-15 00:36/2007-03-15 00:39)
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 『麻帆良の守護者』   第三話 −麻帆良学園へようこそ!(2)−

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》》Yokoshima


 この人の名は高畑っていうのか。
 高校のとき、学校をサボってばかりいたせいか、どうも教師という職業に対して親しみがもてない。
 まあ、ネギは別だけどな。

「横島君、でいいのかな?
 さっきの試合内容は見事だったけど、二人を失神させたことだけは感心しないね。
 君のその刀みたいな武器を突きつけて、降伏勧告するだけでよかったんじゃないのかな?」
「信じちゃくれないかもしれませんが、俺、魔法使いと戦うのは初めてなんですよ。
 油断したところを、俺の知らない魔法か何かでドッカンとやられちゃかなわないんで、安全策を
 取らせてもらいました」
「麻帆良の魔法生徒は、そこまで無作法じゃないよ。
 実戦ならともかく、試合の場ではマナーを守るように指導している」
「そうっすか。佐倉ちゃんと高音さんには、後で謝っておきます」
「そうした方がいいだろうね。横島君が採用されたら、彼女たちは仕事仲間になることだし」
「ええ」
「それじゃあ、そろそろ始めようか」

 高畑さんがポケットに手をつっこんだまま、結界の中に入った。
 俺も結界の中に足を入れると、半身になって身構える。

「それでは、始め!」

 パンッ!

 開始の合図とともに、見えない何かが飛んできた!

「うわっ!」

 上半身を捻って、かろうじてその攻撃を避ける。
 何なんだ、今のは!?

「素晴らしいね。僕の最初の攻撃をかわされたのは、久しぶりだよ」

 パパパンッ!

 今度は三発! 全部はかわしきれない。
 両腕を組んで攻撃をガードしながら、攻撃された時の反動を利用して後ろに跳び、着地と同時にサイキック・ソーサーを投げた。

 ドンッ!

 サイキック・ソーサーの直撃はかわされたが、結界の壁にぶつかって爆発したときの爆風で、相手が少しよろめく。
 この隙に相手に接近しようとしたが、さっきの見えない攻撃の連打で反撃され、足止めされてしまった。

「横島君は接近戦がメインのようだね。でも、それだけで勝てるかな?」

 たしかに俺は、サイキック・ソーサーで相手を牽制しながら霊波刀で攻撃することが多いが、決してそれだけじゃない。
 あまり手の内をさらけ出したくはないのだが、相手が誤解している今がチャンスかも。
 俺は牽制用にサイキック・ソーサーを投げてから、腰を右側に回してから、右手を引いて手のひらに霊力を込めた。

「今だっ!」

 サイキック・ソーサーの爆風を避けたときの一瞬の隙をついて、俺は右手に込めた霊力を発射した。
 いわゆる霊波砲である。
 俺が発射した霊波砲は、一瞬動きが止まった高畑さんに見事に命中する。
 だが、両腕を組んでしっかりガードされたため、着ている服が多少ボロっちくなったものの、本人へのダメージはさほどでもなさそうだった。

「さっきの攻撃はフェイントで、こっちが本命だったか。やるね、横島君」
「いえいえ。高畑先生ほどじゃないッスよ」

 その先は、乱打戦となった。
 結界の真ん中を軸として、お互いに弧を描くように動きながら、見えない攻撃と霊波砲の撃ち合いを続ける。
 撃って、かわして、また撃ってという動作を繰り返していたとき、

「そこまで!」

 学園長が、試合終了の号令をかけた。
 気づいてみると、俺の服はあちこち破れズタボロになっている。
 高畑さんの方も、ほぼ俺と同じ姿だった。


 体育館を出て学園長室に戻ると、学園長が仕事の条件を提示した。
 仕事の内容は、学園内の巡回とスポットで入る特別任務。
 勤務時間は1日4時間で、夕方から深夜の間でローテーションが組まれるとのことだった。

「それで、給料じゃが……」

 緊張した俺は、その場でゴクリと唾を飲み込んだ。

「時給は2500円。巡回以外の仕事には、特別手当もつけよう。
 それから住居はこちらで用意するし、家賃もタダじゃ。これでどうかね?」
是非やらせてくださいっ!

