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「竜王手記(ドラゴンクエスト機法

灰色狼 (2006-08-25 00:49)
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亡き初代竜王陛下のご遺稿をここに記す。
陛下の血を継ぎし者は、活目してこれを見るべし。


竜王手記

最近、息子の元気が無い。それもあのロトの子孫を名乗る若者が
旅立ってしまったからであろう。思えば彼は、私に良く似ていた。
たいした呪文も使えぬものの、果てぬ闘志をもって己が肉体を研ぎ澄ます。
彼ならば、私と1対1で勝負しても、不足は無かっただろう。
正直、彼が私に部下にして欲しいと言ってきたときは、非常に困惑したものだ。
聞けば、沼地の洞窟にいる竜の友人を殺したくないと言うではないか。
百の他人よりもただ一人の親友を取る。その言葉がどれだけうれしかった事か。
皮肉な事に、それが我が息子であるとは、今にして思えば驚いたものだ。
ローラ姫の隠遁所の門番を我が息子に任せたが、それがまさかあんな事になるとは。
いくら我が息子とはいえ、あの洞窟の奥に押し込められていてはさびしかったのだろう。

唯一我が仇敵となりえた男にして、息子の親友。まったく妙な事になったものだ。
もっとも、彼の方は、親友が我が息子であることになど露ほども気づかなかったようだが。
あれが我と同じ人の似姿となるまでには長い年月を要する。
そろそろ、私も息子に代をゆずる時が近づいている。
アレフガルドより旅立ったあの男は一体どうしているのだろうか?

なんとうれしい事か! あの男から手紙がきた。
聞けば南の大陸に国を気づいたらしい。
名を「ローレシア」とか言うらしいが、やはり彼も我と同じ王の器だったのだ。
そう言えば、あの男にも子が生まれたらしい。
名付け親を頼まれた息子は有頂天になって喜んでいる。

後から聞いた話だが、息子はどうやら「トンヌラ」という名前を贈ったらしい。
なんだか、我が息子ながらネーミングのセンスを疑ってしまう。

あの男から礼の手紙が来た。なんだか律儀な分、妙な名前をつけたのが申し訳ない。

「アレフガルドの支配者にして、竜の中の竜、誇り高き竜族の王 りゅうおう陛下へ

ごきげんよう。私も一つの国を持ちました。妻の名をとってローレシアとつけたのは
ご承知のとおりでしょう。我が息子の名前トンヌラは光の皇子と言う意味だそうですね。ありがたく名づけさせていただきます。
では、御身大切に。 

竜王の忠実なる臣下にして竜の友 アレン」

そう言えば、竜族の古語にそんな意味があった気がする。
しかし、なんでそんなマイナーな言葉をいちいち覚えているのだろうか?
なんだか、息子との世代の差を感じてしまった。
そろそろ引退かな。


息子の戴冠式を終えた。これで息子は2代目の竜王となる。
私は老王として隠居することにした。
それにしても、そろそろ孫の顔が見たいものだ。


私が隠居してから30年が立った。
息子もやっと結婚したというのに、最悪の知らせが飛び込んできた。
なんということか、あの男が死んでしまったらしい。
なんと悲しい事だろう。
息子はふさぎ込んでしまって、重臣たちに合おうともしない。
気持ちは分かるが、これではいけないだろう。
それにしても、人間とはなんとはかないのだろう。
あの鋼のような男が、竜の火炎にも屈しなかった男が、
時の流れにはこうも簡単に倒されてしまうとは……。

今日は息子を叱り飛ばした。久々に竜の姿に変身などしたものだから
腰が痛くてかなわない。どうやら、活を入れる事には成功したらしい。
あの男の遺書が見つかった。

「我が血を継ぐ者は、永劫に竜の友であり、アレフガルドに急あるときは、
竜王の元にはせ参じるべし。盟友に幸あらんことを……。

竜の盟友にして初代ローレシア王 アレン」

なんという事だろう。不覚にも涙を流してしまった。
息子は泣いていた。まるで体中の水をすべて出し切らんとするように泣いていた。


あの男が死んでから数十年の時がたった。
風の噂によれば、あの男の死後、王国は3つに分裂したらしい。
私も、もう長くは無い。一足先にあの男と再会するのは息子の恨みを買いそうだが、
仕方あるまい。

「遺書 我が血を継ぐ全ての者へ

我が後継者は、盟友の急あらんときに、剣を持ち主の下へ
返し、そして、友を助ける事を竜の誇りにかけて誓うべし。

アレフガルドの支配者にして最も偉大な家臣をもった竜 初代竜王」


後書き

ではご好評にお答えして、ローレシア編に繋げて行きたいと思います。
なにぶん筆が遅いので時間はかかるかもしれませんが、一つ温かい目で。

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