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「宇宙への道エピローグ(宇宙のステルヴィア)」

ヨシ (2007-02-25 00:06/2007-02-26 23:08)
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*全部書いたんですけど、容量が多かったので分割しました。


エピローグ1


(西暦2359年9月1日「ステルヴィア供彝頁叱貌癲

「孝一郎。(プラテュプテルス)の整備が完了したよ。今日はミアと真人もくる事だし、派手に歓迎しないとね」

「ジェネシスミッション」終了直後、残存したファウンデーションが「ビジョン」のみとなってしまった影響で、宇宙学園の生徒達の教育にすら支障をきたすようになったので、太陽系連盟の主導でファウンデーションの緊急再建事業がスタートし、大急ぎで工事が進められていた。
「ビジョン」一つに五つの宇宙学園の生徒達と職員達ではやはり手狭で、俺達はすぐにコロニーなどにスペースを間借りをし、「ステルヴィア供廚了楡澆ある程度完成してから、そこに移動していた。
ただ、正式な完成には更に2年の月日が必要という事で、地球圏に浮かぶ「ステルヴィア供廚砲蓮△泙盛組みだけの部分や工事中の箇所が多数存在していた。
そして、あの「ジェネシスミッション」から二年の月日が経ち、俺とアリサは無事に本科生になっていた。
俺はパイロット課程のままで、アリサはパイロットとしての自分の才能に見切りをつけて整備科へと駒を進め、そこで才能を発揮したアリサは、俺が新たにテストパイロットに任命された新型オーバビスマシンの先行試作一号機「プラテュプテルス」の先任整備士となっていた。

「御剣先輩は忙しいそうだから、私がキチンとやっておいたからね」

「サンキュー」

「でもさ。(プラテュプテルス)なんて呼びにくいよね」

「名前の由来は、バショウカジキの学名だって聞いたな。カジキの中で一番早く泳ぐそうな」

「でも、カジキには見えないね」

「(ケイティー)と(ビアンカ)を足して2で割ったような外見だしな」

「そして、役目を終えた(ビアンカマックス)は、博物館行きか・・・・・・」

新型オーバビスマシンの開発データを取るために、かなり酷使された「ビアンカマックス」は、二年前の「ジェネシスミッション」の功績を称えるために建設中の博物館の展示品になる事が決まっていた。
ケント先輩の父上であるラルフ・オースチン会長によると、「既に元は取ったので、最後のご奉公」という事であった。

「さらば青春の(ビアンカマックス)よ!」

「孝一郎。オジさんくさいわよ」

「そうか?」

「孝一郎君!アリサ!早く会場に行こうよ!」

二人でそんな話をしていると、格納庫内に良く見知った人物が入ってくる。
彼女こそ本科生の主席をキープし続け、今回の新入生歓迎イベントの実行委員長に任命されたしーぽんこと片瀬志麻その人であった。

「俺は、りんなちゃん達と華麗な飛行を披露する事になっているんだけどね」

「ジェネシスミッション」後のドタバタで、大した事もできなかった去年の新入生歓迎会とは違い、我々に任される事になった今年の歓迎会は、今までにない規模で計画され、実行委員長であるしーぽんと、成績は中の上程度なのに「ジェネシスミッション」で存在感を示し、かなりの有名人になっていた副実行委員長の大によって計画通りに進んでいた。

「アリサぁーーー!私一人じゃ不安だよーーー!こういうのは、アリサの方が絶対に向いているって!」

「それなら、実行委員長に任命された時に断りなさいよ。とにかく!実行委員長はあなた!」

「そんなーーー!」

「まあまあ。しーぽんは愛しい光太が不在で、大きな不安を抱えているわけなんだよ。わかるかね?アリサ君」

「そういえばそうでした。ごめんね。しーぽん。寂しかったんだよね?」

「そんな事はありません!」

俺が今日は不在の光太の事を尋ねると、しーぽんはムキになって反論する。
二人は、付き合い始めて大分時が経っているのに、まだ恥ずかしい部分が残っているようであった。

「それじゃあ、会場に行くとしますか。大とナナが待ちくたびれているんでしょう?」

「それはそうなんだけど・・・・・・」

「じゃあ、会場に向かってレッツ!ゴーーー!孝一郎。またね」

「そっちは任せるよ」

「本当に私が挨拶するの?」

「実行委員長なんだから、当り前でしょうが!」

「緊張するよーーー!」

「ほら!行くわよ!」

「お二人さん。またねーーー」

「厚木君。準備は万端かな?」

「我々の時以上の規模らしいからな。失敗しないようにしてくれよ」

「新型オーバビスマシンか。今度、乗せてね」

「ジェットにちゃんと鍛えられているようね。見事な整備だわ。グレンノースは」

俺が二人を見送っていると、今度は「ビック4」の面々が入って来て俺の「プラテュプテルス」を見上げていた。
彼らは無事に本科生の課程を終了して専科に進み、初佳先輩は教官一年生として、他の三人は迅雷先生と同じように「ステルヴィア供廚亮ヾ幹部候補生として忙しい日々を送っていた。

