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▽レス始

「ユ 外 メ 史 ノ の ツ 続 ヅ き キ 2(恋姫†無双)」

時守 暦 (2007-02-24 01:15)
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 愛紗は違和感に包まれて目を覚ました。
 珍しい事に、思考がハッキリしない。
 戦乱の世に生きる武人たる者、常在戦場どころか生きる=戦場であると言っても過言ではない。
 どんな状況でも、必ず心の何処かが襲撃に備えて緊張している。
 例外と言えば、泥酔している時か一刀の腕の中で眠っている時くらいだろうか。


(…な、何を破廉恥な事を考えて…)


 ぼんやりと思い浮かんだ思考に、寝ぼけたままツッコミを入れる。
 何にせよ、夜襲に備えて寝起きでも頭がスッキリしているように訓練している。
 だから、このように頭が上手く回らない事態は珍しい。

 体が少し痛い。
 最近は無かったが、これは無理な体勢で眠ったり、床の上で眠った時にあった事だ。
 以前の…鈴々くらいの年頃の愛紗は、それはもう鈴々以上の悪ガキだった。
 微笑ましいと言えるような悪ガキだった。
 当時は結構ヤンチャをして、家に帰って怒られるのがイヤだったからその辺で野宿したり、寝相が悪くて朝気がつけば床の上、なんて事がよくあったものだ。


(ああ…寝返りを打って、寝床から落ちたのかな…。
 久しぶりだなぁ、こういうの…)


 何はともあれ、起きたのであれば二度寝する事も出来まい。
 もう自分達は以前とは違うのだ。
 弱気を助け、戦乱の世を平定する為に旅をして、そして敬愛する主と出会い、そして今はもう一軍を預かる将の身。
 有事に備えて兵を訓練し、それ以外にも色々と仕事がある。
 慣れない書類仕事の事を考えると憂鬱になるが。


「とにかく起きねば……なんだ?
 いやに静かだな…」


 主人の許可も無く合体しそうになる瞼を根性で開き、手の甲で擦る。


「朝だ…着替え、着替え…うん?」


 ふと気付く。
 服が普段着だ。
 昨晩は着替えもせずに眠ったのだろうか?


「えぇと、確か昨日は…!?」


 一気に目が覚める。
 そうだった、自分達は一刀の世界に来たのだった!
 そして、何だかんだと騒いだ挙句、この世界の遊戯だという“てれびげぇむ”に熱中してしまい…。

 周りを見渡せば、愛紗と同じように着替えもせずにバタンQしている女性達、及び一刀と当真大河。
 一体何があったのか、大河は透明な壁の向こうに放り出されている。
 布団はかけてあるようだったが。

 それと、何か違和感があると思ったら、彼女達の寝息以外に何も聞こえないのだ。
 自分達の世界であれば、朝早くから様々な人々が騒いでいた。
 店の仕込みから朝帰りまで、生活の音が全く絶えない。


「…まだ、この世界には誰も居ない…という事か」


 いつまで無人なのだろうか?
 まぁ、この奇妙な物ばかりある世界に慣れるには丁度いいのかもしれないが。


「…おい霞、いい加減放せ…」

「うぅ〜ん…」


 平和そうな寝顔で、更に強く抱きつく霞。
 愛紗としても悪い気はしないのだが、せめて時を選んでほしい。


「この日差しの強さ…もう昼前だな。
 こんな時間まで目が覚めないとは…確かに昨日は疲れていたし、“げぇむ”に熱中してふと気がつけば空が白んでいたような気もするが」


 …休日前の中学生のような話だ。
 何とか霞を振りほどくと、愛紗は立ち上がって一刀を起こそうとする。
 今日何をするにしても、彼の指示を仰がない事には始まるまい。


「ご主人様、ご主人様…起きてください。
 いつまで寝ていらっしゃるのです。
 やるべき事は山ほどあるでしょう…ご主人様!」

「う…うぁー…」


 ゾンビのような声を上げながら、一刀は目を開く。
 一刀も、そこそこ早寝早起きの習慣はついている。
 何せ向こうの世界には電気が無かった。
 蝋燭はあったが、何本も使える訳ではない。
 自然と就寝は早くなり、釣られて起床も早くなる。


「ん……ぁ……愛紗…おはよう…」

「おはようございます。
 ほらほら、早く顔を洗ってください。
 ええと、井戸は…いえ、確かこの水道とやらを使うのでしたか?」


「ああ……カルキ臭くて悪いね」


「カルキとは何ですか?
 まぁ、確かに前の水と比べると少々匂いますが」


 愛紗に連れられて、一刀は洗面所に連れて行かれる。
 ちなみに、この水道にも愛紗達は驚いていた。
 何が驚いたって、トイレに驚いていた。
 女子トイレには流石に入り込めなかった一刀は、個人用のトイレの使い方を教えた訳だが…何が悲しくて、こんな美女の集団にトイレの水の流し方なんぞ教えねばならんのか、とちょっと思った一刀だった。


「それでご主人様、橋はガシャン!!?」


 突然の破砕音。
 さては賊か、と即座に戦闘態勢を整える。


「どっちです!?」

「食堂の方だ!」

「ご主人様はここに!」


 得物を手に取り、愛紗は駆ける。
 既にこの建物の間取りは把握している。
 気配を見逃さないように周囲を探りつつ、食堂への最短ルートを駆け抜ける。


「何奴!? ………?」

「げっ…あ、愛紗…」

「…何をしているのだ…翠、星…。
 思春まで…。
 それに…顔良?」

「うっ…こ、これは、その…」


 いつも通りうろたえている翠と悪びれない星、さらに珍しく顔を赤らめている思春。
 そして申し訳なさそうな表情の顔良。
 4人の後ろには、何やら煙を上げている物体が。


「…今の音はお前達か?」

「ああ。
 いつも通り目が覚めたのだが、どういう訳か殆ど誰も起きて来なくてな。
 その辺を散歩した後、なんとなくここに集まってきたのだが」

「ま…まぁ、その、朝だから腹も減っていて…」


 それでコレ、と摘み上げたのは、昨晩の残りの冷凍食品。
 パンの類も残っているが、同じモノばかり食べていると流石に飽きる。


「それで?」

「昨日、北郷さんがこれを使って料理を作っていたのを見ていたので…」

「私は止めたんだぞ。
 だが、馬超と趙雲が『覚えているのを真似すれば大丈夫』と言って、顔良を嗾けた。
 そしてこの有様、という訳だ」

「はうぅ〜、申し訳ないです〜」


 つんつん、と破壊された物体…電子レンジをつつく思春。
 呆れ返る愛紗。
 空腹だったのは解らないでもないが…。


「全くお前達は…。
 もう少し思慮深く行動できないのか?
 先が思いやられるぞ。
 ご主人様に迷惑をかけるような事をするんじゃない」

「申し訳ありません〜」

「んな事言われても、腹がな…」

「む…」


 小さくなる顔良と、言い訳がましい翠、渋面を作る思春。
 こいつらはいい。
 が、問題はコイツ。


「何も迷惑をかけているのではない。
 これでも主に対して配慮していたのだぞ?」

「ほう? 何処が?」

「主にとっては久々の故郷だろう?
 それに、昨晩は遅くまでお楽しみだったようだしな。
 無理に起こす事もないと思ったまでだ」

「おっ、お楽…!?」


 あっと言う間に赤く染まる翠。
 特に疚しい所が無かった愛紗も、その反応に触発されて赤くなる。


「誤解を受けそうな言い方をするな!
 昨晩はこの世界の遊戯に熱中してしまっただけだ!」

「ほぉ、堅物の愛紗がな…。
 何やら騒がしいと思ったらそういう事か。
 で、どのような淫具を使ったのだ?」

「だから! 如何わしい事ではないと!」


 見事に星のペースに乗せられる愛紗。
 翠は何を想像しているのか、赤面に加えて湯気まで立っている。
 なまじ一刀と経験を積んだ為、そういった方面への想像力も発達してしまったらしい。

 思春は興味なさげにサンドイッチを頬張っている。
 その隣で、壊した電子レンジをどうしたものかと顔良が首を捻っていた。


「…愛紗〜?」

「だから! って、ご主人様?」

「おはよう、主。
 昨晩はお楽しみだったようだな?」

「ああ、久々に色々と堪能した。
 まさか愛紗があそこまで熱中するとはなぁ」

「「ご主人様ぁぁー!」」 


 叫ぶ愛紗と翠。
 でもその叫びの意味は別々だ。
 愛紗は『これ以上星にオモチャを与えないで』、翠は『一体何をしてるんだー!』というヤキモチ交じりの叫び。


「そんなに楽しいのなら、私も混ぜてもらおうか。
 そうだな、今夜辺り空いているか?」

「ああ、特に予定は無いな。
 明日には世界が動き出すかもしれないから、早目に寝ておいた方がいいかもしれないけど…。
 ま、一晩くらい徹夜しても平気だろ」

「ひっ、一晩中!?」

「翠! そういう意味じゃない!」

「ん? 翠もやってみる!?」

「ひぃ!?」


 怯えたように距離を取る翠。
 戦闘においては一刀なんぞと比べるのも失礼な程強いのに、コッチ方面は何時まで経っても一刀に翻弄されるままだ。
 まぁ、そのギャップが一刀の男心を擽るのだが。


