インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「ゼロの使い魔 〜レオリオ奮闘記〜   1−1(ゼロの使い魔×ハンターハンター)」

蝙蝠 (2006-12-03 02:43)
>NEXT

暗い森の中、男は左腕と腹部に傷を負い、木を背凭れにして座り込んでいた。

「チッ、肩の脱臼と腕の傷は良いとして、腹の傷はヤバイな。血が止まらねぇ」

今にも途切れそうな意識を必死に繋ぎとめ、カバンから包帯を取り出し、なんとか止血をした。

「フゥー、こりゃだめかな」

彼は一言つぶやくと、意識を失った。
このままなら彼は間違いなくここで死ぬだろう。
が、運命は、彼が少なくともこの森で死ぬことを嫌ったようだ。
突然、彼の体が光りだすと、その光に溶けるように姿を消し、彼の痕跡は血痕のみとなった。


         ゼロの使い魔  〜レオリオ奮闘記〜


抜けるような青空の下、ルイズはニヤニヤとした嫌な笑みを浮かべる同級生達をケシズミに変えてやりたいという願望という名の雑念を必死に抑え、使い魔召喚の儀式のため、召喚の魔法『サモン・サーヴァント』の呪文を唱えていた。

呪文の詠唱が終わると、一拍を置いて光の塊が出現し、その中から一人の青年が現れ、いきなり倒れ伏した。

「ちょっと、アンタ!?」

いきなりの事態に騒然となる中、いち早く我を取り戻したルイズは青年の元に駆け寄り、状態を確かめると、引率の教師を呼んだ。

「ミスタ・コルベール! こいつ怪我をしているみたいです!!」

名前を呼ばれた中年の男性は、青年の下に駆け寄り怪我の状態を確認すると、ルイズに向って急いで儀式を完了するよう促した。

「どうしてですか!? 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」

「彼をこのままにしておくわけにはいかないからだ。 使い魔はメイジから魔力の供給を受けることで、回復力を高めることができる。 そして使い魔召喚の儀式は神聖なものだ。彼は・・・平民かもしれないが、呼び出された以上は君の使い魔にしなければならないのだよ」

「そんな……」

ルイズはがっくりと肩を落とした。

「それでは儀式を続けなさい」

ルイズはコルベールから再び儀式の続行を促されると、「人命救助だから仕方がない」と、某三番目の子供のように何度も繰り返し、自分を無理やり納得させると、持っていた杖を振った。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」

呪文を唱えると、彼女は青年と唇を重ねた。

「終わりました」

ルイズは唇を離し、儀式の完了をコルベールに報告した。

「ルーンを確認した。 コントラクトサーバントは成功だ。 おめでとう。ミス・ヴァリエール」

コルベールは青年の左手に刻まれたルーンを確認し、ルイズに祝いの言葉を送ると、状況についていけず、いまだに混乱している他の生徒達に教室に戻るよう指示した。

「ミス・ヴァリエール 君もいろいろあって疲れただろう。今日の講義は免除にしておくから部屋に戻ってもう休みなさい。この青年は治療が終わったら君の部屋に運んでおくから」

コルベールはルイズにそう言い残すと、魔法を唱え、青年を抱えて校舎の方へと飛んでいった。

普段ならルイズをからかう周囲の面々も、事態が事態なだけに言葉が出てこないのか何も言わずにコルベールの後を追った。

ルイズは自分以外に誰もいなくなった広場で大きく息を吸い込み、空を見上げると

「神様のバカーーーーーーーーーー!!!!!」

澄みわたった青空の下、ルイズの叫びが切なく響いた。


「ウッ…ここは……」

「あら、気がついたみたいね」

彼は気がつくと、ベットから起き上がり周囲を見回すと、ルイズの方に顔を向けた。

「アンタが助けてくれたのか?」

「まあ、そうゆうことになるわね」

「ありがとう。 おかげで助かった」

彼は自分の傍らに座っていた少女が命の恩人かを確認して、礼を言った。

「悪いんだが、いくつか質問していいか?」

「もちろんいいわよ。 お互い自己紹介を兼ねて情報交換といきましょうか」

ルイズとしては、本当は彼の言うことなど聞かず色々と文句を言いたかったが、まず本人が状況を理解してからのほうが、存分に文句を言うことができると考え、彼の提案を受けた。

「俺の名はレオリオ・ロックベルだ。重ねて言うが助けてくれてありがとう。感謝してる」

「どういたしまして」

「それじゃ質問なんだが、1つ目 アンタの名前を教えてくれ。2つ目 ここはどこなんだ。3つ目 どうやって俺を助けてくれたんだ。4つ目 俺のカバンを知らないか? 5つ目 俺の目はおかしくなったのか? 月が二つに見える」

「順番に答えてあげる。 まず1つ目 私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。ルイズでいいわ。 2つ目 ここはトリステイン王国のトリステイン魔法学院 3つ目 正確に言うと、助けようと思ってあなたを助けたわけじゃないわ。使い魔を召喚しようとしたら、あなたが出てきたの。 4つ目 カバンならベットの下よ。 5つ目 二つに見えるなら目は正常ね。頭はどうかしらないけど」

レオリオは、ルイズの皮肉にも気づかないくらい混乱していた。

まあ、状況を確認しようとしたら、魔法、使い魔の召喚と彼の常識から外れた言葉が出てきたのだから、仕方ないのかもしれないが

(念ではなく魔法? トリステイン王国なんて聞いたこともないぞ。しかも月が二つあるのは当然だと? 一体どうなってやがる)

