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▽レス始

「男三人麻帆良ライフ 第一話(GS+ネギま!)」

宮本 (2007-01-26 19:05)
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「だ〜か〜ら!おまえが悪い!!いつもいつも猪みたいに突っ走りやがって!!」

「ああ!?俺が全部悪いってのか?それを言ったらてめえが文珠の制御をミスったのが悪いんだろ?」

「まあまあ二人とも、落ち着いて下さい。誰もあの場所にあんな物があるなんて知らなかったんですから仕方がないですよ。」

言い争いを続ける二人、そしてそれをなだめようとする一人が道なき道、つまり森の中を歩いている。
三人は高校のクラスメートであり、GSと呼ばれる職業であった。
そう、GSと呼ばれる職業だったのは少し前までの話。
なぜなら三人は・・・

「それより早く情報収集をしないと!ここがどこかも分からないんですから。もしかして・・・っていうか間違いなく異世界、平行世界に来ちゃったんですよ!」

二人をなだめていた金髪の白人青年、ピートはなだめるのをあきらめて少し強い口調で言う。

「うわあああ!!言わないでくれピート!!美神さんのあの乳が!尻が!太ももが!!今俺がいる世界に無いなんて考えたくない!!」

額にバンダナを巻いた青年、横島忠夫がイヤイヤをするように首を振り、ガンガンと側にあった木に頭を打ちつける。

「情報収集っつったって人通りの激しいところに行って何するんだ?横島はこれだし、俺は聞き込みは苦手だぜ。」

ワイシャツを着た目つきの悪い青年、伊達雪之丞はポケットに手を突っ込んで横島を睨む。

「う〜ん、とりあえずこの世界が僕らの世界とどう違うのかを把握する事が大事でしょう。街を歩いている人に声をかけて世間話をすればそこから分かるかもしれない。雪之丞がそういうの苦手だというなら僕がやるから・・・。」

「ああ!?ピート!てめえ『僕がヤル』って何をやる気や?道行くお姉さまに聞き取り調査か?今日もエミさんといちゃいちゃしやがって!チクショウ!!」

横島がピートにつかみかかり、ピートは慌ててそれから逃げる。
そんな二人にやれやれとため息をつきながら歩く雪之丞。

その三人がある箇所を通り抜けた時に何か異質な感覚を受けて思わず辺りを見回す。

「あれ?なんや?なんか変な感じが・・・。」

「雪之丞・・・」

「ああ。横島、さっきの感覚は結界だ。」

三者三様に驚き、そして警戒する。

「かなり範囲の広い結界みたいだ。・・・とりあえず隠れよう。」

ピートは辺りを警戒しつつ、二人を促して草むらに隠れる。

「・・・範囲の広い結界、それと結界にかかってからなにも起きないところをみると感知系の結界か?」

「ああ。と、すると・・・」

そう言っているピートと雪之丞は近づいてくる気配を感じて顔を見合わせるとその場から消えた。
いや、正確に言うと二人はピートの能力、バンパイア・ミストで霧になったのだ。

「あ!汚ねえ!!」

一人取り残された横島は慌てて右手に力を集中すると己の最高にして最も頼りになる霊能力である文珠を発動する。
込められた文字は『隠』。

ガサガサと音がして草むらがかきわけられる。

「・・・なにもいないようですね。ガンドルフィーニ先生。」

「ああ、そうだね瀬流彦君。まあ僕らが近くにいたからというのはあるとしてもエヴァンジェリン君はなかなか草が多いところとかの調査には行きたがらないからね。
まあ場所が場所だしまた小動物とかじゃないかい?」

ガンドルフィーニと呼ばれた黒人男性はそう言って横島の近くを通る。

文珠の効果によって文字通り自分の存在を相手から『隠』している横島ではあるがぶつかられれば不信がられるので慌てて横に避けた。

「じゃあとりあえずは異常なし・・・という事で。あとで魔力のチェックとかが行われて終了ですね。
あ〜あ、でも魔法が秘密だからこんなに不便なんでしょうか?」

瀬流彦と呼ばれた整った顔立ちの男性はため息をつく。

「う〜ん、それはどうだろう。魔法が秘密だからこそ我々の仕事は増えているとも言える。だが逆に言うと魔法が秘密だからこの程度で済んでいると考える事もできる。言い出したらきりがないさ。
それより瀬流彦君、今夜・・・どうだい?」