「アアアアアアアタシに何をさせる気だよ!?」

「何って、そりゃ一緒に遊ぼうと」

「アタシをオモチャにする気だなーー?!」

「…なんか話が噛み合わないな」


 人の悪い笑みを浮かべて見物している星。
 暫し考えていた思春が、一刀に問う。


「…まさか、孫権様も…」

「ああ、昨晩やってた。
 まぁ、眠たかったみたいで途中で抜けたけど」

「………いや我慢だ、我慢…孫権様の思い人を斬る訳には…私も多少頭に来ているが…」

「あわ、あわわわわ…」


 翠の脳裏に浮かぶのは、三国の美女、しかも重鎮が、なんかとんでもなくイヤラシげに絡み合う爛れた映像。
 何気に彼女も耳年増なのだ。

 クククク、と人の悪い笑い声を堪える星を睨みつけ、愛紗は翠を正気に戻そうと叫ぶ。


「だから!
 遊戯というのは、やましい物ではなく、この世界の模擬戦のようなものだ!
 いやらしい所は、全く無い!」

「……ほ、本当か…?」

「本当だ!
 ご主人様に誓って…もこっち方面は説得力が無いな。
 天に誓って、我が真名に誓って本当だ!」


 何か引っかかりを覚えた一刀だが、翠は取り合えず信用する事にしたようだ。
 一刀は事情を把握できてない。
 ただ、愛紗一人だけがゼイゼイと息を荒げていた。


「…愛紗?」

「…なんです」

「ええと…結局、さっきの音は何だったの?」

「………」


 視線だけで顔良を示す。
 彼女はまだ壊れた電子レンジを弄っていた。


「…何がどうなってこんな事に?」

「あ、アタシのせいじゃないぞ」

「私のせいでもないな」

「嗾けたんだろうが!」


 …何となく、何があったか理解した一刀だった。


 顔良に謝り倒された一刀。
 が、謝ってもらった所でどうにもならないし、一刀の財布を痛めて買った物でもないから、大して困らない。
 電子レンジは他にもあるのだ。

 電子レンジの使い方を教えながら、朝食にピザを解凍する。


「…と、いう訳だ。
 理解できた?」

「むぅ…何とか…」

「使い方は大体解りましたけど…」


 愛紗と顔良は顔を見合わせる。
 星と翠も似たような表情だ。


「何か問題でも?」

「いえ……その、字が読めなくて…」

「………あー…」


 根本的な問題を忘れていた一刀。
 思えば、一刀が向こうの世界に行って最初の頃はかなり苦労した。
 慣れ親しんだ漢字が使われていたし、漢文は割りと得意だったからまだ理解できたものの、スラスラ読めるようになるには結構時間がかかったものだ。
 学校で勉強しても、こう簡単には覚えられなかっただろう。
 人間、生活に密接している技能は割と簡単に覚えるものである。

 しかし、彼女達にとって日本語は殆ど理解不能だろう。
 漢字は使っていたが、ひらがなやカタカナ、果てはアルファベットなどが入り混じる文章を理解するのは至難の技である。
 日本語において、漢字とは『文章を読みやすくする為の物』という一面が強く、その羅列で意味を伝える物ではない。
 結局のところ、メインは平仮名・片仮名だと言えるのだ。
 何故って、接続語やら何やらは基本的に平仮名で示されるから。
 接続語さえ理解できれば、単語の読み方が理解できなくても、ある程度は文章を理解できる…多分…いやウソだが。


「さっき作ろうとしたコレも、裏面に書いてある文字の、解る部分だけを拾って解読したんです。
 でもやっぱり読めない字ばかりで、ああでもないこうでもないとやっている内に…」

「ああなった訳ね…」

「はぅ…」

「も、申し訳ない…」


 流石に無謀だった、と自覚しているらしい。
 それだけ空腹が強烈だったのだろうか。


「ま、いいからメシだメシ。
 起きてるのはこれだけか?」


「いや、何人か『ご飯を探してくる』とか言ってその辺をフラついてるみたいだ。
 他は…まだ起きてないな」


「げぇむに熱中して、半分近くが徹夜しましたからねぇ」


 ちっこい部屋に、どうやって半分近くが居座ったのかは謎だ。
 まぁ、とにもかくにもメシにしよう。
 一刀もいい加減腹が減っている。


「昨晩の残り、どれくらいある?」

「とても全員に充分な量が行き渡るほどではない。
 また何処かから持ってくるか?」

「だな。
 みんなが起きてくるまでに、そこそこの物を揃えておきたいなぁ…。
 目玉焼き…を作るにしても、あれだけの人数だと…」


 料理も結構な重労働だ。
 食堂のおばちゃん達の偉大さが身に染みる。


「…ま、いいか。
 先に冷凍食品を片っ端から解凍して、起きた人からそれを食うって事で」


「鈴々辺りが来たら、即座に全て平らげると思いますが」


「大丈夫。
 大食いのメンバーは、大抵昨晩徹夜してたから。
 じゃ、メシメシ…」


 そう言って電子レンジをフル稼働させる一刀だった。


「しかし…便利ではあるようですが、どうにも無粋ですな…主の世界は」

「ん?」


 フライドポテトをパクつきながら、星がぼやく。
 星ならいつかは言ってくるだろうと思っていたが、意外と早かった。


「水道とやらがあるから、井戸を使う必要も無い。
 朝の空気特有の冷たさの中、川まで水を汲みに行く必要もない。
 楽なのはいい事ですが、どうにも風情が無い…」

「人間楽な方に楽な方にと流れていくもんだしなぁ。
 星は、こういうのは不満か?」

「多少は。
 ですが、だからと言って嫌いという訳ではありませぬ。
 この世界には、この世界なりの風情があるでしょう」

「雨が降れば行水、雪が降れば雪合戦、槍が降るならバンブーダンス…。
 退屈だ、退屈だと愚痴って楽しい事を探しもしないのが、一番の無粋…って事かね」

「ほう、主も中々粋になってきたものだ」


 嬉しそうに笑う星。
 彼女は何処にだって楽しみを見出せる人種である。

 隣で解凍したハンバーグを頬張っていた愛紗が割り込んでくる。


「ところでご主人様、今日はどのように?」

「ん〜…昨日言った通り、まず服を買って…いや買うんじゃないけど。
 あと、大河が勧めてくれた家に引っ越そうと思う」

「当真殿が?」

「ああ。
 流石に寮だと、明日から色々面倒になりそうだからね」


 ここは学生寮だ。
 彼女達が学生として扱われるかどうかも解らないし、何よりこの場所は学校の管理内にある。
 何か揉め事が起こった時、上から首を突っ込まれるのは勘弁願いたい。
 出来るなら、一種の治外法権な場所に住みたい。


「引越しって言ったって、持って行く物は武具くらいだな」

「確かに。
 で、ご主人様…その〜、服って…」


 妙に恐る恐る問う翠。
 心なしか、顔が赤い気がしなくもない。


「? 服が、何?」

「はっきり言え、翠」

「いや…ここの服って、どんな物なのかと思ってさ…。
 あ、あんまり恥ずかしいのはイヤだぞっ!?」

「…ああ」


 成程赤面する訳だ。
 きっと翠は、前の世界で紫苑に着せられたような服を想像しているのだろう。
 思えばかなり際どい服だった。
 上はそうでもないのだが、下がギリギリ。
 いい夢見させてもらいました。


「心配しなくても、そう無茶な格好じゃないよ。
 色んなのがあるから、気に入ったのを選べばいい」

「そ、そうか…?」

「……紫苑に着せ替え人形にされると思った方がいいな」


 星の指摘に、ビクリと背筋を伸ばす。
 どうやら相当なトラウマになっているようだな、と黙々と食事をしていた思春は判断する。
 まぁ、着せ替え人形にされそうな人は翠以外にも沢山居るから、今回は軽めで済むだろう。


「…星、際どい服以外にもちゃんとした服を選べよ」

「実に鋭い忠告だが、主は私を何だと思っている?」

「…華蝶仮面が好きそうな服も、探せばあるんだよ」


 ピキーン、と星の目が輝く。
 …絶対に探す気だ。
 ちなみに一刀の想像では、ボンテージを初めとした、服屋よりもアダルトグッズの店に行った方がいい格好。


「では、全員が揃ったら出発という事で?」

「全員…かぁ…。
 揉めるよなぁ…」

「はい…特に袁紹様が…」


 頭を抱える顔良。
 何かしら対策を考えた方がいいだろうか。

 それ以前に、服やら何やらを持ち帰る為の移動方法も欲しい。
 …自転車は使えるだろうか?


 と、その時ようやく目を覚ました大河が食堂に入ってきた。


「う〜す……。
 お、久々だなぁ、こういうメシ…」

「お前は未亜ちゃんに毎日作ってもらってるだろうしな」

「いや、最近は毎日って程でも…」

「他の連中は?」

「ボチボチ起き始めてる。
 俺は…そうだな、夕方辺りに帰るか」

「何処に?」

「アヴァター」

「…何処だそれ」

「秘密」


 一刀を適当にあしらい、ケロッグコーンフロストを開く。
 牛乳は昨日の内に冷蔵庫に放り込んである。


「あ〜、それがあったか…俺も食えばよかった」

「食いたきゃ今からでも食えよ。
 一刀、スプーンとって」

「ほれ。
 食ったらお前が勧めてくれた家、案内してくれないか?」

「ん?」

「間取りとかも見ておきたいし、布団とかがどれだけあるのか、調べないと」

「……ベッドが据え付けられてる部屋が…10部屋くらいだったかな。
 炊飯器から電子レンジまで、一通りあるぞ。
 まぁ、個人用のヤツだけど…」


 総勢30人前後が暮らす事になるのだから、個人用の炊飯器とかではとても足りない。
 もっと大きな炊飯器やら冷蔵庫やらが必要だ。
 世界が動き出してから、業者さんに頼んで設置してもらうという手もあるのだが、それだと金がかかる。
 節約できるなら節約したい。


「ガスと水道は」

「引いてある。
 電話番号は…忘れた、あっちに書いてあるから。
 それと、あんまり屋敷の奥には行くなよ。
 たまに姿が見えなくなって、2,3日後に庭に放り出されている事があるらしい。
 記憶が飛んでるだけで、実害はないが」


