インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「勇者日記終章(ドラゴンクエスト機法

灰色狼 (2006-07-23 00:10/2006-07-23 11:21)
>NEXT

勇者日記 終章

8月19日

竜王陛下から正式に騎士の位を授けられ、
ラダトーム攻略軍の司令官を言い渡されたのが確か3・4日前だ。
下賜された戦力は、ストーンマン5体、
と「彼」率いるキースドラゴン部隊。
それから、キラーリカントの「疾走する火事場泥棒」隊に、
よろいの騎士で編成された鋼鉄部隊と、なんだか至れりつくせりだった。

そういえば、俺が竜王と戦うために旅立った日、
俺と一緒に旅に出ようとしたラダトーム騎士は一人もいなかった。
王は一人の兵も貸してはくれなかったような……。
やはり「オージンジ」に手紙を出して正解だった。

なんだかんだ言っても、ラダトーム城攻略作戦は開始されたのだ。
気を引き締めよう。


8月20日

昨日は日記に愚痴を書いてしまった。
とりあえずストーンマンに城壁の破壊を命じ、
キラーリカント達には、町の回りに包囲網を敷くように命じた。
さすがに町には入れられない。
彼らを町に突入させれば、何が起こるかはわかりきっている。
「彼」率いるキースドラゴン部隊には、南側の城門を攻撃してもらった。
城門と城壁は、かなり強化されていたので、
倒壊させるには時間がかかりそうだ。


8月21日

ラルス王に降伏を勧告する。
使者に出したドラキーは死体になって戻ってきた。
かわいそうなことをしてしまった。

8月24日

再三の降伏勧告を無視し、彼らは投石攻撃まで仕掛けてきた。
城を包囲していたよろいの騎士の一人が負傷。
モヒカンが歪んだと言ってへこんでいた(物理的にも)。
もはや仕方あるまい。
「彼」が「疾走する火事場泥棒」隊を町に突入させようと提案してきた。
俺は断った。さすがに町民たちを見殺しにはできない…。

8月25日

深夜、ストーンマンの一人を北側の城門に移し、彼をはしご代わりにして、
単独で城内に侵入した。
「彼」が南に門に陽動攻撃をかけてくれたおかげで楽に潜入できた。

8月26日

まだ日も昇ってない頃、北の城門を開放した。
城内へ突入してきた鋼鉄部隊と共に、南の城門へと突撃した。
途中、罵詈雑言を言う兵士達を切り倒してきたが、
乱戦状態で忙しかったせいか、初めて人を殺したのに、
特別な感じがしない。
あれだけモンスター達を殺したのだから、
いまさら感じても変な気はするが…。

 ともかく、人間なんぞに負ける気はしなかった。
ラダトーム騎士団は広場に立てこもって、
頑強に食い下がっている。仕方がないので
町を包囲している「疾走する火事場泥棒」隊に
北の城門から突入するようにドラキーを伝令に出した。
届いても、伝言を伝える前に喰われたりはしないだろうか?
それが心配だ…。


8月30日

どうやら無事に伝わったらしい。「疾走する火事場泥棒」隊は
ちゃんと城門前に集結していた。
使いに出したドラキーの姿が見えないが、まあ良いだろう。
集結したキラーリカントたちに突入命令を出した。
城内に戦いの走狗を解き放ったのだ。彼らはすぐさま行動を起こした。
あの攻め足の速さには感心する。広場は血で血を洗う大混戦となっていた。

 戦争熱というのだろうか、おれ自身、戦っている最中に
熱に浮かされたような感覚に冒されてしまった。
朦朧とする意識の中に聞こえてくるのは「裏切り者」と言う敵の罵詈雑言と
自分の中の敵を殺すと言う意志の声のみだった。
だが背中に目がついてるかのように見なくても、後ろの敵が分かる。
不思議な感覚だったが、冷静になった今は少し怖い。
そんなこんなで、今日は広場を制圧した。
南の城門を内側から開いて、「彼」の部隊を引き入れたので、戦局は決しただろう。

9月2日

王の部屋に立てこもる王とわずかな兵士たちに最後の降伏勧告を行った。
ローラ姫の殺害と「疾走する火事場泥棒」隊の町への突入をほのめかすと、
やっと降伏した。ラダトーム城の頂上に竜王の軍旗がはためくのは、なかなか壮観だった。

9月6日

あくまの騎士とキースドラゴンを主力にする正規軍を率いて、
竜王陛下が到着した。
竜王自身には、しにがみの騎士とダースドラゴンの軍団がついていた。
の城最下層で俺の前に立ちふさがった「紅の近衛騎士団」
あれは正直うらやましい。
そういえば、あの城の上の階はいったいどうなっているのだろう?