「通常の(ケイティー)部隊の編隊飛行の他に、お嬢の(アルキュオン)と俺の(プラテュプテルス)の披露ですからね。今年の新入生はラッキーですよ。唯一の心残りは、(インフィニティー)の不在ですかね?」

「定期偵察飛行だからね。日程の変更が難しかったんだよ。一日ずれると結果がまるで変わってしまうし」

「そうだな。(コズミックフラクチャー)の影響をちゃんと調べないと、土星から先の探索・定住プロジェクトも計画できないからな」

光太は新型DLSを積んだ「インフィニティー」を利用しての、偵察飛行を定期的に行っていた。
ファウンデーションの再建計画が一段落した今、土星以降の太陽系の惑星の様子を偵察し、もしフラクチャーの影響が少なければ、資源探査と移住実験プロジェクトを開始する事になっていたからだ。

「孝一郎君が、偵察をしても良いのにね」

「俺ですか?新型DLSと言ったら、やっぱり光太ですよ」

「あなたも上手く使えるようになったじゃないの」

「ですが、あの高感度の新型バージョンをちゃんと使えるのは、光太だけなんですよ。あーーーあ。また、離されちゃいましたね」

「厚木。そろそろ時間よ」

「えへへ。すいませんね。ナジマ先輩」

俺が「ビック4」との会話を打ち切り、「プラテュプテルス」のコックピットの電源を入れると、サブモニターに接近する「フジヤマ」の姿が映し出される。

「いよいよ。真人とミアが来るのか」

「孝一郎君。準備は大丈夫?」

そんな事を考えながら独り言を呟いていると、正規に「アルキュオン」のパイロットに任命されたお嬢から通信が入ってくる。
彼女は、俺に積極的にアプローチをかけてくる事も無くなっていたが、未だに浮いた噂が存在せず、周囲からは「隙を狙っている可能性が高い」と良く言われていた。

「アリサが、キチンと整備してくれたよ。俺の方も大丈夫」

「別れる予定はない?」

「残念ながらありません」

「本当・・・・・・。残念」

「他に良い男を捜しなよ。せっかくの美女が勿体ない」

「でも、私の周りの男性ってね・・・・・・」

「ははは・・・・・・」

お嬢の周りにいるフリーの男性を見ると、付き合いが長くなるにつれ女性関係がだらしない事が判明した古賀先輩と、まだどことなく頼りないとお嬢に思われている、ピエールのみとなっていた。

「ピエール君も、もう少しなんだけどね」

「やよい。ピエールと付き合うの?」

「もう少しで、基準に達するという事だけでしょう。それよりも、りんなちゃんはどうなの?」

俺は、お嬢との会話に割り込んできたりんなちゃんに逆に質問を投げかける。
彼女は二年で更に可愛くなっていたが、まだ14歳と言う事もあって、こちらも浮いた話題は存在しなかった。

「暫くお預けかな?光太、孝一郎、御剣先輩、ケント先輩と良い男は、みんな彼女がいるからね」

俺の基準では微妙な線にいる御剣先輩も、りんなちゃんにとっては良い男であるらしい。
確かに、変わり者ではあったが、容姿でだけで見れば彼は非常に美男子であった。

「ケント先輩が?」

「孝一郎。知らなかったの?」

「知らないよ」

「前の休日に、町田先輩と一緒にいるところを目撃したよ」

「へえ。やっぱり、近場でくっ付くものなんだね」

お嬢とは違い、俺よりも条件の良いフリーの男性が近くにいる初佳先輩は、早々とそちらに切り替えてしまったようだ。
正直なところ、嬉しくもあり寂しくもあるような複雑な心境であった。

