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「GSきす 〜序章〜(きゃんでぃそふと+GS)」

キャンディ (2007-01-15 15:35/2007-01-16 15:52)
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 俺こと対馬 レオは至って平凡な高校生だ。テンションに身を任せず、ただ周囲の流れに沿って生きていく。それが俺が中学時代に身をもって経験した教訓だ。
 そうやって親が海外出張という『斬新』な設定で生きて来た俺だったけど、ここ最近は何故か波乱に満ちた生活を送っている。
 従姉のお姉ちゃんが最強だったり、幼馴染の甲殻類と無口な後輩が絶えず争いを続けてたり(ちなみに甲殻類の全敗)、超自己中なお姫様のハチャメチャな命令を聞いたり、クラスの委員長に癒されたり、隣のクラスのツインテールからは目の敵にされたり、担任とそのペットからは毒舌を浴びせられ、兄貴分の幼馴染とは変な噂(主にお姫様中心に)立てられたりとロクな事が無い。あれ? 誰かもう一人重要な奴がいたような気がするけど・・・まぁ良いか。
 何も起こらない平凡な生活を望んでいた俺だったが、良くもまぁ、こんなに濃い人達に囲まれて無事に生きてるな。あ、やっぱりコレもお姉様にしごかれてるお陰?
 でも私は今、死を実感しています。え? 何故か? それはまぁ・・・。


【お前の身体を寄越せええええええええええええええ!!!!!!】


 悪霊に追われて全力疾走しているからです、ハイ。


 GSきす〜序章〜


 今日も今日とて、いつもと変わらない一日だった。


「起きろ、レオ」
「う・・・ん・・・」


 凛とした声で目を覚ますと、そこには従姉で同居人の鉄 乙女さんがいた。
 鉄 乙女・・・対馬家と親戚関係に当たる鉄家の長女で、昔は良く一緒に遊んでいたが、俺が松笠市に引っ越すと疎遠になってしまったが、つい最近、再会し、俺の両親が俺を鍛えてくれといらん事を頼みやがった為に、こうして同居している。
 ちなみに、すげー強い(拳法の全国大会で優勝する実力)ので弟という立場もあるが、逆らえない。
 乙女さんはカーテンを開けると、俺の手を引っ張って身体を起こし上げる。


「ほら、しゃきっとしろ。全く・・・お前は私がいないと全然ダメだな」
「いつもはスバルが起こしてくれる〜・・・」
「伊達に頼り切るな。自分で出来る事は、自分でしろ」


 などと寝起きから説教されつつ、乙女さんに手を引いて貰って階段を下りて洗面所で顔を洗う。そして台所へ行くと、テーブルには大きな、それこそソフトボールサイズのオニギリがあった。


「さぁ、レオ。今日のオニギリはお姉ちゃん特製だぞ」
「いつも乙女さん特製だけど・・・今日の具は何?」
「刺身だ」
「うわぁ、朝から豪勢だね!」
「うむ。市場で捌いて貰って来たからな。遠慮せず食え」


 米のモチモチさと刺身の生臭さが見事な味の不協和音を奏でているけど、そんなこと言ったら、乙女さんに制裁という名の蹴りが飛んでくるので此処はお世辞でも旨いというのがコツだ。


「では私はもう行くぞ。ちゃんと遅刻せずに来るんだぞ」


 それは毎朝、遅刻寸前まで寝ている幼馴染に言ってください、などと言える訳もなく、俺は乙女さんを見送った。


 制服に着替えると、俺は隣の蟹沢家へと行く。家の前では、マダム(間違っても“オバサン”などと呼んではいけない)が掃き掃除をしていた。


「お姉さん、おはようございます」
「良かったら嫁に貰ってくれない、アレ?」
「人生ゲームのお金でジュースを買おうとするような娘はちょっと・・・」
「そうよね〜。私が男でも絶対イヤだもん」


