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▽レス始

「BALDR FORCE RETURNER 第1話(BALDR FORCE)」

気分屋 (2006-10-15 15:54)
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            BALDR FORCE RETURNER  第1話


<拘置所内 透個室>

ここに連れてこられて早くも二日目が終わろうとしている。
八木澤がいつ来るか記憶は定かではないが、一週間も待たされた覚えがないことから数日以内だろうと予測していた。
取調べが終わったこの時間から寝るまでの間、いつもはこれからの行動方針を考えている。
だがもし明日八木澤が来るのならと思い、今日は今まで考えたことをまとめてみることにした。
(まずは基本方針か。 
みんなが不幸にならない、できれば幸せになるっていうのが大前提だけど、どこまで干渉するべきか……みのりには過去の事故がみのりのせいじゃなかったってことを理解してもらえれば、肩の荷が下りると思う。
月菜はVSSに入らせなければこの戦いには関係してこないだろし、ひかるは対等な友達として接していけば気持ちにゆとりを持つことができるだろう。
リャンはひかるに頼んで脳内チップのバグ取をしてもらえれば記憶障害もだいぶ良くなって、大切な思い出がなくなる恐怖に怯えなくてもいいようになる。
ただ、彩音はどうしようか。ずっとゲンハに恨みを持っていたとしても彩音じゃゲンハには勝てないだろうし危険だ。かといって手助けしてゲンハを討つっていうのも嫌だな。
今はあんな殺人・強姦快楽者でも、昔はちょっと不器用だったけどリャンのことを大事に思っていた兄貴みたいな奴だったんだ。
おそらくリャンと同様にあのプロジェクトに使われた脳内チップに何かしらバグがあって、それが右脳の特定部を刺激することであんなふうになってるんだと思う。
となると、ひかるに協力してもらってバグ取のプログラムを作ってもらうのが一番の方法に思えてくるんだけど、あのゲンハがおとなしく言うこと聞くはずないよな。クーウォンにいってもいうことは聞かないだろうし……ゲンハの処置は保留にしておこう。
彩音はゲンハに負けないくらい強くなってもらうか、復讐心を利用するみたいだけど現況である橘や権堂に恨みを分散させるしかないかな。もっといい案が出れば別だけど……)
そう考えながらも彩音とゲンハに関しては、それほどうまくいかないだろうと冷静な部分では予想していた。
大切な人を殺された復讐心が、周りからの意見で簡単に揺れ動いたりしないことは透自身が身をもって理解している。橘や権堂のことを知らせても対象者が増えてしまうだけの結果になる可能性もあった。
よって現時点では彩音が自分の身を守れるくらいに強くなってもらうしか手段がない。
(最後は憐か。最大の問題点はリヴァイアサンだよな。
 もう一人の憐とはいえ、憐に本物の身体がないことが知られたらやっぱり暴走は止められないだろうな。あの牢屋みたいな所に閉じ込められていても、ネット上に転移できるからほとんど意味なんてないから憐の感情の暴走の阻止を念頭において行動すべきだ。そうするのが正しい行動なんだ…………でもそれで憐は本当に幸せなのか? 
俺に顔色を伺われていることだっていつか気付くだろう。そんなときずっと俺が憐を騙していたと思われたらもっと取り返しのつかない事態になってしまうんじゃないのか? もっと他にいい方法があるんじゃないのか)
 しかしいくら考えても他に方法が思い浮かばない。
結局“前回”も憐を救ってやれないまま過去に飛んできてしまったのだ。時間をかけて考えてみてもそう簡単に思い付く訳がない。
 なかなか決定的な案が出てこず悩む思考を、頭を振ることで一度リセットして棚上げした。
(あとはどの陣営につくかだけど、やっぱり最終的にはフェタオにつくかフリーで頑張るかのどっちかだな。
 VSSは論外だし、軍は……第一小隊のみんなはいい奴ばかりだけど、権堂が橘社長に誑かされてほとんど同盟関係と同じような関係になっているから無理だな。みんなにはここから出て軍から脱走するまでの間に、政府の高官達とVSSが仕組んだ計画について話して信じてもらうしかないか)
しかし、透はこの二日間考えてみたが、素直に信じてもらえるか不安だった。
VSSと政府の高官達によって完璧に情報規制されている『人民の洗脳計画』。その正体は次世代型の脳内チップに特殊な信号を送ることにより、相手に気付かれることなく相手の意識改変が行えてしまうというふざけた計画。
いくらふざけた計画とはいえ、その実態は、特殊な研究チームにいたクーウォンぐらいしか外部のものは知らない。よって世間ではそんなことはあるはずないと思われている。
人は一般に常識だと思われているものに対し適合しない意見には排他的だ。例えそれが自身を脅かすものでも周りの人間が嘘だといえば気にすることはない。そのような状況で透が危険を訴えていったい何人が信じてくれるだろうか。現実的に考えて信じてもらえない可能性のほうが高いのではないかと思える。
(まぁ、その辺はいかに俺がみんなに信用してもらえるかに掛かっているってとこか。
 それでも警戒心を持ってもらうのが限界だと思うけど何も知らずにいるよりはましだよな。
それに真剣に話せばきっと敵になることはないだろう)
リヴァイアサンの中で見たひかるやリャンとの記憶では、味方になってくれることこそあまりなかったが敵になることもほとんどなかった。話しておけば少なくとも殺しあうようなことはおそらく起こらないだろう。
(あとは隊長との交渉だけど、何とかなりそうな気がするんだよな。
 月菜の親父さんと知り合いだったはずだし、俺を手元において監視もしておきたいはずだ。優哉については若干辛いけど、仮釈放くらいなら如何にかしてくれるだろう。
 ……それにしても眠いな、急いで決めておかなければいけないことはこれくらいだしそろそろ寝るか)
透は徐々に大きくなりつつある眠気のためか、希望的予想をしつつ意識を闇に任せた。