にやっと笑うガンドルフィーニ。

「今夜ですか?いいですね〜。でも弱いんですからほどほどにして下さいよ?」

「ふっふっふ!大丈夫、今夜は寝かせないぞ〜。」

ガンドルフィーニは瀬流彦の肩に腕をまわして上機嫌で去っていく。
瀬流彦も笑いながらその場から去り、数分後に姿を現した横島の横に霧の状態から元に戻ったピートと雪之丞がやってきた。

「まさか、この世界は・・・」

二人だけバンパイア・ミストで逃げた事を責められるだろうと覚悟していたピートと雪之丞は呆然とした横島の声を聞く。

「ええ、結界があったしこの世界にもその手のものがあるとは分かりましたが、警戒しないといけませんね。まさかこの世界に・・・「この世界は男と男が結ばれとる世界なんか〜〜〜!!」・・・は?」

あごに手をやって考え込むピートだったが横島の叫びに台詞を中断され、しかもその内容があまりにもアホなものだったために思考も停止をよぎなくさせられる。

「おまえらも聞いたやろ?あの二人のおっさんの会話を!」

「あ、あの二人だけが特殊なのかもしれないじゃないですか?」

横島のあまりの迫力、そして恐怖に満ちた表情に思わず後ずさるピート。

「・・・そうか。なら先を急ぐぞ!はやく街に出て確認せねば!!」

くるっと振り返って歩き出す横島。

「まあ早く街に出とかなきゃまずいのは本当だし、急ごうぜ。もし魔力のチェックとかいうのに引っかかったらまた誰かが探しに来るんじゃねえか?」

「そうだね。それにしても魔法が秘密な世界か・・・。何とかその魔法を使える人の中で僕らの味方をしてくれる人を探さないと。」

見分けるのが非常に難しいと頭を振ったピートは雪之丞とともに横島を追いかけた。


   『男三人麻帆良ライフ  第一話』


バサッと黒いマントが夜風になびき、黒い人影がビルの上に立つ。
直後にその人影の背後に麻帆良学園中等部の制服を着た少女がジェット?を下方に向けて噴射しながら着地した。

「・・・マスター、今夜も吸血活動を行われるのですか?
昼間の侵入者、そしてその進入場所から魔力が計測されたことから今夜は高い確率で魔法先生達が普段以上に警戒をしていると思われます。」

麻帆良学園中等部の制服を着た少女・・・型ロボの絡繰茶々丸が丁寧に、そして冷静に言葉をつむぐ。

「ふんっ、確かに警戒しているだろう。・・・この桜通り以外をだがな。
何を考えているかは大体想像がつくがジジイは度を越さなければ私が吸血するのを黙認するらしいから大丈夫だろう。
それに、保険としておまえを連れてきている。この付近で何かを発見したら自らの意思で臨機応変に行動する事を許す。
何者が侵入してきたか、何が目的なのか全く分からん。油断するな。」

黒いマントを羽織り、黒いとんがり帽子をかぶった少女、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルはそう言ってチラリと桜通りと呼ばれる桜の木の生えた並木道を、いや正確に言うとそこを通る一人の少女を見下ろした。

「出席番号16番佐々木まき絵・・・か。なかなかうまい血をもっていそうだ。」

ニヤリと笑うとエヴァンジェリンはふっと宙に浮いた。

光が自分の顔を照らさないように帽子を目深にかぶり、お風呂セットを持って桜通りを歩いている少女、佐々木まき絵の視界に入る場所に降り立つとニヤリと笑みを浮かべる。
佐々木まき絵は『ひっ』と息を呑むと急いで走り出した。