9月8日 

ラルス王と竜王の交渉が始まった。
交渉と言っても一方的に条件を提示するだけなのだが。
条件は「冒険者」によるモンスター達への略奪行為の厳禁
(特に「ゴールドマン」や「メタルスライム」達は
金になるためにしょっちゅう襲われてるらしい)、
モンスターたちの生活圏への侵略を禁止。
等々、とても耳が痛い条件ばかりだった。
その代わりにある程度の自治とローラ姫の返還を提示して、
叛意を抑えているあたり、やはり竜王は策士だ。


9月10日

俺の部隊は、そのままラダトーム駐留軍となった。
降伏したラダトームの兵士たちは、騎士団に編入され、
俺が鍛えなおすことになったらしい。
明日が楽しみだ。

9月11日

彼らの装備は意外に整っていた。
町の武器屋には、てつの斧やどうの剣しかなかったのに、
城の武器庫には、てつの鎧と鋼の剣があった。
多分、落とした町から逃げてきた商人たちが提供したのだろう。

やはりラダトーム兵達は表に出してはいないが、反抗的だった。
彼ら自身隠しているつもりなのだろうが、顔を見れば分かる。
頑強に抵抗していただけあって、錬度はそれなりにあった。


9月23日

訓練を進めるにしたがって、だんだんと彼らの信頼を得られてきたようだ。
しかし、ここまでなるのにえらくかかった。
竜王の勅命が下されるや、
俺にひざまずいたモンスターの部下たちとは大違いだ。

最初のうちは、本気で暗殺しようと考えているような連中が
大部分だったが、いまはそうでもないらしい。
「彼」の方は欲求不満のキラーリカントたちをなだめるのに、
苦労しているようだ。なんだか申し訳ない。


10月1日

ラルス王が突然たずねてきた。
聞けば。ローラ姫との縁談を持ちかけに来たらしい。
典型的な政略結婚なのか、それとも今の時代、
俺に嫁がせた方が苦労させないですむ、
という父親の愛情なのか、俺にはよく分からなかった。

10月3日

ローラ姫との結婚に同意した。
そのことを「彼」に言うと、祝ってくれた。
最近、人間とモンスターの間でのトラブルが多く、
忙しくてしょうがない。

10月18日

ローラとの結婚式を終え、新婚生活を送っている。
なんだか妙な感じだ。
てっきり、形だけの冷え切った夫婦になるとばかり思っていたのに。
ラダトーム兵の訓練でくたくたになって帰ると、
いつも笑顔で出迎えてくれる良い娘だ。
俺にはもったいない気さえする。

10月23日

今日も兵たちの訓練だ。
そういえば、「彼」から、町に広まっている妙な噂を聞いた。
海の向こうに新天地がある。そんな夢物語のような噂だ。
本当なのだろうか? だとすれば少し興味がある。

10月24日

大変なことが起きた、旧メルキドの残党がロトの洞窟に立てこもって、
独立を宣言したのだ。
長く自由都市だったメルキドにとっては、
他人に支配されることが耐えられないのだろう。
しかも、たてこもった全員が魔法の鎧とみかがみの盾に、
ほのおの剣で武装しているとの話だ。本当なら、かなり手ごわいだろう。

10月26日

竜王陛下から俺の部隊に対して出動命令が出た。
今回は、場所が場所なだけに、旧ラダトーム軍の兵士も加わっている。
ストーンマンと鋼鉄部隊は待機させ、
「疾走する火事場泥棒」隊と「彼」のキースドラゴン隊が
向かうことになった。
本当は「彼」にも残って欲しかったのだが、「俺はお前についていく」
の一点張りでどうしようもなかった。でも、あの言葉は、かなりうれしい。

10月28日

ロトの洞窟付近の森に到達。
森に潜んでいた小部隊の襲撃を受ける。
キラーリカントが一人やられたが、激怒した彼らによって、
捕虜は一人も出なかった。
声を出す前にのどを裂かれては、降伏の言いようも無いだろうに。