「さっき、問い詰めてやれば良かった。面白そうだったのに」

「残念だったね」

「りんなちゃん。孝一郎。そろそろ出番だぜ」

「もう、とっくに(フジヤマ)は見えているし」

「了解!」

「了解!話し込み過ぎて、タイミングを逸するところでした。相変わらず仲のよろしいジョジョ君と(晶っち)に感謝って事でね」

「厚木。その(晶っち)ってのを止めて欲しい・・・・・・」

俺は良い呼び方だと思うのだが、本人には少し不満があるようであった。

「俺独自の呼び方を研究したのに・・・・・・。いつまでも、(栢山さん)じゃあおかしいじゃないか」

「呼び捨てで良いじゃないの」

「それは、ジョジョに悪いからさ」

「俺は別に気にしないけど・・・・・・」

「そろそろ時間だよ。全員、所定の配置に準備はオーケー?」

「「「「「オーケー!」」」」」

「ケイティー」部隊の指揮官であるりんなちゃんの指示で全員が発進準備を整え、あとはタイミングを計るだけとなっていた。


「うううっ・・・。陽子さぁーーーん」

一方、歓迎を受ける側の「フジヤマ」に乗っている片瀬真人は、出発前に知った衝撃の事実に一人打ちのめされて涙を流していた。

「真人。大丈夫?でも、宇宙に感激しているわけじゃあないんだよね?」

同じく、先ほどまで涙を流していたミアは、自分どころでは無くなったので、真人に慰めの言葉をかけつつ確認を取っていた。

「さようなら。僕の初恋・・・・・・」

真人は涙を流しながら、一枚の写真を見つめていた。
それは、自分の父親が紹介した若手小説家と初恋の女性である音山陽子の写真で、更に音山陽子はウエディングドレスを着ていた。
仕事の都合と、「派手なのは嫌い」という彼女の意見で披露宴は行われなかったが、今度の年末年始に、弟の光太の帰郷に合わせて身内だけで披露パーティーを行う事になっていて、その招待状を見送りに来てくれたナスカ宇宙港で写真と共に渡されて、大きなショックを受けていたのだ。

「真人。ほら」

「ありがとう・・・。ずずっ!」

真人は、ミアからハンカチを貰ってそれで、目の周りと鼻を拭いたが、そのハンカチは事前にミアが使用していたらしく、少し湿っていた。

「(気を使ってくれて、ありがたいんだけど・・・・・・)」

片瀬真人のテンションは、そのハンカチのせいで更に低下するが、それを遮るようにミアが大きな声をあげて窓の外を指差した。

「真人!見て見て!綺麗だよ」

「すげえ!(ケイティー)があんなに沢山!」

「綺麗だなぁーーー」

「フジヤマ」の外では、多数の「ケイティー」が光の尾を引きながら華麗な飛行を続ける。
そして、他の予科生達も外の光景に気が付き始め、大喜びで歓声をあげ始めた。

「本当だ・・・・・・。綺麗だな・・・・・・」

いつの間にか、真人も悲しかった現実を忘れて外の光景に見入っていた。

「あっ!(アルキュオン)だ!」

「新型のオーバビスマシンもいるぞ!」

「確か、(プラテュプテルス)とかいう名前だったような・・・・・・」

新入生達がたち話を続けていると、「フジヤマ」のラウンジのテレビ画面に一人の美女の姿が映し出される。

「(アルキュオン)パイロット。本科生2年の藤沢やよいです。(ステルヴィア供砲砲茲Δ海宗」

「うわーーー!綺麗な先輩だなーーーって、痛ぇ!」

失恋のショックも忘れて画面内の藤沢やよいに見とれていた真人は、ミアに足を踏まれて悲鳴をあげる。

「(ステルヴィア供砲砲茲Δ海宗(プラテュプテルス)のテストパイロットの厚木孝一郎だ!」

「「「「「あーーー!(ジェネシスミッション)の時のキス男だ!」」」」」

続いて、俺が自己紹介をした瞬間に全員が一斉に同じ事を口にする。
あれだけのミッションを成功させたので、ファンレター等が届くと思っていた俺であったが、大のきまぐれで全太陽系に放送されたキスシーンのせいで、一通も届かないというアクシデントに見舞われていた。
既に彼女のいる男に興味はないのであろうと思われる。

「お義兄さん・・・・・・」

「えーーーっ!お義兄さん?」

「あのね・・・・・・。数年後には、そうなる可能性が高いわけで・・・・・・」

孝一郎の姿を見て予想外の単語を口にしたミアに、真人は驚きの声をあげた。

「やっほーーー!りんなだよ。ピーターパンとティンカーベルの世界にご招待!」

「先輩なんだけど、年下なんだよな。綺麗な子だな・・・って、痛ぇ!」

再び余計な事を口走った真人は、ミアに足を踏まれた。

「おやおや。お二人さん。既に入学式前からお知り合いで?」

「羨ましい限りだな」

「痛たたたぁ・・・・・・。えーーーと。君達は?」

真人は踏まれた足を上げて擦りながら、声をかけてきた二人の少年に正体を尋ねる。

「俺の名前は、御剣ターボだ!日本出身だ!」

黒髪で長身の美男子が挨拶をしてくるが、彼の名前は随分と変わっていた。

「えーーーと。覚え易いというか・・・・・・。個性的な名前で・・・・・・」

「俺の兄弟って、みんなこんな名前だけどね。親父の趣味みたいだよ。ちなみに、兄貴はステルヴィアで本科生をやっている。兄貴は整備科だけど、俺はパイロット志望だぜ」

「俺の名前は古賀三四郎だ。兄貴はパイロット科の本科生だけど、俺は整備科志望でね。ちなみに、こいつとは幼い頃からの腐れ縁でね」

続いて、黒髪の同じくらいの身長の少年が自己紹介を終えると、テレビ画面には続いて「ステルヴィア供彳發旅崙欧映し出され、そこには実行委員長である片瀬志麻がマイクの前に立っていた。