だがエヴァンジェリンにとってはそうくるのは分かりきった事。
マントをなびかせながら少女とは思えないスピードでまき絵の後を追う。
そしてまき絵がこちらをチラリと見た瞬間に加速、一気にまき絵の視界の外を動いて彼女の斜め前に移動する。

「ひっ・・・」

一瞬にして自分の斜め前に現れ、迫ってきた黒い影におびえたまき絵は再び息を呑む。

「きゃあっ!」

そして、お風呂セットを地面にばら撒きつつ木の根元に転倒する。
そんなまき絵に近づくエヴァンジェリン。

「あ・・・いや・・・。」

エヴァンジェリンはまき絵の声などには全く躊躇せず彼女を押さえつけると彼女の首筋に舌をはわせてからその鋭い牙を突き刺す。

「いやあぁ〜〜〜ん!!」

夜の闇にまき絵の叫び声が響く。
直後にエヴァンジェリンは己のものとは別の魔力を感じてその場を飛び退いた。
そして先ほどまでにエヴァンジェリンがいた場所に何かが着弾した。

「・・・この気配、まさか同族か?同族とはめったに会わないものだが、珍しい事もあるものだ。」

すっと鋭い眼光でエヴァンジェリンは魔力を感じた方を睨む。
内心かなり警戒し、緊張している。
今の自分は満月が近いから少しは力を使えるとはいえ、それでも力のほとんどを封印されているのだ。
そんな状態でこちらへの敵意と、強い力を持つ者に接触されたらお終いだ。

「な、なんてこった!変質者かと思ったがまさか女?いや、幼女?それが将来有望そうな少女を襲うとは・・・。
ジーザス!!この世界はまさか実は百合の世界?そんな、そんな夢も希望もない不毛な世界で俺は・・・俺はどうすればいいんや〜〜〜!!」

「お、落ち着いて下さい横島さん。あの子にももしかしたら何か事情があるのかも・・・。」

「い〜や、騙されるなピート。どんな理由があろうと百合は百合!そんな背徳的な行為・・・、はっ!そうか、この世界は百合の世界だから昼間ナンパしたおねーさま方は俺に冷たかったんか!?」

「横島さんのナンパに返ってくる反応はいつも冷たいと思いますけど・・・。」

警戒と緊張が霧散し、エヴァンジェリンはぽかんと口を開けてそこに立っている二人組を見た。
すこし離れたところで何かがぶつかり合う音がなぜか遠くから聞こえるように感じられた・・・。


「くうっ!なぜ、なぜだ?全世界共通で俺はもてないというのか?」

「・・・いや、いつもの事だと思うが。」

夜も更け、人通りがほとんどなくなった公園に男三人は座っていた。
食べ物を買う金など・・・ない。
公園の水飲み場で水を飲み、腹を膨らませた。

横島は昼間ナンパを行ったが全く成功しなかったので凹んでいる。

「そんな事より状況を整理しませんか?」

「そんな事?そんな事だと!?」

がしいっとピートの襟首を横島がつかむ。

「おまえは、おまえはイケメンで黙ってても女が寄ってきとったけどなあ!わいには、わいにはああああ!!」

「道の脇におまえを連れて行って二人っきりでコソコソ話していた女がいたじゃねえか。あれはなんだったんだ?」

めんどくさそうに雪之丞はつぶやく。

「ピートを指差して『あそこの素敵な方はお友達ですか?紹介して下さい。』だとよ!!ちくしょー!何が四民平等じゃ!何が格差の解消じゃ!!ここに、ここに解消などなされないハイレベルな格差が〜〜〜!!」

ぐおおおおお!!っと血涙を流しながら叫んでいる横島を見なかった事にしてピートと雪之丞は向き合う。

「じゃあ現状の整理を。」

「ああ。とりあえずほとんど同じだな。霊能や悪霊とかが表立ってない事以外は。」

「そうだね。国名とかも一緒。お金すら同じだったのは計算外だしラッキーと言えるんだけど・・・。」

「もともと俺ら三人とも金にゃ縁が無いからな〜。」

二人はため息をつく。
労働基準法違反で働くのがばかばかしくなるほどの超薄給の横島、清貧を旨とする人格者の下で見習いをしているピート、そして色々旅を重ねて修行をしているため金が入ってもすぐ使ってしまう雪之丞。
三人とも・・・金などもってい無かった。