翌日、透は昨日と同じように取調室に連れてこられて代わり栄えのない尋問を受けていた。
「草原の狼か……よく聞く名だな、まだたんまりと余罪があるんだろう」
昨日と大して変わっていない台詞を今日もかなりの時間聞いていた。
二日たっても証言らしい証言を取れていない刑事は、声は笑っていても眼はまったく笑っていない。酷い口臭をわざと臭わせるように顔を近づけて圧力をかけながら尋問してくる。
「さぁ、俺たちは平和に活動するダイブ愛好家さ。ほかの奴らが勝手に俺たちの名を使っているだけだろう」
それに対しのらりくらりと返答しながら透は八木澤が来るまでの時間を稼いでいた。
 しかしそれもいい加減飽きてきた、今はそれなりに会話をしているが返答が生返事に変わるのも時間の問題だった。
丁度そのとき取調室のドアがノックされ、刑事は舌打ちをしながらしれに答える。
「…なんだ!?」
「あの、それがちょっと……」
 部屋に警官が走り込み、取調べをしていた刑事に耳打ちする。たちまち顔が渋くなり不機嫌そうなため息を漏らす。
「…此方の取調べが終わるまで待っていると伝えておけ!」
「それは勘弁していただけませんかねぇ…」
声と共に取調室の扉を勝手に開け、ふらりと男が一人入ってくる。
その人物を確認すると透は小さく息を吐いた。
(やっときてくれたか、隊長。さっさとこんな奴らなんて脅して俺をここから連れ出してくれ)
密かに透が八木澤にエールを送っている間も刑事と八木澤の交渉は続く。
刑事は警察が捕まえたのだから、取調べをする権利は我々にあるといい正当性を訴えるが、八木澤は取り調べの際に透の口から軍事機密が漏れると大変だ、と事実上脅迫に近い警告を与え刑事をゆする。
その結果程なくして刑事のほうが折れ、取調室から退出していった。

「あんたはだれだ?」
「……」
 刑事たちの足音が聞こえなくなった頃、透は無表情を装いながら八木澤に話をふった。
 八木澤は無言で懐に手を入れると名刺を差し出す。

       国連軍治安維持局情報管理係第一小隊隊長
                           八木澤 宗次

(今更だけど隊長の役職名って長いよな)
 “前回”は『軍人』という一点に焦点がいっていたため思わなかった奇妙な感想が思い浮かぶ。
 しかし表情には出さず、少し顔を顰めながら言葉を続ける。
「で、軍人さんが俺に何のようなんだ?」
「……この部屋はかび臭いな、表に出て話をするか」
 暗にここでする話じゃない、と言っているのか八木澤はそのまま出て行き透もそれについていった。


