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▽レス始

「蟲と獣のコンチェルト(まぶらほ+GB)」

ラッフィン (2006-09-08 03:02/2006-09-08 20:36)
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ツー・・・・

ある家庭の屋根から蜘蛛が糸のばして下りてくる。新しい巣でも作るのか?その家では久しぶりに寮住まいをしている娘が帰って来た。

「ただいま・・・」
「おかえりなさい。ご飯できてるから一緒に食べましょう」
「うん」

久しぶりに揃った家族でご飯を食べられてなんだか幸せそうな家族の風景が広がっている。みんな笑顔で話題もつきない。やがて夕飯を食べ終え、お風呂に入り談笑する。疲れたのか娘はもう眠そうだ。

「ふあ〜・・・」
「あら?眠くなっちゃった?」
「・・・うん」
「まぁ、疲れちゃったのね。もう、寝なさい」
「うん、そうする。おやすみなさい」
「はい、おやすみ」

寝るために自分の部屋のベットに向かう。娘はベットに横になるとすぐさま寝息をたてて夢の世界へと旅立った。

ツー・・・

そこにどこから入ったのか、蜘蛛が糸を伸ばしながらゆっくりと降りて来た。着地すると糸を切る。そして、娘にむかってゆっくりと近づいていき・・・。
その娘の耳の中に進入した。眠っている娘はそれに気付くこともなかった。


第一話「娘を奪り還せ」


「くー・・・くー・・・」

平日の朝、幸せそうに寝ている少年が一人。彼はこの話の主人公、名前を式森和樹という。私立葵学園という魔術師養成学校のエリート校に通っている高校2年生だ。しかし、本人はエリートとは程遠い俗に言う落ちこぼれなのだが。
この世界では魔法が存在する。この魔法は生涯に決められた数しか使えない。その回数を越えると塵になって死んでしまうのだ。と自然に社会地位は魔法回数の多い者ほど権力を持ってくる。
葵学園もエリート校であるので、生徒の平均魔法回数は1000回を軽く越える。そんな中、和樹の魔法回数は7回。普通なら入学も出来ないし、一般人の平均魔法回数も大きく下回る数値だ。(ちなみに一般の平均魔法回数は20前後である)故に落ちこぼれ。
では、何故入学できたのか?それは後に記そう。

「ん?んーーー!!よく寝た」

お!どうやら起きたようだ。ちなみに時刻は5時である。和樹は朝に強いようだ。

「今日の授業は・・・これ、これ、これ。よし、大丈夫だ」

本日の授業を確認し忘れ物チェック、準備万端のようだ。ここで誤解のないようにしておこう。こう行動していて真面目そうだが、本人の成績は下の中である。彼は授業中は起きていることがめったにない。始まって数分で寝てしまうので成績は良くないのだ。本人曰く『退屈だから』らしい。体育の授業でもだるそうに必要最低限の動きしかしない。なので、成績がよくなるはずがない。

「少し、散歩にでかけよう」

和樹が日課にしている散歩をするために部屋を出る。和樹が住んでいるのは葵学園の学生寮で、それぞれ男子寮の『彩雲寮』、女子寮の『朝霜寮』とに別れている。和樹の部屋は2階の一番奥の部屋だ。寮から出たとたん、和樹の周りに種類を問わず鳥が群がった。

チチチチチ・・・
チュンチュン
ホーホー

「あはは、おはよう。今日も元気だね」

和樹の動物に好かれる体質であり、その強さは半端じゃない。散歩しているうちに群がる鳥の数もだんだん増えていき、近所の人達が散歩させている飼い犬まで懐いてしまうくらいだ。(さすがに一緒に散歩はしないが)おかげで何人かと世間話をするくらいの仲になった。

「あら?和樹君おはよう。今日もいい天気ね」
「おはようございます。そうですね、洗濯日和ですね」

近所のおばさんとの挨拶も恒例となってしまった。散歩から帰るとシャワーを浴び朝食をとる。そして、学校へと登校するのだ。
時間に余裕を持って登校した和樹はなんの問題もなく授業を寝て過ごす。途中で爆発音が聞こえて来たが、寝ていたために気付かなかった。そして、昼休みになる。

「なんで俺様が貴重な魔法回数を使って修理せないかんのだ!」
「お前が覗きなんてしようとするからだろ・・・自業自得だ」
「右に同じ」

一緒に弁当を食べながら愚痴っているのは同じクラスの仲丸。トラブルメーカー筆頭である。どうやら、覗きをしようとしたのをクラスメートの女子である松田に見つかり制裁を受けたらしい。その制裁で壊れたものを罰として修理させられたのだ。まぁ、当然の処置だろう。それにつっこんだのはエセプロレの浮氣光洋。