「あれ?なんか変な気配が・・・。気のせいか?」

突然止む慟哭、そしてさっきまで叫んでいた口からこぼれるつぶやき。

「ピート!」

「ああ・・・これは、魔力?」

「魔力だな。この世界にも魔族がいるのか?」

「でも今までは感じなかったという事はこの魔力の主がなんかのアクションを起こしたっていう事だ。っていう事は誰かがそれを取り締まりに来るかも・・・。
何が起きるにせよ近くに行っておいた方が行動しやすいね。行こう!」

ピートはそう言って駆け出し、雪之丞もその後を追う。

「お、おい、ちょっと待てよ〜。凶悪な奴とかがいたらどうすんだ?」

「へ!その時はその時だ!!」

「このバトルジャンキー!!手を出すなよ?とりあえず見るだけだかんな!!」

雪之丞と並走しながら横島は注意をする。
この男が本能に任せて突っ走ったら厄介な事になる・・・。

横島は何があっても即座に対応できるように、走りながら文珠を作り出そうと手のひらに霊力を集中して・・・。

「のわあ!?」

慌ててその場から飛び退いた。
地面に残る破壊跡から飛んでいく何かの後を横島が目で追うとそちらには人影があった。

「おもしれえ!あそこには俺が行くぜ!!」

ぐっと横島の肩をつかんだ雪之丞は反動をつけて人影の方へ加速した。


「『気』に似ているものの、データに無いエネルギーを感知。迎撃します。」

茶々丸は突如強力なエネルギーが現れ、一箇所に集中するのを感知すると主の命と現在の状況そして自分にインプットされたデータから今最も適切だと感じられる行動をとるべく右腕を前に出した。

――― ドンッ!!
右腕が飛び、そしてそれは狙いを違わずエネルギーが現れた場所、そこにある人影に向かっていった。
だがそれは回避され、地面の石畳を砕く。
同時にデータに無いエネルギーが霧散する。

「迎撃失敗。しかし目的は達成されたものと考えます。っ!?高速で接近してくる者を確認!緊急回避!!」

無表情のなかに若干の焦りを浮かべて茶々丸はその場を飛び退く。
直後に先ほどまでいた場所にドゴッと鈍い音が響いた。
シュッと音を立て、戻ってきた右腕が茶々丸の右腕にはまり、茶々丸は身構える。

「女?いや、マリアと同じか。アンドロイド・・・。」

「ガイノイドです。昼間に現れた侵入者だと推測します。」

「だったらどうする?」

敵意満々といった風ににやっと笑って茶々丸の前に立つ男は茶々丸を睨んだ。

「契約に従い、捕らえます。抵抗されない事を望みます。」

望み。
本当にそれは茶々丸の望みであった。
躊躇する事はない、命令を違える事はない。だができれば戦闘行為は避けたい・・・。

だが茶々丸の感情の込められない言葉を男は挑発と受け取ったらしく、

「上等だ!!」

叫んで一気に距離を詰めてきた。


「あ〜もう、あの戦闘馬鹿!!」

「しっ!横島さん。あそこ・・・。」

「ん?・・・おお、まだ若いがなかなか将来有望そうな・・・って、追われとるんか?」

横島とピートの視界に映るのは荒い息をはきながら駆ける少女、そしてそれを追う黒いマントのようなものに身を包んだ人影。

「魔力はあの黒い人影から、いえ正確にいうとあのマントからの方が多いですね。気配を消せないのか、それとも消さないのか・・・。」

「んなこといいけどよ〜、どうすんだ?」

分析をするピートとあわあわと慌てている横島の事などおかまいなしに事態は進んでいく。
「きゃあっ!」と言って木の根元に転倒する少女、そしてそれにゆっくり近づく人影。