「あーーー!姉ちゃん!」

「お前、あの片瀬志麻の弟なのか?」

「すげえ!」

「ねえ。やっぱり、こういう事はアリサの方がさ・・・・・・」

御剣と古賀は、画面に映っている片瀬志麻に素直に感動し真人の正体に驚いていたが、肝心の片瀬志麻本人は、慣れない挨拶に四苦八苦しているようであった。

「だぁーーーめ!実行委員長は、あんたなんだから!」

「お姉ちゃん!」

「おーーー!君は、あの厚木孝一郎の彼女の妹なのか!」

「あの完全中継された感動のキスシーン。男はこうあるべきだ!」

続いてアリサの姿を見た二人は、「ジェネシスミッション」時のあの事件を思い出し、素直に感動していた。

「さあ!気合を入れて挨拶言ってみようか?」

「えーーーと。こういう事は柄じゃないんだけど、新入生のみなさん。入学おめでとうございます・・・・・・」

「僕の名前は、片瀬真人です」

「ミア・グレンノースです」

「改めて。御剣ターボです」

「古賀三四郎です」

片瀬志麻の挨拶が始まると、それをバックに4人の男女が挨拶を始める。
それは、二年前のあの4人の男女の出会いと同じような光景であった。
歴史はまた繰り返し、新しい縁が生まれてそれが育っていく。
そして、「ステルヴィア供廚任糧爐蕕粒萍が、また新しい歴史を生んでいくであろう。
それを後に語る機会がある事を祈りつつ、物語は一旦幕を閉じるのであった。


            エピローグ2 

(西暦2361年8月12日、「ステルヴィア供彳眤臑琉藉枡癲

「今日、この特設会場で行われる柔道の中継をお送りするのは、放送部のエースであるアリサ・グレンノースに代わり、パイロットからアナウンサーまで、多芸を誇る美女木下ナナがお送りします」

「自分でそこまで言うかい!全太陽系中の女性の僕。ピエール・タキダです」

あの「ジェネシスミッション」から4年の月日が流れた。
「セカンドウェーブ」・「コズミック・フラクチャー」と続いた太陽系の混乱から完全に脱し、「ステルヴィア供廚魎泙牾届農鰻の象徴であるファウンデーションの再建が成った現在、それを祝うためのイベントが行われる事となった。
「ファーストウェーブ」直後のように、再び中止も止むなしと思われていたオリンピックを、月面都市と「ステルヴィア供廚魏饐譴箸靴胴圓錣譴觧となったのだ。
地球上以外でのオリンピック開催は人類の歴史史上初の事であり、大会は今までにない盛り上がりを見せていた。

「我が(ステルヴィア)勢は未だにメダルを獲得していませんが、今日は待ちに待った期待の選手が出場を果たします。前大会の柔道競技で、日本代表として2個の金メダルを獲得した厚木孝一郎その人です!」

「彼は、一時間後の出番となっています。(ステルヴィア)に初のメダルがもたらされる事を期待しつつ、その出番を待つ事にしましょう」

「(ナナりん)も、即席の割には上手いじゃないか」

「孝一郎。(ナナりん)って何?」

「俺が考えた彼女のあだ名」

「(晶っち)も不評なのに、また増やすの?」

「アリサ以外の女性を、そのまま呼び捨てにしないようにするための絶妙な策なのに・・・・・・」

「今更、どうでも良いと思うけどね」

オリンピック柔道種目は、「ステルヴィア供彳發砲△訛膩紳琉藉曚望を引いてそこで行われていた。
そして、その出場者である俺は、特別に設置された控え室でアリサと共に出場の出番を待っていた。

「コンコン!」

「はい!」

ドアがノックされたので返事をすると、中に多数の男女が入ってくる。

「ケント先輩。いえ、オリンピック実行委員長。時間は大丈夫ですか?」

「大丈夫だって。というか、(ステルヴィア)の参加選手の中で唯一のメダル候補だ。せめて、メダルを取ってくれとお願いにね」

「勝負は魔物ですからね。確証は持てませんよ」

「そうよ。あまり無茶を言っては駄目よ。孝一郎君は、あなたのお兄さんの機嫌を損ねてまで、無理を聞いて出場してくれたんだから」

俺は本当は出るつもりはなかったのだが、9月1日付けで「ステルヴィア供廚諒欅舵凜僖ぅ蹈奪伐欖管候補生としての就職が決まっていたので、織原司令、リチャード主任教授、ヒュッター教官、迅雷先生などの願いを断れなかったのだ。
それに、オリンピック実行委員長と副委員長であるケント先輩と初佳先輩の顔を立てたという事情もあって、再び73kg以下級の代表選手と、他の参加選手達の強化練習の指導員を、忙しいスケジュールを縫って引き受けていた。

「初佳先輩の優しさに感謝しますよ」

「副実行委員長だからね」

「初佳の尻に敷かれているとも言うわね」

「そうですね。ナジィの言う通りかも・・・・・・」

二人は質問をされても上手くはぐらかしてしまうが、誰が見ても交際しているという状態であった。

「ナジィ。御剣君。それは酷くないかい?」

「酷いのは、ケント。お前だ!」

「どうしてだい?笙人」

「メダル候補なら、ここに二人もいるからだ!それも、柔道でだ!」

「笙人先輩の言う通りですよ」

続けて、柔道着を着た笙人先輩と古賀先輩も入ってくる。
実は、笙人先輩も古賀先輩も職場の先輩となる事が決まっていて、俺は知り合いである事と大人の配慮で、二人を懸命に鍛えていたからだ。