 何処の幽霊屋敷だ?
 とは言え、贅沢は言っていられない。
 あんな濃い連中だ、受け入れてくれる場所などそうそう無いだろう。


「色々と世話になる…」

「いやいや、昔のよしみってヤツで」


 頭を下げる愛紗に、なんて事ないと笑う大河。
 と、ドヤドヤと大勢の足音がする。
 どうやら、眠っていた彼女達が起き出したらしい。


「お、みんな来たみたいだな。
 …って、メシが足りないな」

「星、お前食いすぎたろ」

「何を言う、翠こそ一心不乱に食べまくっていたではないか」

「何をぅ!?」


 じゃれあっている翠と星を尻目に、一刀と大河はさらに冷凍食品を解凍し始めた。
 取り合えず、食料はこれで打ち止めだ。


「さて、そういう訳で、今日は服を調達しに行こうと思う」

「ご飯は?」

「それも調達する」


 メシの事になると、恋も妙に反応が早い。
 華淋が首を傾げた。


「服って、それよりも重要な事はあるんじゃないの?」

「まぁ、確かに色々あるんだが…この世界、体裁だけ繕ってればあんまり深くまで踏み込まれないからな。
 便利な技術が発達して、横の繋がりが薄くなってるんだ。
 プライバシー…えぇと、何て言えばいいのかな…個人の秘密にするべき情報…そうだなぁ、知られたくない事、知られたら困る事を重要視しすぎると言うか……。
 まぁ、あんまりおかしな格好をしてなければ、その辺に居る人達と大差ないって思われるんだよ。
 陰口とかはあるにせよ」

「…ヘンな世界ね…」


 首を振る華淋。
 人間同士の関係が密接で解り易かった彼女達の世界から見れば、この世界は妙な事だらけだろう。
 まぁ、それはその内慣れるとして。


「心配せんでも、細々とした事はこっちでどうにかしておく。
 それより一刀、まず家の方に行こうか」

「そだな。
 えーと、ここで生活するのは色々厄介な事がありそうなんで、大河が紹介してくれた家に引っ越す事にした。
 何も問題ないよね?」

「この私に相応しい場所なんでしょうね?」

「アナタに相応しい場所なんて、その辺の原っぱくらいしか思いつかないわね」

「どういう意味ですの!?」

「あー、はいはい曹操さんも袁紹さんも、事実を指摘して事を荒立てるのはやめてください!
 ご主人様、続きをどうぞ」


 ちょっと毒舌入った朱里は、二人を諌めて一刀を促した。
 見た目は可愛らしい少女だが、怒ると結構怖い。


「とにかく行くぞ。
 結構広い所らしいから、全員で住んでも大丈夫だろう。
 …だよな、大河?」

「まぁ、広さは保障する。
 前に住んでたヤツは、何度か迷子になったらしいからな。
 あと、奥に行き過ぎると罠とかあるみたいだから気をつけろよ」

「…忍者屋敷のようだ…」


 本当に大丈夫か、という不安を黙殺して、一刀達は腰を上げる。
 ゾロゾロ歩いて昇降口に向かった。
 ちなみに、さりげなく全員土足だったりする。
 一刀もすっかり忘れていた。
 この辺、世界が動き出したらどう処理されるのだろうか。


 外に出ると、軽い熱気が一刀達を包み込んだ。
 もうすぐ夏だ。
 一刀がこの世界からあちらの世界に移った時も、この時期だった。
 温暖化問題で暖かくなっているこちらの世界の夏は、彼女達にはキツイだろうか?
 そもそも、この辺は何気に熱気が篭る盆地である。


「どっちだ?」

「こっち。
 あんまり遠くないからな」


 大河は周辺の道を全て把握しているように歩く。
 一刀の知る限り、彼がこの辺りに来た事は無い筈だが。


「…なぁ、大河…ちょっといいか?」

「ん?」

「お前、この辺に来た事あんの?」

「うんにゃ。
 来たのは初めてだよ」


 来たのは…という事は、この辺の事を知ってはいる、という事か。
 考えてみれば、大河の存在はおかしい事だらけだ。
 この世界には誰も居ないのに、何故大河だけがここに居る?
 色々…一刀と同じような事があった、とは聞いたが、それはどういう意味だ?
 大分今更な疑問だが、聞いておいて損は無いだろう。


「……大河…この世界に、何でお前が居るんだ?」

「居ちゃ悪いか」

「悪くはないけど不自然だね。
 昨日の登場シーンの事だってそうだ。
 その場のノリで単なる演出だと思って流したが、どう考えたって人間技じゃない。
 何をどうすりゃあんなマネが出来る?
 ひょっとして、お前が勧めた屋敷もお前が用意した物じゃないのか?
 外史正史の事は、俺と同じような経験をして知ったとしても、それに対する洞察は数日程度で完成する程度じゃなかった。
 もっと…こう、多角的な、高い視点から見た話だったろう。
 お前が『話せる所』まで、話してもらいたいんだが」


 大河は一瞬足を止めて、またすぐに歩き出した。
 一刀に目をやり、すぐに愛紗達にも目を走らせる。


「…ま、いいか。
 細かい事は話しても意味ないし。
 結論から言う。
 俺はもうこの世界の人間じゃない」

「…?」

「世界移動存在、つーてな。
 別の世界に移動した存在は、元々居た世界から異物と見なされる。
 ま、それにしたって、もうちょっと大きな視点から見れば同じ世界なんだけどな…」

「…つまり、蜀から出て旅をし、帰って来たら自分は異邦人と認識される。
 が、蜀から見て異邦人に見えても、同じ中国大陸に住んでいる人間には変わりない、と?
 そりゃ屁理屈じゃないのか?」

「世界の形なんて、屁理屈でいくらでも形を変えるもんだ。
 …例えば、お前の友達…まぁ、誰でもいいが…も、明日くらいからこの世界に存在するようになる。
 だが、ソイツは本当にお前の友人か?」

「……作られた紛い物の、俺の触れていた友人と同じと、確信を持って言えるか…って事か?」

「そうだ。
 で、どうだ?
 お前が明日から会う事になる友人は…お前の知ってる友人か?」

「それは…」

「断言できないだろう?
 ま、極論しちまえば、何だって同じだ。
 3秒前までの自分と現在の自分が同一人物だなんて、どうして言い切れる?
 3秒前に喋っていた筈の自分は、実際は偽りの記憶を与えられて2秒前から存在しているのかもしれない。
 でもな、「いい加減にしろ!」…?」


 大河のらしくない演説(?)を、愛紗の怒声が遮った。
 見れば、その目には明らかな苛立ちを浮かべている。


「先程から妙な言葉でご主人様を惑わせて…それだけではない、貴様は我々という存在を否定している!」

「…?」


 一軍の将の怒りの気に呑まれそうなりながらも、平静を保つ大河。
 何かやったか?

 貂蝉が進み出て、大河の耳元に口を寄せる。
 ちょっとトレイターを呼び出しそうになった大河だが、ここは我慢。


「愛紗ちゃんはね、自分が外史の中で作られた存在だと知って、結構衝撃を受けたみたいなのよ。
 ご主人様が居てくれたから割と早目に立ち直ったけど、衝撃が消えている訳じゃないわ。
 それを再燃させちゃったのよ」

「……あ〜…」


 明らかなミスに気付く大河。
 彼女達は正史・外史の概念を土台として考えている。
 正直、あまり正確に理解しているとは言い辛いが、それでも自分が作られた存在だというのは理解した。
 だが、何時から作られた?
 この想いは、作られたものか?
 信じる事は出来る。 
 だが同時に疑う事も出来る。
 外史の中において、過去の事というのは殆ど当てにできないと思っているのかもしれない。


「…申し訳ない。
 弁解させてもらえば、アンタ方とは別の考え方に基づいているだけであって、否定している訳じゃない。
 一応、最後まで聞いてくれると助かる」

「………」


 大河を睨みつける愛紗。
 一刀はそれを制して、一言だけ言い添えて大河を促す。


「俺は外史を単なる幻や捏造の記録だとは思ってない。
 例え作られたものであっても、そこには誰かの想いが宿る。
 その想いが宿っている限り、それは単なる偽者じゃない。

 で、大河。
 結局お前は何が言いたかったんだ?」


「…何を言おうとしたんだっけ…。
 そうそう、世界の形の事だった。
 さっき言ってたのは、原型となる存在が一つだけ、と考えた場合だ。
 しかし、平行世界の事も含めれば、無数のソックリさんが居る…と考えた場合、それは似ているだけの全くの別人という事になるが、同時に確固とした存在を確立する。
 で、もう少し異なった視点から見てみる。
 原型の一が、無数の世界を渡りながら存在している…」


「……大河、俺にも何がなんだか解らん。
 素直に話せ」


「……そーだな、お前の友人は、前の世界で確かに存在していた。
 が、その前の世界は外史の一部であり、新しい外史…つまりこの世界が生まれた時に役目を終えて消えた。
 でもこの世界に、その友人は存在する事になる。
 その友人が、お前の知っている友人かどうかを知りたいんだろ?
 この考え方で行くと、結論としては同一人物だ。
 しかもコピーでもなければ捏造された存在でもない。
 前の世界から引き継がれるんだ」


「……ああ!」


 理解した、とばかりに一刀は手を打つ。
 要するに、続き物のゲームに登場する人物と同じだ。
 Aというゲーム…つまり外史に登場する人物が居たとして、そのゲームがエンディングを迎えて、外史が役目を終えたとする。
 が、続きのBというゲーム…似ているが別の外史…に同じ人物が登場した。
 それと同じ事で、前の外史の存在が、別の外史に引き継がれるのだ。


「確かに、その論法で行くと同一人物だな」


「だろ?
 ま、他にも色々と考え方はあるんだが、結局どれが究極的な真理かは解ってない。
 結局の所、自分の信じたい物を信じるしかないのさ…。
 お、着いたぞ」


 かなり置いてけぼりになっている愛紗達の前に、和風な屋敷が聳え立つ。


「…おい、この表札の『三国』ってのは何だ」

「三国志の三国だが?
 読み仮名はサンゴクでもミクニでもどっちでもよかろ。
 何ならお前の名前に変えるか?」

「……そうだな、そのうちな」


 名を重要視する愛紗達としては、結構重要な問題だと思うのだが…。
 まぁ郷に入っては郷に従えと言うし、何も言うまい。


 屋敷の中はかなり豪勢だった。
 一等地どころの話ではない。
 庭からしてえらく広いし、月山には木々が生い茂っている。
 というか、ちょっとくらいなら馬が走り回れそうな広さである。


