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▽レス始

「ユ 外 メ 史 ノ の ツ 続 ヅ き キ (恋姫†無双)」

時守 暦 (2007-02-10 02:18/2007-02-10 02:26)
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 原作・ハーレムエンドにて、死者諸共新しい外史(意味が解らなければ本編をやるべし)にすっ飛ばされてしまった一刀達。
 一刀も最初はめがっさパニクったものの、貂蝉の活を受けて立ち直った。
 で、とにもかくにも、こんな色々と濃い連中が、朝っぱら(朝なのだ、一応)から道端で屯しているのはよろしくない。
 国家の犬に呼び止められて、不審尋問でも受けたらたまったものではなかろう。
 なにせ銃刀法違反者がゾロゾロ居るのに加え、貂蝉なんか外見だけで発砲許可が降りそうだし、そもそも彼女達には戸籍もなけりゃ本籍も無い。
 もし何かあった時に、一刀では彼女達を庇い切るのは不可能だろう。
 一国の王だった以前(一時間も経ってないが)とは違うのだ。


「と、とにかく移動しよう。
 ここに居ると色々ややこしい事になりそうだし、みんなそれでいいね?」


「移動する…と言っても主、何所か当てでもあるのか?
 貂蝉の言う事を信じるならば、ここは全く違った世界だろう。
 闇雲に動き回っても仕方ないのではないか」


「あー、そりゃそうなんだけど、一応ここって俺が居た世界に似た世界みたいだからさ。
 取り合えず、俺が住んでた所に行ってみようと思うんだ」


「…他に当てもありませんし、ご主人様がそう仰るなら…」


 趙雲こと星が発した問いに一刀が答え、まだ自分が夢を見ているのではないか、と思っているらしき諸葛亮…朱里も頷いた。
 他の面子は、もの珍しげに周囲を見回している。
 彼女達の主人…一刀が住んでいた世界だというのもあるし、単純に違った文化形態の世界が珍しい、というのもある。


「それじゃ、とにかく行く「お待ちなさい!」…なんだよー」


 途端に面倒臭そうな表情になる一刀。
 一刀の言葉を遮ったのは、金髪縦ロールおバカタイプこと、袁紹だった。
 まぁ、一刀が面倒臭そうな表情になるのも無理は無いだろう。
 彼女に対して、一刀はあまりいい記憶を持っていない。
 敵としても、味方としても。
 何せ無知・無能・無策、挙句やたら根性だけはあると三拍子+1が揃った、敵にすれば鬱陶しい、味方にすれば邪魔という実に困ったちゃんなのだ。
 あと、微妙に人望があるのか無いのか。


「何故アナタがこの場を仕切っているのです!
 ここは私のような、高貴かつ有能な指導者が必要とされる場面でしょう。
 下賎の者は、引っ込んでいて「うらっ!」げふぅ!?」


 空気を読むとか、そういうスキルを全く発動させない袁紹は、高らかに名乗りを上げる最中に後頭部をブン殴られて気絶した。
 愛紗や鈴々、朱里を筆頭とする一刀至高主義なメンバーの仕業ではない。
 彼女達も動こうとしていたが、それよりも早く行動した者が居たのだ。


「ぶ、文ちゃん…いきなりそれは酷いと思うの…」


「んーな事言ったってさー、このままじゃもっと話がややこしくなりそうじゃん。
 それで飯にありつけなくなったら困るし…。
 それにしても、斗詩って結構腕力あるよな〜、こんな重い大槌を平気で振り回すんだから。
 本気になったら、アタシより腕力上なんじゃないの?」


「うぅ〜、そ、そんな事ないもん…」


 袁紹の付き人(?)の、文醜…猪々子と顔良…斗詩である。
 文醜は袁紹が「お待ちなさい!」の一言を上げた瞬間に、斗詩の持っている大槌を引ったくり、軽く(本人談)袁紹の後頭部に打ち下ろしたのである。
 異常な頑丈さと悪運を誇る袁紹も、これには堪らず気絶した。

 冷や汗を流す馬超…翠。


「お…お前ら、そういう事していいのか…?
 一応お前達の主君じゃないのかよ」


「へーきだって。
 このくらいで死ぬような人じゃないもん」


 ケラケラ笑う文醜。
 その隣で、斗詩が深〜く溜息を吐いた。
 夏侯淵…秋蘭がポンと肩を叩いて慰める。
 …どうやら、冒険中(文醜談)に出会った頃の友情が再び芽生えてきたらしい。
 苦労人同士、相通じるのは何処の世界でも同じか。

 一刀も汗を垂らしていたが、曹操…華淋に腕を引かれて我に返った。


「…ま、あれくらいでいいんじゃないの?
 騒がれても困るし、上手くすれば頭がマトモになってくれるかもしれないし」


「それはまず無いと思うが…まぁいいか。
 そんじゃ、とにかく行くぞー。
 細かい話は、腰を落ち着ける場所を見つけてからって事で」


 一刀にそう言われてしまえば、基本的に否は出ない。
 別段不都合がある提案でもないし、この世界での勝手を弁えているらしい一刀に任せるのが妥当だろう。
 何名かブツブツ文句を言っている者も居るが、それは単なるポーズだったり、その者の主に諌められた。


 かくて、刀剣と鎧を帯びて…ヒモパン一丁しか帯びてない者も居るが…ゾロゾロ歩きだす。
 何というか、犬とか吠え掛かってきそう雰囲気である。


 愛紗が一刀に話しかけた。
 一刀は、さっきからしきりに周囲を見回している。


「それでご主人様、目的地まではどれくらいですか?」


「すぐ近くだよ。
 5分もかからない……んだけど…おかしいなぁ…」


 一刀は周囲の様子に違和感を覚えている。
 首を捻っているが、その違和感の正体には行き当たらない。


「にゃー、ヘンなモノが一杯あるのだー」


「こんなヘンなトコに住んでるんだから、コイツがヘンなヤツなのも道理よね」


「詠ちゃん、ダメよ…」


 なんか色々意見が飛び出ているが、この世界に対する印象は『ヘン』の一言に集約されるらしい。
 無理も無いと言えば無理も無いだろう。
 むしろ、車とかを見て騒ぎ出さないだけ上出来…。


「って、そうだよ車の音がしないじゃん!」

「車? とは何です?」

「あー、何と言うか、馬車の代わり?
 馬は必要ないけど、もっと早く走れて、困った煙を撒き散らす。
 あと、時々人を撥ねて殺す」

「ほう…主の世界も、中々に物騒なようですな」


 なんか感心している星は置いといて、一刀は改めて周囲を観察した。
 夏侯惇…春蘭や呂布…恋も周囲を見回し、警戒していた。
 “くるま”なるモノが走り回っていると聞き、いつ現れるか気を引き締めているらしい。
 …訂正、恋は多分ボーっと眺めているだけだ。


 それはともかく、違和感の正体に行き当たった一刀は耳を澄ませる。
 …しない。
 車の走る音だけでなく、人のざわめきも、虫達の声も、何も聞こえない。


「……なぁ、この近くに何かの気配ってあるか?
 人間、動物問わず…」


「いえ、何も感じませぬが?
 主の世界では、これが普通ではないのですか」


「いや、確かにこの辺は人通りの少ない方だけど、そんな筈…」


 一刀は暫し悩むと、近くにある民家を覗き込んだ。
 ……誰も居ない。
 庭には置石や盆栽、犬の小屋もある。
 だが、生物の気配が一切合財しない。


「…俺が向こうに行ってる間に、過疎にでもなったのか…?」


 首を捻る一刀。
 その後、人通りの多い筈の商店街や道路も覗いてみたが、やはり何も居ない。


「…なんだか寂しい所だな…」


「そりゃ、確かに前の世界に比べれば、他人と他人の係わり合いは少ないけど…」


 孫権…蓮華の言葉に、無自覚に返す。
 しかし、何はともあれこれは好都合かもしれない。
 とにかく人目が無いのは確かなのだ。
 この際、さっさと自分の居場所…寮の部屋…に行ってしまおう。
 何となく不安を感じつつも、一刀達は早足に移動して行った。


 結局、寮に着いても誰も居なかった。
 コンクリートで立てられ、洋風に整えられた部屋を珍しげに見る女性陣(+α)と違って、一刀の戸惑いはピークに達している。
 一応寮を見て回ったが、どの部屋にも鍵はかかっておらず、中は誰かが使った形跡も無い。
 しかも新品同然…と言うより、新しい建物特有の匂いすら漂っていた。
 食堂に戻り…全員が入れる部屋はそこしか無かった…。


「…こりゃ一体、どうなってるんだ…?」


「…ご主人様、とにかく状況を整理しましょう。
 取り合えず点呼と、各自体調の確認を…」

「ねーねーご主人様ー、これなにー?」


 黄忠…紫苑と、その娘の璃々だけがえらく冷静だ。
 璃々が持ってきたのは、テレビのリモコンである。

 一刀は璃々が持ってきたリモコンを受け取ると、ものは試しとばかりにTVに向かってスイッチを押した。


プツン


『『『『『『!?!!?!?!?!』』』』』

 突然なんか妙な音を立てて光りだした箱に、一気に視線が集中する。
 中には武器を構える者まで居る始末だ。


「ごごごごごご主人様、これは!?」


「落ち着け朱里!
 えーと、これはテレビと言って、まぁ…遠方の画像を映し出すカラクリだ。
 この世界では有り触れた道具だな」


「遠方の…?
 これが遠方の光景なのですか?」


 首を傾げる董卓…月。
 しかしそれも無理は無い。
 テレビに映っているのは、何がなんだか解らない灰色の砂嵐だけ。
 これの何処が遠方の光景に見える?


「うーん、電波が来てないのか…?
 まさかデジタル波に切り替わったのが対応してないとか?
 それじゃこっちはどうだ?」


 今度はラジオのスイッチを入れる。
 音は小さめにしていたから、あまり騒ぐ人は居なかった。


「…ご主人様、一体何を…?」

「いや…ちょっと…待ってくれ、頭の中を纏めるから」


 ラジオも全く反応なし。
 ピーガーピーガー耳障りな音を立てるだけだ。
 これはつまり、TVにせよラジオにせよ、全く電波が届いてない…或いは飛ばされていない事を示している。
 それでも一応TVは動いているのだから、電気は通っているのだろう。
 ここのTV、別に電池式とかいうオチではなかった筈だ。

 さっきから砂嵐ばかり写しているTVに向けて、スイッチを押して電源を落とす。
 覗きこんでいた数名が、突然暗くなった画面にビクッと背を震わせた。
 別に怖いとかいう事ではないだろうが、予想もしない動きに驚いているらしい。


「ご主人様、ご主人様ぁ!
 今の、どうやったの?
 あの“てれび”、どうやって動かしたの?」

「ん? ああ、これのここのボタンを、アレに向かって押したら動くんだよ。
 やってみる?」

「「やるー!」」


 璃々に続いて、孫尚香…小蓮までも。
 精神年齢は近いらしい。
 一刀の手からリモコンを受け取り、先を争ってリモコンを手に取り、TVに向ける。
 スイッチオン、オフ、オン、オフ。
 相変わらず画面は砂嵐のままだが、それでも何かが面白いらしい。

 考えを纏めた一刀は、貂蝉に話しかけた。


「…なぁ貂蝉、ここ…ひょっとして俺達以外の誰も居ないんじゃないのか?」

「あらいいわね、つまりここは私達の楽園?」

「勘弁してくれ。
 ま、その辺の事は置いておいて。
 ここは新しい世界なんだよな?」

「まーそう考えるのが妥当ね。
 ご主人様の考えている事は、大体想像がつくわよ?
 大方、新しく作られたこの世界だから、誰も“役者”として配置されてないんじゃないかって辺りかしら」

「大体そんな所だ。
 で、どうだろ?」

「難しいわね。
 外史の一つが終わり、また新しい外史が作られる…のだけど、今回のはちょっと珍しいケースみたいだし。
 プロットになかった道筋を進み、私達の知らない流れが生まれた。
 或いは、この世界…つまり新しい外史の誕生の際、そのせいでエラーが起きたのかもしれないわね。
 私もこっちの世界の事は、よく解らないけど…まぁそんな所じゃない?」


 流石の貂蝉も、この状況では推測しか出来ないらしい。
 この仮説にしても、穴は幾つもある。
 例えば電気だ。
 どうして誰も居ない世界なのに、電気が流れているのか?
 電気だけではない、試してみたらガスも使用できた。
 どうも、生物が居ないだけで、これらのような現代生活に必要なモノは全て使用できるらしい。
 ひょっとしたら、今使えているのは単なる貯められた分だけで、2,3日中に使えなくなるかもしれないが。

 貂蝉と難しい顔で話し込む一刀に、周喩(微妙に字が違う)が割り込んできた。


「そんな事より、至急すべき事があるだろう。
 この国の政治状況は?
 治安はどうだ?
 覇道を行くなら、やるべき事は山ほどあるぞ」

「…アンタまだ天下統一狙ってんのかい」

「前ほどではないがな。
 全く、私に何があったのか…叛旗を翻して死んだとは聞いたが。
 機会があれば取りに行くぞ。
 で、どうだ?」

「…政治は…まぁ、三国志の時代…というか前の所と比べて結構複雑になってる。
 ただ、今はあんまり気にしても仕方ないな。
 治安云々以前に、ここには人が全く居ないっぽい。
 …まぁ、微妙に悪いかな?」

「ほう?」

「…このメンバー、放っておくと稽古=大喧嘩とかして周囲に被害をバラ撒きそうだし」

「…なるほど」


 もうこの状況に慣れ始めたのか、仲のいいグループ同士でやんややんやと騒いでいる。
 ちなみに、袁紹はまだ気絶したままだ。


「まぁなんだ、とにかく……?
 お、おぉ?
 どうした恋」


 頭を掻く一刀の服の裾を、恋が無言で引っ張った。
 振り向くと、セキトを抱えて恋が一刀を見上げている。
 彼女を甘やかす事に喜びを見いたしたりしている一刀は、心中で物凄く嬉しそうに悶えつつ平静を装い、その上で彼女の表情を読み取るという器用な真似が出来るのだ。
 ちなみに、愛紗はまだその領域にまで達しておらず、ただただ愛らしさに悶える事になる。


「…………………」

「……………ああはいはい、ご飯ね」

「(コクッ)」


 よく見れば、既に時刻は正午。
 見事な腹時計である。
 …彼女の場合は、時間を問わずに空腹って気もするが。

 ふむ、と一刀は考える。
 ここは食堂だ。
 幸いな事に、ガスや電気、水道も使える。
 となると、後は材料さえあれば食事の用意だって出来る。
 一刀だって、そこそこの家事は出来るのだ。
 あんまりいい味を求められても困るが、彼女達が食べた事の無いモノを出せば多少は味も誤魔化せるだろう。
 …華淋辺りは、何時ぞやの屋台巡りの時の様に容赦なくダメ出ししそうな気もするが。


「ええと…食材は…あれ、無いぞ?
 というか、普段何処にしまってんだろうな…」


 調理室の方に駆け込み、一刀は食材を探す。
 しかし、冷蔵庫を開けても何も入ってない。
 …いや待て、何故にビールが一缶だけ置いてある?
 謎だ。


「…ここに食える物は無い、か…。
 みんな、ちょっと出かけてくるわ」

「え? ご主人様…って待ったぁ〜〜!」

「ぬお!?」


 愛紗に襟首を掴まれて引き寄せられた。
 いい感じに喉に入る。


「な、何を考えているのですかご主人様!
 あれほど一人で出歩かないでくださいと、何度も何度も繰り返し…!」


「大丈夫だって!
 ここには何も居ないから」


「そういう油断が大事に繋がるのです!
 大体ご主人様はですね………ん?
 な、なんだ、恋?」


 恋の上目遣い攻撃!
 愛紗はまともに食らった!
 10のダメージ!
 追加効果の一撃必殺が発動した!
 愛紗は悶えまくっている!


「ああ……ああ!」

「お、おーい…愛紗…戻って来ーい…」


 若干引きつつも、秋蘭が声を掛けた。
 華淋もちょっと頬が引き攣っている。
 恋の表情を見れば心境を理解する事もできようが、今の愛紗は見た感じ単なるアブない人だ。
 手に入れようとした武将の予想外な一面を見て、ちょっと同様しているようだった。


「…ま、まぁいいか。
 それなら何人か付いて来てくれよ。
 どうせ、俺一人じゃ食料の調達も手間がかかるだろうし」

「おっ、食い物か!?」


 顔良と戯れていた文醜が身を乗り出す。
 鈴々と許緒…季衣も目を輝かせる。
 まだ見ぬ天界の食い物に、興味津々である。


「食料を手に入れるって、どうやってや?
 金とかあるん?」


「一応金はある。
 が、はっきり言うけど、これだけの人数を食わせるだけの金は手元には無い。
 つー訳で、ここで究極の二択。
 この際無銭飲食も已む無しと割り切るか、空腹を堪えるか。
 さぁどっちだ!?」


 一同、絶句。
 これが仮にも国王だった者の言う事か?


「ご、ご主人様、それは…」


 ここに居るのは、皆一端の武将である。
 当然、それなりの倫理観だってあるし、プライドだって高い。
 それを前にして、無銭飲食?


「言いたい事は解らなくもないが、実際この状況じゃどうしようもない。
 そもそも、これから俺達以外に人が現れるかどうかも怪しい。
 加えて言うなら、金を払おうにも受け取る人が居ない。
 所有権云々の見地から見れば、食料は打ち捨てられているのと同じ。
 持って来ても誰かが迷惑を蒙る訳でもないし、罪にもならない。
 まぁ、各々の良心とかに関する事は別として。
 …で、どうする?
 俺としては、清濁併せ呑むとしか言いようが無いんだが」


 それぞれ難しい顔をして考え込む。
 確かに、一刀の言う事にも一理ある。
 が、やはり自分にもプライドがある訳で…。
 そのプライドの為に命を張るのが武人ってモノだが、意地の張り所ってモノもあろう。
 何より、空腹はイヤだ。


「…もし、人が現れたら…後から働いて、人知れず返すって手もあるぞ?」


 …それがトドメだった。


 不要と思われる護衛を数名連れて、一刀は街の散策に出た。
 とにかく食い物を手に入れる事が目的だから、まずはコンビにから。
 恋が本気で腹を減らしているみたいだし、料理する手間も惜しい。
 決して、一刻も早くはむはむする恋の顔が見たいだけではない。

 結構長く離れていたと言っても、やはり勝手知ったるこの街。
 一刀は迷うことなく歩いていく。
 後ろからちょこちょこ付いてくる恋やセキト、鈴々は周囲にあるヘンな物にばかり気を取られている。


「ご主人様、食べ物は何処ー?」


「多分ここにあると思うけど…。
 無かったらもうちょっと離れた所に行かないとな」


 以前はよく利用したコンビニ。
 中を覗き込むと、幸いな事に商品はちゃんと陳列してあった。


「…どーなってんだろね、この世界は…」


 まぁ、飯があるのは良い事だ。
 自動ドアもしっかり動いてくれた。
 後ろの連中が驚いているが、気にしない。

 入っていって、篭を取ってそれぞれに押し付ける。


「こっちの棚にあるのは大体食べられる物だから、片っ端から詰めていくように。
 その場で食べるなよー」

「えー」

「………………………………………(コクッ)」


 不満の声と、かなり怪しい返事。
 でも仕方ないだろう。
 この連中に食わせると、このコンビニの食料があっという間に尽きてしまいかねない。

 ギャーギャー不満を言う彼女達に頭を抱えつつ、自身も食料を片っ端から詰め込み始める。
 この際だから、菓子でも何でも持っていく事にしよう。
 あと、倉庫の方を調べればもっと沢山ある筈だ。