「笙人先輩・・・・・・。ますますヤツれましたね・・・・・・」

「厚木と同じ階級では、代表にすらなれないからな。階級を一つ落としたって事はお前も知っているだろうが」

実は、笙人先輩も俺と同じ階級だったので、このままでは「ステルヴィア供廚梁緝修砲發覆譴覆い函⊃凜月前から壮絶な減量を開始していて、俺はその計量結果が非常に気になっていた。

「昨日よりも痩せましたね・・・・・・」

「減量がギリギリだったので、断食を敢行した。何か食べさせてくれ」

俺が控え室に置いてあったバナナを差し出すと、笙人先輩は勢い良くそれを食べ始め、その様子は、まるで戦後の欠食児童のようであった。

「それで、計量は通ったんですか?」

「それは、無論大丈夫だ」

「僕も、計量で苦労してね」

「古賀先輩は、昨日よりも太ったような・・・・・・」

続けて自身の苦労を語りだす古賀先輩であったが、彼は逆に物凄く太っていた。
実は、古賀先輩も俺と同じような体重だったので、彼は代表選手になるために、逆に太る事が要求されていたのだ。

「僕もウェイト管理がヤバくてね。なかなか太れないから、計量前にペットボトルの水をガブ飲みしたんだ。おかげで、腹がタプタプだ」

「本番で動けなくて、負けないようにしてくださいよ」

「こらぁーーー!お前に聞きたい事があったんだ!何で、オリンピックに出てるんだよ!」

更に控え室のドアが蹴り破られ、中に久しぶりに見る金髪ゴリラが乱入してくる。

「えーーーと。グリコ・オースチンさんでしたっけ?」

「グレッグ・オースチンだ!お前!何でオリンピックに出てるんだよ?」

「宮仕えの辛さかな?上司の命令にはね・・・・・・」

「ぐぐぐぅ・・・・・・」

「兄貴。彼は73kg以下級にしか出ないから、対戦しないだろう。それとも、勝つ自信がないのかな?」

「それはそうだが!」

「正直、うちの無差別級の代表では、一回戦も危なくてね・・・・・・」

それは、どの競技にも共通して言えていた。
人口も少なく、忙しい学業や仕事を縫って練習している「ステルヴィア供廚梁緝汁手のレベルは平均的に低く、厚木孝一郎が最初で最後のチャンスと言われるほどの選手層の薄さであった。

「とにかく!無差別級に顔を出すんじゃないぞ!」

「補欠にも登録されてませんけど・・・・・・」

「ふん!」

グレッグはそれだけを言うと、控え室を後にしてしまった。

「厚木君。すまないね」

「昔よりは、大人になったんじゃないですか?」

「親父に首根っこを掴まれているからね」

「納得です」

ケント先輩は兄の無礼を謝っていたが、あれなら大分マシになったと言えるであろう。

「うわーーー。孝一郎君の柔道着姿って、やっぱり格好良いわね」

「そうだね。やっぱり似合っているよ」

「孝一郎。頑張ってね」

「頑張って」

「孝一郎。表彰台。表彰台」

「ナナが実況をしているからさ。頼むよ」

「僕達は、応援くらいしかできないけどさ」

続いて、お嬢、しーぽん、りんな、晶、ジョジョ、大、光太とお馴染みのメンバーが入って来て、口々に応援の言葉を述べる。

「なーーーに。来月には、探査任務に赴く光太としーぽんへの俺からのプレゼントさ。金色のメダルを実際に首にかけてみるが良いさ」

「ありがとう。孝一郎君」

「ありがとう。孝一郎」

来月の初旬に、土星以降の太陽系の惑星とその外縁の調査に赴くメンバーとして、「インフィニティー」のパイロットである光太としーぽんが選抜されて出発する事になっていた。
ようやく太陽系内の復興作業の目処が立ち、次の開発・移住計画に先立っての調査という事であった。
例の「コズミックフラクチャー」の影響を調べるのが最大の任務で、期間は5年間という長期に渡っていた。

「光太としーぽんなら、戻って来た時には、子供とかがいそうだよな」

「言えてる。宇宙船内で結婚・出産ってか?」

「年齢的にも、ちょうど良いんじゃないの?式は、戻ってきてから、またやって欲しいな」

「なっ!そんな事は!」

「孝一郎君達や、ジョジョ達こそ!それに、大ちゃんも!」

「それは、否定しないな」

「そうだな」

「そうだね」

「3人共、否定しない・・・・・・」

俺達のアッサリとした答えにしーぽんは、かなり驚いていた。

「孝一郎君。子供が欲しいの?」

「ああ。欲しいね。子供は、可愛いからね」

「アリサ。孝一郎君。どうかしたの?」

「ほら。日本から応援にご両親と・・・・・・」

「ああ!亜紀ちゃんか!」

「お兄ちゃん。応援に来たよーーー」

「ありがとうな。亜紀」

今度は、俺の両親と妹の亜紀が控え室に入ってきて、俺は無邪気に駆け寄ってくる亜紀を抱っこしていた。
彼女は「コズミックフラクチャー」襲来の1ヶ月後に生まれていて、俺はこの亜美やしーぽんには似ていないが、3歳の可愛い妹を溺愛していた。
たまにしか会えない点が、俺を更なる妹萌えに向かわせているのであろう。