 俺の隣の家には幼馴染の女がいる。名を蟹沢きぬ。通称カニ。普通、女の子が幼馴染の男を起こすとギャルゲーじゃ定番だろうが、ここの娘は、そんな話など夢のまた夢だ。
 お兄さんが一人いるが、兄貴は発表したりするなど優秀だが、妹の方は救いようが無いぐらいバカ。なので親からは『出涸らし』扱いされ、見捨てられている。
 ちょびっと同情する境遇だが、カニという人間をすれば、そんな気持ちなど綺麗サッパリ吹き飛んでしまうだろう。そういう人間だ。
 部屋に入ると、カニは相変わらず、無防備な姿で寝息を立てている。とりあえず身体を揺すってみる。


「おい、カニ。起きろ。朝だぞ」
「むにゃ・・・もう食えねぇっつってんだろ〜」


 うん、ベタな寝言だ。寧ろ実際にそんな寝言を言ってる奴なんて見た事ない。


「起きろ〜」
「うぅ・・・食えねぇってば・・・レオの・・・・・・・・・肝」


 夢の中で何食ってんだ、コイツ? 
 さて、ここで選択肢です。


 1.鼻の穴に指を突っ込んで息を止めてやる
 2.清い汁をぶっかける
 3.暗示


 とりあえず2で行くか。俺は優しい目でカニの頭を撫でてやると、部屋から出て行った。


「お姉さん、アレあります?」
「冷蔵庫に入ってるよ」


 俺は冷蔵庫から例の物を取ると、カニの部屋に戻り、おもむろにぶっかけた。


「ぶはぁ!? な、何じゃこりゃあ!? にげ〜〜〜!!!」
「お、起きたか」
「レオ? 何だ? この苦いの?」
「青汁」
「っざけんなテメー! 人がいい夢見てたってのに、何て起こし方しやがる!?」


 果たしていい夢かどうかは置いといて、俺は清い汁もとい青い汁塗れのカニを宥める。


「それより、とっとと着替えて来いよ。デッドなんか聴いてたら承知しねぇぞ」
「無理だね。ボクの人生はデッドと共に始まってデッドと共に死ぬんだよ」
「デッド、そんなに古くないから」


 などと会話を交わし、俺は一度家に戻る。で、鞄をもって再度外に出るが、カニが出てくる様子は無い。


「よっしゃ、行こう」


 カニを放っておいて学校へ。
 俺の家から学校までは歩いて10分程度。これならギリギリで間に合う。


「待てやコラ〜〜〜!!!!!!」
「すいません、僕お金持ってません」


 後ろから聞こえてきた声に思わず返す。


「カツアゲじゃねぇよ!」
「何だ、カニか」
「何だじゃねぇー! テメー、ボクを置いて一人で登校ですか!? 桜の木下で3人で交わした公園の誓いは何だったんだよ!?」
「公園じゃなくて桃園な。後、そんな誓いした覚えねぇから」
「お前の血は何色だ、レオ!? そんな非情な性格で世の中渡れると思ってんのか!?」
「カニみたいな奴が世の中渡れるなら自信はあるって、ヤベェ! 下らないこと言ってる間に時間なくなってるじゃんか!」


 カニを無視して、走る。後ろで甲殻類が何か叫んでるが気にしない。
 やがて見えてきた我が学び舎“竜鳴館”。凄まじい名前の学校だが、自由な校風に憧れ、入学を希望する者は少なくない。
 門の前では、乙女さんが風紀委員長が代々受け継ぐ名刀“地獄蝶々”を携え、立っている。


「お待たせ、乙女さん!」
「やれやれ、遅刻寸前だぞ、レオ。蟹沢、お前もだ」


 俺とカニが門を潜ると、乙女さんが呆れ口調で言ってきた。俺は息を整えると、この場は素直に謝って教室に向かう。


「おっはようございま〜す、乙女さん! 今日も綺麗でゲスな〜。うへへへへ」
「そんな風に煽てて遅刻を免れようとするな!! 制裁!!」
「すびばせろば!」
「お〜い、レオ。誰かさんが、派手に吹っ飛んでるぜ?」
「気にすんな、カニ」