 八木澤に促されるまま表通りに出ても、八木澤は透に手錠を掛けることもなく歩いていく。
「……この辺りでいいだろう」
 そのまま二人とも黙っていたが、拘留所が見えなくなってからようやく八木澤が止まり話し出した。
「俺がなぜお前を引き取ったかわかるか?」
「さっき話していたとおり軍の機密が警察にもれたら困るから、か?」
まず八木澤はここまで何も聞かずについてきた透に現状を正しく理解しているか問う。
しかし、ここに来るまでにたいした情報を得られるはずがないため透はわかっていながらも思惑と外れた返事をすることはない。
「…普通はそう思うだろうな。……ほれ」
透の返答が予想どおりだったのか、めんどくさそうにため息をついて懐から一枚のポスターを手渡す。
そこには若い女性士官が敬礼をしている横に「あなたもいっしょに軍で働いてみませんか」という文が添えられていた。
 ようするに軍への勧誘ポスターである。
「昨日までネットで好き勝手やってた俺に軍に入れって言うのか?」
「別に強制はせんよ」
“前回”の勧誘までの経緯を余り覚えていなかったため、ほとんど前振りもなしに軍へ勧誘してくる八木澤に透は思わず素で聞き返してしまった。
 それに対して八木澤は気まぐれで誘ってみただけだ、といわんばかりの素っ気無さだ。
 あまり“記憶”に頼るのは危ないと思い少しでも情報を得ようとしていたが、これは思わぬ難敵だった。“記憶”でもほとんど感情を表情に出しているところを見ていない八木澤のポーカーフェイスは“今回”も健在だった。
常に変化のない表情で質問に応じる八木澤に、この後の交渉が難しくなるのではと思えてくる。
「…どうして俺なんかを誘うんだ?」
「スキルは優秀みたいだからな。それに内にはまともな奴なんていないからお前のような奴でも問題ない」
「……誘いを断ったらどうなる?」
「別にどうもならん…また刑事からの嫌味な尋問が待ってるだけだ」
透が質問しても八木澤のポーカーフェイスは崩れない。いや、もしかしたらこの表情が素なのかもしれないが、透にはその判断はつかなかった。
「………入ってもいいが、ひとつ要望を聞いてくれるか?」
「ん…いってみろ」
どうすべきか透はしばし黙考したが、これ以上話しても相手の思惑を図れないと判断し結局“記憶”を頼りにすることにした。
「俺の仲間を釈放してほしい」
「…笹桐月菜と野々村優哉、二階堂あきらの三人か?」
「そうだ」
 すぐに三人の名が出てくることに軽い驚きを感じたが、当然といえば当然だろう。
 つかまる前から透をマークしていたのだ。仲間の名などそれこそ一番初めにわかったはずだ。
「全員は無理だ。二階堂あきらについてはすでに個人的罪状が発覚して正式逮捕された。
 …残りの二人についても両方を釈放するのは無理だ。片方だけならなんとかならんこともない」
 あきらについては“前回”も捕まっていたためしかたない。あとはフェタオに助けてもらったあと橘に会わなければ大丈夫だ。
 しかし、二人の釈放が無理というのは痛い。月菜をこのままにしておいたらVSSにいってしまう可能性が高いし、もしかしたら優哉についても同様のことが起こるかもしれない。
 昨日いい加減に、何とかなると思っていた自分に怒鳴ってやりたい気分だった。
「仮釈放でもいいからどうにかならないのか?」
「……無理だな、俺にそこまでの権利はない」
「っ、そうか」
 条件を下げても望む結果が得られないことに苛立ちながら二人が無事で済む方法を考える。
(VSSからの勧誘を断るように言っておくだけじゃダメだ。
 時間がたてば『草原の狼』の罪状が発覚して犯罪者達の更正所に連れて行かれて洗脳チップを埋め込まれてしまう。)
「――ぃ」
(それにタイミングによってはフェタオに救出されるかどうかも曖昧だ。
…やっぱり今のうちに拘留所から出しておくのが一番だがどうすれば……)
「―おい」
「ん、あぁ、なんだ?」
直情型なためか、策を模索するあまり意識が深く沈みこんでいた透の思考は、何度目かの八木澤の呼びかけにようやく応えた。
「…ひとつ確認したいことがあるんだがいいか?」
「あぁ」
「お前が希望することは二人を拘留所から出すことか? それとも自由にしてやることか?」
 その意見を聞き、透は前者について考えてみる。
 透が一番防ぎたいのは月菜たちの人格の洗脳だ。行き先がVSSが深く関係している施設以外なら洗脳もされないとも思える。
「――――できれば後者がいい――が、場合によっては前者でもかまわない」
「…前者なら方法次第では可能だ」
「……どういう方法だ?」
「お前と同じだ、一人は軍に入ればいい。幸いお前達の能力は高い、文句も来ないだろう」
 いわれてみればいい方法かもしれない。権堂が最高責任者ではあるが、八木澤がいる限りそうそう第一小隊にはVSSの手は及ばないだろう。それに見えないところに居られるより見えるところに居たほうが安心できる。
 しかし、やはりデメリットも存在する。
同じチームで活動していた二人が同じ部署で働くのだ。周りからの警戒は一人のときよりきつくなるだろう。そのせいで彩音と接するうちに、いらぬ危険を与えてしまうかもしれない。
(彩音に迷惑が掛かるかもしれないが、二人の安全を確保するためにはこの方法しかなさそうだ。彩音には深夜の情報室での干渉を避ければ疑いを掛けないですむだろう)
「その場合月菜か優哉かそちらで指名するのか?」
「いや、お前達で決めてくれてかまわん」
「わかった、俺は軍に入ろう。もう一人については明日まで待ってくれ」
これ以上の状況は望めないだろうと判断し、相手についてはこのあとたまり場で月菜と話し合って決めようと思いながら了承の返事をした。
「ん…ならお前については手続きをしておこう。
相棒は決まり次第名刺に書かれている番号に連絡してこい」
 ならば話は終わりだと八木澤は透の返事を待たず、踵を返し人の波の中に消えていった。
透はそれを見送ると約束を果たすため、たまり場へと足を向けた。