「お兄ちゃん。メダル取るの?」

「ああ。取るよ。みんなに見せたら、亜紀にあげようかな?」

「ありがとう。お兄ちゃん」

「「「「アリサ。妬ける?」」」」

しーぽん、晶、やよい、りんなの4人は、同時にアリサに同じ質問をする。

「仕方が無いわよ。あの子には、絶対に勝てないからね」

「確かに、あの子には誰も勝てないか」

「それじゃあ、時間なので会場に行きますわ。亜紀。お兄ちゃんを応援してくれよ」

「うん。わかった」

「それと、アリサもヨロシクね」

「こらぁーーー!可愛い彼女に向かって、ついでのように言うな!」

「アリサさん。バカな息子ですいませんね。何でも、食事やら掃除やら洗濯で多大な迷惑をかけているとかで・・・・・・」

「すいません。教育不足でした」

「いえ・・・・・・。そんな事は・・・・・・」

「あのバカを見捨てないでください」

「直させる点は、直させますから」

「俺って!そんなに駄目男かい!」

俺は両親とアリサの会話を背に、笙人先輩と古賀先輩と共に試合会場へと向かうのであった。


「笙人。ベスト8まで行った事は評価するけど、せめて銅メダルを・・・・・・」

「やはり、甘い世界ではなかったな」

「ケント先輩。やはり、重くて動けませんでした!」

「二回戦負けか・・・・・・」

会場で各階級の試合は予定通りにスタートし、「ステルヴィア供廚料手達はほとんどが一回戦負けを喫していたが、それは仕方の無い事であった。
ケントから見れば、「ステルヴィア供廚梁緝汁手の大半は、他の国では代表にすらなれないくらいのレベルの低さで、当然といえば当然の事だったのだが、数ヶ月も練習に付き合ったので、せめて一回戦くらいは突破して欲しいという気持ちも存在していたのだ。
それでも、古賀が判定ながらも一回戦を突破した事や、同じく笙人が判定で負けたとはいえ、ベスト8まで駒を進めた事は奇跡に近い出来事であった。

「そして、唯一の希望の星である厚木君は、決勝まで全部一分以内で一本勝ちか・・・・・・」

「この階級には、期待の新星やベテランの強者があまりいないそうよ。孝一郎君が頭2つくらいリードしているからね」

「でも、決勝の相手は、柔道大国日本の選手よ」

初佳とナジマは、決勝戦の相手が柔道競技におけるメダルの常連国である日本代表である事に不安を感じているようであった。

「厚木君が日本にいた頃は、代表になれなかった人らしい。彼も、厚木君がいなければ、金メダルに手が届くのに・・・・・・」

「そして、お前の兄貴は・・・・・・」

「下馬評通りに、金メダル獲得か。ライバル不在だからね」

グレッグ・オースチンは性格はアレであったが柔道は強く、ちゃんと地道に練習を積んでいたので順調に勝ち進み、見事に初の金メダルを獲得していた。

「これで、機嫌が良くなってくれればね」

ケントがそんな事を考えている内に、73kg級の決勝戦がスタートする。

「ケント」

「何だい?初佳」

「やっぱり、厚木君を諦めたのは時期尚早だったかも」

「・・・・・・・・・・・・・」

「嘘よ。さあ、可愛い後輩の応援に行きましょう」

ケントは、初佳に腕を引っ張られながら最前列の席に移動するが、そこでも同じような発言が耳に入ってしまう。

「やっぱり、惜しかったわね。でも、アプローチをかけても無駄だからなーーー」

「藤沢君・・・・・・。君もか?」

最前列の席では、多くの関係者が観戦をしていた。
そして、そこで未だに誰かと付き合っている噂が存在せず、「不沈戦艦藤沢」の異名を誇る藤沢やよいの心の声を聞いてしまった。

「初佳は良いのよ。ケント先輩がいるから。でも、私はねえ・・・・・・」

「やよいが、全部のアプローチを断るからでしょうが!」

「だってねえ・・・・・・」

「タキダ君はどうなのよ。何年も可哀想に」

「うーーーん。もう少しなんだけどね」

ピエールは、藤沢やよいに振り返って貰えるようになるべく、涙ぐましい努力を続けていたが、未だに色よい返事を貰えずにいた。

「やよい。あなた。悪女よ・・・・・・」

「否定はしないわ。ほら、決勝戦が始まったわよ」

やよいの指摘で、初佳が試合会場に視線を向けると、そこでは決勝戦の試合が始まりつつあった。

「遂に(ステルヴィア供砲暴蕕龍皀瓮瀬襪もたらされるか?決勝戦のスタートです!さて、実況は放送部のエースが彼氏の応援で忙しいので、パイロットからアナウンサーまで多彩な才能を発揮する木下ナナがお送りします」