「もう少しで風椿は俺のものになってたのに・・・」
「それはないな・・・俺だったら、一年の神城を狙うがな」

二人の話に出て来た人物、3年の風椿玖里子はこの葵学園の裏の支配者と呼ばれ、彼女の推薦した人はかならず生徒会選挙に当選している。彼女自身は最近成り上がって来た風椿財閥の令嬢でミスコンに出れば優勝間違いないので永久に出場停止をうけるほどの美貌をもっていることで有名。一方、一年の神城凛は九州に本家がある退魔の一族で名を馳せる神城家の次期党首候補であり、剣の腕前は相当なものである。生物部に所属しているにも関わらず剣道部から助っ人を頼まれることもしょちゅうだ。ただ、大の男嫌いとしても有名であり、小柄で日本人形のような容姿と清廉潔白で凛々しいとこもあるので同性の人たちから人気が高い。

「お前年下趣味か?」
「どっちにしろ、可能性は低いと思う・・・」
「なんだよ式森。お前には言われたくないぞ」
「そうだな。なんたって魔法回数7回だもんな。んな奴に惚れる奴なんていやしねぇって」
「まぁ、そうだけどね」

浮氣と仲丸が揃って言う。和樹も小さいころから言われていることなので慣れてはいるがいい気分はしない。でも反論はしない、無駄だとわかっているから。

「ごちそうさま・・・」

和樹は昼ごはん(自分で握ったおにぎり)を食べ終わると鞄を背負い帰ろうとする。そこに仲丸と浮氣が話しかける。

「おい式森どうしたんだ?次は魔力診断だぜ」
「サボる」
「おいおい、受けておいたほうがいいぜ。魔法回数7回の式森君。気付かぬうちに使ってるかもしれないぜ。まだ、死にたくないだろ?」

わざわざ7回を強調する浮氣。仲丸と共にニヤニヤしている。和樹が所属する2年B組は他人の不幸が大好きな連中で溢れかえっているのだ。
ここ私立葵学園2年B組。別名、学校の癌。又は変人の集まり。
学年で優秀な生徒を集めたら、性格が捻じ曲がった奴らばかりであったために、学園始まって以来の問題クラスになってまった。趣味は金儲けと陰謀で、他人の不幸は蜜の味、他人の幸せ砒素の味がスローガンの迷惑クラスで、今までに5人ほど教師をノイローゼで入院させてしまい辞任まで追いやった過去を持つ。ちなみに現在の担任は伊庭かおりという自称吸血鬼の女性で、自他共に認める重度のゲーマーである。
B組内ではいつ辞めるかトトカルチョが行われている。今のところ、3ヶ月が一番人気らしい。

「そんときはそんときだね・・・」

そう言って和樹は教室を出た。すると廊下でクラスメートの女子が話しているのが聞こえた。

「最近、矢夜学校に来ないよね。どうしたんだろ?」
「まさか、新しい金儲けの仕方を発見した?独占は許さないわよ!」

いかにもB組らしい話題だったので和樹はそのまま素通りしたのだった。靴箱のところで保険医の紅尉晴明が立っていた。

「式森君、そろそろ魔力診断を受けてくれないかな?」
(紫乃から新しい仕事がきたぞ)
「いえ、朝から頭痛が激しくて。それに腹痛もありますんで早退させてください」
(わかりました。今から行ってみます)
「そうか・・・それは仕方ない。お大事に」
(これが内容だ)
「すいません。失礼します」
(了解)

パシ・・・

普通に会話しながらも別の会話を繰り広げる両者。一応、紅尉は教師であるためにサボるのをとめないといけない。まぁ、その気はさらさらないのだが。最後に紅尉から紙を受け取り去っていく。この会話からわかるように二人には裏の顔があるのだ。紅尉にはありすぎるくらいだが、先ほどでた紫乃とは紅尉晴明の妹であり、和樹に仕事を紹介する紹介屋である。
和樹は近くの公衆便所の個室に入る。ブレザーを脱ぎ鞄の中に入れ、Yシャツをズボンから出しラフに着こなす。そして、サングラスをかけて個室から出た。

ピィイイイイイイイ!!