「…ねぇねぇ、お兄ちゃん。
 この庭、外から見た時よりずっと広くない?」

「………広いな」


 ちょっとしたグラウンド並みである。
 確かにこの広さなら、彼女達が多少暴れても大丈夫だろうが…。


「大河、どーなってんの?」

「ディバイディングドライバー」

「空間湾曲?
 どこの科学だ!?」

「ウチのマッドが再現してくれました。
 これで土地不足の問題も解決!」


 …大河のトコに居る誰かさんは、かなり危険なイキモノらしい。
 黄金鉄槌を作ってない事を願う。


「まさか、屋敷の中にも…」

「いやそっちは俺達じゃない。
 じゃ、設備の案内すっから、ついてこーい」


 今度はちゃんと靴を脱いで上がるように指示。
 来客用スリッパまで用意されていた。


「…至れり尽くせりだな、オイ」

「同感だな。
 製作者が趣味に走ったらしい」

「何処の金持ちだ…」


 呆れる一刀達。
 そりゃ呆れもするだろう。
 風呂はやたら広いのが3つもあるし、部屋数はやたら多いし、エアコンやら電話やらテレビやら冷蔵庫やらが一部屋に一台。
 どこのお金持ち様用賃貸か。


「あ、この先は踏み込むなよ。
 一刀にはさっき言ったが、時々神隠しにあうからな」


 一刀と大河がなにやら漫才をやっている間、朱里は難しい顔をしていた。
 この屋敷の何かが気に入らない、という訳ではない。
 確かにこの屋敷、戦に適しているとは言えないが、ここでは自分達の世界であったような戦はあまり無いらしい。
 朱里が問題にしているのは…。


「あの、貂蝉さん…」

「なに?」

「前の世界に居た人で、ご主人様が認識している人なら、この世界に居るんですよね?」

「ええそうよ」

「じゃあ…左慈や干吉も…?」


 貂蝉はピタリと動きを止めた。
 すっかり忘れていたようだ。
 確かに、可能性は高い。
 高いが…。


「…あーんまり心配しなくてもいいんじゃないかしら」

「何故です?
 またご主人様を狙ってくるのでは?」

「確かにその危険もあるのだけど…左慈の願いは、繰り返される外史からの開放だったのよ。
 ご主人様に対する嫌悪は残っていても、積極的に狙う理由は無いわ。
 既に台本の無い世界に放り出されているんだし、少なくとも今後の展開は、私達の知らない台本による物よ。
 ま、要するに自由に生きられるようになったって事ね。
 それが出来る以上、左慈達にはご主人様をどうこうして、なんて考える必要が無いの。
 流石に顔を合わせたら攻撃してくるでしょうけど、こちらから攻撃する事は考えなくてもいいわ」

「そうなんですか…?」

「ま、元々怒りや憎悪が長続きするタイプじゃないものね」


 左慈は良くも悪くも単純かつ純粋で、感情が後に引くという事は少なかった。
 一刀に対して並々ならぬ憎悪を抱いていたが、それとてどれだけ長持ちするか。

 真剣な顔をして聞き入っていた翠が腕組みして結論付けた。


「警戒するだけしておけ、という事か…」

「そうなるわね。
 そう、翠ちゃんが一時も…そう、床でもお風呂でもトイレでも、一切離れずピッタリと…」

「な!?」


 途端に顔が赤くなる。
 朱里も翠ほどではないが赤くなった。
 何かを想像してしまったらしい。

 しかし翠と朱里が騒ぎ出す前に、一刀の声が響く。


「という訳で、これからはこの家に住む事になる。
 何か問題のあるヤツ、居るかー!?」


 二人は騒ぐのを止め、この家について考えを巡らせる。
 何だかちょっと怪しい所はあるが、設備そのものは整っているようだし、部屋も一人一部屋はあるらしい。
 設備の使い方は、追々覚えていけばいいだろう。


「アタシの馬達は何処に?」

「外に小屋がある筈だから、そっちに」

「食堂は?」

「さっき案内しただろ…。
 流石に全員揃って食事、なんてのは不可能だから、入れ替わりで使う事になると思う」


 その他諸々、質問が飛び出す。
 答えるのは全て大河で、一刀はちょっとだけ寂しさを感じたとか。
 まぁ、それを表に出すほど性格でもない訳で、さらに紫苑などから完全に隠しきれる程器用でもない…紫苑に言わせると『そのくらいが可愛い』だそうだが。


「さて、問題は殆ど解決された。
 水道やガスが使える事も確かめた。
 そこで今度は、いよいよ服やらその他諸々の生活用品を揃えに、街に繰り出す事になった訳だが」

「…誰に説明しているんです、ご主人様?」

「…正史の人達?」

「聞いてる筈がないと思いますが…」


 聞いてますよー、ばっちり。
 で、何かあったんですかい?


「あったんですよ…。
 まぁ、よくよく考えると、調達しに行くにも問題はあったんだ。
 この辺には丁度いい店は無いし、本格的に揃えようと思ったら、隣街くらいには行かなきゃいけない。
 それは仕方ない。
 この辺は住宅街だからな…。
 だが!
 問題なのは、隣町までの距離!
 車を使って十分程度とは言え、人間が徒歩で行くにはちとキツイ。
 この濃い面子の面倒を見ながらだったら、どれだけ重労働になるよ!?」


 …少なくとも、某忍術学園の教科担当よろしく胃に穴が空くでしょうね。


「だな。
 個別で居る時はいいんだ、個別で居る時は。
 でも全員揃っていると、トラブルの大きさは指数関数染みて跳ね上がる」


 …つくづく劇薬みたいな連中だ。
 むしろ激薬とでも表現すべきか。


「でも、電車は勿論バスも止まっているこの状況。
 自転車はあるけど、すぐに使えるかどうかは別の話だ。
 これだけ大人数が連れ立って走ると、誰か一人コケた時に惨劇が起こりかねん。
 仕方ないから、諦めて歩こうと思ってたら、大河が解決策を出してくれた。
 世話になりっぱなしで、頭が上がらなくなりそうだ」


 大河君を相手にそういう事言ってると、とんでもない難題押し付けられるから気をつけた方がいいと思うよ。
 で、何が問題?


「ああ……まぁ、ちょっとは予想してたんだ。
 大人数を一度に連れて行ける方法なんて限られてるし…。
 …でもな。


 何だって大型バスなんて物が車庫に納まってんだよ!?」


 そう、何故か車庫には、軽く30人くらい乗れるバスが鎮座しておられた。
 叫ぶ一刀を『壊れたかな?』なんて目で見ながら、バカでかい金属製の箱を相手に警戒心を露にする愛紗達。
 これが“くるま”だと聞いて、昨日の一刀の話を思い出す。
 曰く、『時々人を撥ねて殺す』。


「貴様…我が主に害を成すのならば、例え“くるま”とて容赦はせんぞ!
 何とか言ったらどうだ!?」


 なんかハッスルしている愛紗。
 今にも斬りかかりそうだ。
 愛紗もこの金属の箱が生物でない事くらいは解っているのだが、一刀の話が本当ならば、“くるま”は人を撥ねて殺す物なのだ。
 警戒するに越した事はない。
 実際、得物を手にしていたり、すぐに距離を取れるようにしている者は多数居る。


「あーはいはい、まぁ落ち着いて。
 愛紗、これは勝手に動き出したりしないから。
 人を撥ねて殺すってのは、乗り手の不注意からくるものだからね。
 コイツに何を言っても無駄なのよ」


「は…そ、そうなのですか?」


 一刀に諌められ、キョトンとした表情の愛紗。
 ちょっと顔を赤らめた。


「そ、それで…この“くるま”を使って、生活用品の調達に行くのですか?」

「そう…なんだが…」


 困ったような表情で、一刀は大河を見る。
 視線を受けた大河は、黙ってサムズアップ。
 でも一刀は安心しない。
 大河という人物を、割と正確に理解しているのだ。


「…おい、ブラックジャックって偉大だと思うか?」


「偉大ではあるが、無免許だからじゃないな。
 無免許なんて、俺だってやってる。
 そして、これからやる」

「やっぱりかあああぁぁぁぁぁ!!!!」


 頭を抱えて叫ぶ。
 解っていた、ああ解っていたともさ。
 大河の年で、免許なんざ取れる訳ねぇ。
 異国なら取れるかもしれないが、態々取りに行くくらいなら無免許運転を選ぶ。
 コイツはそういうヤツだ。

 朱里が首を傾げた。


「免許…?
 この“くるま”を使うには、許可が必要なのですか?」

「そりゃーな。
 さっきも言ったけど、ちょっとした不注意から人を殺したりする、便利だけど危険な代物だからな。
 ちゃんとした審査を受けなきゃならんのよ」

「まぁ、当たり前といえば当たり前の話ね」


 興味深そうに車を撫で回していた華淋。
 なんだか、好奇心が一杯な表情だ。
 公孫賛が一刀に問う。


「それじゃ、この“くるま”は使えないのか?」

「いや、別にいんじゃね?
 他の車は走ってないし、スピードの出し過ぎとかに気をつければ問題ないって。
 車道逆行しても事故りゃしねーし」

「お・ま・え・は!
 このSS見てる人が真似したらどーすんだ!」

「知らないってそんなの。
 無免許やるにしても、自分の責任である事には変わりなかろ。
 そもそも、『小説の中でやってたから、現実でも』なんて理由でやるヤツ、放って置いても無免許でやるって。
 現実と虚構…あっちから見て、俺達は間違いなく虚構だからな…の区別がついてないヤツの面倒までいちいち見てられますかい」


 声を荒げる一刀と、あっけらかんとしている大河。
 確かに、大河が言っているのも尤も。
 交通法とは、極論すれば『事故を起こさない為、交通の流れを滑らかにするため』にあるのであって、あくまで基準でしかない。
 それを守っていれば絶対安全という訳でもないし、本当に必要な時には、交通法を破る覚悟だってしておくべきだろう。
 たとえそれが本当に必要でも、代償は負わなくてはいけないが。
 だから、この誰も居ない世界で、無免許のまま車を運転する事は、まぁいい。
 見たところMTではなくAT車のようだから、特別操作が難しい訳でもない。
 横転の危険はあるが、それとてスピードを出さず、道の真ん中を走ればいいだけだ。
 左折・右折時に後輪に注意せねばならないが、これもまぁ何とかなる。
 問題は…それを運転するのが、大河だという事だ。