「だから、自分で言うなよ・・・・・・。全女性の僕。ピエール・タキダです」

「そんな事を言っているから、藤沢さんにフラレ続けるのよ・・・・・・」

「五月蝿いなぁーーー!さて、遂に73kg以下級の決勝戦のスタートです。既に(ステルヴィア供砲砲蓮⊇蕕離瓮瀬襪もたらされる事が決定していますが、その色が金色である事に期待したいと思います」

「あっ!そうだ!ゲストをお迎えしていました。宇宙学園の教官主任にして、(ステルヴィア供砲亮ヾ司令候補と目される、最近、額の広がり方が激しい白銀迅雷先生と」

「保健室のアイドルの地位を死守している、蓮花蓮先生でお送りしております」

「誰が!額の広がり方が激しいんだよ!」

「えーーーと。周りの噂と言いますか・・・・・・。事実と申しましょうか・・・・・・」

確かにナナの言う通りで、迅雷は仕事でストレスが溜まるのか、その髪の毛を大量に失っていた。

「迅雷君。もう結婚しているから良いじゃないの。人はいつか禿げるものなのよ」

「蓮。自分が昔と全く見た目が変わらないからって・・・・・・」

「結構、見えない部分がヤバイのよ。今度、見てみる?」

「いや・・・。いい・・・・・・」

「レイラに怒られちゃうか」

「さあーーーて!大人の際どい会話はこのくらいにして、いよいよ決勝のスタートです!」

「ふふふ。(ステルヴィア兇琉罅康○)と呼ばれた、俺の一番弟子の活躍に期待だな」

「迅雷君。厚木君に、一度も勝てた事がないじゃないの・・・・・・」

「それは・・・・・・」

「しかも、代表戦で古賀君にまで負けちゃって・・・・・・」

「それは、あいつが厚木との勝負を避けるからだ!」

「普通の人なら避けるわよ。ほら、決勝戦の相手選手の嫌そうな顔」

「前は厚木のせいで代表選手になれなかったけど、今は厚木がいないから、国際試合でも負け無しだったらしいな。彼も可哀想に・・・・・・」

二人の目は、決勝戦の試合会場に向いていた。


「しょうがない・・・・・・。銀メダルで諦めるか・・・・・・」

決勝戦の対戦相手である日本代表選手が、自分のコーチの方に視線を向けると、彼は口を動かして何かを言っていた。

「何々・・・・・・。(俺も、その考えに賛同だ)か・・・・・・。普通はコーチなんだから、対策くらい・・・・・・。(減量して階級を一つ落とすか、筋肉を付けて階級を一つ上げるしか策は無い)か・・・・・・。もはや、コーチの助言とも思えない・・・・・・。というか、それは一年前に言え!」

前の大会で厚木孝一郎の指導を行っていた彼には、自分と孝一郎との実力差がよくわかっていたようで、あまり役に立つ助言もしなかった。

「はじめ!」

「(厚木孝一郎は、最強のジョーカーか。頼まれて出てるのに最強なんて、世の中って理不尽だよな・・・・・・」

試合が始まりつつも、彼は心の中でこんな事を考えていた。
そして、僅か48秒で畳に叩き付けられるのであった。


「お兄ちゃん。凄いねーーー」

「任せなさぁーーーい!」

決勝戦は、試合開始48秒で一本背負いを決めた俺の勝利となっていた。
試合も無事に終わり、初の「ステルヴィア供廚離瓮瀬覲容声圓任△覯兇紡舂未隆神爾届く中、俺は表彰台でメダルを授与されてから、ちょこちょこと駆け寄って来た亜紀を抱き上げてその首にメダルをかけてあげる。