 袋に包まれたサンドイッチとかをツンツンつついている鈴々を急かして、持てるだけ持っていく。
 と言っても、こいつらの場合持てる量が半端ではない。
 途中で見かけた台車も動員して、山ほど食料を持っていく。
 …これでも足りるかどうか、微妙な所だ。


「………………」

「……おでんでも食ってなさい」

「………?」


 無言の訴えに負け、一刀は仕方なくコンビニで作られているおでんを指差した。
 どうやらさっきから目を付けていたらしく、すぐさま飛びついてハムハムハムハム。
 …気に入ったらしい。


「あー、恋だけずるいのだー!」

「ボクも食べるー!」


 鈴々と季衣も飛びついた。
 恋はちょっと拒絶反応を見せたが、何も言わない。
 トモダチには優しいのである。


「…取り合えず、あれが全部無くなるまでこのままかな」


 ちょっと寂しかった。


 5分もせずに、おでんは全て無くなった。
 遠慮なく食べる辺り、無銭飲食云々は既に頭に無いらしい。
 忘れっぽいのか、割りきりが早いのかは微妙な所だ。


「そんじゃ、みんなの所に戻るぞー」

「…………」

「もっと食べたいのだー」

「ちょっとだけ食べると、余計にお腹が空くよー」


 食べたい食べたいと騒ぐお子様達を引き連れて、さっさと戻る一刀。
 なお、コンビニの警報は何故か作動しなかった。
 大助かりである。


「ご主人様ー?」

「ん? どうかした、鈴々」

「ご主人様は、ここに住んでたんだな…」

「…ああ。
 前は何も感じなかったけど、ここは空が狭いなぁ…」


 妙に気障な言い回しになったが、これは一刀の本心だ。
 自分が思っている以上に、向こうの環境に適応していたらしい。
 どうも違和感が拭えない。


「道が広い…」


 季衣が呟く。
 確かに、車道も含めた道は彼女達にとってはとても広く感じるだろう。


「……地面が土じゃない」


 恋は足元のコンクリートを蹴って、硬さを確かめているようだ。

 彼女達が違和感を感じるのは仕方ないだろう。
 実際、一刀も向こうの世界に行った時は強い違和感を感じ続けたものだ。
 まぁ、彼女達ならすぐに慣れるだろう。
 メシと友達さえ居れば、彼女達は何処にだって適応してしまう。
 それだけ神経が図太い。


「じゃ、とにかく急いで行くぞー。
 みんな腹を減らしてるだろうしな。
 全員揃ったらイタダキマスだ」

「「おー!」」

「……(コクッ)」


「ただいまー、メシだぞー」

「いよっ、待ってました!」

「天界の食いモンかー、さぞかし美味いんやろなー」

「あ、あんまり期待されてもな…」

「……さっきのおでんは…美味しかった…」

「え、もう何か食べたのか!?
 ずるいぞー!」


 騒ぎまくっているが、何だかんだ言いつつも即座に持ってきた食料に手を伸ばす。
 で、困惑した。


「…なんだこりゃ?
 食べられるのか?」


「世界一の雑食と称される中国人が何を…。
 …袋は食べられないから、破きなさい。
 端っこのギザギザの所を引き裂くと破りやすい。
 こっちの三角のヤツは、ここをこうしてだな…」


 気分は保母さん、保父さんである。
 取り合えずパンの類を適当に配り、袋の開け方だけ説明して丸投げする。
 袋だけ開けてしまえば、後は匂いで食えるかどうかを判断する連中だ。
 大した躊躇いも無く、さっさと被り付いてしまった。
 彼女達の世界にもパンみたいな物はあったから、心理的抵抗も少ない。

 春蘭が口をモゴモゴさせながら、手の中にある菓子パンを見る。


「…結構美味いな。
 ちょっと味気ないけど」


「味気ないのは我慢してくれ。
 こっちの世界じゃ、出来立てホヤホヤの一品を売るって事は殆ど無いんだよ。
 だから大体はレトルト…あー、保存食とか、簡易の食料みたいな感じになる。
 何せ保存の技術が発達してるからなぁ」


 などと言いつつ、食堂にあったレンジに何を放り込むべきか思案する一刀。
 やはり中華系は避けるべきだろう。
 本場の彼女達にしてみれば、出来の悪い料理にしか見えまい。


「…ま、ピザとかでいいか」


 適当に見繕って放り込み、タイマーを設定する。
 レンジに対する反応は、先ほどのテレビで慣れたのか、そう大きな物ではなかった。
 単にメシに気が行っていただけだろうが。

 紫苑がハンバーガーを食べながら近付いてきた。
 彼女にしては珍しく、少々行儀が悪い。


「ところでご主人様、誰か人は居ましたか?」

「いや、だーれも。
 人間の営みの後はあるんだけど、こう…それも何かワザとらしいというか…。
 あっ、コラ、炭酸を一気飲みするヤツがあるか!
 ほら見ろ吐き出した…。
 待てそれは冷凍食品だ!
 解凍するから後にしなさい!」


 一方面で惨状が起こっているようだが、無視すべきだろうか。
 そんな中、一人で溜息をつく愛紗。


「…愛紗?」

「え? あ、いえ…未知の味に戸惑っていたもので」

「…察するに、盗品を食べるのは気が進まない、と」

「…ご主人様、たまには私の言い訳にも気付かないフリを…いえ、いいです。
 ……確かに、ご主人様の言う通り、ここは割り切るべきなのだと思っているのですが…。
 どうも…」


 と、言いつつも結局食べているのだが。
 一刀は苦笑する。


「そういう生真面目な所が愛紗のいい所だよ。
 それに、一人くらいはそういう人が居ないと、みんな好き勝手な方向に走り出しちゃうからね」

「確かに…」


 頭痛を堪えるような愛紗。
 その頭を軽く撫でてやる。


「まぁまぁ、実際感謝してるんだよ。
 そんな愛紗だから、俺はここまで来れたんだ。
 出来れば、これからも変わらずに居て欲しい」

「……ご主人様…」


 顔を赤らめる愛紗。
 いつになく大胆に、愛紗は一刀に凭れかかった。
 ちょっとドキドキしつつも、一刀はそれを受け入れて頭を撫でる。


(…口煩い所は、ちょっと変わって欲しいけどね)


 …余計な事を口に出さないだけ、褒めるべきなのだろうか?


「…ご主人様、口煩い所は変わって欲しいと思いませんでしたか?」


「え? いやいや、俺は何も……って、何事?」


 ジト目の愛紗にやや慌てるも、自分に集まっている視線に気付いてすぐ我に返る。
 ジト目なのは愛紗だけではなく、なんかこう、非難がましいと言うか『私にも』的な視線が集中している。
 メシに夢中だと思っていたら、しっかり会話を聞かれていたらしい。


「あ…あ、あわわわわ!?」


 注目されているのに気付いた愛紗は、真っ赤になりながらも平静を装おうとした。
 …が、彼女にポーカーフェイスなんて器用な真似が出来る筈も無い。
 他人の感情に鈍い春蘭でさえも丸わかりなくらいだ。

 ジト目の鈴々と翠と朱里が、並んで愛紗に迫る。


「愛紗…また抜け駆けしたな…」

「愛紗はズルイのだ…」

「愛紗さんは、いつもおいしい所を普通に持って行きます…」

「ず、ずるいだなどと!?
 わた、私はだな、その、ええと」

「言い訳も思いつかないくらいに、普通にご主人様に甘えていたのだ」

「恋が前に、『愛紗はご主人様を独り占めする』って言ってたけど、賛同したくなるよなぁ」

「はぁ…ご主人様ったら、最近愛紗さんばっかり…」

「だ、だからだな!」


 四苦八苦している愛紗のみならず、一刀にもジト目が迫っていた。
 ただし、こっちには物理的な圧力になりそうなくらいに強烈なのが。


「あらあら、ご主人様ったら、天然ねぇ」

「いや、それもちょっと違うんじゃない?」

「この女垂らしは、何処に居てもこうなんだから…」

「…華淋様、このケダモノからお離れになって…」

「…一刀ってこんなヤツだったんだなー」

「主、己の女を愛でるのは構わんが、もう少し回りに気を配ったほうがいい。
 それに、多くの女と愛を交わすのは、最低でも全員を満足させるのが条件だぞ」


 一人だけ一刀との付き合いが殆ど無かった、公孫賛がどうでもよさそうに呟いている。
 なんちゅうか、修羅場だ。
 しかもかなり羨ましい修羅場だ。
 何が羨ましいって、一刀の場合は事実上公認だから、刃傷沙汰にならないのがほぼ確定しているのが羨ましい。
 その代わり、いざ刃傷沙汰になったら、三国志時代の英雄達から本気で追っかけられる訳だが。


 そんな時。

 ブツン…

 唐突に食堂が静かになった。
 騒いでいた愛紗達のみならず、食事中は周囲の事を全く気にしない恋、面白がって笑っていた貂蝉までも、凍ったように動きを止めている。
 息をする事さえ憚られる程の、この寒気。

ザ ザーーーーーーーー

 この音は?
 ノイズのような音がする。
 いや、これはノイズそのものだ。

 一刀は、自分の目の前にあるテレビのスイッチが入っている事に気がついた。
 直感で解る。
 この寒気の原因はこれだ。
 誰がスイッチを押した訳でもない。
 リモコンは、璃々と小蓮がさっき遊んでいた後、放り出されている。
 だから誰かがリモコンでスイッチを入れたのではない。

 ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 心なしか、ノイズの音が大きくなったような気がする。
 誰一人動けない中、視線は自然とテレビの画面に集まった。

ザーー ザ ピー ザーーー ザ ザザーー

 ノイズの画面が乱れる。
 何処かの映像が映し出された。

 乱れる画面は徐々に安定していき、その映像が何なのか、読み取れるようになってきた。
 何処かの森の中だろうか。
 何の変哲もない森。
 だが、その森の中には…。


(井戸…?
 森の中に井戸?
 で、この寒気…って、まさかアレか!?)