「お前に任せたら、何処までスピード出すか解らんだろーが!」

「おぅ、よく理解してるなぁ」

「してるなぁ、と思うなら」

「心配するな、俺は運転しない」

「…へ?」


 てっきり大河が自分で運転すると思っていたが、予想外の返答。
 大河はバスの後ろにあった、もう一台の車…トラックに目をやる。
 影に隠れて、全く気付いていなかった。


「俺はあっちを運転せにゃならんからな。
 必要な物、全部をバスの中に詰めるより効率的だろ?」

「そりゃまあそうだが…という事は…バスを運転するのは………俺?」


 無言で頷かれる。
 …そりゃ、確かに大河に任せるよりも安心だが。


「と、いう訳で、出発しまーす。
 全員このでっかいのに乗り込んでください」

「お、おい!?…いや、まぁ仕方ないか」


 割とあっさり諦める。
 実際の所、好奇心だってある。
 免許は無いが、車を動かしてみたいという欲求もある。


(…イケる?
 イケるよな?
 あんまりアクセル踏み込まなきゃいいんだし…)

「…そうだな、出発するか。
 全員乗り込んでー」


 一刀はついにOKを出した。
 自分が率先して、バスのステップを踏んでヒョイヒョイと駆け上がる。

 バスの中に入ると、独特の匂いが鼻に付く。
 子供の頃は、この匂いがキライで車に乗りたがらなかったものだ。

 一刀に続いて、鈴々が駆け上がる。
 好奇心一杯の表情でバスの中を見渡した。


「鈴々、この匂いは大丈夫か?」

「うん? あんまりいい匂いじゃないけど、大丈夫。
 もっと凄い匂いなんて、幾らでもあるのだ!」


 そうか、とだけ言って運転席に座る。
 鍵はもう付いていた。
 エンジンの掛け方くらいは知っている。


「えーと、これがアクセル、ブレーキ…。
 ATだからクラッチは無し。
 うん、まぁこれだけ解ってればいいか。
 ハンドルを回したらどれくらい回るかは、出発する時に試せばいいし。
 …ん?
 何だこのテキスト…送迎最速理論?」


 機能を確かめている一刀を他所に、ゾロゾロ乗り込んで来る。
 鈴々は既に、一刀に一番近い場所…運転席の後ろを占領していた。
 中には匂いに顔を顰める者も居る。


「…一刀、この匂いは何とかならないか…?」

「無理。
 どうしてもと言うなら、窓を開ける事をおススメする。
 …最終的な手段としては、箱乗りという手もあるしな…」


 危険だが、彼女達なら問題ないだろう。
 素直に上に乗ってもらってもいい。


「気分が悪くなったら、すぐ言えよ」

「この匂いだけで、いい気分じゃないわ」

「そーいうんじゃなくて、もっとこう…吐きたくなるような気分の悪さ」

「これ、そういう気分になるの…?」

「人によるけどな」


 うげ、と舌を突き出す詠。
 見渡すと、全員が既に席に座っていた。
 ふよふよした座席に戸惑いを見せている。


「全員座ったか?
 …それじゃ、エンジンかけまーす。
 恋、セキトをしっかり抑えてるように。
 かなり驚くだろうから」


「……(コクッ)」


 間のおかない返事が返ってきたのを確認して、ブレーキを踏みながら一刀はキーを捻る。
 異音がして、車全体が震えだした。
 エンストも無し、燃料も満タン、いい感じ。


『『『『お、おおっ!?』』』』

 驚いて腰を浮かせる愛紗達。
 流石に華淋や蓮華は胆が据わっているらしく、興味深げに眺めるだけだ。

 案の定、驚いたセキトは窓から飛び出そうとしたが、すぐに恋に抱きしめられる。
 …羨ましいと思ったのは、一刀の秘密だ。


「んじゃ、しゅっぱーつ」


 ブレーキから足を離す。
 いきなりアクセルを踏む事はせずに、ゆっくり走らせた。
 どよめきが上がる。


「こ、この鉄の箱、本当に動くのか…!」


「窓から顔とかを出さないようになー。
 壁とかに当たったら、大怪我するから」


 注意しつつも、ハンドルを少し回して旋回具合を確かめる。
 バスはゆっくり前進し、道路に出る。
 これだけ大きなバスだと、狭い道は通れない。
 車体が大きいし、何より曲がれない。


(えーと…これが曲がれそうなくらいに大きな道は…と)


 頭の中の地図と出口を照らし合わせ、アクセルを少し踏み込む。
 加速した。


「お…結構、楽しいな…」


 車やバイクに嵌るヤツの気持が解った気がする。
 バックミラーを見ると、やたらとスムーズに大河が運転するトラックが動いているのを見た。
 ちょっとライバル心を刺激されたが、すぐに自制。
 こういうライバル心とか闘争心とか、追い越されたら追い抜き返すという心が事故に繋がるのだ。


「ご、ご主人様ご主人様!
 これが“くるま”なのですか!」


「ああ、ちょっと揺れるけど便利な物だよ。
 この世界では、こういう道具を使った移動が主な…っと」


 ちょっとぶつかりそうになったので、慌てて軌道修正。
 大分感覚が掴めて来た。
 あくまでスピードを出さない範囲なら、という意味だが。


 何とかぶつけずに大通りに抜け、先に出ていた大河と合流。
 窓から首を出して声を掛けた。


「どこの店から行く?」


「カワノから行こう。
 あそこにバスを置いて、荷物を運ぶトラックだけ動かす。
 ……なんだ?」

「いや…本気で手馴れてるな、と思って…。
 まぁいいか、行こう」


 初めて動かす自動車が大型ってのも怖いな、などと思いつつ、一刀はバスを動かした。
 既に大きな道に出ているので、それなりにスピードを出す。
 車も自転車も人も居ない道というのは、何処か違和感を感させる。
 真夜中でもないのに、気配が全く無い。

 一方、乗客達は好き勝手に外を眺めて騒いでいた。


「早い早いー♪」

「馬ほどじゃないけど、確かに早いなぁ」

「うーむ…確かに馬ほどの速さは無いが、その分多くの人・物を乗せて走る事ができ、さらに生物でないのなら疲れもないか…」

「戦略的な価値は計り知れんな」

「しかも、これぶっけたら死人が出るやろ?
 大きさ、重さ、速さ、硬さ…ウチらの世界にあったら、どんなんなっとったやろなぁ」

「ワン!」

「………♪」


 速攻で物騒な方向に話が進んでいる部分もあるが、それ以上に楽しそうだ。
 自分以外の力で動く乗り物など、彼女達の時代には精々馬車くらいしかなかった。
 この乗り物がどういう理屈で動いているのか、不思議で仕方ない。
 華淋など、面白い物を見つけたとばかりに目が輝いていた。
 流石は暇つぶし兼美少女の為に三国を支配しようとした少女、胆の据わり方と順応力が半端ではない。


「こういう物が沢山あるのね…楽しそうじゃない、天上界」

「そうか? 悪くは無いが、少々無粋だと思うが…」

「あら、この世界にはこの世界の風情があると言ってなったかしら?」

「何も否定してはおらんよ。
 ただ乗るだけというのも詰まらんと思ったまでだ。
 …主、窓から顔とか出しても構わんかな?」

「初心者が箱乗りなんかするんじゃありません!
 どうしてもってんなら、あっちのトラックの後ろに帰りに乗りなさい。
 その時には荷物が満載だと思うが」

「ふむ、ならばそうさせてもらおう」

「璃々もー!」

「ダ・メ・で・す!
 風が強くて危ないの!
 乗っていいのは、落下しても死にそうにない人だけ!」


 …それだと、この場に居る殆どが該当するのだが。
 不満そうな璃々だったが、紫苑に諌められ、剥れながらも外の景色を眺めているうちにすぐ忘れてしまう。
 珍しい物が多すぎて、不機嫌を保っているのも難しいのだ。
 目下、一番注目を引くのは、建物の上から垂らされている文字が書かれた幕や、空に浮いている丸いの(アドバルーン)である。
 興味がありすぎて身を乗り出そうとする璃々を、紫苑が止めていた。


「お兄ちゃん、目的地までどれくらいなのだ?」

「ん〜、車を運転した事ないし、そもそも大したスピード出してないから…多分だけど、5分程度じゃないかな」

「五分か〜。
 それが終わったら、降りなきゃいけないのだ…」

「また帰りに乗れるよ」


 パッと明るくなる鈴々。
 …これはマズイ、味を絞めたかもしれない。
 こうして一刀が車に乗れるのは、世界が動き出す前の今日限りである。


(…車の免許は取れないけど、バイクの免許とか取ってタンデムしてあげるくらい考えておいた方がいいかも…)


 タンデムつーても、鈴々の体格だとかなり危ないのでは…。
 まぁ、彼女に関しては持ち前の身体能力でどうとでもなるとして、鈴々が二人乗りしたなら自分も、と言い出しそうなのが数人居る。
 無言でヤキモチを妬きそうなのも居る。
 …燃料代が幾ら掛かるだろうか。


(この中で18歳以上の人に期待するしかないかなぁ…)


 紫苑に冥琳…春蘭・秋蘭は微妙、霞も微妙。
 基本的に一刀と同年代が多いので、車の免許を取るのは難しい。
 まぁ、重要なのは戸籍であって、実年齢ではないのだが。


(…紫苑とか、実年齢より若く登録されたりしないよな?)


