(はじめに)
・この話は、『魔法先生ネギま!』と『GS美神 極楽大作戦!!』のクロスです。
・GS,ネギまともに、原作準拠ではありません。原作至上主義の方は、読まないことを推奨します。
・GS側の主人公である横島は、煩悩が少なめで、アニキっぽい性格が強いです。
・作中ではほとんど登場しませんが、GSの女性陣にもいろいろと変化があります。
・ネギま側は原作(マンガ)に沿った展開ですが、一部アニメの話や設定も取り込む予定です。
それでも良いという方だけ、この話をお読みください。
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『麻帆良の守護者』 プロローグ
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》》Yokoshima
目が覚めたとき、俺は見知らぬ土地にいた。
温暖な土地で生まれ育った俺は、冬に雪国へいくと、トンネル一つ越えただけでそこが一面の銀世界だという光景によく感銘を受けるのだが、今回のそれはとても比較にならない。
GSという、世間の常識外のことを扱う仕事を続けてきた俺でさえ、こんな出来事に遭遇するのは非常に稀だ。
というか、同じGS仲間でも、俺ほど非常識な事件に関わるというか巻き込まれてきた人間は、そう多くはいないと思う。
「いったい、どこだよ。ここ?」
目の前の風景を見ると、なだらかな山や丘が広がり、その間には小さな湖が点在していた。
平地には人家が密集し、それ以外の場所は険しい山並みが続いている典型的な日本の風景とは、明らかに異なっている。
空からは小雪が降っており、山や丘は雪で白く染まっていた。
「えーと、持ち物はと……」
財布とわずかな現金。
それから、いつも持ち歩いている皆の写真。
それに手紙か……って、手紙ってなんだよ!?
「どれどれ」
もっていた手紙を広げると、そこにはこう書かれていた。
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横島君。君には修行を兼ねて、別の世界に行ってもらうことにしました。
君が今いる場所は、今まで君がいた世界に似た平行世界です。
その世界で、幾つかの使命を果たしてください。
使命の内容は、そこに行けば自分でわかるようになるでしょう。
文珠を使って帰還することは可能ですが、今の横島君では霊力が足りません。
使命を果たしていく中で、帰還するのに必要な霊力が自然と得られるようになります。
なお、最初の使命を果たした時のみ、強制的に別の時間帯に転移します。
あなたの仲間や友人たちには、私たちの側から説明をします。心配は無用です。
それでは、健闘を期待します。
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手紙の最後に、神族と魔族の最高指導者の署名があった。
ちくしょう。神界と魔界の両方でグルになってたのか!
「とにかく、人家を探そう。使命が何なのかを知るのは、それからだ」
周囲を見渡すと、少し離れた場所に村らしき場所が見えた。
だがその村は、真っ赤な炎に覆われていた。
》》Negi
僕は村はずれの池で釣りをしながら、いつものように歌を歌っていた。
「ピンチになったら現れる〜〜♪ どこからともなく現れる〜〜♪」
僕が危ない目に会ったら、お父さんが来て助けてくれるんだ。
だって、ネカネお姉ちゃんが前にそう言ってたもの。
「あ、そうだ。今日は、ネカネお姉ちゃんが来る日だった」
お魚も全然釣れなかったしね。
雪も積もってきたから、早くお家に帰ろう。
「ネカネお姉ちゃーん!」
えっ、なにこれ。
どうして、村の建物がみな燃えているの!?
「ネカネお姉ちゃーん! おじさーん!」
村に入ると、おじさんや村の人たちの姿が見えた。
けど……みんな、石になって固まっていた。
「うっ……ウワーーン!」
僕がピンチになったらって、思ったからなの!?
ピンチになったらお父さんが来てくれるって、そう思ったからこうなったの?
だとしたら……これは僕のせいなんだ!
グ……グルルル……
「ひ、ひいっ!」
あ、悪魔だ。悪魔の大群だ!