さあ、和樹の仕事の始まりだ。


――千野邸――

「ここか・・・」

今回の依頼は、連休を利用して帰って来た娘が突然暴れ出して部屋にこもってしまったのでなんとかして欲しいという内容であった。以前から内気であまり話しをするタイプではなかったのだが、暴れ出すことはなかったのでおかしいと思ったらしい。和樹はまず両親に話しを聞くことにする。

ピンポーン
「はい?」
「すいません、依頼を受けたものです。お話を聞きに参りました」
「少々お待ちください」

依頼人は和樹の姿に大分驚いたようだが(それはそうだろう。あまりにも若いのがきたのだから)、快く迎えてくれた。早速話しを聞いてみることに。
しかし、紙に書いてあることと同じで新しい情報はなかった。これは本人に直接会ってみないとわかりそうにない。というわけで、案内してもらう。

「ここです。気をつけてくださいね」
「ええ、では後はお任せください。くれぐれもここに近づかないようにして下さい」
「わかりました。リビングで待っています」

依頼人に念をおして和樹は部屋に堂々と入っていく。部屋の中は薄暗く見通しが悪い。問題の女の子は部屋の一番奥で壁にもたれかかっていた。

「ダ・・・ダレダ・・・」

問いかけて来た声は確かに少女の声みたいだが、カタコトでぎこちない。

「僕は式森和樹。高校生だよ」
「ミンナ死ネバイインダ・・・ミンナ死ネバイインダ・・・」

少女はまるで壊れたレコードのように同じことを何度も繰り返す。今の少女の状態で可能性は二つ、操られているか、発狂したか。状況からして前者であろうが、問題はどうやって操っているかだ。両親の話からして少女が誰かと接触していないということがわかる。ということは何かしらの道具を使っての操作。和樹は冷静に判断する。

「さて、どこにあるだろうね。正気を失っているとこを見ると脳に直接接続しているっぽいから首から上ってことになるんだろうけど。」

とりあえず、頭から調べようと少女に近づく和樹だが、あと少しというところで少女が蹴りを放ってくる。

ビュオ!
「うおっと!」

間一髪で上体を反らすことで避ける和樹。今の蹴りはかなりの鋭さを持っていた。額から冷や汗をたらす。しかも、今の蹴りを放った少女の顔に月明かりが当たり顔をはっきりと見ることが出来た。

「おいおい・・・やりにくさUPだよ」

それは最近学校にきてないと噂になっていたクラスメートの千野矢夜であった。いくら自分のクラスが腐っていてもクラスメートを問答無用にのしてしまうのは躊躇われてしまう。しかし、そんなことはおかまいなしと矢夜は和樹を完全に敵と認めたようでいつでも蹴りが放てるような構えをとっている。
さらに和樹はまずい状況に陥る。矢夜は両手を合わせ和樹に向かって突き出す。すると手から球体の波動がとんで来た。和樹は余裕で避けるも、その球体の威力に驚愕する。

ボ!シュウウウウゥゥゥゥゥゥ・・・
「な!!壁が風化した?」

なんと球体があたった壁が風化したように砂上に崩れたのだ。

「ま、まさか・・・今のは嫡羅<チャクラ>か!」

どうやら、矢夜の放った球体は嫡羅という力らしい。もし、あれが当たってしまえば自分の体も壁と同じ運命をたどることになる。いよいよ和樹にも余裕がなくなってきた。

「ワタシガコロス・・・ワタシガコロス・・・ワタシガコロス・・・」
「あまり手荒なマネはしたくなかったんだけど、仕方ないか」

和樹のほうも顔に気合が入り本気モードになったらしい。重心を低く構える。

「いくぞ・・・百獣擬態、猿擬!
「ワタシガコロス・・・ワタシガコロス・・・ワタシガコロス・・・」

夜矢は嫡羅を連続で放つも和樹はまるで猿のように床、壁、天井問わず動き回り翻弄する。ヒットアンドアウェーで矢夜に細かい打撃を当てていく。が、ダメージは全くといっていいほどない。まるで、整骨院で体の状態を診察しているように。
そしてついに。

「とった!」
トス・・・

いつの間に和樹の手には0.3mm芯のシャーペンが握られていて、先端が矢夜の耳の中に入っていた。それをゆっくりと引き出すと先端には蜘蛛が刺さっていた。夜矢を操っていたのはこの蜘蛛だったようだ。蜘蛛を取り出された矢夜は正気を取り戻し驚く。気がつくと自分の部屋にクラスメート―しかも異性の―がいるし、壁には大穴が開いているし、当然だろう。

「え?あれ?式森君?なんで?」
「あ〜、取り合えず落ち着いて千野さん。実は君の両親から頼まれてね」
「私の両親から?」
「何も覚えてないの?」
「うん・・・」

困惑している矢夜を宥め、説明するも本人は何も覚えていないようだ。

「え?私そんなことしてたの?」
「うん、でもそれは千野さんが悪いわけじゃなく・・・こいつのせいだから気にしないでね」

そういって和樹は蜘蛛を見せた。矢夜は虫が苦手らしく見せただけなのに怖がってしまって困ったが。

「これが私の耳に?」
「うん。もう大丈夫だけどね」
「そっか・・・ありがとう式森君」
「いえいえ、それが僕の仕事でしたから♪それより、千野さんが無事でよかったよ」