「凄いね。綺麗だね」

「あとであげるから。先にしーぽん達に見せてあげな」

「うん」

「へえ。身近で見ると、綺麗な物なんだねぇ」

亜紀が外したメダルをしーぽんに渡すと、彼女はそれを感心しながら眺めていた。

「光太も、練習して出れば良かったのに」

「それで、笙人先輩と代表の座を競うの?そんな、疲れる事は嫌だな」

「お前は、これだからな。せっかくの才能を無駄にしやがって」

「だから、(インフィニティー)で頑張っているじゃないか」

「来月には、出発か」

「5年は長いけどね」

「調べる場所が多いからだろう。(コズミックフラクチャー)の影響を、実際に調べに行くんだ。正直、何が起こるかもわからないし」

「5年後には、ちゃんと帰って来るさ」

「そうだな。それと、お願いがあるんだけど」

「何だい?孝一郎」

「子連れでも良いから、戻ったらしーぽんと結婚式をやって、俺達を招待してくれよ」

「話を蒸し返すな・・・・・・。孝一郎は・・・・・・」

「ねえ。お兄ちゃん」

「どうした?亜紀」

俺と光太が話をしていると、抱っこしていた亜紀が俺を呼ぶ。

「あのね。お義姉ちゃんを放って置いちゃ駄目!」

「グハっ!」

俺は亜紀に鋭い指摘を受けて、大きなショックを受けてしまう。

「お前、3歳の女の子に説教されるなよ・・・・・・」

「ジョジョは、五月蝿いなーーー!亜紀。お父さんとお母さんの所に行ってな」

「うん」

俺は、亜紀が両親の所に走っていく姿を確認してから、なかば婚約状態にあったアリサに視線を向けた。
実は本科生の課程を修了し、職場での仕事が落ち着いてから結婚しようと考えていて、その事を既に両親にも話していたので、亜紀はアリサの事を「お義姉ちゃん」と呼んでいたのだ。

「おめでとう。孝一郎」

「ありがとう。うーーーん。おめでたいんだけどね・・・・・・」

「どうしたの?」

「経済大国である日本と違って、(ステルヴィア)でメダルを取っても特典が少ないから」

「名誉だけだものね」

「強欲では無いけど、貰える物は貰っておく主義なんだ」

「厚木君。僕が個人的に食事にでも・・・・・・」

さすがに、出場を頼んでおいて何も無い事に罪悪感を感じたのか、ケント先輩が食事に招待する事を提案する。

「焼肉が良いですね」

「賛成だ!」

「笙人は・・・・・・。沢山食べて、早く元に戻りなさいよ・・・・・・」

初佳は、顔がやつれている笙人に苦言を呈す。

「焼肉良いねえ」

「古賀は、痩せないと大変な事になるわよ・・・・・・」

「キムチを多めに食べますよ」

同じく、古賀はナジマに苦言を呈されていた。

「それじゃあ。終わった事だし、早くお店に行きますか」

「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」

「えっ!みんなの分も僕が出すの?」

「ケント。言い出しっぺの責任を果たしなさい」

「初佳」

「何?」

「貸して・・・・・・」

「ちゃんと返しなさいよ」

ケントが自分の不注意で招いた急な出費に頭を抱えていると、オリンピック関連の仕事に動員されていた片瀬真人、ミア・グレンノース、古賀三四郎、御剣ターボがこちらにやって来る。
入学から2年。
四人でつるむ事が多くなっていた彼らは、無事に本科生となっていた。

「あーーーあ。疲れたなぁーーー」

「お仕事が多過ぎよね」

「学生まで総動員だからな。(ジェネシスミッション)以来の事だ」

「でなきゃあ。こんなに短期間で、オリンピックなんてできないって!」

「よう。縁の下の力持ちは大変だな」

「厚木さん。金メダルおめでとうございます」

「「おめでとうございます!」」

「お姉ちゃん。お義兄さん。よかったね」

「ありがとう」

「お義兄さんと呼ばれても、動揺しないなんて・・・・・・」

「さすがは、全太陽系中にキスシーンを公開した男・・・・・・」

「三四郎。その話を蒸し返すかね。更に4年も前の事を!大!こんちくしょう!」

俺は近くにいた事件の首謀者である大に、今年何回目かになる微妙な怒りをぶつけた。

「えーーー!孝一郎も、その事を蒸し返すのかい?」

「今更だがな!本当に、わざとやったんじゃないんだろうな?」

「あれは、たまたま配信映像の設定がさ・・・・・・」

「本当に、怪しい言い訳だよな」

「事実だって(本当は、面白そうだったからなんだけどね)」

「まあ。キリが無いからいいや。みんな。行くぞ!○々苑に集合だ!ヒュッター先生とリチャード先生も来ますよね?」

俺は、観客席の最前列で応援をいていた二人に誘いをかける。

「そうですな。それで、そこの自家製キムチは美味しいのかね?」

「勿論ですよ。それに、無料飯です」

「それは、楽しめそうですな」

「それじゃあ。行きましょうか?」

「僕は破産だな・・・・・・」

「ケントは、お金持ちでしょうが」

「正確には、僕の実家が金持ちなんだ。僕は薄給で頑張っているさ」

「ケント先輩。スポンサーが前に出ないと」

「厚木君。そんな元気もないんだけど・・・・・・」

後数日もすれば、この楽しいイベントも終わり、「ステルヴィア供廚亘寨茲了纏に立ち戻って宇宙への道を模索し始めるであろう。
しーぽんと光太はまずは戻ってくるが、将来的には遠くの星に旅立ち、二度と会えなくなる友人達が出てくる可能性もあると予想される。
だが、彼らとの友情は生涯のものであると信じつつ、この物語はひとまず終了するのであった。


           あとがき

やっと終わりました。
正直、種と比べて書くのがメチャメチャ難しかった。
最大の理由は、話の大筋は絶対に変えられないという前提があったからです。
おかげで、何回もDVDを巻き戻しながら見ましたけど・・・。
これからは、種一本に集中できるかな?

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