「いやあぁ〜〜〜ん!!」

夜の闇に少女の絵の叫び声が響き、ピートが動いた。

「ダンピール・フラッシュ!!」

飛んでいくのはピートの魔力の込められた光の弾丸。
それは少女に当たらないように、人影だけに命中するように放たれたもの。
だが人影はそれを回避し、ぱさりととんがり帽子が地面に落ちる。

「・・・この気配、まさか同族か?同族とはめったに会わないものだが、珍しい事もあるものだ。」

とんがり帽子の下から現れたのは長い金髪・・・。

「な、なんてこった!変質者かと思ったがまさか女?いや、幼女?それが将来有望そうな少女を襲うとは・・・。
ジーザス!この世界はまさか実は百合の世界?そんな、そんな夢も希望もない不毛な世界で俺は・・・俺はどうすればいいんや〜〜〜!!」

同族、という言葉にすっと目を細めたピートだったが、横島の緊張感の欠片もない言葉にすてーんっとこける。

「お、落ち着いて下さい横島さん。あの子にももしかしたら何か事情があるのかも・・・。」

「い〜や、騙されるなピート。どんな理由があろうと百合は百合!そんな背徳的な行為・・・、はっ!そうか、この世界は百合の世界だから昼間ナンパしたおねーさま方は俺に冷たかったんか!?」

「横島さんのナンパに返ってくる反応はいつも冷たいと思いますけど・・・。」

横島とピートはぽかん口を開いてとこちらをみている幼女を放っておいて漫才のような掛け合いを続けた。


エヴァンジェリンは混乱していた。

(あ〜、この音は茶々丸が戦闘行為を行っているのだろう。感じる力は一つ。まあこれはとりあえず放っておいてもいい。茶々丸ならばじきにこっちへくるだろう。
しかし問題はこいつらだ。馬鹿にしているのか?金髪の方、ピートとか呼ばれているが奴からは魔の気配がする。バンパイア・・・おそらくハーフ。
そしてもう一人の横島とか言う奴。こいつは何と言った?幼女?この私を、闇の福音を前にして幼女だと・・・?それに百合?まさか女から血を吸うと百合と呼ばれるものなのか?)

「ぬううう!!」

エヴァンジェリンは怒りを込めて唸る。
横島とピートはその怒りを感じ、慌てて議論をやめてエヴァンジェリンに向き直る。

「この、悪の魔法使い、闇の福音に・・・」

ゴゴゴ・・・と漏れ出す魔力。
横島はその迫力にひいっと声を漏らした。

「幼女とは何事だ〜!!」

「よ、幼女が怒った〜!!」

「横島さん!?」

ゴッ!!風を纏いつつ加速するエヴァンジェリン。
その普通では捕らえきれないスピードを横島はしっかりと目で追って、服のすそを切られながらも攻撃をかわす。
彼の服のすそを切ったのは鋭く、長く伸びた爪・・・。
そしてもう片方の手から小瓶が投げられる。

「『氷爆!!』」

「うわ!?」

小瓶が投げられたのはピート。
突如現れた氷の凍気と爆風を受けてピートは吹き飛ぶ。

「ふん。」

それを見て鼻で笑い、エヴァンジェリンはさらに爪を振るう。

「のわあ!!」

だがその爪は間の抜けた声と同時にガードされる。
魔力を帯びた爪をガードしたのは淡いグリーンに光る刃のようなもの。
一瞬興味深げに見た後、合気の応用で相手の力を利用して横島を地面に転がす。
だが転がった横島は慌てて非常に無駄があるように見える動きで立ち上がり、