たまり場へ到着すると透は迷うことなくシステムを起動させ、『草原の狼』で使っていたチャットルームへダイブする。
―――ログイン――――
 ネット空間にダイブする感覚に身を任せ、眼を開けると見慣れた青い青空とあたり一面に草原が広がっていた。
 そのまま周りを見渡して目的の少女を探すと少し離れた場所で寝ているのがわかった。
 その姿に心和まされ微笑を浮かべた透は近づいていく。もともと起こさないように静かに移動しているためか、数メートルの距離まで来ても起きる気配はない。狙いどおりに少女――憐を起こさずに隣までに来るとそっと腰を下ろした。
 久しぶりに見る憐の姿はとても可愛かった。掌を軽く握り背を丸めて気持ちよさそうに眠る姿は、犬や猫のそれの何倍も透の心を癒してくれた。つい、その可愛さに誘われて髪の毛を優しく撫でる。
「…ん………ぃちゃん」
 撫でてもらった憐は幸せそうに無防備な笑みを浮かべ、無意識ながらにもっとしてとすり寄って来る。その微笑ましさに流されて、月菜が来る前に話しておかなければいけないとわかっていながらも、憐の髪を撫でる行為をとめることができなかった。

 どれだけ時間がたったのかわからない頃になってようやく憐に変化が訪れた。それを感じ取った透は微笑みながら憐に声をかけた。
「おはよう、憐」
「…うみゅ〜……おはよう」
「俺が誰かわかるか?」
まだきちんを起きていないのか、眠たそうにしながら眼をごしごしと擦っている。その可愛らしい仕草をまだ見ていたいという欲求に駆られたが、いつ月菜が来るかわからないので透は覚醒を促した。
「………………お兄ちゃん?」
「そうだ。お兄ちゃんだぞ、憐」
 透の声に促されてじっと見つめていた憐は寝ぼけているためか驚きのためか、確証が持てないように声を漏らした。透は憐の戸惑いが晴れるようにやさしく肯定してやる。
「お兄ちゃんっ!!!」
 次の瞬間、憐は透の胸の中に飛び込んできた。それを透は抱き留めてやる。
「ごめん、憐…今まで辛い思いをさせて、ごめん」
「ぅん…お兄ちゃん……おにいちゃん…!」
 その行為に憐の寂しさを感じ取った透は気持ちをすべて乗せるように謝ると、ぎゅっと憐の細い身体を抱きしめる。憐もそれに応えるように泣きながら強く、強く抱きついた。そのまま、すすり泣く声がなくなるまで透はずっと抱き締めていた。
 二分ほど経って泣き声が聞こえなくなると透は声をかけた。
「もう、大丈夫か?」
「…うん」
 先ほどの取り乱した様子がないことを確認して透はそっと身を離す。
 視界に入った憐の姿を確認してみると、泣いていたため眼は赤かったが落ち着いて話をできる状況であった。
「そうか。
 この前は憐の話している途中で居なくなったりして悪かったな」
「ううん、それはもういいの。
 ところで、なんでこの前は警察さんにつかまっちゃったの?」
 透は三日前の別れ際に憐が浮かべた悲しそうな表情を思い出し謝った。
 けれど憐は先ほどの抱擁で満足できたのか言葉どおり気にしている様子はなく、透の話を聞いて思いついたとばかりに問いかける。
 普通、軍の施設内に侵入していて捕まったと聞いたら、誰もがある程度の理由を推察できるだろう。
しかし、憐にはそれができない。憐は施設にいたときに受けた実験のせいで、それ以後ずっとネット空間で暮らしているが、幼少の頃だったためまったく常識というものを知らなかった。さらに特異な状況にあるため現在友人と呼べる人が一切おらず、得られる情報は散歩するところにある掲示板や、色々な人が集まる場所に行ったときに聞こえてくるものであった。だが、憐の現状を理解している透は気にせず話を続ける。
「いつも俺たちが何をしてたかは大体知ってるだろ?
 あれは本当はやったら駄目なことなんだ。だから当然それを取り締まる人たちがいて、この前はその人に見つかってしまったんだ」
「そうなの? 憐はいろんなところにお散歩してるけど追いかけられることないよ」
「それは憐が特別だからね、憐はいつも電子体の反応を出していないだろう?
それにココみたいなチャットルームや企業の施設なんかに入ってもログが残らない。
俺を捕まえた人たちはそういったものを頼りに行動するから、憐を見つけることができないんだ」
「へ〜、そうなんだ」
 通常、ネット空間では人の姿でいるときは電子体、シュミクラムのときはシュミクラムの反応が現れる。これはネット空間を利用する際に避けては通れない設定だ。それの範疇に含まれないことが憐の異常性を表していた。
    ――――ログイン――――
 ちょうど話の区切りがついたとき、誰かがチャットルームに入ってくる反応があった。
「ぁ!」
「憐、ここに来るのは俺の仲間だけだから逃げなくても大丈夫だよ。
 それにせっかくだし憐のことを紹介したいから会ってみないか?」
 それに反応して憐が逃げようとするが、透はせっかくだから紹介しておこうと思い呼び止める。憐は動きを止めて少しだけ不安そうに透を見上げる。
「お兄ちゃんの仲間っていつもいっしょにいる人たちのこと?」
「あぁ、それに憐だって友達はほしいだろ?」
 ずっと透のことばかりを追いかけていた憐には友達がいない。そのため精神的動揺が透のことに集中しすぎている。それが憐の精神面に大きな影響を及ぼしている、と考えた透は身近な人たちから友達になってもらおうとする。
「……(コクン)」
 憐も少し考えたが小さく頷いてここにいることを選んだ。
 しかし透の服の裾をぎゅっとつかんでいることからかなり緊張していることが見て取れた。
「透〜、やっぱりここにいたんだ」
「あぁ、ちょっと用事があったからな」
 入ってきた位置が少し遠かったのか、少し時間がたってから月菜の呼びかける声が聞こえてきた。
 透は憐を背に隠しながら振り向き月菜に向きなおる。
「用事? こんなところで一人で? というかどうして透がここにいるのよ?」
「どうしてここにいるかは跡で説明するとして。
一人じゃないぞ、この娘に用事があったんだ。
 月菜にも紹介しておくよ、『水坂憐』俺の妹だ」
