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「GS in まぶらほ 第9話 (GS+まぶらほ)」

D系 (2006-09-17 08:02/2006-09-17 08:06)
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GS in まぶらほ


第9話  まいっちゃった・・・・・・初めての感覚


最終宣告とも取れる言葉を投げかけた玖理子。
そして、玖理子の態度に我慢の限界を超えた横島の3人の奴隷達。
もはや横島がどのような決断を下したとしても・・・いや、
決断を下すまでもなく修羅場に陥るのは目に見えていた。
だが、絶対に起こるはずの修羅場は永遠に訪れる事はなかった。
横島にとっては2度目となる忌々しい咆哮によって・・・・・・


「グオォォォォォォォォン!!!」


店内に流れていた沈黙を打ち消す凄まじい轟音。
それと同時に自身に向けられているであろう強烈な殺気を感じ取った。


「ッ!!!」

「え、ちょっと・・・!!!」


横島はすぐさま立ち上がると、目の前に居る玖理子をその胸に抱き寄せてそこから飛びのく。
瞬間、巨大な何かが店の壁をぶち破って侵入して横島達のいたテーブルを押し潰した。


「きゃぁ!!!・・・・・・な、なんなの?」

「・・・・・・・・・・」


いきなりの事に何が何だか状況を理解できていない玖理子。
見上げた先には先程までとは全く違う表情の【式森 和樹】がいた。


どくん・・・・・・・・・・


「・・・・・・・・・・えっ」


その表情を見た瞬間、玖理子の心臓が一際大きい鼓動を打った。
だが、それを意識する間もなく横島が彼女を地面に降ろす。


「グルルルルルルル!!!」

「・・・・・・・・・・」


突然乱入してきたそれは低く呻りながら横島に向けてさらに増大した殺気をぶつけていた。
その獣の殺気に押される事なく真正面で対峙している横島。
少しずつ立ち位置を変え、玖理子を庇うようにしてその背に隠す。


「・・・・・・ベヒーモス、なの?」


横島の肩口から少しだけ顔を覗かせ、襲い掛かってきた存在を確認する玖理子。
そこに現れたのは紛れもなく最強の召喚獣【ベヒーモス】だった。
以前横島が相手にしたものに比べれば小さいものの、
それでも普通の人間など比較にならないほどの巨体を有している。
知識としては知っているものの、いざ目の前に立たされると体が硬直してしまう。


「ちっ・・・・・・何でこんなのが頻繁に出てくるんだろうね」


軽く舌打ちして目の前の怪物を忌々しげに睨み付ける横島。
体内の霊力を高めて身体強化を行い、両手に栄光の手を発動させる。
彼はこのベヒーモスから前回倒したもの以上の力の存在を感知していた。


「これで今日の残り回数は2回。前より厳しそうだけどこのまま仕留めるしかないな」

「・・・・・・えっ? 今日の残り回数ってどういう事よ?」


本物のベヒーモスの迫力に押されていた玖理子だったが、
横島の洩らした呟きを聞き取って我に返った。
どうやら彼女は横島の魔法、もとい霊力について詳しく知っているわけではないらしい。
だが、疑問に答えるべき横島は既にそこから消えていた。


ドゴンッ!!!


一瞬の静寂の後に強烈な打撃音。
もてる脚力を最大限に活かしてベヒーモスに肉迫した横島が渾身の一撃を眉間に見舞う。
そのままたて続けに2回、同じ箇所に左右のストレートを連打。
しかし、3回目の拳を放とうとした時点でベヒーモスの反撃。
横島へ向けてその爪を振るった。


ブォンッ!!!


短い風切り音が場に響く。
そしてギリギリ身体を反らした横島の髪の毛数本が宙に舞った。


「思ったより早い!!!」


辛うじて回避した横島は、前回のそれを確実に凌駕している攻撃スピードにそう吐き捨てる。
体勢を立て直し再び眉間に連撃を叩き込み、攻撃の兆候を察知して間合いを外す。
ヒット・アンド・アウェイを忠実に繰り返していた。


「ガァァァァァァァ!!!」


一方、多少はダメージが蓄積しているものの未だに機敏な動きを見せているベヒーモス。
攻撃対象が彼一人に限定されているのか、
店内に残っている玖理子や完全に忘れ去られた形となっている3人には見向きもしない。
ただただ横島を殺さんと巨大な爪や角を振り回している。


「・・・・・・・・・・何なのよ、いったい」


そして戦闘からとり残されている玖理子。
彼女はそのまま崩れ落ちるようにして座り込むと、呆然とそう呟いた。


「「「・・・・・・きゅぅ〜」」」


ちなみに、どこぞの3人娘はベヒーモス乱入の際に発生した瓦礫に埋もれていたりした。
気を失っているが奇跡的に怪我はしていないようなのでご心配なく。


「うらぁッ!!!」


ドゴンッ!!!


