インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「黄金の獅子を受け継ぐ者15(まぶらほ+セイント星矢)」

アーレス (2006-08-02 09:44)
BACK<


城の中庭に急遽作られたステージで和樹はアーバレスと人並みの速さと人並みの力で殴り合いをしている。

(何でこんなことになるんだよ…)

などと考えながら飛んでくる拳をギリギリっぽく避け、カウンター気味にアーバレスに向かって繰り出す。ステージの周りにはメイドたちが二人に向かって声援を送っている。

(何でこんなことになるんだよ)

改めてそう思う。
ことの始まりは夜明けと共に水銀旅団から使者という名でアーバレスがやってきて「両軍から代表を一人ずつ出し合い、その二人の決闘で決着をつけないか」と言い出し「MMMが勝てばこちらはおとなしくこの島から出て行く、こちらが勝てば、メイドたちは全員パジャマになってもらい、この城を明け渡してもらう」と条件をつけた。ついでに「この城から出て行ってもらえばこちらは何もしない」とも言ったらしいこれは即却下されてしまった。
最初MMMは当然のことながらリーラを代表にしようとしたが、アーバレスが「次のご主人様っていうのは女の陰に隠れて怯えているような奴なのか」と挑発し、それを聞いた老人が聖闘士だから平気だと踏んで和樹に代表をやらせる事に強制的になってしまった。
MMMは城にいるメイド総出で和樹の応援を行っているが、水銀旅団は夕菜、玖里子、凜、紫乃がただ観戦しているだけでカーボン卿たち水銀旅団の姿が全く見られない。千早、神代、和美は出入り口の座って黙っている。
それはあらかじめアーバレスが避難しているようにと口と拳でもってカーボン卿を説得したからである。

「そろそろ、行くぞ」

「やっとか」

ハッキリ言って通常の人並みの早さなど聖闘士、それも黄金聖闘士にとっては欠伸で欠伸が殺せるほどの遅さである。
メイドたちの前で和樹はアーバレスが知り合いだと公言した。今までやっていた戦いとそれはある意味これからやる事のタネだ。
和樹の拳がアーバレスをとらえ、派手に吹き飛ばした。

「やりやがったな!!タウラス!!」

アーバレスの声に反応して城とは反対側にあった水銀旅団が陣を構えていた辺りから光が飛来し、アーバレスを包む。

「だったら、コッチも!レオ!!」

城の和樹が泊まっていた部屋からきた光が和樹を包む。

「リーラさん皆に撤退命令を出してください!!」

突然、千早がタイミングを見計らって叫ぶ。

「黄金聖闘士同士の戦いは力が均等して千日続いても終わらないといわれているんです!!このままじゃ、この島一体が吹き飛んじゃいますよ!!!」

「メイドがそんな危険な所にご主人様をいさせていいわけ!?頭に血が上ったら二人とも人の話なんて聞かないわよ!」

神代と和美が畳み掛ける。そんななか、少しだけ本気を出した黄金聖闘士二人が、城の一角を吹き飛ばした。
それを見た、リーラが島を出ることを指示するのにそう時間はかからなかった。


―――――――――――――――――――――――――


「もうこれくらいでいいかな?」

「そうだな」

メイドたちが脱出したのを確認してから二人は戦うのをやめた。辺りは瓦礫の山と化しているが、瓦礫すべてが千早達を避けていた。

「さてと、これからはマジでお仕事の時間だから、皆も避難していてくれ」

「そうだな、相手がどんなものかはよくわからんが結構やばいのは間違いないしな」

二人はうなずき合うと和樹が先導して地下に向かって行った。

「玖里子さん」

「凜ちゃん」

「宮間」

「「「何ついて行こうとしてるんですか(してんの)!」」」

千早たち聖闘士の和樹に近い三人がついて行こうとする三人を止めに入る。

「さ、ここをはなれますよ」

「でも、和樹達なら平気じゃないの?ここで待っててもいいんじゃない?」

「だめ。兄さんたちが本気になればもっと凄い事になっていてもおかしくなかったのよ。それに今回は老け顔アーバレスも一緒だからなおまずい」

「老け顔って和美さん…まぁ、事実だけど……」

「なんで、あの方がいらっしゃるとなおまずいのですか?」

「アーバレスさまの守護星は牡牛座、聖闘士最大の剛力の持ち主といわれている方なの。あの方の必殺技であるグレートホーンなんて使われればどうなるか想像しただけでも恐ろしい!!」