 俺はその場で即答した。
 週に5日働けば、1ヶ月で、な、なんと20万円!
 しかも、家賃はタダ!
 美神さんのところでGS助手をしていた頃のことを思うと、破格といっていいほどの内容だった。
 ちなみに、この世界での平均賃金が元の世界とさほど変わらないことは、就職情報誌で確認済みである。
 俺はこの世界にきて、はじめて感謝の思いをもった。

「フォフォフォ。それでは、よろしく頼むよ。それから、横島君の最終学歴を聞いておこうかの」
「高校を卒業したばかりです。大学も、推薦ですけど入学が決まってました。
 まあ、証明できるものは何もないですけどね」
「横島君は、この学園では魔法生徒と同じ扱いになる関係上、昼間は学校に通って欲しいんじゃよ。
 どの学校に通うかについては、横島君には後日試験を受けてもらい、その成績をみて判断すること
 にしよう」
「し、試験ッスか」

 俺の成績を知って、将来を心配してくれた女性数名の協力というか強制で、高校三年の一年間、無理やり勉強させられた過去のトラウマがよみがえってきそうだ。
 まあ、そのお陰で、新設された六道大学の霊能科への推薦を、もらうことができたわけなのだが。

「その様子では、勉強は苦手そうじゃな。
 しかし、いつの世でも教養は身を助けるし、大卒ともなれば給料にも色がつくのが、世の習いと
 いうものじゃて」
「は、はあ……」

 この世界には、ゴーストスイーパーという職業はなさそうだしなあ。
 どこかの会社に就職するにしても、大卒の方が出世の目があるだろうし……って、俺この世界にいったい何年いるつもりなんだよ!?

「すみません。あと一つだけお願いが」
「なんじゃね」
「先立つものが何もないので、給料前借りさせてください」

 俺は誠心誠意を込めて、学園長に頭を下げた。


》》Takamichi


 夕刻になって、学園長に呼ばれた私は、学園長室に足を運んだ。

「失礼します」
「おお、高畑先生か。入ってくれたまえ」

 座るように椅子を勧められたので、学園長のテーブルの前にある椅子に腰掛けた。

「実は、今日試合をした横島君のことで話を聞きたいんじゃ。高畑先生は、彼をどう思うかね?」
「彼のことは、以前にネギ君から話を聞いていましたが、正直半信半疑でした。
 ですが、手合わせしてはっきりわかりました。少なくとも、彼の実力は本物です」

 六年前、突如としてネギ君の前に現れた彼は、数体の悪魔を一瞬で倒したという。
 当時のネギ君はまだ幼かったこともあるし、また容易に悪魔を倒すほどの実力者であるにも関わらず、所在をいくら調べてもわからなかったため、彼が本当に実在するのか疑問に思うことも以前には少なからずあった。

「その横島君が、先日ワシにこう言ったのじゃよ。
 自分はこの世界の人間ではないかもしれない、とな」

 一瞬、返す言葉が見つからなかった。

「……学園長。まさか、その言葉を真に受けているとか?」
「さあての。今のところ、彼の言葉を否定する証拠も、肯定する証拠も見つかっておらん」
「しかし、あまりにも突拍子すぎませんか?」
「ネギ君の証言によると、彼は六年前とほとんど姿が変わっていないそうだ」
「年齢や外見については、強力な魔法を使えば何とでもなります。
 対立する魔法使いの組織から、送られてきたという可能性もあるかもしれません」

 実際、エヴァが使う幻術は、相当な実力をもつ人物でも見破るのは困難だ。
 記憶操作も含めて、別世界から来たという設定の人物を作り出すことは、技術的には不可能ではないだろう。

「なーに、それでもかまわんよ。
 例え彼の背後にどこかの組織がいるとしても、その組織はネギ君が死んでは困る立場じゃろう。
 そうでなければ、なぜ六年前のウェールズでネギ君を助けたのか、説明がつかん」
「しかし……」
「最近、エヴァちゃんの動きが怪しくての。
 魔法先生以外で、ネギ君をサポートする人材が必要だったんじゃ」

 そういうことか。
 サウザンドマスターの息子であるネギ君を、エヴァが狙う危険性は以前から予測していた。
 だが、彼女が今後も学園の警備を続ける以上、こちら側との摩擦はできるだけ回避したい。
 昔からの知り合いである横島君であれば、ネギ君を手助けしても少しも不自然ではないということか。

「ところで、彼はやれそうかの?」
「エヴァとはタイプが違いますからね。
 しかし、あの手から放つレーザーみたいな攻撃には、驚きました。
 魔法の射手(サギタ・マギカ)より、速くて威力があります。
 ネギ君と彼が組んだら、かなりの力を発揮すると思いますよ」
「彼が、ネギ君の魔法使いの従者(ミニステル・マギ)に、なってくれればよいのじゃがな」
「それはどうでしょうね」