もう何回叩き込まれたか判らない横島の拳。
しかし、ここに来てようやくベヒーモスの体勢が完全に崩れた。
痛みに耐え切れず目を閉じ、よろけたまま後方に後退。


「ッ! ここだッ!!!」


その一瞬に好機を見出した横島。
即座に栄光の手の形状を霊波刀に変化させ、一気に間合いを詰める。
未だ霊力が完全に制御できず集束が甘いとは言え、それでも相応の破壊力を備えている霊波刀。
左右の手を合わせてそれら2本を一つにまとめると、
限界まで振り上げられた所から一気に振り下ろした。


ザシュッッッッ!!!!

「グオォォォォォォォン!!!」


振り下ろされた名刀は寸分の狂いもなく一直線の軌跡を描き、魔獣を真っ二つに切り裂いた。
その激痛から断末魔の叫びを上げるベヒーモス。
しかしその咆哮も数秒の後に途切れ、そのまま空気に溶けるようにして消滅した。


「・・・・・・・・・・・ふぅ」


完全に消滅した事を確認し、横島が霊波刀を解除する。
そしてゆっくりと玖理子のほうを振り向くと、微笑みながら彼女を気遣った。


「玖理子さん、大丈夫でした?」

「・・・・・・・・え、ええ」

「それはよかった。立てますか?」

「あ、ありがとう」


横島の差し出した手を掴み起き上がる玖理子。
彼の笑顔を見た瞬間、再び鼓動が大きく高鳴ったのは彼女だけの秘密。


「・・・今日はこの辺りでお開きにしましょう。返事はいずれ聞かせてもらうから」

「え・・・あ、はい」


これ以上横島のそばにいては何かしらマズイと思ったのか。
玖理子はそれだけを言い残してさっさと店の外へ出ていってしまった。
当然乙女心に気がつかない横島は意外にあっけない反応に少々拍子抜け。
しかし、この騒動の後では仕方ないかと納得した。
それと同時に、自分の周囲に厄介な人間がまた増えた事を確信。


「・・・・・・確かに、今日だけじゃないからな」


何しろ初対面の相手に対し『自分の物になれ』と言える人物である。
あっさりと引き下がるはずはないだろう。
少なくとも彼はそう思い込んでいた。


「また騒がしくなるか・・・・・・はぁ」


どんどん平穏と言う言葉から遠ざかっていく己の不幸を嘆きつつ、
前回同様に人が集ってくる前に撤収作業に移行する。


「さて、それじゃあさっさとここから脱出だ・・・・・・・・・・あれ?」


だが、いざ店から出ようとした所で瓦礫の下に埋もれている人間がいることに気づいた。
もちろんそれはすっかり話の流れから忘れ去られていた3人娘である。


「・・・・・・・・・・何で3人がこんな所で瓦礫に埋もれてるんだ?」


3人が何故この場所にいるのか解っていない横島だが、だからと言って見捨てるわけにはいかない。
素早く瓦礫をのけて3人を担ぎ上げると、
強化された脚力を存分に発揮してここから逃走したのだった。


オマケ


「式森 和樹・・・・・・・・・・か」


横島を背にして歩きながらポツリと呟いた玖理子。
巨大ベヒーモスを倒したのは単純に恐怖から魔力を暴走させただけ。
人外レベルの魔力を有しているだけの、迫ってくる女に抵抗さえ出来ない気弱な少年。
それが調査を終えた段階での玖理子の彼に対する認識。
だがそれは完全な誤りだった。


「・・・・・・違う」


そう、違う。
あの3人に迫られてたじたじだったはずなのに、
自身の召喚したヘルハウンズや襲ってきたベヒーモスに対し物怖じ一つせず、
それどころか冷静さを保ちながら正面から戦ってそれらを打ち倒した。