「ご主人様〜」

「な、ナニですか!?」


 紫苑の声に、思わずビクリと体を震わせる。
 スーっと紫苑の目が鋭くなったが、今は追及する気はなさそうだ。


「その…さっきから、こう、胸の中がモヤモヤと…」

「…いつものエロトーク…じゃないか。
 もうちょっと我慢できる?」

「はい…あまり強い感覚ではないので…」


 意外と言えば意外な事に、紫苑は車に弱いようだ。
 ちょっとだけ顔が青い。
 一刀は紫苑に負担をかけないように丁寧に運転しようとしたが、何分素人そのもの。
 丁寧に運転しようと、普通に運転しようと大した変わりは無い。


「真っ直ぐ前を向いて、余計なモノを見ない方がいい。
 …あ」

「何か?
 …あ…ふふ…」


 余計な事に気付いて、赤面する一刀。
 不思議に思った紫苑だが、すぐに解った。
 車の振動で、胸が微妙に揺れている。
 胸のラインが浮き出る服を着ているだけに、震えているのが明確に解る。

 気分が悪くなっていた紫苑の表情に余裕が戻った。
 ワザとらしく、自分の体を左右に揺らしてみせる。
 一刀は前を向いて運転に集中しようとするが、バックミラーに写る映像にどうしても気を取られてしまう。
 …事故スレスレである。

 そうしている内に、目的地が見えてきた。
 大河が先導し、カワノの駐車場に入る。
 一刀は大河の操るトラックよりも大きな弧を描いて、駐車場にゆっくりと入った。
 見回してみるが、バスの停留所は無い。
 まーどうせ誰も居ないんだし、とその辺に適当に止めた。


「着いたぞー。
 えーと、扉の開閉スイッチは…「あ、こら鈴々!」


 愛紗の声に振り向くと、開けられた窓から鈴々が外に飛び出す所だった。
 …無賃乗車になるのだろうか。
 まぁ、この場合全員が無賃だが。

 適当にスイッチをオンオフしていると、バスの前後にある昇降口が開いた。
 愛紗が鈴々を止めようと、我先に降りて行く。


「紫苑、ほら捕まれ。
 とにかく外で休むんだ。
 誰か気分が悪い人、居るか?」


 一刀は口元を押さえている紫苑に肩を貸し、立ち上がらせて乗客達を見回す。
 何人かチラホラ手が上がった。
 こういうのは三半規管とかよりも、体質の問題だから無理も無いだろう。

 取り合えず紫苑を車から降ろし、近くにあった長椅子に横たえる。
 他に気分が悪くなった数人も、バスや柱に寄りかかって深呼吸していた。


「…みんな大丈夫か?」


 ヒラヒラと手を振り替えされる。
 大丈夫だ、と言っているようだが…中には顔が明らかに青い者も居る。


「…仕方ない、ここで治るまで休んでおいてくれ。
 何人か残していくから、後で追ってこれる?」


 紫苑はコクリと頷いた。
 声も出したくないらしい。
 気持は解らなくもない。


「そうだな…朱里、秋蘭に…周喩。
 残ってこの人達の面倒を見てくれるか?」


「はい、ご主人様!」

「…ま、いいだろう」

「わかった。 …放っておけばいいんだしな」


 三者三様の答えを返す。
 一刀は彼女達に、自動ドア等やエスカレーター等の説明をして、後を任せる。
 頭がいい人材だけを残して行くのは、後から自分達で追ってこれるからだ。
 自動ドアやら何やらの存在については眉唾な表情をしていた朱里達だが、実物を見ればすぐに理解するだろう。
 3階に居る、とだけ言って一刀は先に進む。


「大河、行くぞー。
 愛紗、鈴々、こっちこーい」

「ん? おう」

「はいなのだー!」

「鈴々…だから、何でもかんでも弄り回すなと…」


 トラックの荷台で寝転がっていた大河が跳ね起きる。
 愛紗は疲れたような表情で、自動販売機を弄り回していた鈴々の後ろについて一刀の元にやって来る。

 一刀は少し不安そうに残された人達を見たが、手を振り替えされて気を取り直した。


「まず…そうだな、炊飯器から行くか」

「考えてみれば、連れてくる必要なかったんじゃないのか?
 この人達に、電化製品の事なんぞ解らんだろ。
 一刀達が服を選んでいる間に、俺が揃えておいてもいいんだぞ?」

「解らないから連れてくるんだ。
 とにかく、こっちの文明に少しでも多く触れさせたい。
 それに、電化製品を持っていくのにも人手が要るだろ。
 情けない話だが、俺達よりも愛紗達の方がずっと腕力があるぞ」

「今の俺はそうとも限らんのだが…」


 大河がブツブツ言っているが、これは紛れも無い事実だ。
 多少鍛えていて、男である一刀よりも、女性であってもトコトン鍛えぬいた彼女達の方が膂力がある。
 覆しようもない事実である。
 男として情けないとは思いつつも、君主であったときのクセで使える人材は使おうとする。

 やっぱり鍛えなおすべきか、でも筋トレくらいじゃ追いつけないなぁ、何をどうすればあんな細腕のまま腕力付けられるんだ、と一刀は徒然と考える。
 そうしている間にも、ついてきた女性達は見慣れない電化製品に興味津々である。


「ご主人様、これは?」

「それは洗濯機。
 …大人数だし、極大のヤツがいいよな…」

「一刀、これは?」

「それは扇風機。
 風を起こすカラクリだよ」

「これは…なんだ?」

「それは冷蔵庫。
 動力を回して動かせば、中が冬みたいに寒くなる。
 これのおかげで、食料の保存が利くんだよ」


 …忙しい。
 大河は笑っているだけで助けてくれない。

 一刀は適当に質問をあしらいながら、昇りのエスカレータに乗って上の階へ向かう。


「おお!?
 階段が動いてるぞ!?」

「成程、一段に立っていれば上まで運んで貰えるのか」

「この取っ手も動いてる!」

「よっしゃ、一番乗り!」


 翠がジャンプしてエスカレーターに飛び乗った。
 ほっ、とばかりに着地して、足元を注意しながら取っ手に手を乗せる。


「…おお〜」


 感嘆の溜息を漏らす翠。
 自分の力以外で動くなど、さっきの“くるま”や馬以外には殆ど経験が無い。
 なるほど、これは便利だ。
 こういうのがこの世界には山のようにあるのか。

 翠の後に、次々と続く。
 同じようにジャンプして乗る者も居れば、気軽に歩いて乗る者も居る。


「…一応言っておくけど、逆走するなよ〜」

『『『ぎくっ』』』


 後ろを向いている者が、数名。


「さて、それでどういう基準で選ぶ?」

「決まってる、一番大きくて高価なヤツだ」

「………」


 電化製品をかっぱらう事に、何の躊躇も覚えなくなったらしい一刀。
 その基準はどうよ、と大河はジト目になった。
 まぁ、言いたい事は解らないでもない。
 とにかく人数が多いから、業務用の電化製品でも買わなければやってられない。
 最近は高性能と小型化が同居するようになったが、やはり小型だと一度にこなせる量が如何ともしがたい。


「小さくて高性能yなヤツを複数って線は無いのか?」

「んな事言ったってなぁ…。
 配置とかどうすんのさ。
 面倒くさいし、そもそもコンセントがタコ足になるだろ?
 ヘタすると熱で燃え上がるんじゃないか」

「それでなくとも、ブレーカーが落ちるか…」


 確かに、細々とした配置は自分達でやらねばなるまい。
 …この場合の自分達というのは、言うまでもなく一刀と大河のみである。
 慣れれば彼女達も使えるだろうが、そもそも今の彼女達では日本語が読めない。


「俺と大河はどれにするか選んでるから、その辺で待っててくれ。
 珍しいモノがあったら触ってもいいけど、壊さないようにな!」

『『『はーい』』』


 幼稚園の遠足のような返事が返ってきた。
 普段堅物な愛紗も、さっきから好奇心が疼いていたらしい。


「いいのか? 放っておいて」

「何かあったら、それこそ世界にどうにかしてもらうさ。
 それより、まずは炊飯器炊飯器」

「この辺に業務用の炊飯器って売ってたかなぁ…」


 約30分。
 とにかく一度にこなせる仕事量だけを目安に選んだので、どれにするかは意外と簡単に決まった。
 金の心配が一切無いなら、高性能なヤツだけを選ぶに決まっている。


「流石に店頭のヤツを持っていくのはまずいか?」

「それこそ世界が、とか言ったのは一刀だろうが。
 いーから運べ運べ。
 どっかに台車があるから、それを探そう」


 台車に乗せて、エレベータで運ぶのがいいだろう。
 …誰か一緒に乗せてみるか?


(……反応が面白そうなのは……むぅ、あんまり居ないな。
 みんな順応しはじめてるし)


 箱状の物の中に入って、扉が閉まって開いたら景色が変わっていた。
 …この程度じゃ今更だろう。
 精々、エレベータが降下する時の浮遊感に違和感を覚える程度だろうか。


「うーむ、ここは一つ、まだ慣れてない人がいいんだが…どっかから沸いてこないかなー?」

「んな事言ってると、本当に出てくるぞ?
 お前は『主人公』なんだからな」


 …楽しんでいた一刀の思考が、即座に冷えた。
 そう言えばそんな話もあった。
 それに…。


「…大河、結局お前の『話せる所』まで聞いてないんだが」

「ん? ……おお、そう言えばそうだな。
 どっから何を話すべきか…。
 まぁ、お前が聞いたからってどうなる物でもないんだが」

「それでも話せ」

「へいへい。
 ……そうだな、まず…「ご主人様」…お?」


 後ろから呼びかけられ、一刀と大河が振り返る。
 そこには気分が回復したらいしき紫苑他数名が立っていた。


「もう大丈夫なのか?」

「はい。
 それにしても、この世界は面白い物が沢山ありますね。
 …最も、先程のような気分になる物は、あまり嬉しくありませんが…」

「その辺は慣れだな。
 それはともかく、紫苑。
 この後、服を選びに行くんだけど」

「まぁ、それは私に服を見立てて欲しいと言う事ですか?
 そういう事なら、お任せください。
 ふふっ、ここの服はどのような物なのでしょうね♪」


 今から着せ替え人形にする事を考えているのか、その笑みはとても楽しそうだ。
 とりあえず娘の璃々と、前にも着せ替え人形にした事がある鈴々、愛紗、そして翠。
 勿論自分も、色々な服を試してみるつもりだろう。
 …紫苑の自分の服は、かなり色気タップリにするつもりだろうが。


(…おい一刀、あの…未亡人の人?は、普通の服を売ってる所より、夜のセクシーマダム向けの所に連れて行った方がいいんじゃないか?
 お前も個人的に嬉しいだろ)

(やかましい。
 そもそも、この辺にセクシーマダム用の店なんぞ無いだろ)

(いやまぁその、何と言うか蛇の道は蛇…)


 …あるらしい。
 しかも、大河は利用していたっぽい。
 そして大河が利用していたとして、そこで購入した品を使うのは?