 言うまでも無いだろう。
 そう、リング。
 ちょっと前に大ヒットしたホラー…ええと、最初は映画じゃなくて小説だったっけ?
 まぁとにかく、アレそのものだ。
 ただ、原作と比べると井戸は随分カメラに近いが。

 恐怖が重く圧し掛かる。
 一刀はこの後の展開を知っている為に、女性陣はこの異常事態を理解できない為に。
 どちらにも共通するのは、体が動かないという事だ。


(ヤ、ヤバ…!)


 井戸の中から、『彼女』が現れる。
 まず右手、そして左手。
 ゆっくりと、恐怖を煽る為としか思えないような動きで、上半身が現れた。
 下半身。
 濡れた服、髪。


「ご、ご主じ…」


 そこまで言って、誰かが息を呑んだ。
 『彼女』はゆっくり画面に近付いてきて、そして…。


『『『『−−−−!!!!!!』』』』

 這い出す。
 俯いた表情は、長い髪に隠れて何も見えない。
 『彼女』はそのまま真っ直ぐに這い出す。
 つまり、一刀に向かって。

 女性陣は、各々武器を取り出して一刀を庇おうとしたが、まだ体が動かない。
 いくら体に活を入れ、精神に檄を飛ばしても、全く動けない。
 少々アレな胆の座り方をしている星でさえも。


「あ……あ…」


 一刀の表情が、恐怖に引き攣る。
 そして、とうとう一刀の元まで来た『彼女』は…。
 やけにスムーズに直立して…。
 一刀の肩に両手をかけ…。
 ゆっくりと顔を上げ…。
 伸びきった髪の隙間から、怒りと恨みと憎しみとしっとぱわーが篭った視線を…。


(…待て、直立?)

「テメーはちょっと見ねー間にナニしてやがったこんな大勢の美女美少女美幼女にご主人様呼ばわりされてナニサマだ女と全然縁の無かった中2の頃のテメーはどこ行った戻ってこい戻って来い戻って来いつか公認か公認ですか浪漫を駆り立てるひんにゅーからキョヌーあまつさえ双子パッキンサラシヘソ出しポニーツインマッチョは除外としてツンデレニーソ子持ちその上でっかい武器だと何処までマニアックな面子が揃ってんだこのヤロォォォォーーー!!!」
づあー−−−−!?」


 物凄い頭突きを食らって、一刀は吹っ飛んだ。
 唖然としている女性陣達。
 既に恐怖を掻き立てる雰囲気は消え去り、何となく間の抜けた空気が漂っている。

 頭突きで倒れた一刀は、愛紗達が動き出す前に立ち上がり、


「テメーこそ久々に会ったってのにいきなり何すんだ態々そんなカッコして出て来やがって喧嘩売ってのかゴルァ!?
 前から人間離れしたヤツだとは思ってたがリアル貞子しやがってとうとう呪いにまで進化したか!
 この際その煩悩ごとお祓いされて来ォォォい!!」


「煩悩云々はテメーと横っちにだきゃ言われたくねーよご主人様なんて呼ばれてんだからそこそこそういう関係あるんだろーが!?
 それより顔も悪くない運動神経もいい頭も悪くないのちょっとイイ物件だったのにモテない君だったテメーが何をどうすりゃこうなるんだ!
 吐け、吐きやがれ!
 一体どんな外道な手段使いやがったぁぁぁぁ!?」


「人聞きの悪い事言ってんじゃねーーー!
 大体モテないのはお前だって同じだろうが同じモテないにしたって妹に手ェ出した貴様が言うかー!」

「ああ言うともさあの頃はキス(深)までしかしてなかったけどもうとっくに肉体関係アリ通り越して余計な性癖に目覚めやがって調教されたらどーすんだボケー!」

「知るカー!」


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドド


 …………ララパルーザ…。
 殴り返した一刀の一撃で、『彼女』の頭が大きく揺れて黒いモノが大きく飛んだ。
 ポテン、と愛紗の頭に落ちる。
 べちゃ、とイヤな感触がした。


「−−!」


 無言の悲鳴を上げる愛紗。
 星がヒョイとそれを取ってみると。


「…かつら…だな」

「…かつら?
 それにしては、えらく…出来のいい…」


 翠も覗き込んで見るが確かにかつらだ。
 なんか『ダウニーズ コレクション』と書かれているのだが、彼女達には読めなかった。


「ご、ご主人様、ご主人様落ち着いて!
 誰ですかその人!」

「一刀に何をする!」


 喧嘩を止めようとする朱里と、殴り合いに割り込む蓮華。
 刀まで持ち出していた。

 スマッシュだのガゼルパンチだので一刀と殴り合っていた『彼女』は、斬り付けられる前にバッと離れた。
 ホワイトファングを食らったためか、ちょっとフラついていた。


「動くな!」

「「へ?」」


 一刀と『彼女』の間の抜けた声。
 気付けば、『彼女』はとっくに囲まれていた。
 槍、刀、長刀、弓矢、矛、鎌…。
 様々な武器が『彼女』を狙っている。


「……あ、えーと……一刀?」

「……刺されてしまえ」

「ウォい友達甲斐ねーぞ!?」

「冗談だって……1割だけな。
 あーみんな、ソイツ俺の昔の友人だから、あんまり殺気立たないでくれないか」


 一刀の一言で、場に迷いが生じる。
 確かに、先ほどのやり取りは旧知の仲っぽかったが…。
 登場シーンを考えると、警戒してもし足りない。


 まだ話が収まらないと見た一刀は、スタスタ歩いて『彼女』の前に立った。


「まぁ、色々気になる事もあるが…取り合えず、自己紹介な」


「ヘイヘイ。
 あー、一刀の中学時代の同級生だった、当真大河だ。
 高校になった辺りから、顔を合わせなくなったがね。
 見目麗しいお嬢さんオネーサマが沢山居て嬉しいんだが、今ナンパしたらヌッコロされるんで涙を呑んで諦めます」

「どうせしても無駄だけどな。
 …つーか、お前とうとう未亜ちゃんに捕まった…」

「…言うな…へっきし!」


 態々ずぶ濡れになった大河は、ちょっと風邪を引きそうだった。


 結局大河に対する警戒は解かれず、大河を包囲するように円陣が組まれた。
 無論、全員戦闘態勢である。
 時々テレビを振り返って気にしているのは、また何か出てくるんじゃないかと不安なのだろう。
 璃々に至っては半泣きである。
 これについては、大河も土下座までして機嫌を取った。
 自業自得だ。

 現在、朱里を中心とした大河の尋問が行なわれている。


「…それでは、アナタとご主人様は本当にお友達なのですか…」

「ま、そういう事だ。
 …で……朱里ちゃん…でいいのかな?」

「ダメです!
 人の真名を勝手に呼ぶなんて、失礼極まりないです!」

「ま、真名って…いや、申し訳なかった。
 こっちにはそういう風習は無いんで。
 ならどう呼べば?」

「諸葛亮と呼んでください」

「諸…?!
 …おい一刀、お前一体何処に行ってたんだよ」

「何処って、三国志時代……ちょっと待て大河、お前えらくあっさり信じるな?」

「あー、まぁこっちも色々あるんだ。
 その辺は、話せる所まで後で話そうぜ。
 …取り合えず、あっちのアレの視線、どうにかなんね?」


 大河が言うのは、貂蝉の視線である。
 大河は彼…彼女?の趣味に結構合っているらしく、何気に熱い視線が注がれている。


「…無理だ」

「そか。
 ま、襲われる訳でもないし…いいか」


 時々襲ってくるけどな。


「…意外と冷静だな。
 昔のお前なら、ゲイには拒絶反応が出てたのに」


「いや…まぁ、どんな趣味の人間とだって、付き合い方と間合い次第でな…。
 それに………行くトコ行けば、あんなんまだ易しい方だ」

「………」


 沈黙が降りる。
 特に華淋など、「易しい…? アレが易しいっての…?」などと、人生で最大の疑問を持ったと言わんばかりである。


「…ま、まぁそれはともかくです。
 当真さんは、ここの事を何か知っているのですか?」


「『ここ』の『設定』の事は知らないけどな。
 何が起きてるのかは大体解る。
 この辺の世界は俺の管轄だし」

「管轄…?」


 大河は顔を引き締めた。
 この辺の事は、あまり言いふらしていい事ではない。


「さっきも言ったが、話せる事は話せる。
 が、話せない事は話せないし、話すつもりもない。
 以上を踏まえた上で…一刀、何か聞きたい事は?」


 一刀に視線が集中した。
 名指しで指名したという事は、一刀以外の問いには答えるつもりが無いのだろう。

 一刀は暫く考えると、問いかける。


「まず、何でこの世界には人間が居ないんだ?
 いや、人間だけじゃない。
 動物も虫も全然居ない。
 ひょっとしたら、微生物だって居ないんじゃないのか?」

「いや、微生物は居るよ、一応。
 それと、動物も居た。
 さっきこっちに来る時、犬とかネコとか鳥とか馬とか、あっちの公園に固まってたぞ。
 何だってこんな街中に馬が居るんだ?
 一刀、ありゃお前の知り合いじゃないのか」


 逆に問われて、一刀は面食らった。
 貂蝉と視線を合わせる。


「確か…この世界は、前の外史で俺が強く認識した存在はほぼ存在する…んだよな?」

「ええ、まぁそうね。
 という事は、その動物達、ご主人様が知ってる動物だけど…」


 暫し沈黙。
 確かに、動物には結構触れた。
 馬には行軍中に何度も乗った。
 そして、特に印象深い馬や犬ネコ鳥というと…。

 くるぅり。


「「…………あ」」


 翠と恋。


「……みんな」

「あの子達か!?」


 犬やらネコやら鳥やらは、恋が一緒に暮らしていた友達。
 名前は知らないが。
 馬は翠が世話していた三頭だろう。


「そ、その公園ってのはどっちだ?」

「ほれ。
 これを追いかければ案内してくれるぞ」

「感謝!」


 大河がひょいと手を出すと、そこには小さな鳥。
 「トリィ、トリィ!」と鳴く辺り、どんな形をしているかすぐに解ってくれると思う。
 一刀は目を見開いた。
 これは何の手品だ?