 別にいなくても世の中に対して影響の無い奴だからな。


「はよ〜っす」
「よ。今日も遅刻か、坊主、カニチャーハン」


 教室に入ると俺とカニのもう一人の幼馴染、伊達 スバルが話しかけてきた。スバルは陸上部期待の星だが、素行は悪く、周囲からは不良として怖がられている。が、俺やカニ、後もう一人からすれば面倒見のいい頼りになる奴だ。ちなみに乙女さんと同居する前までは、スバルが起こしてくれて、後、飯も作ってくれた。これには深い事情があるのだが、その辺は後ほど。


「あん? フカヒレはどうした? 一緒じゃなかったのか?」
「アイツなら遅刻誤魔化そうと乙女さんにゴマすって制裁喰らってるよ」
「学習しない奴」


 フカヒレとは俺達の最後の幼馴染で本名は鮫氷 新一。本人はシャークと呼ばれたがっているが、余りのヘタレな性格な為、フカヒレと呼ばれている。


「ホレホレ、席に着けガキども」


 すると教室に一羽のオウムが入って来た。それに続いて担任の大江山 祈先生も入って来る。


「皆さ〜ん、おはようございま〜す」
「お、珍しいな〜。祈ちゃんが遅刻せずに来るなんて」
「今日も遅刻だと館長に怒られるので、何としてでも土永さんに起こして貰ったんですわ〜」


 土永さんとは祈先生の肩に止まっているオウムで、良く俺達にありがたい話を聞かせてくれる、人生(?)経験豊かなオウムだ。


「さて・・・欠席者は・・・あれ? フカヒレさんはどうしたんですか?」
「遅刻です」
「あらあら。時間も守れないなんて、人として最低ですわね」
「祈よ〜。その台詞は、自分で自分の悪口言ってる事に気づいてるか〜?」
「いじめはありません」


 何食わぬ顔でペロペロキャンディーを舐める祈先生。その時、ガラッと扉が開き、ズダボロの眼鏡っ漢ことフカヒレが入って来た。


「シャ、シャーク鮫氷・・・ただ今、参りました・・・」
「あ、フカヒレさんゴメンなさい。もう欠席の所に印したんで、書き直すの面倒だから今日は欠席してくれませんか?」
「んな身勝手な!」
「イジメはありません」


 とまぁ担任からも、こんな扱いを受ける奴がフカヒレです。


 今日の授業が終わり、俺は帰り支度する。


「じゃ、今日は帰るわ」
「あん? 生徒会行かないのか?」


 俺、カニ、スバル、フカヒレは、乙女さんに誘われて生徒会に入っている。俺は副会長だが、基本的に生徒会室である竜宮は、ただの溜まり場と化している。ごくたまに会議するけど。


「特に重要な会議もないし、今日は欲しかったゲームが発売するからな」
「じゃ、ボクも帰ろ〜っと」
「俺は部活行くわ」
「ん? レオもカニも帰って、スバルが部活・・・って事は、姫も乙女さんもよっぴーも椰子も祈ちゃんも全部俺のもんか!?」
「いつから全員、オメーのもんになったんだよ?」
「へへ・・・悪いな、レオ。今日から竜宮は『夢のシャークハーレムランド』の呼び名に変わるぜ」


 ワハハハハ、と高らかに笑いながらフカヒレは走り去って行った。俺達3人は、きっと明日は身も心もボロボロになってるであろうフカヒレを思い浮かべる。


「これからは・・・もう少しアイツに優しくしてやろうな」
「「ああ」」


 あんな濃い連中が、フカヒレのハーレムなんかになる訳ないのに、そんなこと、アイツだって分かり切っているのに、妄想しなくちゃ生きていけないなんて哀れ過ぎて、ちょびっよ涙の出る気分だった。