そういって笑顔を見せる。矢夜は自分のしてしまったことに責任を感じていたが、和樹の言葉と笑顔に救われる気持ちだった。

「さて、そろそろご両親に報告にいかなくちゃ。一緒にきて」

部屋を出て、両親に依頼達成の報告をしに一緒にリビングに行く。そこで、千野一家に今回の内容を説明した。娘が正気に戻り喜ぶ両親。和樹もそれを見て微笑むのだが、聞いておかなければならないことがあるために気を引き締める。

「邪魔して悪いとは思いますが、聞きたいことが」
「聞きたいこと?」
「はい、あなた達は魔里人<マリュウド>なのですか?」

和樹の質問に千野夫婦の顔から表情が消えうせる。

「どうしてそれを?」
「あなた達の娘さんが操られているときに嫡羅を使っていたので・・・」
「そうですか・・・」
「そして、僕もそうですから」
「そうなんですか!」

話についていけない矢夜は両親と和樹を交互に見つめ、オロオロしていた。
魔里人とは日本の先住民族と言われ、動物と心を通わし不思議な力―嫡羅―を使うと言われる者達のことだ。

「はい、ただ・・・僕はどの四木族にも属さない混血なんです」
「じゃぁ・・・あなたが混血の式森?」
「そうです。あなた方は矢夜さんのを見た限りだと<夏木>ですね・・・」
「ええ、千野と名乗ってますが」
『奴ら』から隠れるにはそのほうがいいでしょう」

四木族・・・魔里人の中でも特別な力を持つ4部族の総称である。その中で最も過酷な力を持っているのが夏木なのだ。

「とりあえず、矢夜さんが力に目覚めてしまったわけですし、制御法を教えてあげたほうがよろしいかと」
「わかりました。しかし、娘は寮住まいで普段は家にいませんし・・・」

両親は考えこんでしまうが、和樹の顔をじーっと見たと思ったら、母親が名案とばかりに手を叩く。その様子に和樹の直感は何やら訴えていた。額に冷や汗が浮かぶ。

「あの、しきも・・・いえ、和樹君」
「は、はい、なんでしょう?(汗)」
「制御法だけど、あなたが矢夜に教えてあげてくれないかしら?」
「え?(汗)」
「あなたなら一緒の学校、ましてや一緒のクラスだし。普段滅多に会えない私達より一緒にいる時間があるし。いざというときは護ってくれそうじゃない。実際、私達じゃ途方にくれていた矢夜を正気に戻してくれたし。そうだ、そうしましょう」
「あ、あのぅ・・・僕は混血なんで嫡羅は使えないんですが・・・」
「制御法くらい知っているでしょう?」
「まぁ・・・」
「じゃ、問題ないわ!」
「いや、あると思うんですけど(汗)」

だが、和樹の反論を全く矢夜の母には聞こえてない。和樹の意見も無視し、話はどんどんと進められてしまっている。和樹は諦めずに言ってみる。

「でも、やるのは矢夜さんなんですから。本人の気持ちも考えてあげないと・・・」
「それもそうよね。矢夜はどうなの?」
「え?・・・式森君には助けてもらったし・・・私は別にいいわよ///

と顔を紅く染めながら言ってくれました。本人は恥ずかしがっていたのだが、両親は別の意味でとらえてしまったらしい。

「なら、問題ないわね」
「おじさんはいいんですか?僕は男ですよ?」
「矢夜は内気で人見知りが激しいからな。心配してたんだ。これで安心できるってもんさ」
「そうですか・・・」

和樹、完敗・・・

結局、和樹が矢夜に教えることになった。精神的に疲れてしまった和樹は仕事も終ったので帰ることにする。千野一家は家族全員で見送りをしてくれた。そのときに矢夜が和樹に疑問に思ってたことを聞く。

「ねぇ、式森君。さっきいってた式森君の仕事って何?」
「僕?僕は奪還屋だよ」
「奪還?」
「そ!誰かに奪われた大切な物を奪り還す。依頼成功率100%の奪還屋」

そして、去り際に千野家に言った。

「今回の依頼、娘さんの正気を奪り還す仕事。達成しました」

「まいどあり!」


続く


あとがき

やっちゃった〜・・・ラッフィンです。

こちら(よろず)には初投稿になります。私、何を隠そうゲットバッカーズ大好きっ子でありまして・・・。GBネタで書きたいな〜って思ってたところ、この話を思いつき・・・(少しオリジナル設定も入っちゃってますが)いやはや、受け入れてもらえるかどうか・・・。3人娘も登場しますよ。

一応、ハーレム作品になってしまいます。原作のまぶらほ同様・・・
話の都合上シリアスが入りますが、基本ラブコメでいきたいと思っているのでそこらへんはご容赦を。

では、次回もよろしくお願いします。

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