「…ぁ」
そういって半歩横にずれ、月菜のほうに憐を押し出そうとする。しかし突然正面から向き合わされると思っていなかった憐は驚いて透の後ろに隠れてしまった。
「どうしたんだ、憐? さっき紹介するっていっただろ」
「…妹……? もしかして透………小さいときの記憶が戻ったの?」
 憐の予想外の行動に驚き透が憐に問いかける一方で、月菜は突然の紹介に愕然をしていた。本当の家族、絆、偽りの終わり、様々な言葉が脳裏を駆け巡り今の関係が終わってしまうのではないかという恐怖に駆られる。
 しかし、次の言葉で違った意味で更に愕然とする。
「あぁ、つい最近な。
 憐、いい加減に出て来い。こっちは笹桐月菜、俺の幼馴染みで大切なひとだ」
                          ひ  と
(――え? 大切な女性?――)
透にしてみればこれは憐に向けた言葉のつもりであった。自分が大切にしている人だといえば憐は興味を持ってくれて話しかける勇気を出してくれるだろう。
それだけのつもりで口にした言葉が、まさか深い闇に迷い込みそうになっていた月菜を救ったとは思ってもいなかった。
とはいえ、月菜に及ぼした影響は闇から救い出すだけではなかった。現在の月菜の頭の中では先ほどの混乱とは違った混乱が起きていた。
(そそそんなこといきなり言われたってどうしていいか分からないわよ!? た確かに透はかっこいいし頼りになって好きだけど、この好きは異性に対するものじゃなくて家族に対するもので、でもそれならこの焦りはなんなの!? ただ家族として好きだった異性に突然告白されただけでこんなに動揺するなんて!? もしかして私って家族としてじゃなくて異性として透のことが好きなの!?!)
思春期に入る前からずっと『草原の狼』の仲間といっしょにいたため、恋なんてしたこともないし聞いたこともなかった月菜の乙女思考は初めての暴走のため留まることをしらなかった。
だが、月菜が両手で顔を覆いながら頭の中でおもしろい思考を廻らしている間にも周りの時は流れるわけで、目の前には説得を終えた透と不思議そうな表情を浮かべた憐が月菜を眺めていた。
「ねぇ、お兄ちゃん。月菜さんはどうしたの?」
「さぁ? 俺にもわからないな」
 もう少し眺めているのも一興かとも思うが、なにやら第六感がこのまま放っておくのは危険だと伝えてくる。しかたなく、激しく首を振り出した月菜を止めるべく声をかける。
「月菜、…月菜…」
が、いくら呼んでも意識が戻ってくる様子はない。そこで今度は肩に手をかけて揺らしながら声をかけた。
「おい! 月菜!! 戻って来い!!」
「――――――ぇ!? なななに!? 透!?」
「大丈夫か? 顔が物凄く赤いぞ?」
 それでようやく月菜の意識が戻ってくるが相変わらず様子が少しおかしい。
 どこまで思考が飛んでいたかわからないが、間近に迫った透の顔を見て顔を真っ赤にしているところを見るともしかしたら桃色思考に逝っていたのかもしれない。
 しかし透には月菜の奇行の原因がわからないので、拘留所での生活のせいで体調を崩したのではないかと心配してしまう。
「だ、大丈夫よ、なんでもないわ」
「ならいいだけど。
 じゃあ、さっきの続きだ。憐、挨拶して」
まだ顔は赤かったが言葉自体はだんだんとはっきりしてきたので、透は深く追求せずに先ほど中断した自己紹介の続きにうつる。
「水坂憐です、よろしくお願いします」
「え、あ、えっと笹桐月菜です。こちらこそよろしく」
 ………
片や初めての自己紹介、片や混乱から抜け出した直後である二人の自己紹介はなんとも少ない言葉のやり取りで終わってしまった。月菜が相手ならそれなりに会話が続くと思っていた透としては残念だった。
しかし、このままではいやな雰囲気になると思い仕方なく口を挟む。
「月菜、自己紹介のいったとおりこの娘は憐。
 訳あって今まで友達がいなかったから友達になってやって欲しい」
「い、いいわよ。可愛くておとなしそうな子だもの。断る理由なんてないわ」
月菜は、憐から見えないように、つまり月菜に正面から向き会うようにして真剣な顔で頼む透の顔に乱されながらも、何とか平静を装い返事をする。
透からの頼みがなかったとしても、月菜は憐と友達になっていいと思っていた。ずっと『草原の狼』にいたが女性は月菜一人だったので身近に女友達が欲しいと思っていたのだ。そういった意味で憐の存在は歓迎できるものであった。
視線を憐のほうに移してみると透と月菜のやり取りを不安そうに見つめていた。
それを確認すると、月菜は同じ失敗をしてはいけないと自らを戒め、心の中で深呼吸すると憐の方に向き直った。
「あらためて、よろしく。憐ちゃんって呼んでいいかな?」
「うん、…憐も月菜さんって呼んでいい?」
「(か、可愛いかも……流石透の妹、やるわね)…えぇ、いいわよ」
 不安と期待がない交ぜになった、僅かに潤んだ視線を受けて月菜は予想外のダメージを受けた。
しかし先ほどの戒めのおかげか、今回はどもることなく笑顔で答える。
憐も月菜が笑顔になったことに安心したのか、つられて笑顔を浮かべた。
その様子を見て透は二人がうまく言ったことを感じてそっと息を吐き出す。
「さて、自己紹介も終わってこれから親睦を深めるおしゃべり、といきたかったんだが今日はもうそろそろ時間みたいだ。
 というわけで、悪いけど続きはまた今度ってことでいいか、憐?」
 お別れと聞いて僅かに憐の表情が沈む。しかし、月菜とも話をしなければならないのでこれ以上ここに残るわけにもいかなかった。
「うん…お兄ちゃん、明日もここに来てくれる?」
「あぁ、憐が望むなら毎日だって来てやるぞ」
 憐寂しいの、という空気全開で聞いてくる憐を安心させるように望む答えを返してやる。
 それをきいて安心した憐は笑顔を浮かべた。
「うん! 待ってるね!」
「わかった、また明日来るよ。おやすみ、憐」
「またね、憐ちゃん」
――――ログアウト――――
憐が安心したのを確認すると透と月菜は別れの挨拶を言ってチャットルームからログアウトした。