 翠は一応礼を言って、恋は礼を言う暇も惜しんで外に飛び出した。
 鳥の先導に従って、猛スピードで走っていく。


「………で、何だっけ?」

「えーと…そうそう、何でこの世界には人間が居ないのか、でした」

「あ、そうだったな。
 何で誰も居ないって、この世界はまだ作られたばかりだからさ」

「作られたばかり…?
 でも、今までの外史では最初から人間は居たわよ」

「だーから、それは世界が完成して、そこに人間とかが配置された状況を『最初』って言うんであって…。
 まだ、この世界は『世界しか造られてない』んだ。
 ま、演劇で言ったら舞台だけあって、脚本が無くて役者が決まってないようなモンかな。
 加えて言うと、この世界はまだ完成してない。
 完全に完成するまで、何年かかるやら…」

「その完成してないってのは、具体的にはどんな按配だ?」

「まず、この世界はまだ日本しか存在しない。
 …いや、これ単なる例えだよ?
 実際どの辺まで存在するのか見てないし。
 それから、法則が完成してない。
 物理法則、時間の流れとかは取り繕ってあるけど、あっちこっちに綻びがある。
 まぁ、普通に暮らしてる分には触れる事は無いだろうけどな。
 その手の綻びが全て無くなったら、ようやく生物の配置が始まるって寸法だ。
 本来なら、世界が完成するまで時間は流れないんだが…一刀達が来た事で、強制的に時間が流れ始めたらしい。
 それに、人間も…多分、この辺の人間は、2,3日もあれば配置されると思うぞ。
 今、この近辺の世界を急ピッチで作成してるみたいだ」

「…それも、俺達が来たからか」

「そういう事」


 雄弁に喋る大河を、疑惑の目で見つめる一刀。
 別にウソを教えられているのではないか、と疑っているのではない。
 何故そんな事を知っているのか、だ。

 ちなみに、この会話を聞いていた女性陣は、極めて理知的なメンバーを除いて右から左を貫いていた。


「そういう訳だ。
 人間の配置が終われば、社会も動き出す。
 電車とか動くようになるけど、最低一ヶ月は遠出をするな。
 まだ作成されてない世界に飛び込んだら洒落にならん」


「わかった。
 貂蝉、朱里、何か聞きたい事はあるか?」

「…私は、今の所何も…。
 正直な話、一杯一杯です。
 一番解らないのは、当真さんが何者なのかって事ですね」

「私もね。
 色々と知的好奇心はあるんだけど…。
 アナタの事は、教えてくれないのかしら」


 特に質問は無いらしい。
 大河は立ち上がって、大きく伸びをした。


「まぁそういう訳だからな。
 細かい事は気にしなくてもどうにかなるって。
 一刀、これからこの連中の面倒を見るんだろ?」


「ん? ああ、そうだな。
 今まで色々と助けられたし、今度は俺が助ける番だ」


「結構。
 そんじゃ、俺は一晩くらい休んでから帰るわ。
 一室使わせてもらうぜー」


 ひょい、と立ち上がると、突きつけられている武器が見えないかのように気楽な足取りで寮の一室に向かう。
 無視されるような形になった甘寧…思春は、少し戸惑って蓮華と一刀に視線を投げた。
 蓮華は一刀に視線を投げ、一刀は適当に手をひらひらさせる。
 警戒は緩めなかったが、思春は武器を仕舞った。

 大河が寮の部屋に入り込んだのを確認して、一刀は周囲を見回す。


「……と、いう事らしいが…誰か、問題がある人居るか?」

「ハイなのだ!」

「なんだ鈴々」

「……事情が…サッパリ解らないのだ…」


 申し訳なさそうに言った言葉は、その場に居る殆どの人間の代弁だった事だろう。


 結局、貂蝉と一刀は鈴々達に噛み砕いて事情を教える事にした。
 と言っても、細かい経過なんぞ理解していても意味がないので、結果だけを伝える。


「つまり、この食べ物は盗品じゃないって事よね。
 だって所有者が居ないんだもの」


「…華淋様、最初の一言がそれというのは…」


 何か疲れたような秋蘭だが、誰も省みない。
 むしろ、盗品ではないと証明された事で、より一層食が進む。


「しかし、2,3日すればご主人様の世界と同じように動き出すんだろ?
 大丈夫なのか?」

「何がですか?」

「だから、こう…風習が全く違う土地にヘタに入り込むと、色々と揉めるだろうが。
 アタシもそういう経験、結構あるんだ。
 田舎の集落は排他的だからな…。
 星だって、経験あるんじゃないか?」

「確かにな。
 翠にしては、的を得た心配ではないか」

「…なんでそう余計な一言をつけるかな…」


 ちょっと火花が散っているが、無視。
 この程度で一々動揺していては、この連中を纏めるなど夢のまた夢である。


「まぁ、その辺は…取り合えず服を現代風の物にして、武器を持ち歩かなければ大丈夫だと思う。
 事の善悪はあんまり変わってないし、買い物するのに金が要るのだって同じ。
 みんな美人だから注目を集める事になると思うけど、それはどの道対処しないといけないからね」


 美人と言われ、顔を赤らめるもの数名。
 いつまで経ってもウブな事で大変結構。


「ま、細かい常識は今後覚えてもらうとして、まずは服。
 …これも盗品にはならないよね?」


 確認するように問う一刀に、少し笑いが漏れた。


 結局、服探しは明日以降という事になった。
 色々話している内に、気絶していた袁紹が目を覚まし、ちょっと揉めて、さらに状況説明をして、また揉めて、落ち着いたと思ったらまた揉めて…を繰り返し、ふと気付けばもう夕方になっていた。
 仕方ないので、また適当な食料をその辺から持ってきて全員で食べる。
 味については、珍しさが先にたって美味い不味いはあまり出なかった。
 ただ、やはり中華は不評である。

 で、問題が一つ。


「…誰が何処で寝る?」


 これである。
 一刀の言葉に、見事に空気が凍りついた。
 一人一人は、『何が何でも独占!』とまで考えては居ないのだが、それがこんなにゾロゾロ居ると充分なプレッシャーになる。


「少なくとも、一人一部屋は割り当てられるんですよね?」


「ああ。
 そして間取りも中身も全て同じ…いや、角部屋とかはちょっと違うか。
 ちゃんとベッドもあるし、窓もある。
 エアコン…ああ、暖かい空気や涼しい風を吐き出す機械も据え付けられてる。
 この辺、ウチの寮は設備が整ってるからな。
 まぁ…だから話はややこしくなるんだが」


 ちなみにここは一刀の自室の前。
 夜も更けてきて、そろそろ寝ようという運びになった。
 夜なのに昼のように明るい電灯にはえらく驚いていたが、流石に疲れている。
 よくよく考えてみれば、この面子の殆どは前の外史で白装束集団や左慈と戦い、えらく疲れている筈なのだ。
 驚きや興味でかなり眠気が駆逐されていたが、それでも眠くなってくるのは無理もない。

 ちなみに、風呂の事はすっかり忘れていた一刀だった。
 向こうの世界では、毎日入っていた訳ではないのだから、特に何も意識しなかった。

 で、一刀がそろそろ寝るから、部屋は適当に使え…と言ったのだが。
 それがミスだったのかもしれない。

 ベッドに向かおうとする一刀に、いつも通り愛紗が付き従う。
 …いつも通りとは、常にベッドまでお供しているという意味ではなく、単に一緒に行動する事が多い、という意味でしかない。
 まぁ、そのままベッドインする事だって結構あるのだが。
 とにかく、本人も意識しないまま、自然と一刀の部屋に付いていこうとした愛紗。
 それを見て、小蓮が叫びを上げたのである。
 愛紗が抜け駆けしようとしている、と。

 すわ一大事、とばかりに騒がしくなった。
 一刀に特に興味がない袁紹チームや公孫賛はともかくとして、自称・一刀の妻の小蓮や鈴々、璃々などを筆頭として、愛紗に非難が集中する。
 遠慮がちに蓮華も視線を向け、何気に華淋や春蘭も参加していた。
 恋や月も無言で自己主張している…誰も気付かなかったが。
 普段何かと一緒に居る事に対する八つ当たりもあったかもしれない。

 愛紗は深い意味はない、と主張していたが、この際その真偽は関係ない。
 ただ、『一刀の隣の部屋』あるいは『一刀と同じ部屋』という特等席の存在に、彼女達が気付いてしまったのである。
 幸いな事に、一刀の部屋は角部屋ではないから席は二つある。
 同じ部屋まで考えると3つか。
 その3つの席に誰が治まるか?
 ことによると、この部屋の配置は今日だけではなく、明日からも続くかもしれないのだ。
 一刀至上主義な連中としては、ここは何とかして同室或いは隣室をゲットしたい。