真っ青になって言う神代の姿に三人は黙って従う事にした。

「あれ?紫乃さんは?」

「え?」

言われて始めて気がついた。紫乃と彼女が始終持ち歩いていた荷物がなくなっていた。


――――――――――――――――――――――――――


「なるほど、この壁の向うにいるのか」

「ああ、この壁は封印だったようだ。それが最近になって急に力を失い始めたみたいだ。もう少しほっといたらたぶん封印が破られて中にいる奴が飛び出してきただろうな

昨日リーラに案内されたときやたら気にしていた壁の前に二人はきた。
和樹は数歩下がった。

「この封印は外部からの圧力にも効くようにできているらしいから、この壁は海の方向にあるから被害考えなくていいぞ一発、デカイの頼む」

「おお、任せとけ!」

アーバレスはニヤリと唇をゆがめると己の小宇宙を高める。ゆっくりと己の中に力を巡回させるように小宇宙を高め、両手を前に突き出す。

「サンダーホーン!!」

凄まじい威力の閃光が走り、壁を吹き飛ばすが、和樹が言ったように封印の効果は外部からの衝撃にも耐えるようになっていたらしく、城を吹き飛ばすつもりで使ったサンダーホーンだったが、半壊させる程度で終わってしまった。
封印がなくなると同時に凶悪な小宇宙が開いた穴から強風のように吹き出してくる。
城から離れた千早たちやリーラたちMMM、そしてまだ付近にいたカーボン卿たち水銀旅団は寒気と嫌悪感、気持ち悪さなどを感じ、震え出していた。だが、それもすぐにやんだ。
和樹とアーバレスという黄金聖闘士が小宇宙を高め、それを相殺しているのだ。

「久々の大物だな」

「俺はつい最近もっと凄い大物をクロードとタックマッチで戦ったばかりなんだけど」

二人は暗い壁の向うに向かって進んでいく。足音が洞窟内で反響しどれだけの広さなのかを教えた。

「「!!」」

突然感じた攻撃的な気配に二人はそれぞれ別方向に跳んだ。暗闇の中では相手が何なのかわからない。天井でも吹き飛ばして明るくするという手もあるが、もし相手に飛行能力があったらその選択はアウトだ。

「ライトニングボルト!」

気配を頼りに和樹が雷光を放つ、さしてダメージを与えられなかったとしても雷光によって暗闇が照らされるはずだ。
ライトニングボルトは的を外したが、相手が何なのか判別させるには充分な光を与えた。

「蛇の髪、黄金の翼……!
アーバレス!!ゴルゴンだ!」

「次女のエウリュアレは山猫座のレツが倒したと聞いている。だとしたら…」

「そうだ!長女のステノだ!」

ゴルゴン、メドゥーサといえばわかるだろうか?蛇の髪をもち、人を石に変える力を持つというギリシャ神話に登場する化け物だ。知っての通り三女のメドゥーサは英雄ペルセウスによって殺され、そのとき飛び散った血から翼を持った馬ペガサスが生まれたというのは有名な話だ。
和樹達が生まれる前の前黄金聖闘士がいた時代、聖闘士になったばかりだった山猫座のレツによって次女のエウリュアレは倒されている。
そして今、残る最後の長女、ステノが姿を現したのだ。

「クッ、こう暗くては奴の視線から逃れ続けるなんて不可能だぞ!」

「時間を稼いでくれ、昼間とはいわないが夜ぐらいの明るさにならしてみせる」
(今のところ、ここまでしかできないんだけどな!)

翼があるため、下手に壁を壊せないため、出力をおさえた攻撃でステノの注意をひきつける。

「オオオオオ!!!」

和樹の叫びと同時に洞窟を星が照らした。アイオリアの切り札フォトンバーストを放つ過程のコスモスオープンをやったのだ。

「すごい…」

アーバレスは呆然と呟いた。これだけの光を生み出すためには通常の何倍も小宇宙を高めなくてはならない。ましてやそれを維持するとなればさらに大変だ。

「交代だ。こっちはこれを維持しながら戦わないといけないんだ。今の俺じゃ決め手に欠ける。お前のグレートホーンが頼みなんだからな」

「あ、ああ!わかった。任せておけ!!」

「私もお手伝いいたしましょうか?」

アーバレスが頷き、静寂の構えと名づけた腕を組む構えで小宇宙をさらに高めようとしたとき、突然、女性の声がかかり振り向くとサンダー聖衣を身につけた紫乃がいた。

「紫乃さん!?」

「サンダー聖衣の実戦データが欲しくてついてきてしまいました」

「実戦データが欲しくてって…おっと!」

あきれて力が抜けそうになるが、それをこらえて展開している宇宙を保ちつつステノの注意をひきつけるために攻撃を仕掛ける。
近くにあった大きな岩をステノに向かって投げつけ、その影に隠れて近づき、直接ぶん殴った。