 ネギ君は拒まないと思うが、彼の方はどうだろうか。
 佐倉君はともかく、高音君を見る彼の目は、明らかに異性を意識していたしな。
 両刀使いという可能性もなくはないが、それはそれでネギ君にとって問題になりそうだ。


》》Yokoshima


 給料の前借りはできなかったが、その代わりに支度金を支給してもらえることになった。
 経理部で現金を受け取ってから、ボロボロになった衣服の代わりと生活必需品を揃えるために、学園内に設置されている売店へと向かう。
 買い物を済ませた俺は、割り当てられた職員用アパートの一室に戻る途中に、とぼとぼと歩いているネギと出会った。

「ヨコシマさん」
「おう、ネギ。俺も今日から、この麻帆良学園で働くことになったよ。これからもよろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「ヘー。兄さんが、噂のヨコシマさんですかい」

 突然、足下から声が聞こえてきた。
 声のした方を振り向くと、白いイタチのような動物が目に入る。

「なんだ、おまえ?」
「あっしは、アルベール・カモミール。カモと呼んでくだせえ。
 れっきとしたおこじょ妖精で、ネギ兄貴のペットでさあ」
「ふーん。ネギのペットか」
「驚かないんですか? アスナさんはカモ君が喋るのを見たら、ずいぶん驚いたんですが」

 変身する犬じゃなかった狼や、狐をさんざん見てきたんだ。
 いまさら、イタチが喋ったくらいじゃ驚けないよな。

「それよりネギ、元気なさそうじゃないか。何かあったのか?」
「実は……」

 俺はネギから、ネギの父親がかけた呪いを解くために、幼女の吸血鬼から狙われている話を聞いた。

「それでおまえ、この前会ったときに、あの二人組に襲われていたのか」
「はい。ですが、パートナーのいない僕では、エヴァンジェリンさんと茶々丸さんには、どう考えて
 も勝てそうになくて……」
「それで俺っちが、ネギの兄貴のパートナー探しを手伝ってるというわけでさあ」

 まあ、相手が二人掛かりだから、こっちも最低二人はいないと不利だよな。
 しかも相手は、吸血鬼とロボット娘なわけだし。

「あの、こんなことをお願いするのは心苦しいんですが、ヨコシマさん、僕のパートナーになって
 もらえないでしょうか?」
「それ、グッドアイデアっすよ!
 悪魔をバッタバッタとなぎ倒したヨコシマの兄さんなら、あの吸血鬼相手に十分戦えますぜ!」

 悪魔をバッタバッタって大げさな話だな。たかだか、数匹をやっつけただけじゃないか。
 それを言うなら、ネギの親父の方がよっぽど化け物だぜ。

「まあ、俺でよければ、なってやってもいいけど」
「本当ですか!」

 ネギの顔色が、パァッと明るくなる。

「ところでパートナーって、いったい何をするんだ?」
「はい。魔法使いは、呪文を唱えている間は無防備となります。
 そのとき魔法使いを守り、また攻撃をするのがパートナーの役目です」
「なるほど。それは確かに道理だな」
「それじゃあ、さっそく仮契約の儀式を始めましょう。契約(パクティオー)!

 カモが呪文を唱えると、俺とネギの周囲に、光を放つ魔法陣が現れた。

「さあ、兄貴たち! 契約のキスを!」
ちょっと待てや!

 俺は魔法陣を出ると、カモの首根っこを捕まえた。

「おい、キスってなんだよ、キスって!」
「これが、一番簡単な契約方法なんですよ!」

 こめかみの血管が、二・三本ぶち切れたかもしれない。
 俺はカモの胴体を、片手で思い切り握り締めた。

「しょ、小動物、虐待ハンターイ!」
「このクソガモ! なんで俺が、オ・ト・コとキスしなきゃいけないんだよ!」
「兄貴はまだ、子供ッス。細かいことは気にしないで、ブチュッとやりましょう」
「俺が気にするんだよ、俺が!」
「ロシアじゃあ、男どうしのキスなんて、挨拶代わりッス」
「俺はロシア人じゃねーーっ! れっきとした日本人じゃ!」

 カモを握り締める手に、さらに力が入る。
 カモがグエエッと叫ぶが、そんな悲鳴は少しも俺の心には届かん。いや、届くもんか。

「ヨコシマさん、もういいです。パートナーは別に探すことにします」
「すまんな、ネギ。おまえが嫌いなわけじゃないんだが、男として譲れない一線があるんだ」
「いえ。元はと言えば、僕の我がままでしたから」
「そうそう。俺、ここの警備員になったんだよ。
 パートナーにはなれないけど、何かあったら俺に連絡しろよ。なるべく助けになってやるから」
「ありがとうございます、ヨコシマさん」