 …一瞬だけ大河が自分で、というおぞましい想像が浮かんだものの、順当に考えれば未亜だろう。
 妹に何をさせておるのだ。


(…恐ろしいヤツ…)


 そう思う一方で、見習わねば、と思う一刀だった。
 夜の性活で、紫苑を満足させた事が無いからだ。
 …いや、紫苑は充分だと言ってくれているし、実際何度も気持ちよくなっているのだけど、一刀がヘバる頃になっても紫苑は平気。
 男として、ちょっと悔しい。


 しかし、どっちにしろ今回はパスだ。
 あくまで日常生活用の服を調達しに来たのだ。
 あんまり目立つような服にしてほしくない。


(でも色っぽかったり可愛かったりする服で居て欲しいとも思うし、そうなると他の男の目に晒す事になるんだなぁ、と葛藤する俺はおかしいでしょうか…?)


 おかしいおかしくないはともかくとして、美人が揃っているんだから、多少野暮ったい格好をしていても目立つのは変わらないと思う。

 なにやら一刀がブツブツ言っている間に、大河はさっさと台車に荷物を詰め込んでしまう。
 細かいバランスとかは考えずに積み上げる辺り、典型的な素人だ。


「一刀、残りのヤツは適当に持って来い」

「ほいほい。
 取り合えず紫苑、これ持って大河に付いていって。
 俺は他の物を運ぶから」

「お任せを」


 悪戯っぽい表情で、一刀からビデオデッキを受け取る紫苑。
 …どうやら、この際だから片っ端から揃える事にしたらしい。
 贅沢品も、片っ端から持っていくつもりだ。


「えーと、残りは…。
 スタンドライト、オーディオ、ゲーム機、あと冷蔵庫を幾つか…。
 それに…」


 目を付けた品の近くに居る女性に声を掛け、大きいものは2人がかりで運んでもらう。
 細腕に見えても、屈強な男の2倍くらいの腕力を持っている女性達だ。
 見た目は細い彼女達が、引越し屋さんも脱帽なくらいにスムーズに家電を持ち上げるのは、流石に違和感が強い。


「ご主人様ー、璃々は? 璃々は?」

「璃々ちゃん? えっとな…」


 周囲を見回す一刀。
 流石に璃々でも持てそうな家電は無い。
 しかし何も無い、と言ったら璃々は泣きそうである。
 仕事が出来るという期待感からか、璃々の顔には満面の笑みが浮かんでいる。
 普段仲のいい鈴々が仕事をしているのに、自分は何もしてないというのを気にしていたのかもしれない。


(璃々ちゃんを泣かすのは勘弁だし、泣かしたら総スカン食らってあの世行き…。
 しかし、持てない物を持ってくれってのも無茶だし…。
 あ、そうか、他の物持たせればいいのか)


「この辺の物はもう無いから、食器を揃えに行こうと思うんだ。
 璃々ちゃんは、どの食器がいいか選んで、それを持ってくれる?」

「うん!」


 ここは電化製品専門店だが、すぐ隣に家具の専門店がある。
 幸運に感謝しつつ、一刀は璃々を連れて食器を揃えに行った。


「んっしょ…よいしょ…」


「…なんだろう、物凄く癒される…」


 掛け声をあげながら、可愛らしく食器を運ぶ璃々。
 いくら璃々が張り切っていると言っても、流石にそう多くの食器を運ぶのは不可能だ。
 コケられたらエライコトになる。
 それでも精一杯の量を持って歩く璃々に、一刀はとても癒されていた。
 思わず頭を撫でたくなったが、今それをやるとバランスを崩しかねない。
 心の中でしみじみと喜びを噛み締めつつ、一刀は璃々の隣をゆっくり歩いた。


「まだまだ沢山持っていかないと…。
 しかし、差し当たり今日のメシはどうするかな…」


 料理が出来る人材は結構多い。
 愛紗も…チャーハンだけかもしれないが…料理は上手になってきたようだし、紫苑だって一児の親だけあって上手い。
 朱里は以前通っていた学校(のようなもの)で、当番製で食事を作っていたらしい。
 華淋は天才肌なので、割と何でも出来る。
 ガスコンロや電子レンジの使い方も、すぐに覚えてくれるだろう。
 星は…微妙。
 出来そうではあるが、食材がメンマに偏ったり、妙なブツが出てくる可能性が高い。
 貂蝉は……もっと微妙。
 上手いとは思うのだが、あの姿にエプロンなんぞされた日には衝動的に自殺できる。


「食材はその辺から持ってくればいいとして、実際当番を決める必要があるよなー」

「ほえ?」


 首を傾げる璃々に笑い返し、一刀は考える。
 寮なら食堂辺りに行って食えばいいだろうが、もう引越しは確定した。
 こうして電化製品を運んでさえいる。


「暫くは、俺も一緒に料理するしかないか。
 ガスやら何やらの使い方を覚えてもらわにゃならん。
 …風呂は…どうする?」


 限りなくマジな顔になる一刀。
 シャワーの使い方ぐらい、すぐに覚えはするだろう。
 だが…それだけでは面白くないではないか。
 ぶっちゃけ、一緒に入りたい。
 翠の言う通り、一刀もエロエロ魔神なのだ。


「なまじ拒みそうに無い人とか、強引に迫ればOKしてくれそうな人ばかりってのがなぁ…」

「あー、ご主人様がえっちな事考えてるー」

「うっ!? す、鋭いね璃々ちゃん」

「顔に書いてあったよー」


 笑う璃々。
 ふと紫苑の言葉が脳裏を過ぎった。


『璃々をご主人様に貰って「いやいやいや、待て待て待て待て。
 それはヤバイ。
 幾らなんでもヤバイ。
 いやしかし、確かに璃々ちゃんがどっかの馬の骨に…うーむ、しかしなぁ」


 葛藤する一刀。
 …旧友・大河がロリ上等のハーレム道を進んでいると知ったら、どんな顔をするだろうか。
 その全てはお見通しだと言うかのように、璃々は声を立てずに笑った。


「璃々、ましょーのおんな?」


 …やっぱ確信犯か。


「ところで大河。
 一応確認しておきたいんだが」

「んー? ひーふーみーよー…」


 掻き集めた食器やら家電やらを、トラックに詰め込む最中の事。
 適当に積んだ割には効率よく詰め込んではいるものの、そろそろ限界だ。
 バスの中には、布団やら小物やらが詰め込まれている。
 これ以上詰め込むとなると、人が乗れるスペースが確保できなくなる。
 ここは一端家に戻り、全て下ろしてくるべきだろうか。
 いや、運動神経がいい人にハコ乗り或いは上に乗ってもらえば、もう少し詰め込める。
 スピードを出さなければ多分大丈夫…。


(ちょっと待て、そこまでする事ないだろ。
 大人しく、一端引き下がるか…)

「何だよ一刀?」

「ああ、すまんすまん。
 一応確認しておきたいんだが、お前明日から未亜ちゃんトコに戻るのか?」

「正確に言うと、今日の夕方からな。
 それがどうした?」

「住所は、お前の親戚のトコから飛び出した時のあそこか?」

「いや違う」

「引っ越したのか?
 遊びに行っていいかね」

「そもそも、明日から俺はこの世界には居ない」

「……は?」


 一刀は思わず動きを止めた。
 どういう意味だ?

 大河は家電を縄でトラックに縛りつけ、いい汗掻いたとばかりに額を拭う。


「…話せない事、の辺りに相当するんだが…文字通りさ。
 俺が居たって記録は残るだろうが、俺と未亜はあの部屋には居ない。
 多分どっかに引っ越した事になってるぞ。
 学校も転校だな」

「な、何でだよ!?」

「話せないっつーたろが。
 ま、お前の事だから、いずれネットワークに辿り着くだろ。
 話はその時にな」

「ネットワーク? そりゃインターネットの事か?」

「違うよ。 ま、いずれ解る。
 とにかく、俺と未亜はこの世界から消える。
 探しても無駄だぞ。
 ま、元気にやってるから心配すんなや」

「おい!」

「いいから一刀、お前はここで連中の服を調達しろ。
 俺は一端戻って、これを家に放り出してくるから」


 一刀が大河を引きとめようとするも、全く気に留めず。
 掴んだ筈の肩も、いつの間にやら外されていた。

 一刀は一瞬呆然としたが、次の瞬間思い当たった。


(俺に気付かれずに、体を動かした…!?)


 一刀は愛紗達に比べると弱いが、それでも平均的な一般人以上実力はある。
 中学時代、大河とつるんでいた頃から、気配やら何やらを感知する術を持っていた。
 戦乱の時代に生きた事で、その術も少なからず強化されている。
 その一刀に全く感知させずに、大河は動いた。
 今では、愛紗達の攻撃も、手加減されていれば感知する事は出来るというのに。


「…大河…お前、一体何があったんだよ…?」


 大河が戻ってくるまで、かなりの時間があると推測される。
 あれだけの大荷物を載せているのだから、トラックだってそうそうスピードは出せないし、家に到着したら到着したで、積み下ろし作業がある。
 暫く戻ってこれないだろう。


「…仕方ないか。
 みんな、次は服の調達…だけど、その前にメシにするか」


『『『はーーーい』』』


 家電を運んで腹が減ったのか、嬉しそうな表情だ。
 恋なんぞ、腹で意思表示をしている


「そんじゃ、近場のスーパーに行って…また無銭飲食になるなぁ…仕方ないか」


 スーパーに行って、出来合いのコロッケやら何やらを適当に食わせてもらう事にしよう。
 璃々や鈴々、恋にはアイスクリームでも渡すか?
 とても喜びそうな気がする。
 霞にはタコ焼き…何故なら関西弁だから。

 一刀達は連れ立って歩く。
 30人近い人数だから、ちょっと異常な光景である。
 何と言うか、観光に来た美女一行とガイドさん?