 星などは、『上の部屋になって、主の部屋の声を盗み聞きするのも面白いかも』『夜這うのに有利な部屋は何処だ?』なんて考えていたが、彼女の神経を基準にしてはイケナイ。

 で、何だかんだと騒ぎがどんどん発展し、最終的に今の状況…一触即発な体勢に突入したわけだ。
 正直言って、一刀は逃げたい。
 主に夢の中に。

 一見して安全な策は、璃々のようなお子様に隣の部屋を宛がう事だが、璃々の場合紫苑が確実について来るから、あんまり解決にはならない。
 いや、夜這いされると素直に嬉しいのだが…貂蝉でなければ。
 あと、貂蝉は一番遠い部屋を使わせるのは決定事項だ。
 その夜這いを起こしそうにない人を宛がうのが最も安全なのだが、そーなると今度は一刀が夜這いすんじゃねーかという問題も出てくる。
 どうせここの連中、殆どは夜這いを受けたら嬉々として応じるだけだ。


(参ったな…大河とちょっと話があんだけど)


 一刀は寝る、と言っていたが、その前に大河と話さなければならない事がある。らしい。
 先程、テレパシーで伝えてきたのである。
 …いつの間にそんな芸当が出来るようになったのやら。
 それを大した違和感もなく受け入れる辺り、以前の大河の異常性をよく示しているようないないような。

 それはともかく…。


「……みんな、籤引きくらいにしとかない?」


 折衷案を出して、この場を鎮めるのが先決だ。
 朝起きたら、寮が半壊していましたなんてのは勘弁願いたいものである。


 籤引き、と言われて少々考え込んだ。
 武力に自信のある愛紗や春蘭にとっては、あまり納得できる方法でもない。
 力でどうにかする、と言うのが彼女達の基本的な行動原理だ。
 だが、自分と同等かそれ以上の武力を持つ者が複数居るのだ。
 それらを全て薙ぎ払って見事栄光に輝くのは、幾らなんでも難しい。
 それでも、これだけの人数の中から、たった2つの当たりを自分が引く確立はかなり低い。
 思案のしどころである。

 逆に武力に自信の無い朱里や月、詠にとっては好都合極まりない。
 直接対決だと勝ち目が全く無いのだから。

 紫苑や星は、少々無粋だと眉を潜めていたが、ここでドンパチやるのはもっと無粋である。
 素直に一刀の提案を受け入れた。


 彼女達が籤引きに熱中している間に、一刀は大河の元に向かう。
 一眠りして真夜中にでも、と思っていたのだが、夜這いと勘違いされたらゲイの称号を送られ、貂蝉がえらいハッスルしてしまうのが目に見えている。
 だからさっさと話をしに行こうと思った訳だ。


「大河、居るか」

「おー、入って来い」


 扉を開けて中に入ると、久しく聞いてなかった電子音が出迎えた。
 見れば、何処から持ってきたのかPS2をテレビに接続してピコピコやっている。


「何のゲームだ?」

「三国無双」

「……これ、見せたらどうなるだろうなぁ」


 テレビゲームという遊び云々以前に、華淋辺りが激怒しそうな気がする。
 愛紗は微妙、星は楽しそうに笑うだろうか。
 実際、自分が男になっているゲームなんぞ見せたら、女としての尊厳とかがかなり傷つくような気がする。
 特に紫苑は危ない。
 何せこのゲームでは既に爺さんだ。
 小蓮や大橋小橋は平気だろうか。
 貂蝉を見たら、どんなショックを受けるだろう?

 ま、それもまた面白そうだ。
 今後誰かにやらせてみようと思う一刀だった。


「んで?
 一体どんな経験してきたんだ?
 諸葛亮が居るって事は、やっぱり三国時代か」


「……まぁ、な。
 そういうお前もどんな体験をしたんだ?
 前と雰囲気違うぞ、相変わらずバカで危険人物だが」


「お前が言うか、このタラシが。
 いやそれこそ俺が言うか、だけど。
 まぁ、俺にも色々あったんだよ。
 お前と似たような経験をしてる。
 で?」


 相変わらずゲーム画面に目をやりながら、一刀と大河は話を進める。
 とは言え、一刀は少々複雑だ。
 このゲームも、或いは外史の一つなのだろうか。
 そしてこの世界…作られてない世界、配役されてない世界。
 愛紗達の生きてきた外史も、同じようにして作られたのか?
 ならば、そこに生きていた愛紗達の過去は?
 それもまた作り物だと言うのだろうか。
 或いは自分も。

 一刀は躊躇いながらも口を開いた。
 聖フランチェスカ学園で左慈と遭遇した辺りから、大まかに話していく。
 女性関連は黙秘だ。
 大河は大体察しているようだが。

 外史云々を聞いた大河は、少し考える。


「あー、そりゃ考えるだけ無駄だぞ」

「何でだ?
 重要な事だろう。
 今までの自分が、作り物なのか…とか」

「重要だと思うのもわからんでもないが、結局は視点の問題だからな。
 例えば、お前達の言う正史だが…これも視点を変えれば、外史の一つに過ぎんよ。
 詳しい事は省くが、正史は一つじゃない。
 正史ってのは、そうだな、大きな川だ。
 支流が外史に相当する。
 でも、勿論川は世界に一つだけじゃない。
 そもそも正史と呼ばれている川だって、もっと大きな川…むしろ海から流れ出た支流の一つに過ぎんのよ。
 だから、考えるだけ無駄だ。
 スケールがでか過ぎて、人間の身じゃ理解できん。
 加えて言うなら、その正史・外史の概念自体、無数の世界観の一つでしかなくて、それが絶対的現実真実真理って訳でもない」

「…そういう問題じゃなくてさ…」

「お前が言ってるのは、過去の事だ。
 過去がどうあれ、お前達が今感じている事を否定する事は出来ないだろ?
 自分の過去さえ疑う事は出来るが、疑っている自分の存在を疑う事は出来ない…我思う、故に我有りってやつだ。
 例えお前の過去…三国時代に行くまでの事が、作られた『設定』であったとしても、なかったとしても、お前がそれを信じればそれは真実に、信じなければ偽者に変わる。
 結局のところ、その過去とやらで得た『何か』をどれだけ重要視するか、ってな話でしかない。
 ま、この辺は時間をかけて納得するしかないだろうな」


 一刀は大河を怪しいモノを見る目で眺めている。
 確かに昔から早熟というか、妙に大局的で悟った言葉を吐くヤツではあったが…こんなヤツだったか?


「んで、俺の話はこっからなんだが」

「あ? ああ」

「これからお前、大変だぞ?」


 唐突な一言。
 実際、大変なのは解っている。
 あの連中をこの世界で生活させるのだ。
 そりゃーあっちこっちから揉め事が噴出しまくるに決まっているだろう。


「いや、そういう大変もあるけど、それだけじゃなくてさ…。
 ほれ、対戦しようぜ」

「ん? ああ、久々だな…。
 んじゃ、俺は劉備を使うか」

「…ヘタなキャラを使えば、後であの連中に追求される…か」

「言うな。
 で、大変って何が?」

「んー、ちょっとややこしいんだけどよ…。
 さっきも言ったけど、この世界はまだ作りかけだ。
 物理法則とかにも、あっちこっちにバグがある。
 なんつうか…そういうのをデバッグする為の、『流れ』みたいなモンがあるんだよ」

「流れ?」

「そういう流れは、バグを処理する為の専門の機関…処理場に集約する。
 その流れに乗って、バグが寄ってくる訳だ。
 んで、流れてきたバグを修正する。
 ここまでいい?」

「よくない、鍔迫り合いになったからって連射パッド使うな。
 …で、それの何が大変なんだ?」

「連射パッドだって使いこなせば立派な技術だ。
 本来その流れは、世界が『完成』する前に役目を終えて消える。
 名残は残るけどな。
 ほら、よくあるだろ?
 幽霊が集まってくる心霊スポットとか、その場所は日常的にトラブルが巻き起こっている、とか。
 そういう所が、バグの『流れ』の名残な訳だな、全部が全部とは言わんけど」

「ほう」

「んで、そのバグ処理用の『流れ』がお前に集中してんだなコレが」

「………何ィ!?」


 驚いて一刀は大河に向き直る。
 勿論、驚愕で手元が止まった。
 それを見逃す大河ではない。


「ちゃーんす♪」

「あっ、テメ計算尽くだろ!?」


 ドカドカドカドカドカ。
 1PWIN!