 ネギはカモを連れて、俺から離れていった。
 口では平気さを装っていたが、とぼとぼと歩くネギの背中には哀愁が漂っていた。


 数日後にネギと出会ったが、ネギはいくぶん元気を回復していた。
 どうやら、同室のアスナという女の子と、仮契約を結ぶことに成功したらしい。
 しかし、10歳でキスを体験するとは、たいしたモテっぷりだ。
 こいつが将来、銀ちゃんやピート以上の女ったらしになるかもしれないと思った時、目の前のネギ坊主に対してやり場のない怒りを覚えたのは、ここだけの秘密にしておこう。


(続く)


【後書き】
 横島の隠れた能力の一端が、今回示されました。
 しかし、まだ文珠も使っていませんし、その他の能力も秘めたままです。
 この先、物語が進むにつれて、少しずつ明らかになっていくと思われます。

 ちなみに、ネギと横島の仮契約はこの先もありません。
 野菜は大嫌いというのが、筆者の心情ですので。

 以下、コメントのお返事です。


○狭間の王さん
 コメントありがとうございます。
 いろいろな反応がありますが、とりあえずエヴァンジェリン編が終わるまでは続ける予定です。

○SIMUさん
 文珠の最大同時使用可能数については、そのうち作中で示す予定です。
 今のところ、四個までは使用可能になっています。
 魔力について、ネギま世界の魔力とGS世界の魔力では概念が異なりますが、ネギま世界の魔力については、後でいくらか修行させて使わせたいと考えています。

○ういっすさん
 人外メンバーをどこまで広げるか、難しいところです。
 ザジはまだ原作でのキャラがよくわからないので、フラグを立てることはないかと思います。
 高畑戦については、豪殺拳と瞬動は使いませんでした。
 横島が切り札の文珠を使わなかったように、相手の実力を探るための戦いだったことが理由です。

○もげさん
 やはり、作者は作品で物事を語らないといけないですね。

○宮本さん
 コメントありがとうございます。話は全部読ませてもらっていますが、いろいろと参考になります。
 これから話を続けていく中で、特色のようなものを出していきたいですね。

○あるふぉんすさん
 ご指摘の点については、今回の話の冒頭で補足することにしました。

○るーどさん
 コメントありがとうございます。なるべくめげずに、頑張っていきます。

○たぬきちさん
 ご指摘の点については、今回の話の冒頭で補足することにしました。
 みぞおちに一発入れるのも考えたのですが、体に傷がつかないので締め落とす方針でいくことにしました。

○zeroさん
 おそらく、初戦で負けた場合は時給は1000円いけば恩の字といったところでしょう。
 初戦で負けるようであれば、普通の警備員以外には使えないですからね。

○titoさん
 米田さんの対応については、既に読みました。
 お返事はいただけないでしょうが、参考になる意見をいただきありがとうございました。

○Iwさん
 自分のHPは既にもっています。とりあえず、エヴァンジェリン編が終わるまでは続ける予定です。

○ロナヴェさん
 ・ネギが明るい点については、考察の結果このように描写したものです。
  原作ではネカネは足が石化したまま野原に放り出されていますが、この話ではほぼ無傷な状態に回復し、ネギの世話も可能な状態になっています。
  私は親戚の子供を多く見た経験がありますが、子供は環境さえ整えば、たとえ葬式の場でも騒ぐ生き物ですよ。
  一番甘えられるネカネが傍にいて、安心できる住居の中にいれば、いくらネギが早熟の天才児とはいえ、わずかの間かもしれませんが、子供らしくはしゃぐであろうことは不思議ではないと判断しました。
  最も成長していく過程で、いろいろとトラウマを背負ったであろう点については、原作と同様に考えていますが。

 ・学園長の思惑については、今回の話で描写したとおりです。
  また、原作でも一部描写がありますが、もともと学園長には物事を甘く見る性向があると私は認識しています。

○九頭竜
 横島の強さについては、とりあえず文珠なしで高畑と戦えるレベルにしました。
 もっとも高畑も、豪殺拳や瞬動といった技を見せていないので、厳密には同じではないかもしれません。

○つづらさん
 今後はできるだけ、作品でもって作者の意図を語っていきたいと考えています。

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