大人の人たちの、何倍もの背丈がある。
こいつらが、村の人たちを石にしたんだ!
「た、助けて……お父さん……」
ドン!
えっ……誰、この人?
なんで、こんな大きな悪魔の手を、片手一本で受け止められるの?
「来たれ(ケノテートス)虚空の雷(アストラプサトー)薙ぎ払え(デ・メトー)」
魔法の呪文? 魔法の呪文を唱えているの!?
「雷の斧(デイオス・テユコス)!」
あ、あの大きな悪魔が、一瞬で粉々に!
「雷の暴風(ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス)!」
ドンッ! ドドドドドドド、ドン、ドン!
うわあ、すごい! あの悪魔の群れが、全部吹き飛んじゃった!
「すまない。来るのが遅すぎた」
この人、フード付きのマントを着ている。フードで隠れて、顔がよく見えない。
「おまえ……そうか、おまえがネギか」
目の前に立っていた人が、僕の頭をクシャッと撫でた。
なんか、気持ちがいい。
「大きくなったな」
えっ!? ひょっとして、ひょっとしたら、この人が……
「お、そうだ。おまえにこの杖をやろう。俺の形見だ」
「お……お父さん?」
僕は、始めて会ったお父さんから、大きな魔法使いの杖をもらった。
その杖はとても重たかったので、体が一瞬よろけてしまった。
「ハハハ。おまえには重すぎたか」
口元しか見えなかったけど、お父さんが笑ったように見えた。
「……もう時間がない」
「えっ!?」
「悪いな。おまえには何もしてやれなくて」
「……お父さん?」
お父さんは宙に浮くと、僕からどんどん離れていった。
「こんなこと言えた義理じゃねえが……元気に育て。幸せにな!」
「お父さん!」
僕はお父さんを追いかけた。
でも、途中で足がもつれて転んでしまった。
「お父さーーーん!」
僕が顔を上げたとき、もうお父さんの姿は見えなくなっていた。
》》Nekane
寄宿学校から帰ってきた私は、バス亭でバスを降りてから、村に向かって歩いていきました。
しかし、バスを降りてしばらく歩くうちに、上空に鳥の大群ような群れが現れ、村に襲いかかっていく様子が見えました。
驚いた私は、村へと向かう足を速めると、やがて村の家々から炎が上がってきました。
「ネギ!」
村の人たちも心配でしたけど、まだ小さなネギのことが一番の気がかりでした。
けれども、村に入る直前に、村の中心部で大きな爆発が起こり、敵と思われる群れのほとんどがいなくなりました。
「スタンさん!」
村の入り口で、老魔法使いのスタンさんが、悪魔と戦っていました。
そして、こちらに向かって、大きな杖を抱えたネギが歩いてくる姿が目に入ってきました。
「ネギ! こっちにきちゃダメ!」
スタンさんと戦っていた悪魔が、ネギの姿に気がつきました。
私は、ネギをかばおうと必死になって走ります。
スタンさんも、敵の注意を引きつけるために動きました。
カッ!
何かが光ったと感じた次の瞬間、突然左足が重たくなりました。
見てみると、左足の先が石になっています。
私は石化を食い止めようと、魔力を左足に集中しました。
「封魔の瓶(ラゲーナ・シグナートーリア)!」
スタンさんは下半身が石化されながらも、残った力でその悪魔を封印させます。
やがて、ネギが私の胸元に飛び込んできました。
「ネカネ! ネギを連れて逃げるんじゃ!」
「スタンさん!」
「召還された上位の悪魔は、今ワシが封印した。
下位悪魔(レッサー・デーモン)の多くは倒されたようじゃが、あれだけの数がいた
んじゃ。まだ、生き残りがおるに相違ない。今のうちに、早よう村から離れろ!」
「でも、スタンさんが……」
「ワシはもう助からん。この石化の術は強力で、ワシの力では解くことができん。
ネカネも早く治癒術者に診てもらわないと、助からなくなるぞ!