「ハァ、ハァ・・・」


 現在、俺は夜の公園を走っている。乙女さんが来てからというもの、こうやって毎日走りこみをするのが、俺の日課になってしまっていた。
 テンションに流されず、その場の勢いで行動しないのが俺のポリシーとはいえ、正直、かったるいことこの上ない。
 けど、乙女さんに逆らうなんて出来ない。何より、そういうのは好きじゃないし。結局、俺はこうやってランニングする事にしている。
 その時、何やら生ぬるい風が吹いた。


「・・・・・何だ?」


 まるで粘着性のぬるま湯に浸かったような感覚だった。身の毛がよだち、背後から舌なめずりして見られているような気がした。


「・・・・・・早く帰ろ」


 乙女さんに言い訳するのは気が引けるが、何か嫌な予感がしたので方向転換した矢先だった。


【お前の身体を寄越せえええええええええええええ!!!!!!!!】
「へ?」


 目の前に変な何かが現れた。髑髏みたいな輪郭の黒い目の中に、ポツンと光点があり、薄い紫色の炎のような身体で、手は異様に長く、足は無い。人は、ソレを俗にこう呼ぶ。『幽霊』『悪霊』『怨念』、である。


【お前の身体を寄越せええええええええええええええ!!!!!!!】
「う、うあああああああああああ!!!!」


 思わず俺は逃げ出した。幽霊なんて信じない。いる筈ないという考えは綺麗に吹き飛んでしまった。今、俺は人外のものに追われている。そして捕まれば死ぬ。そんな考えが俺の頭の中を支配していた。
 公園を駆け回り、必死に助けを求める。


「乙女さん・・・スバル・・・館長でも良いから・・・誰か・・・!」


 俺は俺が思い浮かべる頼りになる人物の顔を思い浮かべる。しかし、今ここには俺一人しかいない。恐怖により、俺は足をもつれさせて倒れてしまった。


「ひ・・・!」


 尻餅を突き、迫り来る悪霊に恐怖で表情を引き攣らせる。悪霊が大きく口を開いて、俺を飲み込もうとする。
 ああ、これで俺は死ぬのか。乙女さんの言うように、気合があれば何とかなったのかな・・・やっぱり俺は根性無しだ。
 カニ、スバル、フカヒレ・・・お前らとの怠惰な日々・・・悪く無かったよ。
 こんな終わり方もありかな、と思った瞬間、ふわりと甘い香りがした。


【ぎゃあああああああああああああ!!!!!!!!】


 悪霊が悲鳴を上げる。俺の目の前には、女性が光り輝く棒を持って立っていた。長い夕日のように眩しいオレンジ色の髪、スラリと伸びた太ももと、スタイルがモロに分かるボディスーツ。
 その身体から発せられる凛とした態度には覚えがある。あの日、竜鳴館で遅刻した俺達に制裁を加えた・・・10年ぶりに再会した乙女さんを思い起こさせた。


「だ、誰・・・?」
「私?」


 つい呟いてしまう。女性は振り返って不敵な笑みを浮かべて名乗った。


「令子・・・ゴーストスイーパー、美神 令子よ」


 その出会いが俺の非凡な人達に囲まれた平凡な生活から、更に非凡な日常へと導く事になるなど、俺はこの時、予想だにしていなかった。


 <ATOGAKI>

 はじめまして〜、つよきすをプレイしてどっぷりハマっちゃったキャンディです。フカヒレと横島、夢の競演を是非、させたいと思い、こんな話を作りました。今回は、つよきすメインでしたが、次回はGSサイドメインです。ちなみに、GSときゃんでぃそふとのクロスなので、姉しよキャラも、ちょこちょこ出ます。一応、物語としては、レオが主人公です。まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。

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