(まったく、始めて会ったときといい、なんでこう無茶したがるかなぁ、この人は)
「無茶しすぎないでくれよ」

「わかりました。では、ライトニングボルト!!」

サンダー聖衣の生み出す雷がステノに当たる。が、たいしたダメージは与えられていないようだ。

「本家本元ライトニングボルト!」

維持に力を割いているため白銀聖闘士なみの威力のライトニングボルトが当たり、洞窟の壁に叩きつける。

「う〜ん、やはり黄金聖闘士には劣りますね」

冷静に分析しつつ、サンダー聖衣に備えられたローラーダッシュで視線を向けられないよう移動する。

「機動性は悪くないみたいじゃないか。ライトニングファング!」

紫乃がステノの視線に入りそうになったため、ライトニングファングを使いステノの視界すべてを雷光で埋め尽くしその力を押さえ込む。

「行くぞォォ!!!グレートホーン!!!」

黄金の牡牛の雄叫びと共に黄金聖闘士一の豪腕と名高いアーバレスの最大の拳グレートホーンが放たれた。その閃光はステノをとらえ、跡形もなく消し飛ばした。

「馬鹿野郎!紫乃さんがいんだぞ!」

和樹のその叫びはグレートホーンの余波で崩れ始めた洞窟の音で遮られた。


―――――――――――――――――――――


「見たまえ諸君!!我らが英雄アーバレス殿が悪の手先であるメイドどもの城を跡形もなく破壊したぞ!!」

カーボン卿の声は船内でトレーディングカードや写真の交換会をはじめたマニアやカメラ小僧たちの耳には入っていなかった。


―――――――――――――――――――――――――――


「和樹さま…」

「大丈夫じゃよ。彼は選ばれし戦士だ。あの程度のことで怪我などせ…あだだだだだ!!!」

崩れていく城を見つめるリーラに中々いいセリフを吐きながらスケベ心丸出しで伸ばした手を捕まえられ、普段より強い力で捻り上げられる。

「和樹さま……」


―――――――――――――――――――


崩壊した城跡地に慌てて千早たち6人は戻ってきた。大体前庭があったあたりについたとき、地面から雷光が吹き上がり、続いて別の場所から閃光が上がり瓦礫を吹き飛ばした。少女たちは迷うことなく雷光が上がった方へ駆け出した。

「まったく…」

怒気を込めた声を出して和樹が瓦礫の中から出てきた。少女たちは和樹が無事な事に安心したが、和樹の腕の中にいる誰かがいることに気がついた瞬間、気持ちは一転した。

「紫乃さん、俺が咄嗟に動けたから良かったものの、もう少しでこれの下敷きになっていたんだぞ。もう二度とこんなことしないでくれ」

「はい♪」

和樹に庇われて瓦礫の下敷きにならずにすんだ紫乃は和樹の体にしっかりと手を回し抱きついていた。

このあとデビルキシャーと化した夕菜が暴走、逃げ道を考えずグレートホーンを放ったアーバレスに和樹の怒りの鉄拳が下されるなどあったがなんとかこの島での任務も終わり、アーバレスが乗ってきたという船に乗って一行は島を離れるのであった。


少しして、和樹は愛用のパソコンに一通のメールが届いている事に気がついた。

『我々は諦めません
                    リーラ』


あとがき
みなさん、お久しぶりです。アーレスです。
ようやくメイド編終了です。
リーラがすぐ撤退しようとするはずがないとか言わないで下さい。老人や仲間のことを思ってだと思っておいてください。
次回からは聖域での話になると思います。

それではまた…………君は小宇宙を感じたことがあるか!?


レス返し

>D,さん
ミノタウロスも案の中のひとつですたが、あえてゴルゴンにしました。

>西手さん
遅くなってすみませんでしたようやくの投稿です。

>覇邪丸さん
ハーデスたちについては今のところ出す予定はありません。でも、機会があればだそうともおもっています。

BACK<

△記事頭

▲記事頭

e[NECir Yahoo yV LINEf[^[z500~`I
z[y[W NWbgJ[h COiq@COsI COze