「!?」


 一刀の隣を歩いていた星が、ピタリと動きを止めた。
 空気が変わる。
 ほぼ同時に、愛紗達も臨戦態勢に入った。


「…どうした?」

「…誰か居ます。
 当真殿ではありません」

「敵意を向けられているな…。
 この面子に向かって喧嘩を売る気か?」


 だとしたら、誰だか知らないがいい度胸だ。
 この連中なら、某傘社の暴君だって無傷で叩き潰すだろう。
 しっかり武器も持ってきている。

 一刀は璃々や朱里、月、詠などの非戦闘員を庇い、後ろに下がった。
 その周りをそれぞれが固める。


「…何奴……? そこやッ!」


 霞が裂帛の気合と共に、懐に隠し持っていた小刀を投げる。
 宙を裂いて飛んだソレは、鋭い音と共に弾き返された。

 小刀を弾き返した曲者は、道路に飛び出して……ばったりと倒れた。


「…は?」

「コイツは……」


 思わず目を点にする。
 その間も周囲の気配を探っているが、気配は全く無い。
 どうやら単独犯のようだ。


「う、うぅ……」


 苦しげに呻く曲者。
 その曲者に、数名は見覚えがあった。


「……華雄…?」


 董卓軍の猛将にして、己の武を過信するあまり愛紗に討ち取られた華雄その人である。
 相変わらず凶暴そうな目付きをしている。


「貴様…何のつもりだ!」

「ぐっ……あ…」


 愛紗が刀を突きつけるが、華雄は口惜しげに歯を食い縛るだけ。
 どうやら、本気で動けないらしい。
 その目は愛紗を睨みつけながら、月や詠、恋などに向けられていた。

 戸惑いながら、一刀は口を開く。


「……ひょっとして…月が俺達に捕まってると思って、助け出そうとしたとか…?」

「…ウチは?」

「……寝返ったと思われたんじゃないの?」


 月と詠は顔を見合わせる。
 確かに、二人が一刀達の下に下る前に、華雄は死んでしまった。
 仮にも武人である華雄。
 仕えていた主を守ろうとしても、全くおかしくないが…。


「…華雄。
 私達は事情があって、北郷に保護を受けているの。
 こんな訳のわからない世界に居るのも、それが関係しているし…。
 悪いけど、刀を納めてくれない?
 …って、それ以前か」


 華雄は相変わらず動けないようだ。
 しかし、その敵意に迷いが出たように見える。
 詠の説得に応じたのだろうか。

 月が進み出て、華雄の顔を覗き込んだ。


「華雄…傷を受けているのですか?」


 華雄は首を振る。
 確かに、何処にも傷があるようには見えない。
 血も流れてはいないし、打撲の痕も見えない。


「ならば、何故?
 体調が?」

「……は、腹が…痛い…」


 搾り出すような口調。
 腹が減った、ではなく腹が痛い、か。


「とにかく、動けないんだからとにかく休ませよう。
 えーと…霞、運んでくれるか?」

「はいはい、元同僚のよしみやで」

「ううぅ…」


 敵対していた愛紗達に運ばせるよりはいいだろう。
 霞が華雄を持ち上げると、その懐からコロンと何かが零れ落ちた。

 鈴々が拾って、それをしげしげと眺める。
 …歯型がついていた。


「お兄ちゃん、これ何なのだ?
 食べ物?」


「ん? ……おいおい…」


 ……石鹸だった。
 どうやらこの世界に飛ばされ訳がわからない状況で、食えそうな物を探して見つけたのがコレだったらしい。
 近くに食える物が無かったのだろうか。


「…この調子じゃ、他にも色々と口に入れてる可能性があるな…。
 腹を壊す筈だわ。
 ………下剤でも使って、余計なモノ全部出しちまった方がいいかもなぁ…」


 断じてそういう趣味じゃないぞ、と言い訳する一刀だった。
 これにて午前の部、終了。




え、えらい反響ですな(汗)
引越しの準備で忙しくなってきて、日々ポツポツ書いてます。
うーむ、迫り来る一人暮らしの不安…。
3月5日から大阪に出る予定です。
インターネットに上手く繋げなければ、暫くの間更新が途切れる可能性がありますので…。

余裕があったら、短編を書いてBASEONのHPに投稿しようかなぁ…。
余裕?
最近ギリギリですよ。

それではレス返しです!

1.Revenge様
適当ではあるけど、その分手を加えやすいのですよ。
続きは…かなり行き当たりばったりになると思います。
世界が動き始めるまでは、ある程度構想が出来ているのですが…。


2.晴明様
かなり強引な設定でしたが、受け入れていただけたなら有難いです。
もうすぐ一人暮らしなので、更新ペースは落ちるかもしれませんが…頑張ります!


3.FAL様
やっぱり筆休めになるでしょうね…。
今の所、メインは幻想砕きで、それが終わったらラブひなの予定ですし…。
それでも忘れられた頃には更新してみようと思います。


4.たくぞう様
はっはっは、某HPでは発売前から投稿されていたツワモノも居りましたよ。
一刀が意外とヘタレじゃなかったために、抵抗なく読める一品でした。
むぅ、双魔伝まで…そろそろ執筆再開すべきか…。


5.通りすがりの皇国スキー様
ハーレムエンドって言うのも、少し違うかもしれませんけどね。
恋姫無双、どうでしたか?

更新ペースはナメクジより遅いと思いますが、楽しみにしてくれると幸いです。


6.詠深様
はじめまして、詠深さん。
実際、これからどうするか結構迷っています。

まさか華雄とかまで居るとは思いませんでしたね。
HPの説明まで一文だけだったし…ちょっと同情しました。


7.KS様
はじめまして、KSさん。
恋姫無双はキャラがいいですからね。
もし年齢制限が無いのがPS版で出たりしたら、一気に二次創作が増えそうです。

キャラ全員を描く事は半分諦めて、特定のキャラを特定のシーンでのみ動かそうかと思っています。


8.九頭竜様
尻込みなどせず、是非とも執筆してください!
一刀の隣…うーん、誰でしょう…。
星だったら、『隣に居るのは一人だけではない』とか言って、ハーレム上等で行きそうです。


9.アシモ様
ありがとうございます!
頻繁には更新できませんが、ちょっとずつ書いていきます。


10.蝦蟇口咬平様
ファンディスク…とはちょっと違うような気もしますが、それもまた良し!
大河と一刀、気が合うんじゃないかな〜と思ったんですよ。


11.シオン様
彼女…登場したキャラには大抵濡れ場があったし…。
彼女と言うと…華雄? 公孫賛? それとも璃々!?
……直接描写は無いでしょうが…いつか、両方関係を持つかも…。


12.ソティ=ラス様
うーん、やっぱり大河登場は唐突でしたか…。
事前予告なしでクロスさせましたからね…反省。


13.神凪祐様
オリキャラと言うと…男ですか女ですか!?
是非女で!
…そして華淋に狙われるw

大河は拙作・幻想砕きの剣の…一応終了後から出演しました。
やっぱりクロスのさせ方が強引すぎたかな…反省。


14.フィン様
ここは一つ名を改めさせて、貞男とw

華雄は仕方ないですよ。
確かEDでは、最後の一枚絵で何時の間にかポツンと居るだけでしたから…。


15.龍様
確かに、ED後の2ヶ月間が非常に気になりますね。
何とか途切れさせないように続けていきます。

はい、大河は幻想砕き終了後の大河君です。


16.nao様
むぅ、ちょっと捻って恋姫†と。
…逆に書きにくいですね。

ネットワークの設定は、今の所全貌は時守の頭の中にしかありませんから…。
やろうと思えば、幾らでも弄れますw
このSSは、最終的には小ネタ集のようになると思うので、ネットワークキャラはあまり出てこないと思います。
出てきてもチョイキャラくらいでしょうか。


17&18.その場限り様
長いですからねぇ、幻想砕きが…。
気長に読んでやってください。

ダウニー先生の会社…何というか、社員が全員ネタ用カツラを被る事を義務付けられているような気がw
しかし、確かに高性能なカツラではるでしょうね。
多大に趣味に走っている気がしますがw


19.竜神帝様
アヴァター系列…ではないですね。
大河は幻想砕きの中では、アヴァターとは違う系統の世界から呼び出されましたから。
この世界も一応、アヴァターとは別系列…という設定なのですが、実を言うとちょっと困ってます。
最終的な段階の辺りで、ちょっと設定に齟齬が…。


20.悠真様
プレイしましたか?
いいキャラが揃ってますよ〜!
恋とか翠とか、愛紗も好きですねぇ。
マニア向けキャラも何気に…。

ふぁ、ふぁんですか…明記されるとちょっと照れます…。

確かに幻想砕き終了後という設定ですが、途中で幻想砕きのラストが変更される可能性もあります。
まぁ、多分無いとは思いますが…。


21.なな月様
意外と長いですからね、恋姫無双。
特に反董卓軍の辺りが、予想以上に長かったです。

やっぱりヘンな題名ですよねぇ。
ちなみに、どんな風に読みましたか?
素直に文字通り?

大河と一刀は、文字通りの同級生です。
共通点と言えば、二人とも喧嘩が強い事でしょうかね。

子連れ狼…ちゃーん!


22.試作二号機様
アンケートハガキ?
とっくに行方を晦ましたよーぅ!

一人一人のキャラが、人数を考えると異常なくらいに立ってますからね。
嬉しい限りです。
序盤で死んだ二人が居るのは、ご都合主義なら徹底的にって事でしょうかね。
個人的に意外だったのは、星がポツンとしか描かれてないという事です。
確かに一刀の周囲はほぼ満員でしたが…哀れな(涙)

クロス…と言えばクロスですよね。
ネットワークはやたらクロスしてますし…。
何でもありというのは、開き直ればどんな事だって出来るのですよーw

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