「あっはっは、心理戦だって立派な戦術だろ〜?」

「ぐっ…コノヤロー、そういうトコは全然変わってない…。
 そんで、何?
 要するにバグが俺に流れてくるって?
 なんでそんな事になってて、具体的に何が起こる?
 対処法は?」


 次の対戦用のキャラを選び直しながら、大河は少し考える。
 因みに頭の中の比率は、説明:ゲーム:女の順に1:4:5だ。

 一刀は選ばないのか、と催促を受けたが、また心理戦でハメられるのも癪なので先に話を促す。


「何でって、そりゃお前がこの世界をムリヤリ開幕させたからに決まってる。
 ま、自業自得っちゃ自業自得だな。
 バグ処理中にいきなりお前がこの世界への道を抉じ開けて、乱入した。
 この時に、バグ処理の機能がイカレるなりなんなりして、その代役になっちまったんだろうな。

 んで、何が起こるかってーと……まぁ、色々さ。
 幽霊みたいなのが出てきたり、魔法みたいな事が出来たり…。
 それによるトラブルも、連鎖的に起こると思った方がいい。
 対処法は…特に無いし、必要ないな。
 お前が居れば、放って置いてもバグは修正される…時間はかかるが」

「……魔法ぅ〜?」

「あと舞空術とか、リアルに使える可能性があるぞ。
 バグがあるって事は、この世界には『まだ決められていない部分』があるって事だ。
 その決められていない部分には、どんな法則が当てはまったっておかしくない。
 『気を使えるなら空を飛べる』とか、『渦巻きに飛び込めば別の渦巻きに出られる』とかな。
 まとにかくだな、お前はこれから当分、揉め事塗れの日々を送ると思った方がいい」

「…当分ってどれくらい?」

「ま、お前が寿命で死ぬまでにはバグも出尽くすだろ」


 一刀は無言で倒れこんだ。
 あの連中の起こす揉め事だけでも一杯一杯なのに、これ以上何が起こると?
 それに追い討ちをかけるように、大河は続ける。


「あんだけの美女集団に慕われてんだから、それくらいは受け止めろ。
 何だかんだ言っても、それくらいの器はあるだろう?
 俺は割りとお前が気に入ってるんだ」

「そりゃどーも…」


 投遣りに返す。
 実際、受け止めるしかないんだからしょーがない。


「ま、『主人公』だからな。
 何とでもなる」


「…?
 なんだそりゃ?
 メタ発言か?」


「いや、これが一番伝えておきたかった事だ」


 大河は表情を改め、コントローラーを置いた。
 何処まで話していいものか、素早く頭の中で検証する。
 話し方によっては、これは凄まじい重圧となる。
 その重圧に友人が潰されるところなど、大河は見たくない。


「…これまたさっきも言ったと思うが、この世界には『台本』がない。
 そして役者も居ないが、ただ一人だけ例外が居る。
 この世界を開幕させた…お前が。
 言ってみれば、お前はこの世界の中心だ。
 『主人公』って訳だな。
 そしてあの女の人たちは…ま、ヒロインか」

「…元々世界に台本なんてないだろう」

「俺達の視点から見れば、そうだな。
 シェイクスピアだっけか?
 人生は戯曲である、とかそんなの。
 ま、台本じゃなければ運命、流れ、必然…なんでもいい。
 とにかく、本来あるべきはずの指向性が、この世界には無い。
 放っておけば、衰退も発展もせず、文化や科学の発展すらない…そんな世界になるだろうな。
 いいか悪いかは別として」


「ところが、『主人公』という存在が居る。
 コイツの動き如何で、世界は指向性を得る…」


「そうだ。 よく解ったな」


 単に前後の話から推測しただけだ、と一刀は言う。
 『主人公』。
 物語の中心となる人物。
 ゲームや小説の中では、彼らの行動如何によって、世界は大きく変貌する。
 それはつまり、彼らの存在が、大なり小なり世界の指針に影響を与えているとも解釈できる。
 もしも指向性の無い世界で『主人公』が存在すれば、その影響力は如何ほどか?
 ヘタをすると、『主人公』の一存だけで世界の在り様は決定されてしまうのではないか?


「ま、実際はそこまで強力じゃない。
 今だけを鑑みても、お前の傍には沢山の人が居る。
 真実独りなら、そのくらいの影響力はあっただろうけど」

「はぁん…」


 どうにも実感がわかない…当たり前と言えば当たり前か。
 自分の行動一つで、世界のあり方が大きく変わるなど…バタフライ効果どころの話ではない。


「それじゃ、この世界に人が沢山居れば、影響力も少なくなるんじゃないのか?」

「ああ、それはあるな。
 神の如き影響力を奮えるのは、精々明日か明後日まで。
 ま、その方が気楽でいいだろ?」

「まーな」


 頷く一刀。
 そんな重役を押し付けられるなど、冗談ではない。
 大河は苦笑している。


「まぁ、そういう訳で…今のうちに力は奮っておけ。
 後々大変だぞ」

「?」

「だってなぁ…」


 大河は先程の女性達を思い出す。
 …揃って美人だ。
 ちょっと殺意が沸いてきた。
 まぁ、自分だって未亜を筆頭にイロイロ慕われているのだが。


「まず、金。
 生活するのに何より必要だろ。
 あれだけの人数に食わせていくとなると、どんだけ金が要ると思う?」


「…いきなり現実的な所を突いてきやがったな」


「だってそれだけ切実だからな。
 次、戸籍。
 これが無けりゃ、まともな所に就職も出来ん。
 学生にもなれない」


「う…」


「続いて、住む所だな。
 別にこの寮でもいいんだが、ここ、ペット禁止だろ?
 と言うか、普通に考えて馬はねーだろ馬は」


「ううっ」


「更に、あいつら血の気が多くて稽古好きみたいだから、暴れられる場所も必要だろう。
 道場での試合なんぞで満足できると思うか?」


「うううっ」


「あと法律改正。
 ここは一夫多妻が認められてないからな、三国志の時代と違って。
 まぁ、正妻が一人だけってのは同じだろうが」


「それはやろう、今すぐにやろう。
 誰にするかなんて迫られたら、俺はきっと胃潰瘍で死ねる」


 指折り数えられて、一刀は仰け反った。
 しかし、それをどうしろと言うのだ?
 何か解決策があるとでも?

 視線を受けた大河は、指を振りながら言う。


「だーかーらー、そういうのを今の内にどうにかしとけってんだよ。
 いいか?
 今のお前は、強い影響力を持つ『主人公』だ。
 2,3日後に動き出す世界は、その『主人公』の意思に沿って世界を設定する。
 例えばお前が『自分は大金持ちだ』『このアパートは自分の物で、更に犬猫馬鳥その他諸々OKである』なんて強く思っていれば、それは本当に実現する。
 あくまで一発限り、今後は一切使えないけどな」


「…使うしかないのかなぁ」


 気が進まない一刀。
 自分が『主人公』だと認めてしまうと、その両肩に強烈な重圧が圧し掛かってきそうだ。
 が、使わなければ、実際問題どうにもならない訳で。
 さらに言うなら、放って置いてもまず間違いなく発動する訳で。


「まぁ、そういう事だ。
 ちなみに、俺のお勧めはこの物件。
 本来なら税金含めとんでもない高額な家賃を取られるんだが、その辺はどうとでも出来るからな。
 法律上の手続きも、世界が勝手にどーにかしてくれる。
 ほれ、『主人公』だし」


「結局それかよ…。
 ? おい、こんな建物、この辺にあったか?」


「前の世界じゃ無かったな」


「んじゃなんで?
 こっちの世界で新しく作られたのか?」


「いや、実を言うと俺が出した。
 知り合いからポイポイカプセルを譲ってもらったんだが、使い道が無くてな。
 その後別の知り合いから、『この屋敷どうにか出来んか』って相談されたんで、カプセルの中に放り込んどいたんだ。
 まー広いのは事実だからな、打ってつけだろ?」


「…つまり、どうにかしてほしくなるような要素がある訳だな、その屋敷には」


 大河が差し出したのは、見取り図その他諸々を印刷した紙。
 が、このような建物は無かった筈…というか、建築物としてどうよ?な感じ。
 どんだけ金を払えば、こんな建物に住めるというのだ?
 と言うか、これは本当にジャパンの建物か?
 建築法大丈夫か?
 ポイポイカプセル云々は冗談として。


「細かい事は気にするな。
 ああ、それと最後に」


「…まだ何かあんのかよ」


 一刀は眠そうだ。
 そろそろ頭がオーバーヒート気味らしい。
 大河は構わず、一方的に言い添えた。


「お前の周りで起こる問題は、全て解決可能だ。
 しかも理想的な形でな。
 そう、どんな問題でも、無理難題でも、前人未到の領域の事でも。
 金でも、人間関係でも、はたまた殺人事件でも。
 温暖化問題でも、紛争でも、第3次世界大戦でも。
 お前が諦めさえしなければ、必要な形で必要な時に、必ず好機と閃きが巡ってくる。
 何度でも。
 問題は、その好機の存在に、タイムリミット内に気付けるかって事。
 …それだけだ」

「…『主人公』だからか?」

「…いや、似たようなものだがそれとは別だ。
 理由は知らなくていい。
 覚えておくだけで」


 意味深な発言を、一刀は受け入れ、そして笑い飛ばした。
 今までも、実際どうにかなってきたのだ。
 理想的な形で、とは言えなかったが、諦める事だけは無い。
 彼女達の主として、それだけは。


「さて、そんじゃもう一丁対戦するか!
 お前も久々だろう、こういうの」


「俺、もう眠いんだけどな…。
 まぁいいか。
 戻ったら修羅場に巻き込まれそうな気がするし」


 久々の故郷(でもないが)と、久々に会った友人。
 疲れているが、それを推して楽しむのもいいだろう。
 ここでは、前の世界のように君主としての仕事は無い。
 一晩徹夜したっていいだろう。
 …それ以上に、あのクセのある連中を束ねるという難解な仕事もあるが、今くらいは忘れさせてほしいものだ。


「そんじゃ、次はブラッディーロアとギルティギアのどっちがいい?
 いや、俺もここんトコゲームやってなかったんでな。
 未亜は格ゲーは専門じゃないし、俺の居る所にゃ無いし。
 まぁ、やろうと思えばどうにでもできるけど」


「なんか色々複雑な事情がありそうだが、そこはスルーして…そうだな、ギルティギアで。
 今からブラッディーロアやったら、3D酔いしそうだ」


「んな事はないと思うが…そんじゃ、ディスクディスクと…」


 ソフトを交換する大河を、一刀は懐かしそうに眺める。
 こうしていると、元の世界に返ってきたのだと実感する。
 向こうの世界にずっと居るのも悪くないと思えるが、根が現代っ子な一刀には、ゲームやインターネットが無いのはちと辛い。


「…俺さー、向こうじゃ色々と仕事してたのよ」

「ん?」

「そんでな…本物の仕事、本物の責任、本物の重圧、そんで本物の殺し合い…。
 退屈する暇なんざ無かった。
 今な、現代がどれだけ便利で満たされてる世界かって実感するよ…。
 ま、星辺りに言わせれば、無粋で風情の無い世界って事になるだろうけど」