ワシはどんなことがあっても、ネギだけは守る。それが死んだあのバカへの誓いなんじゃ!
ネカネ! ネギを連れて村から逃げろ!」
スタンさんの言葉に押された私は、石化した左足を引きずりながら、ネギと一緒に村を離れました。
しかし、もう少しで村はずれの森に入ろうとした時に、三匹の悪魔に行く手を阻まれてしまいます。
「ネギ!」
悪魔の攻撃から、ネギを守ろうとしたその時、一陣の風が私たちの目の前を走りました――
》》Yokoshima
村に向かって駆けていく途中、魔族というか悪魔みたいな格好をした化け物が、村の上空を飛び回っているのが見えた。
戦わないで逃げた方が得策かなと思い始めたとき、村で大爆発が起こり、村にいた化け物のほとんどを吹き飛ばした。
安心した俺が足を緩めると、村はずれへと逃げる少女と子供を三匹の悪魔が追いかける様子が見えた。
このまま走っても間に合いそうになかったため、俺は虎の子の文珠を使って、その場へと駆けつけた。
「サイキック・ソーサー!」
化け物が少女に向かって振り下ろした爪を、左手のサイキック・ソーサーで受け止めた。
そして右手に出した栄光の手で、遠くに向かって突き飛ばす。
「危ない!」
残った二匹の化け物が、左右から同時に襲ってきた。
こいつらは、見かけはかなり凶悪だが、一匹一匹の強さはそう大したものではない。
今まで戦ってきた相手、例えばメドーサなどに比べれば、かなり格下である。
右手の栄光の手を霊波刀に変えると、左からきた敵を逆袈裟に斬り上げた。
さらに返す刀で、右からきた敵を真正面から斬って落とす。
最後に、木にぶつかってもがいていた残りの化け物にサイキック・ソーサーを投げて、この戦いは終わった。
「大丈夫か?」
「はい。ありがとうございました」
その少女は、整った顔立ちと長い金髪がもっていた。
年齢は、13・4歳くらいに見える。微妙に対象範囲外だ。
だが、彼女の左足を見ると、化け物にやられたのか石のように固まっていた。
「ちょっと、足を見せて」
その少女を地面に座らせると、石化した左足を調べた。
「かなり強力な術だな。こりゃ、治すのが大変だぞ」
「あの、治癒魔法も使えるのですか?」
一緒にいた子供が、少女の背中につかまりながら、心配そうな表情で石化した足を見ていた。
顔立ちも似ているし、おそらく姉弟なんだろう。
「まあね。たいていのことは、何とかできるよ」
残った文珠を全部使ってしまうことになりそうだが、将来の美女を見捨てるなどという考えは最初から持つはずもない。
俺は文珠に『石』『化』『解』『除』の文字を込めると、少女の左足にあてて文珠を発動させた。
「あっ……」
石化した左足が光ると、次の瞬間には石化が解けて元の足へと戻った。
「すごい! すごいや、お兄ちゃん!」
「かさねがさね、助けていただきありがとうございます。
失礼ですけど、どちらの国の魔法使いでしょうか?」
「あ、いや。俺は魔法使いじゃなくて、ゴーストスイーパーなんだけど……」
俺の話を聞いていた二人は、きょとんとした顔をしていた。
どうやら、ゴーストスイーパーという言葉に、聞き覚えがないらしい。
そういや、さっきの手紙には、ここは俺のいた世界に似た平行世界って書いてあったっけ。
「まあ、魔法使いと似たようなもんだな」
とりあえず、そう言ってごまかしておいた。
俺の能力は、普通の霊能の範疇を越えているから、まあ間違いではないと思う。
その後、俺たち三人は、村はずれの小屋に移動した。
備え付けの暖炉に火をつけて一息ついた後、俺は自分の名を話してから、二人に名前と事情を聞く。
姉はネカネ・スプリングフィールド、弟の方はネギ・スプリングフィールドと名乗った。