ネット空間から現実世界に戻るときの独特の感覚が引くのを待って辺りを見渡すと、隣の席に座っていた月菜と目があった。
「憐と友達になってくれて、さんきゅ」
「別にお礼を言われることなんてないわよ。
 私も女の子の友達が欲しいって思ってたし、むしろこっちがお礼を言いたいくらいよ」
 透にとって憐のプラスになることは最も優先するものであった。友達というものは精神の安定を図るためには欠かせないと思っていたので、早いうちにひとつの問題が解消できたのは本当に嬉しいことだった。
 一方月菜にとって見れば、前から欲しいと思っていた女友達を透が紹介してくれた形なのだ。月菜からお礼を言うことはあっても、透から友達になった程度でお礼を言われるとは思っていなかった。
「ところで透はなんで拘留所から出られたの? 透もどこかからスカウトがきたの?」
このまま同じ話題を続けていたら照れてしまって恥ずかしい思いをするかもしれないと思った月菜は、先ほど質問して後回しにされたことを聞き返した。
「あぁ、軍からスカウトされたよ。俺『も』ってことは月菜もどこかからスカウトされたのか?」
 透は意外に早くきた本題に外面では平静を装いながら内面では身構える。
「そうよ! 聞いて驚きなさい!
 私こと笹桐月菜はあの大手企業、VSSからしかも橘社長直々にスカウトされたのよ!!」
「……新手の詐欺じゃないのか?」
 詐欺であってもなくても待っているのは決していい未来ではないだろう。
 詐欺ならどの程度辛いかはそれこそ運だが、VSSでは洗脳処理を受けることは確定しているといってもいい。自由意志を奪われて戦わされる、それは人としての尊厳を完全に蔑ろにされたものである。
「うぅ……そ、そんなことないわよ!
 さっき確認の連絡を入れてみたけど本当だって答えてくれたんだから!」
「そんなにムキになるなって、冗談だよ。
(そう、冗談だ。ここからが本題だ)」
 透は一度深呼吸をして自らを落ち着け、真剣な眼差しで月菜を見つめた。
「…急にマジメな顔になってどうしたの、透?」
「あぁ、今からまじめな話をするんだ。
 どうして俺がこれから話すことを知っているかは話せないし、信じられないかもしれないけど、できれば最後まで聞いて欲しい」
 普段とは比べ物にならない真剣さを醸し出す透に、月菜は若干呑まれながら頷く。
「結論から言う、月菜…VSSに入るのだけはやめてくれ。関連会社も入ってほしくない。
 あそこは危険なんだ。外から見れば普通の大手企業ってことしかわからないけど、内部ではかなり危険な研究が進められていて職員達までその一部に組み込まれている。
 特にシュミクラム隊は洗脳処理を受けて自我を無くさせ、ただのロボットのようなものになっている。
 月菜は俺や優哉と比べたらシュミクラムの扱いはだいぶ下手だけど、正規のカリキュラムで学んだらかなりのシュミクラム乗りになるかもしれない。
……俺はそんな月菜をもう見たくないんだ
リヴァイアサンの中で見た月菜の姿が脳裏をかすみ、知らぬうちに顔を歪めてしまう。
透と共に、同じ位置で戦おうとするために、必死にトレーニングを積んで日に日に感情がなくなっていく月菜の姿。
透にはあんな苦しそうな姿を見るのは我慢できなかった。
月菜はその様子を複雑な顔で眺めている。
「……わかったわ、VSSには入らないし関連会社にも入らない」
「…いいのか?
 自分で言っておいてなんだけど信用できる要素なんてどこにもないぞ?」
 あまりにもあっさりとした同意に透はつい聞き返してしまう。
 しかし月菜は先ほどまでのとは一転、自信満々な笑顔で宣言した。
「信用できる要素はあるわよ、透が私に言ったんだもの。
 私は透にとって大切な女性なんでしょ? なら透が私の不利になるようなこと言うわけないじゃない」
(…は? 大切なヒト……俺って月菜にそんなこと言ったか?