レオリオはハンターでもあり医者でもある。相手が正常でなかったり、嘘をついていれば、相当隠すのがうまくない限りすぐにわかる。
しかし、ルイズがそうとは思えなかった。

「ルイズ、もう1つ質問だ。 ハンター、ハンター言語、電話、テレビ、電脳ネット、聞いたことのある言葉があったら教えてくれ」

「ん〜〜〜。ハンターって猟師のことでしょ? それ以外は聞いたことないわね」

レオリオはルイズの素直な答えに頭を抱えた。

「ハァ〜〜〜〜。 月が二つもあるんだ。考えるまでもねえよな〜〜〜」

これまでの質問の答えと月が二つあるという事実、これらを組み合わせると答えは一つしかなかった。

「? ねえ、勝手に納得してないで、どういうことか説明してほしいんだけど」

レオリオは説明を求めていたルイズに向き直ると、自分はこの世界ではない別の世界の人間で、おそらくルイズの魔法によって世界を超えてきたのだと説明した。

ルイズは疑わしげにレオリオを見た。

「それほんと?」

「たぶんな」

「信じられないわ」

「俺もだ」

「別の世界ってどういうとこ?」

「少なくとも魔法はないし、月はひとつだ」

「頭だいじょうぶ?」

「俺も心配になってきた」

二人はしばらく問答を繰り返していたが、ルイズはいい加減ラチがあかないと判断し

「なんか証拠を見せてよ」

レオリオはベットから下り、カバンを見つけると証拠になりそうなもを探してルイズに渡した。

「なにこれ」

「トランシーバー」

「確かに見たことがないけど、どんなことができるの?」

「魔法で同じことができるかは知らねえけどな、離れた人と話ができるんだ」

「どうやって?」

レオリオは実際にやって見せるからと、ルイズに片方のトランシーバーを耳に当てさせ、ドアの方まで下がった。

『ルイズ 聞こえるか?』

ルイズは本当にレオリオの声が聞こえたことに驚き、思わずトランシーバーから耳を離してしまった。

「どうだ」

「そうね。正直まだ疑わしいけど一応信じるわ」

レオリオはルイズに一応の納得を得られたことにホッとすると、イヤな予感を振り払いつつも本題に入った。

「で、だ。 単刀直入に聞くが、俺を元の世界に帰すことはできるか?」

「無理ね」

「理由は?」

レオリオはルイズのバッサリと切ったような言葉に、暴れだしたい衝動に駆られるが、それを理性で必死に押さえ、理由を聞いた。

「召喚の呪文『サモン・サーヴァント』はハルケギニアの動物や幻獣を呼び出すことしかできないの。 使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないのよ。 それにメイジ一人につき一体の使い魔しか持つことができないから、今の使い魔が死ぬまで『サモン・サーヴァント』を使うことができないのよ」

「ちなみに、アナタの左手にあるのが使い魔の印よ」

レオリオは使い魔のルーンを見ながら、「なるほどな」と呟いた。

「意外とアッサリしてるのね」

実をいうと、ルイズはレオリオの話をまったく信じていなかったが、故郷に帰れなくなったにしては、反応があまりにも薄いため肩透かしを喰らったような気がしてしまった。

「俺の師匠の言葉にな『人生にはどうしようもない時がある。そんな時は立ち止まって不平を口にするよりも、無駄でも打開策を考えたほうが実りのある人生が送れる』と、いうのがあってな。とりあえず納得することにした」

「それは私の使い魔になったことを納得したと解釈していいのかしら」

「それについてなんだが、交渉がしたい」

ルイズはレオリオの言葉に顔をしかめ、どういうことか聞いた。

「俺としては元の世界に帰りたいが、この世界に俺の知り合いは一人もいないし、なによりお前は命の恩人だ。だからお前の使い魔として、できるかぎりの事はさせてもらう。その代わりお前は、俺を元の世界に帰す方法を探してほしいんだ」

「さっきも言ったけど、使い魔を元に戻す魔法なんて聞いたこともないから、期待されても困るけど探すくらいはしてもいいわ」

ルイズの言葉に満足すると、レオリオは右手を前に出した。

「レオリオ・ロックベル アンタの使い魔だ。 これからよろしくな」

ルイズも右手を出して、レオリオの右手を握った。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール アンタのマスターよ。 コキ使ってあげるから覚悟しなさい」

二つの月が照らす夜。 二人にとって本当の契約がなされた。


あとがき


どうも、蝙蝠です。
まず最初に、私は以前『GSダイの冒険』という作品をこちらで掲載させていただきましたが、自らの理解不足と曲解によりGS掲示板の方に載せてしまい、さらに『魂の牢獄』というGSにとって基本的な設定を忘れるというミスをしてしまいました。
そして、それを指摘されたとき、恥ずかしさのあまり皆さんに何の謝罪も告知もせずに、記事を削除してしまいました。
この場を借りて、深くお詫びさせていただきます。
まことに申し訳ありませんでした。

さて、今回の作品では、ハンターハンターの脇役のレオリオを主役に置きました。
レオリオはハンター資格獲得から7年が経ち、25歳という設定です。
念能力も発まで修得し、2つ持っていますが、その説明は次回にしたいと思います。
名前についてですが、フルネームがわからなっかったので、勝手に作っちゃいました。
ヒントは医者です。

それでは、何か気づいたことがありましたら、ドンドン指摘してください。

>NEXT

△記事頭

▲記事頭

PCpylg}Wz O~yz Yahoo yV NTT-X Store

z[y[W NWbgJ[h COiq [ COsI COze