「・・・・・・違う」


そう、違う。
戦闘前に自分を抱き上げていた時の真剣な表情。
戦闘後に自分に向けてくれたあの優しい笑顔。
これまで自分の周りにいた男達の中で、あんなに印象的な顔をする男はいなかった。


「・・・・・・・・・・」


そこまで考えてふぅ、と息を吐いた。
こうなれば認めるしかない。
自分は間違いなくあの男に興味を抱いている。
それも、異性としての興味を・・・・・・


「・・・・・・強引な勧誘は、しばらくお預けかしらね?」


誰に言うでもなくそう呟く。
彼女の言うしばらくがいつまでなのか、それは彼女にしか解らないのであった。


オマケ2


「・・・・・・・・・・」


玖理子が去っていく中、店内に残って瓦礫をのけている横島の姿を見つめている青年がいた。


「まさか、ベヒーモスを一人で倒すなんて・・・これは意外な所で婿候補が見つかったな。
 制服を見る限り凛と同じ学校のようだけど、総合的な判断は直接会って確かめるしかないか。
 とりあえず本家に連絡だけはしておこう」


朗らかな笑みを浮かべている青年。
だが、何かを思い出したのか急にしかめっ面に変わる。


「おっと、いつまでもここに居る訳にはいかなかった。
 ここの所召喚獣が暴れまわるからって護衛役として本家から派遣されてるのに、
 その護衛対象を放っておくのは本末転倒だ。
 そういう訳で近いうちにちゃんと会わせていただくよ、謎の少年君」


そう呟いて横島達とは反対方向に歩いていく青年。
刹那、朗らかな笑みの中に野生の鋭さが確かに宿ったのだった。


続く


あとがき


さて、かなり批判が来そうな予想外の展開にしてみました。
何の脈略もなく再びベヒーモスとの戦闘です。
結局玖理子さんとの交渉は有耶無耶になってしまいました。
ちなみに言っておきますが、まだ完全に惚れた訳ではありませんからね?

そして最後に出てきた人ですが・・・・・・バレバレですね。
この辺りの経緯も随分変わっています。
詳しくは本格的な登場までお待ちください。

ベヒーモス登場の経緯については少し文中に記述してありますが。
次回でキッチリと述べさせていただきす。


お知らせ


これからは大体こんな感じの更新ペースになると思います。
すなわち隔週更新、2週間に1回の割合です。


では、レス返しです。


・kamui08様
 それらの雰囲気を無視してバトってみました(笑
 この横島君は基本的に一人のときはシリアス継続が可能です。
 誰か入ってきた時点でお終いですが・・・


・kou様
 玖理子さんが気づかなかったのは・・・・・・まぁ、お約束みたいなものなのでお気になさらず。
 それにもう籠絡されてしまった模様ですね。
 奴隷達が朝迎えに行くのはちゃんとした理由があります。詳しくは近日公開予定です。
 てか3人とも戦闘中はすっかり忘れ去られてました。
 今回は18禁は無しです。ただ、寮に戻った後の横島君達がどうなったかは(自主規制)
 そのうち玖理子さんのそんなシーンも・・・・・・
 最後に、リーラさんは登場予定ですが、風椿姉妹は未定です。

・覇邪丸様
 ギリギリ本文中では省きました。
 その分濃厚な事が行われそうですが。

・D,様
 3人娘の暴走はもはやギャグ担当。
 最初にヒロインになったことが運の尽き?
 玖理子さんは今回の事でかなり揺れたことでしょう。
 次回以降に期待です。
 これから登場のヒロイン達ですが、まぁ、警察沙汰だけは何とか避けていかないと・・・

・カーマイン様
 修羅場は修羅場でも別の意味の修羅場でした。
 しかも何気に奴隷達との対面もなかったような物だし。
 凛ちゃん編ではもちろん駿二は登場していただきますよ。
 てか、早速登場してますし・・・・・・

・HAPPYEND至上主義者様
 意表をついて魔獣乱入バトルパートでした。
 とりあえず玖理子さんの心に横島君を刻み込む事にしました。
 これが影響して今後の行動がどうなるのか・・・・・・ふふふ。

・イラ様
 まぁ、玖理子さんは内面がとっても純情で乙女な方ですから。
 今回の事でそれが表に出てくるかも・・・・
 とりあえず皆様の予想を裏切ってのベヒーモスのバトルです。


皆様のレスは小説を書く上で大変参考になります。
これからもご意見を活かしていけるように頑張ります。

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