 えっと月菜が来てからしたことは憐の紹介くらいだよな……ん? もしかして憐に月菜を紹介したときの言葉のことか?)
まったく予期せぬ発言に透は呆然となった。
 思い返してみれば確かに大切なヒトといったが、あの言葉だけでここまで素直に信じてくれるとは思ってもいなかった。
そもそもこれは透にしてみれば幸いなのだ。
別に間違ってもいないため訂正する必要もない。
かなり手こずると思っていた説得があっさりと成功した要因として歓迎すべきだった。
「そうか、信じてくれてありがとう」
「けど、ひとつだけ聞いておきたいことがあるんだけどいい?」
「あぁ、話せることなら何でも答えるぞ」
 やっぱり何も聞かずに信じてくれたりはしないか、と少し落ち込むが気を引き締めて月菜の相手をする。
「それじゃあ聞くけど、私VSSの誘いをけったらまた拘留所送りなんだよね。
 できればあんな生活とはおさらばしたいんだけど、その辺は透がどうにかしてくれるの?」
 しかし、月菜から聞かれたことはまたしても透の予想とはまったく違うことだった。
 どうも、今日はペースを月菜に握られている気がしてくる。
「…あぁ、それについては大丈夫だ。
月菜も優哉もあそこから出してもらえるように頼んである。
でも、一個だけ条件を出されたんだ……月菜、俺と一緒に軍に来る気はないか?」
「…私がいっしょに入ることが条件なの?」
透の言った条件に月菜はわずかに眉を顰める。
釈放を条件に体を要求されたらたまったものではない。
もしそうなら透と離れるのは寂しいが拘留所でいるほうを選ぼうと月菜は考えていた。
「いや、正確にはそうじゃない。
 俺をスカウトした人の力で釈放できるのが一人なんだ。
 でも、軍に引き込むなら二人くらいどうってことないって言ってたからこの方法をとっただけだ。だから優哉か月菜、どちらかが一緒に来てくれたらいい」
 その説明に月菜は自分が懸念していた事が取り越し苦労だと悟ると肩の力を抜き、新たに感じた疑問をぶつける。
「最後にもうひとつ、なんで優哉じゃなくて私を誘うの?
 軍に入るならシュミクラムを扱えるほうがずっと重要じゃない?」
「それは、色々理由があるけど優哉は前から新しい商売をはじめたいって準備してたからな。それを応援したいって気持ちがひとつ。
 もう一個は……月菜は頼りないからな、心配するなら近くでするほうが気が楽だと思ったんだ。
 (本当は月菜を眼の届く範囲において守りたい、なんていえないよな)」
 正直に答えるのが照れくさいと感じた透は、内心で苦笑しながら外面ではにやにやとした笑いを浮かべ冗談半分で答える。
「ちょっと! その言い方だと私が子供みたいじゃない!」
「違ったか?」
重要な話が終わった途端、冗談ひとつでいつもの口喧嘩になってしまう。
入り口から差し込んでくる夕日の朱が、この瞬間も日常の風景のように感じさせてくれこれはこれで楽しめた。
それに今日はずっと月菜に流れを握られていたこともあり、最後くらい自分が主導権を持って終わりたい。
「違うわよ! 透のほうこそ洗濯も料理も何にもできないじゃない!
 頼りないのは心配されるのは透のほうでしょ?!」
「それもそうだな、これからも頼りにしてるぞ月菜」
「んなっ!?」
 さっきまでにやにや笑いながらからかってきていた透が、一転して微笑を浮かべて頼りにしているといってきたことに月菜は顔を真っ赤にして驚愕した。
 が、次の瞬間透の顔がいたずらの成功した悪がきみたいな顔に変わった。
 そこでようやく自分がからかわれたことを理解した。
 しかしこの状況では何を言い返してもただの照れ隠しにしか見えない。
 今までの経験上、下手な反撃は相手にえさを与えるだけだと分かってしまう。
「ふ、ふん! 仕方ないから頼りにされてあげるわよ!」
それでも月菜は自分の懐の深さを示すことで精一杯の虚勢を張った。