村がなぜ、あのような化け物に襲われたのか尋ねたが、二人とも詳しいことは知らなかった。
ネカネちゃんは学校から村に帰ってきたばかりだというし、ネギはまあ子供だから仕方がない。
「ヨコシマは、どこから来たの?」
「俺? 俺は日本から来たんだ」
「あの、どうして私たちの村に、わざわざ遠い日本から来たのですか?」
俺は返事に困った。
平行世界の存在やら、神族や魔族がどうのこうのと話したところで、二人が理解し信じてくれるとはとても思えない。
「ちょっと事情があって、日本から魔法で飛ばされてきたんだ」
「まあ。それはすごい魔法ですわね」
ネカネちゃんが両手を頬にあてて驚いていたが、俺の話自体は信じてくれたようだった。
この世界では、不思議なことは全部魔法のせいにすれば、それで済んでしまうのかもしれない。
ある意味、便利な話だ。
「ねえ。ヨコシマとお父さんじゃ、どっちが強い?」
「どっちが強いと言われても、俺はネギの父さんを知らんからな。答えようがないよ」
「お父さんの方が強いよ! だって、さっき悪魔の大群を魔法で全部やっつけたもん!」
さっき村で起きた大爆発は、ネギの親父の仕業なのか!?
俺も大概、バカみたいな強さをもつ連中を知ってるけど、ネギの親父は間違いなく最強クラスの一人だな。
正直なところ、『今』の俺じゃあ、とても勝てそうにない。
「ネギ。さっきから気になってたんだけど、ネギがもってるその杖って……」
「うん! さっき、お父さんからもらったんだよ!」
大喜びしているネギとは対象的に、ネカネちゃんが複雑そうな表情を浮かべていた。
どうやら、この家族にはいろいろと事情があるらしい。
赤の他人の俺は、口出ししない方がいいだろう。
「これから、二人はどうするんだい?」
「はい。この小屋に隠れて、救援を待ちます」
「そうだな。あの化け物も全部いなくなったようだし、二人でいても大丈夫だろう」
手紙に書かれていたことが正しければ、これから俺はまた別の場所に飛ばされることになる。
万が一にも二人が巻き込まれないように、この小屋から離れた方が賢明だろう。
「あの……これからどちらへ?」
「これから、どうしても行かなきゃいけない場所があるんですよ。
ネギ、お姉ちゃんを大切にしろよ。それから、立派な魔法使いになるんだぞ」
「大丈夫だよ! お父さんからもらった、この杖があるもん」
「そうか。そうだったな」
ネギの頭をクシャッと撫でてから、俺はその小屋を後にした。
小屋を出てしばらく歩くと、しだいに周囲の風景がぼやけていき、やがて何も見えなくなった。
(続く)
【後書き】
よろず小ネタ掲示板では、はじめまして。
最近、GSとネギまのクロスにはまってしまい、とうとう自分でも書いてしまいました。
新たな連載を始めるくらいなら、あの話とかこの話の続きを書け! というお叱りもあるかと
思いますが、そちらも少しずつ頑張りますので、どうか見逃してください。(汗)
一応、エヴァクロスの方は、少しずつ書き進めています。
ネギの過去から話を始めたのは、ネカネちゃんフラグを立てるためであり、それ以外の理由は
いっさいありません。(爆)
連載が続いたら、黒薔薇男爵が出てくる可能性も少しはあります。
また、正直なところ、某所のSSの影響が強いと自分でも思ってます。
しかし、原作準拠でないと宣言しているとはいえ、最初から原作と違った話にするわけにも
いかず、やむなくこういう形でまとめました。
ネギまとGSクロスの話では、原作に近い性格の横島が喜ばれるようなので、こういう作風に
はあまり需要はないかもしれません。
とりあえずエヴァンジェリン編まで書いてから、その先をどうするか考えてみたいと思います。