「こんな世界でも、本当に優雅なヤツはそれなりの風情を見つけるさ。
 ちなみに俺の場合は、カップ麺が出来るまでの3分に風情を感じる」

「安っぽいな。
 ま、いい事だな。
 『本物』を経験した事で、こういうバーチャルな戦いを楽しめなくなるんじゃないか、と思ったけど」

「それはそれ、だろ。
 本物の重さを知ったからこそ、こういう偽者の軽さを楽しめる、って考え方もある。
 俺だってそのクチだ…ほれ、キャラ選べ。
 金キャラは禁止、黒キャラは…どうする?」

「対戦なんだからフツーのキャラでやろうぜ…」


 金キャラのソルとジョニーは反則だろ、と続ける一刀。
 実際、アレを友達との対戦で使うのは色々問題があるだろう。


「おっし、そんじゃ…Heaven or Hell?」


「SLAS「ご主人様!」H…?」


 久々に見るマイキャラに心を躍らせていると、いきなり怒声と共に扉が開かれる。
 戦闘開始も忘れて目を向ければ、そこには肩を怒らせた愛紗が立っていた。
 漏れ出る怒気にビビッて、思わず後ずさる一刀。
 一刀以上に修羅場を潜っている大河も、ジリジリ間合いを取っていた。


「ご主人様!
 一体何をしているのです!」

「な、何をってあーた、ちょっと旧交を温めて…」

「そうではありません!
 この者が旧友だというのは解りましたが、あまりにも無用心です!
 何度言ったら学習してくれるのですか!?」

「も、申し訳ない…」


 ここまで来ると、愛紗の注意も偏執狂染みているのだが、それを口に出す勇気は無い。
 大河も視界の隅で、『謝れ、謝っちまえ!俺を巻き込むな!』と顔色で語っている。


「大体ご主人様はですね!「お兄ちゃーん、負けてしまったのだ〜!」


 怒る愛紗を無視して、とてとて走ってくる者が数人。
 一刀は鈴々と璃々に飛びつかれた。


「な、何事?」

「あっ、こら鈴々、璃々!」

「お兄ちゃん〜、部屋割りでご主人様の隣を取れなかったのだ〜」

「璃々達、2階の真ん中の部屋なの〜」


 愛紗の怒号をものともせずに、一刀に甘えるお子様コンビ。
 あと、大河のしっとオーラもモノともしてないが、これは無視。

 愛紗が二人を引き剥がそうとするが、鈴々は据わったで愛紗を見据える。


「愛紗はご主人様の隣になれずに、拗ねているのだ。
 ご主人様に八つ当たりをしてるのだ!」

「なっ、おい鈴々!」

「…図星っぽいな」

「ご、ご主人様ァ!?」


 赤面して慌てる愛紗。
 八つ当たりくらい、前の世界でもよくやっていたのだが…まぁ、本人がそれをヤキモチと認めていないし。
 慌てる愛紗を他所に、璃々はピコピコ動いてるテレビに興味を向けた。
 正直、大河の登場シーンがトラウマになっている気配もあるのだが、それよりも好奇心が勝ったらしい。


「ねぇご主人様ー、これなーに?」

「え? ああ、これは俺達の世界で代表的な遊び…って大河、テメェまた!」

「ぬははは、勝負を忘れたお前が悪い!」


 何時の間にかコントローラを手にしていた大河は、棒立ちのスレイヤーを自キャラのチップでボコっていた。

 ですとろーい。
 1PWIN!

 取り合えず、腹いせに一発大河を殴る。
 甘んじて大河は受け入れた。

 目まぐるしく動くゲーム画面に、鈴々も愛紗も興味をそそられたようだ。
 もともと愛紗の怒りも、単なるヤキモチか八つ当たりでしかなかったのだし、後に引くようなモノではない。


「お兄ちゃん、これは何なのだ?」

「さっきの“てれび”と違うの〜」

「こ、今度は何が出てくるのです!?」

「ああ、これはな…」


 興味津々×2と恐怖深々の二人に、格闘ゲームを説明してやる。
 途中で大河が茶々を入れたが些細な事だ。


「…つまり、一種の模擬戦のようなものですか?」

「ま、そうなるかな。
 ただし遊び以外の何者でもないけど」

「だな。
 本格的な命がけの実戦とかやってる連中からしてみれば、自分が暴れる方が楽しいだろうな。
 まぁ、現実じゃどうやっても再現不可能な技とかもあるが」

「ほぅ…」


 中からは何も出てこない、と聞かされて安心した愛紗が改めて画面を覗き込む。
 …いつか映画版リングを見せてみたいものだ。
 きっと気絶するほど怖がってくれるだろう。

 まぁ何はともあれ、やって見せた方が早かろうと操作する。
 キャラは先程と同じ、スレイヤーとチップ。


「よし、そんじゃ久々に対戦すっか。
 腕は…鈍ってるに決まってるな」

「連携くらいは覚えてるぞ」


 昔は負けず嫌いを発揮して、一晩中対戦してたものである。


「うおっ、壁際コンボ!?」


 結論から言うと、画面の中でピコピコ動き回るキャラクターは、お子様コンビは当然として、愛紗の興味を強く惹き付けたようだ。
 BGMも、彼女達の触れてきた文化とはかなり毛色が違う。
 お子様コンビの『やりたいやりたい』という騒ぎに便乗し、愛紗も参加。
 勝手が解らないながらも、充分楽しんだ。
 それはもう、寝るのも忘れて。

 楽しんだのは、彼女達だけではない。
 彼女達と同じく抽選に漏れた連中がゾロゾロやって来て、その中の何名かが同じように参加する。
 参加しなかった連中は、そのままさっさと寝てしまった。
 かくして、この世界の最初の一夜は俄かゲーム大会となって更けていく……。


 追記・やっぱり三国無双は不評だった。
 数名が自分とはかけ離れたキャラを見て、画面を叩き壊そうと暴れたらしい。


 更に追記・せっかく籤に当たり、一刀の隣になった女性達は、いつまで経っても返ってこない一刀に腹を立てていたとかなんとか。


 もっと追記・貂蝉とギルティギアの某キャラ、さらに某お父さんの声がソックリだった事でちょっと騒ぎが起きたが、更に些細な事だ。




はい、ちょっと書いてしまいました。
一日に30kbも筆が進んだのは久しぶりです。
正直、これが続き物になる可能性は…高くもないけど低くもありません。
設定はメチャクチャ妄想が入ってるし、場所によってはバッシングを受けそうな…。

そもそもタイトルからしてバッシング対象ですね、解ってて直さない私もなんですが。
カタカナとそれ以外の文字を分けて読み、「外史の続き」「ユメノツヅキ」となる訳です。
目障りなようなら、次から直すんでご勘弁を。


今後の予定としては、続くのであれば…世界が動き出すまでは今のような形式で書き、その後は日記のような感じで書こうと思っています。
そうですね、日記形式になったら、小さなネタを一日に一本くらい書いて、30kbくらいになったら投稿する…なんて感じになると思います。
あくまで予定です…つまり未定、予定と締め切りは破られるためにある。
そもそも日記形式になるまで、どれだけ時間がかかるやら。

と言うか、HPで次週重大発表だそうですよ!?
まだ一ヶ月も経ってないのにファンディスク作成決定か!?と図らずも期待が膨らみます!


それでは、双魔伝のレス返しをこの場でさせてもらいます。
まず正月の分から。


1.nao様
酔っ払いって、何を考えてるんでしょうねぇ…。
我が事ながら、もう記憶が…。
エロももうすぐです、待っていてください!


2.九頭竜様
まぁ、面白ければ許されるって事でいいんでしょうか?
あれが面白いかどうかは、心の広さによって評価が分かれると思いますけど…。
意識して書く書かない以前に、記憶が無いですヨ?


3.通りすがり様
サイトの方も、更新止まってしまいましたしね…。
今でも密かに復活を待っているのですが。


4.だれかさん様
酔ってなければ、あんなの書きませんよ…。
もうちょっと…何というか、地の文を充実させる主義ですし。


5.カシス・ユウ・シンクレア様
ええ!?
最初ってこんな感じでしたっけ?
むぅ…投げっぱなしではなかった気が…。

6.パッサッジョ様
お見苦しい作品でしたが、新年という事でご勘弁ください。
正月なんですし、キャラを無視してはっちゃけても誰も怒りませんよねw


7.蝦蟇口咬平様
アルコールは酒量じゃないです!
チャンポンはヤバイので気をつけましょう。


8.読石様
まだまだアマド金閣さんには遠いです。
目指せ神の領域、最終的にはDr.西の領域まで!
…いや、泥酔した時だけデスヨ?


9.竜神帝様
HPは大変そうですね…。
時守もたまに、作ってそこにネットワーク関連のSSやデータを掲載してみようかと思うのですが…。
面倒くさそうだしなぁ…。


それでは、次に03のレス返しです。
遅くなって申し訳ありません。

1.読石様
正月変を除くと、もう2ヶ月ちょっとですか…。
週一回更新で手一杯なんですよね…。

ネットワーク関連の人材は、どっかイカレた人ばかりです。
そしてマトモな人は染められてイカレますw

半年まであと約4ヶ月…忘れてなかったら、いつか投稿します…多分。


2.俊様
いやいや、最も働いた者に3本、残りに一本ずつ。
これでより労働意欲が増すわけですw


3.かのん様
申し訳ないです、後が全然続かない…。
前は幻想砕きの後にボチボチ書いていたのですが、最近は幻想砕きだけで気力が尽きて…。
それじゃこのSSは何だ、と言われると苦しいですがw

まぁ…2ヶ月に一回くらいは続きを執筆して、その度に大抵5kbくらい。
20〜30kbくらいで投稿すると思います。

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