あとがき

妹萌え妹萌え妹萌え妹萌え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・妹萌えって何でスカーーー!?!?!
どうも気分屋です。今回の難所は上の言葉ですべて表せました。
書いては止まり、書いては止まりまったく進まない後半戦……月菜が出てからは進みがだいぶ速くなりましたが、憐を描写する度に手が止まる。誰か私に妹の魅力というものの書き方を教えてください(涙

 それはさて置き、今回予想以上に増えました。
テキストで大体15kb前後を目標にしているのですが、増えて増えて纏まらない。
その結果本文のみで28kb……二話分書いた気分です。
どうしようかと思いましたが結局そのまま続行、修正なんてやる気力がありませんでした。
それに文章が多いほうが読み応えがあっていいですよね? ね? うん、ポジティブにいこう(自己暗示)

 あとこれは質問なんですが、バルドフォースやったことないけど読んでるって人はいらっしゃいますか?
いらっしゃるのなら質問していただければ専門語句については話の最後に語句説明という形で私の解釈を載せますが……どうでしょう?
因みにキャラの描写については『戯画』さんのHPなどを参考にしてください。私なんかが描写するよりよっぽど綺麗で明確なイメージがもてます。知りたい人は『BALDR FORCE WEB-SITE』でググってみよう!(人それを「人任せ」という)

 もうひとつ質問です。
 本文を修正したいときってどうやったらいいんでしょうか?
 記事機能メニューから『修正』を選んで修正文をコピペして『修正する』を選んだんですけど、更新日時だけが変化して本文が変化してくれません。
 わかる方がいたら教えてください。お願いします。

では、レス返しです

>Rin様
>>BALDR FORCEのSSはこれを含めても3つしか知りません。
  これからも期待してます。
微力ながらもっと増えることを願って投稿してみましたw
期待にそえる様に頑張ります。

>>ちなみにCPは燐ですか?
最終的にはおそらくハーレムっぽくなると思います。
でも友人関係で落ち着くヒロインもいるかもしれません。みのりとか・・・・
まぁ、憐は絶対に入れる予定です。

ついでに誤字かもしれませんが一応訂正を
燐(りん) → 憐(れん)  です。
私自身よく間違うので人のことをいえませんが念のため。


>干将・莫耶様
>>ほ〜、BALDR FORCEのSSですか。
  たしかにあまり見ないので、これからが楽しみです。
何はともあれ、次話もがんばってください。
楽しんでもらえるよう頑張ります。

>>最近BALDR BULLET -REVELLION-が発売されたのでそれに触発されましたかね?(笑)
やってみようかと思っていたのですが評判を聞くとあまりいい反応がないのでまだやってませんw おもしろいんでしょうか?


>塩様
>>バルドの小説はあまり見掛けないので、楽しみです。
出来れば完結まで続いてほしいと思います。
頑張って続けていけるよう努力します。


>ハイント様
>>憐は私の中でアリス1stと双璧をなす最萌え妹キャラです。応援してます。真剣に。
可能な限り憐の魅力を表現できるように頑張りますが、私に妹キャラの描写能力はないかもしれません(汗 できればご指導していただけたらな〜と………

>>逆行の理論については深く考えないほうがよろしいかと。
  わざわざ逆行物を読みに来るような人間は、理屈なんて気にしないですし。
そういっていただけると幸いです。お言葉に甘えてこのまま逝ってみます。

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