「文珠〜!」

叫ぶと同時に何か丸い物を投げつける。
何らかのアイテムだろうと回避しようとするが、その中心に『離』という一文字を読み取った瞬間それは一瞬輝きを放った。

「な!?」

なにが起こったかわからない、だが自分は自分の意思に反して空を飛び、現場を離れていく。

「ぬ・・・、くっ!!」

慌てて体を動かしていると何かにぶつかったような感触がした。

「大丈夫ですか?マスター。」

自分がぶつかったのは従者である茶々丸。
茶々丸の衣服はところどころやぶれているものの、体にはおかしいところは無い。

「おまえこそ異常は無いか?」

「はい、一人と交戦状態になり、ほぼ互角でしたが相手は空が飛べないようでした。マスターが飛んでこられるのを感知したためやってまいりました。」

「・・・好きで飛んだわけではない。」

「撤退いたしますか?」

「ああ。もう一戦したら・・・な。」

エヴァンジェリンはにやりと笑った。


「おいおい、ピート大丈夫か?」

「はい、油断しました。体が少し凍って、一瞬動けませんでした。これが魔法。この世界の技術・・・ですかね?」

「は〜、それにしても怖かったなあ。このままどっかいってくれればいいんやけど。」

幼女に怪我をさせたくないしと付け加え、横島はため息をついて側の木の根元に横たわっている少女を見る。
気絶している少女をこのままにしていくわけにはいかないというピートの意見、そして美人のお姉さんを紹介してもらえるかもしれないという横島の淡い期待からここをすぐに離れるという考えは却下した。

「来ますよ!」

「おう!」

飛んできたのは数十本の氷の矢。
その数はあまりにも多い。

「くっ!横島さんはその少女を・・・って、言うまでも無いですね。

回避が難しいと分かった瞬間、横島は倒れこんでいる少女を横抱きにして急いでその場から走り去る。
ピートは氷の矢は横島達に当たらないだろうと考えて自分も回避しようとする。
だが氷の矢達は後を追うように横島の方へ向かっていく。

「何!?ダンピール・フラッシュ!!」

慌てて氷の矢を打ち落とし始めるが、そのせいで自分の背後で膨れ上がった魔力に気づくのが遅れた。
足元から発される黒い触手のようなものがピートに絡みつき、動きを封じる。

「魔法薬を使った簡易型の捕縛結界だが、短時間なら問題あるまい。・・・向こうも終わるようだしな。」

バチッ!!と電気が流れるような激しい音が立ち、音源から茶々丸が歩いてきた。

「気絶したようです。」

「ご苦労。念のため縛り上げておけ。暴れられると面倒だ。」

「はい。」

茶々丸は手のひらからワイヤーを出して横島を手際よく縛り上げる。
それを見てピートは歯噛みした。

「では、失礼するぞ。なに、少しこの男に興味があるだけだ。殺しはしないさ、大人しくしていればな・・・。」

そう言ってエヴァンジェリンと茶々丸は飛び立つ。
雪之丞がやってきたとしても空を飛べるピートが動けない今、空を飛んでいった二人を追う術はない。
ピートはよく知る気配が近づいてくるのを感じつつもこれからどうしようかと考え始めた。

「大丈夫か!ピート。」

雪之丞が桜並木を駆けてくる。怪我は無いようだ。

「横島はどうした?」

強い相手と戦えたのが嬉しいのか、すっきりした顔をしている雪之丞を見ていると腹立たしくなってくる。
そうだ、この男が勝手な行動をとるたびにいつも苦労する・・・。
ピートは腹立たしさと憤りを込めて雪之丞をじと目で睨んだ。

「君が勝手な動きをするから、横島さんは・・・彼に興味を持ったらしい幼女に拉致された。」

雪之丞はその説明を受けて、少し考えると口をひらく。

「ピート、頭は大丈夫か?」

黒い触手に縛られたままのピートはもっとわかりやすく言えばよかったと後悔した・・・。


あとがき

色々影響されて一ヶ月くらい前からSSを書き始めました。宮本です。

今のところエヴァンジェリン編?終了まで書いてあるのでここから細々と修学旅行編を書きつつ更新して行こうと思っています。
エヴァンジェリン編をとりあえず書き終わろうとおもっている間に面白い作品が投稿されていたので少し焦りました。

できれば横島達は原作のイメージを残したままでネギまキャラと絡めていきたいです。

拙い文章ですがよろしくお願いします。

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