10月29日

洞窟に立てこもる彼らに対して降伏を勧告した。
彼らは案外あっさりと降伏の交渉をしたいと言ってきた。
キースドラゴンとキラーリカント達を遠ざけることが条件だった。
確かに、彼らがいては恐ろしくて出てくることなどできまい。

10月30日

なんてことだ彼らとの交付交渉は、罠だったのだ。
ドラゴンたちとキラーリカントを遠ざけたのを見計らって、
森に潜んでいたんだろうか、大勢の人間たちが現れたのだ。
おまけに、旧ラダトーム軍の兵士にも内通者がいて、危うく殺されかけた。
幸い、ラダトーム兵達の大部分は俺に味方してくれたので、
何とか持ちこたえることができた。
その間に「彼」率いるドラゴン部隊と
「疾走する火事場泥棒」隊が来てくれたので、
何とか押し返すことができた。
後でラダトーム兵に俺に味方した理由を聞いたら、
「あの卑怯な行為を見過ごしては
ラダトーム騎士の誇りまで失われてしまう」
と言っていた。少し、人間のことを見くびっていたらしい。


10月31日

最悪だ。昨日の戦闘で「彼」がほのおの剣で刺されたらしい。
しかも、指された場所が悪かったらしく、今夜が峠だと言われた。
なんてことだ。もし彼が死んだら俺は……。

11月1日

奴らに必ず復讐しよう。
ラダトーム兵たちと話して、俺の元で忠誠を誓うか、
洞窟に立てこもっている者達の元へ行くか一晩の猶予を与えることにした。

11月2日

ラダトーム兵に欠員なし。ラダトーム兵の一番信用の置ける者たちで
先端部隊を組んで、洞窟内に突入した。
ドラゴン部隊と「疾走する火事場泥棒」隊には
洞窟の入り口を包囲させ、一人も逃がさないように命じた。
どうやら、彼らは人間だけで突入してくるとは思っていなかったらしく、
鉢合わせしたときに、ひどく慌てていたことだけは覚えている。
戦闘が始まってからは、いまいち記憶がはっきりしてない。
気がついたら、血まみれのロトの剣が首謀者らしき男の心臓を貫いていた。
先端部隊の仲間曰く「殺戮本能の塊」だったらしい…。
少し自分が怖くなかった。

11月3日

洞窟内に立てこもった者達には、
誰一人太陽を拝ませなかったことが分かった。
「疾走する火事場泥棒」隊は少し欲求不満なようだった。


11月6日

竜王陛下に今回の鎮圧成功の功の恩賞に何が欲しいかと聞かれたので、
「船」と答えた。竜王陛下に新天地を目指して旅立ちたいと言ったら、
あっさりOKしてくれたので少し驚いた。
家来になったときといい、なんであんなに即断即決なのだろうか?
なんだか少しさびしく思っていたら、竜王陛下は思わぬ餞別をくれた。

翌年 2月4日

とうとう旅立ちの日だ。部下の旧ラダトーム兵や町の人々が
一緒にいくこととなった。
モンスターの部下は「彼」に任せた。
「彼」も一緒に行きたいといってくれたが、さすがにそれは無理だ。
なんだか面倒な役目を彼に押し付けてしまった気がする。
竜王陛下にロトの剣を返した。
もともとあの方に仕える約束をして貰ったものだし、
俺には「彼」に貰った鋼の剣がある。

船出のときに、昨日、竜王陛下から貰った餞別を掲げた。
竜王陛下から使うことを許された竜の紋章である。
「彼」の姿をかたどった竜の紋章の軍旗。
船の上で整列したラダトーム騎士団にその旗を掲げさせた時、
「彼」は泣いていた。俺も彼との別れはさびしい。
だが、俺の一族がこの紋章を使い続ける限り、「彼」は共にある。

これからはラダトーム騎士団ではなく「竜の騎士団」であり、
俺は竜王に忠誠を誓い、ドラゴンを友とする竜の身内なのだ。
そうだ、いつかローラとの間に子供が生まれたら、
これまでの事を「竜の遍歴」として話してやろう。


後書き
勇者日記のその後です。兇旅粁本には勇者はアレフガルドを旅立ったとあったので、
そんな感じで終わらせて見ました。

>NEXT

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI