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!警告!バイオレンス、壊れキャラ有り

「まぶらほ〜魔獣使いの少年〜第五話の二(まぶらほ+モンコレ)」

ラフェロウ (2006-06-18 17:53)
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「先生達遅いね〜…」

花壇の縁に腰掛けて呟く和樹。

いつもの制服姿ではなく、ラフな私服姿。

それでも上着の懐には召喚符と収納符を入れてあり、靴は仕事の時に履いている物。

Tシャツの中には【太陽のロザリオ】が首から下げられ、咄嗟の際の防御に備えてある。

「……………もう30分だ」

腕時計を見て呟くのは駒野。

彼も制服ではなく私服姿。

「かおり先生の事だから遅刻くらいあってもおかしくないけど、紫乃先生が一緒だから大丈夫かと思ったのに…」

駒野の言葉に呆れたように呟く和樹。

その言葉を聞いて、同意したように頷く女性陣。

「お〜お〜、男共の視線が凄い凄い。そんなにいいもんかねぇ…」

駒野の隣で周囲を眺めていた數馬が顔を顰めていた。

女性恐怖症である彼には分からないのだろうが、今現在彼らを囲む女性達は皆揃いも揃って極上の美少女。

可愛い系から美人系、知的系にゴスロリ系と様々な系統も揃っていてお得な状態。

本日は日曜日。

晴海埠頭にて行われている『大ドイツ博』にやってきた和樹ご一行。

顔ぶれも賑やか、このグループの中心である和樹を筆頭に、和美に沙弓、千早に夕菜、何故か居る凜と玖里子、その玖里子に守護霊のごとく憑いているエリザ。

このメインメンバーに加え、B組女子の大部分と和樹に誘われた男子二名。

来ていない女子は枝村 つぐみ・柳本 星香・今野 遊佐・福西 慧子の、まだ落ちてないメンバーだけ。

秒読みだった今野 遊佐を久藤 摩琴が押し退けての協定加入は、次に誰が落ちるのか賭けていた數馬が悔しがらせた。

駒野と數馬、遊びで和樹が次に誰を落とすのか賭けをしてる様子。

まぁ、ただの遊びなので問題ないだろう。因みに和樹には秘密で。と言うか和樹は落としている自覚が無い。

女性陣、本日は本当なら和樹とのデートの日なのだが、揃いも揃ってデートの誘いに来た上に、かおりの一声で集団デート、しかも女性陣:和樹という蝶、もとい超変則デートになってしまった。

で、集合場所である晴海埠頭入り口へ集合した面々。

なぜこの場に和樹以外の男が居るのかと言えば、和樹が誘ったから。

和樹君、デートではなく大人数で遊びに行くのだと思い、それならと駒野達を誘ってしまったのだ。

まぁ、和樹はこの大人数を独り占めする性格ではないし、女性陣もデートは半ば諦めているので問題ないだろう。

ただ、半ば、なので隙あらば二人っきりになろうと考えているのが大多数なのだが。

「はぁ…折角の和樹さんとのデート…」

「ま、まぁまぁ、偶には皆でお出かけもいいじゃない、宮間さん」

ず〜〜〜ん…と落ち込む夕菜を慰める千早。

夕菜としては、一番に和樹を誘ったのだから自分に優先権があると主張したい所。

が、相手はこと論議に関しては無敵な面々。特に理屈・屁理屈その他諸々を織り交ぜる和美と、唯我独尊なかおり相手に勝ち目などありはしない。

嫉妬暴走する前に話が纏まってしまい、結局諦めるしかなかったのだ。

本気で大人しい夕菜。これがあのキシャーなのかと疑いたくもなる。

「……何故、貴女まで居るのかしら、神城…」

「……先輩に誘われたからだ、杜崎…」

すっげぇギスギスしてる空間あり。

互いにそっぽを向いた状態で殺ル気オーラを放っている沙弓と凜。

凜は和樹が皆から誘われた次の日に一緒にどう? と誘われていた。

逆に玖里子は誘う前に自分も行くと言ってきた。どこで知ったか知らないが恐ろしい。

エリザことエリザベートはそんな玖里子に憑いてきただけ。彼女は幽霊なのでチケットも不要。故に誰も気にしない。

因みにエリザ、最近はスピリット、精霊としての格が上がってきたらしく、魔の気配が弱まっていた。

後数百年で高位精霊に昇華できるだろうと紫乃も言っていたり。

その紫乃だが、エリザを見た瞬間捕獲しようとしていた。

現在も虎視眈々と狙っているらしい。その紫乃も来ると聞いて、エリザは本気で帰ろうか迷っていたりするが、玖里子に憑いていればとりあえず安心だろうと考えて彼女に憑きっぱなしだ。

で、エリザも含めて美女・美少女の集団。

当然ナンパ男や阿呆の気を引きまくるのだが、和樹達三人が虫除けになっている為声をかけてくる者は少ない。

駒野と數馬が来る前、彼らとは現地集合だったのでそれまで和樹一人と夕菜達だったのだが、その際に馬鹿数名が声をかけてきて、しかも和樹を馬鹿にしたものだからさぁ大変。

その内容は「そんな男より」とか「しょぼい男だね」とか「俺の方が数百倍よくね?」などという自分を省みないお馬鹿発言。

結果は言わずもがな。

哀れお馬鹿ナンパ男達は、路地裏の塵と成り果てましたとさ。南無〜。

その後は駒野達が合流したので声をかけてくる者は居ないが、嫉妬の視線が彼方此方から刺さる刺さる。

だが駒野と數馬にとってはただのクラスメイトで、しかも數馬は女性恐怖症。

自ら「あいつらは女じゃねぇ」と言っているだけに、優越感もなにもあったものじゃない。

和美や夕菜達に囲まれている和樹が一番視線を向けられているのだが、この鈍感マイペースが気付くか、否、気付かない。

そんな状態で、残り二人、かおりと紫乃を待つ面々。

どうやってくるのか不明だが、待ち合わせ場所に埠頭脇の駐車場を指定してきたのだから車だろう。

駅からは通り道で、会場専用の駐車場。

『ドイツ博』最終日だけに人も多いが、まだ駐車場には余裕があった。

「先生達遅いね、何かあったのかな…」

「キュゥン…」

子犬サイズのボルグを抱きしめて心配そうな声を漏らす千早。

因みにボルグ、現在紫色した子犬。足とか太いが珍しい毛色の子犬にしか見えない。

時折、額の三つ目の瞳が開いたりするが、それを除けばただの子犬だ。ふかふかなので抱き心地抜群。

流石に会場内に動物の持ち込みは禁止だが、歩く動物園、歩行移動式魔獣の檻、和樹が居れば無問題。

ボルグに関しては千早が抱きかかえられるサイズなので、リュックなどに入るし。

この愛らしい子犬姿を見て、これがあのベヒーモスだとは誰も思うまい。その為の擬態なのだし。

ボルグを出しているのは、もし千早達が例の誘拐犯達に狙われた時用。

沙弓や和美ならある程度なら大丈夫だが、千早やクラスメイト達はそうは行かない。

故に、ボルグはボディーガードなのだ。

…そう考えると、途方もなく安全な千早の周囲。子供とはいえあのベヒーモス、並の相手じゃ太刀打ち不可だ。

「あ、なんか物凄い勢いで車がくるよ」

レンズ越しに遠くを見ていた来花がこちらへ向かって爆走している車に気付いた。

その声に全員がそちらを見ると、確かに物凄いスピードの車がこちらへやってくる。

どう見ても制限速度? なにそれ? なスピード。

来花がレンズを望遠に換えて車の中を覗き込むと、そこにはイッちゃった笑みのかおりの姿。

助手席には、涼しい顔した紫乃。

「先生達だけど…ちょ、突っ込んでくるぅっ!?

来花の叫びに全員が慌てる。

言葉通り、白いスポーツカーは減速などせずに一直線。

慌てる面々の数十メートル前で、かおりが急にハンドルを切る。

嫌なスリップ音と焦げ臭いゴムの臭いをさせつつ、ドリフト走行で直付けしてくる。

ガックンッ…と反動で跳ねて、やがて動かなくなる車。

因みに止まった位置は和樹から丁度ドアが開く程度の距離。

ドリフトによって數馬の5センチ擦れ擦れの位置を車の尻で掠めていたり。

当の數馬はあまりの出来事に固まっていた。あと少しで車の尻で弾き飛ばされていたのだから。

で、呆然とする面々、数名和樹に抱き付いていたりするが、そんな面々を尻目に車のドアが開く。

「おはよう野郎ども、元気だったか〜?」

「皆さん、おはようございます」

平然と挨拶しやがった。


まぶらほ〜魔獣使いの少年〜第五話その二〜「ドイツ博で大混乱。ペット持込禁止ですよ?」〜


はてさて、集合時にちょっとしたハプニングはあったものの、無事会場入りとなった和樹一行。

各々がマップやら雑誌の切り抜きやらを取り出して、熾烈な和樹お誘い合戦を繰り広げていた。

「和樹さん和樹さん、このドイツ御当地料理博に行きませんかっ?」

「あ、あたしも行きたい〜っ」

「そんなのより式森、このドイツ密教博に行かない? ほら、怪しい宗教盛りだくさんよ?」

「あんたねぇ、そんなのに式森君誘わないでよ。そんなのより、このドイツ秘宝館に行きましょうよ、ね?」

などというお誘いの言葉がetcetc……。

詰め寄ってくる女性陣の猛攻に困り顔の和樹。

因みに駒野と數馬は離れた位置で何を見るか相談中。下手に近寄るとナンパ男達のように物理的に排除されかねない。

「う〜ん、俺はどこでもいいんだけど…」

困り顔の和樹の言葉に、さらにヒートアップする面々。

和樹としては、誘拐犯のこともあるので迂闊に動けないし、狙われているのが自分だけであると断定もできない。

なので、和樹としては出来るだけ纏まって行動したい所だ。

「よ〜し、ここは一つ、担任としてあたしが決めてやろう」

「「「「「「「「「「結構ですっ!」」」」」」」」」」

得意顔で出てきたかおりだったが、和美達ににべも無く返されてちょっぴりショボーンとしている。

「あらあら、でしたら私が決定を…」

「紫乃先生が決めたら、ほぼ確実にドイツ死霊館になるから却下です」

これまた和美に返されてショボーンとする紫乃。

年長者兼保護者のはずなのに、欲望に突っ走って頼りないことこの上なかった。


「で、結局こうなるのか…」

と呟く和樹の周囲には、和美に夕菜、かおりに千早、那穂に怜子、そして玖里子&エリザと紫乃であった。

他の面々はそれぞれ二組に分かれて各会場を移動中。

お昼に中央会場にあるレストランで合流し、その後別の二組になった面々と和樹が会場を回ることになった。

終了時間まで居るつもりらしく、午前・午後・夜の予定らしい。

午前中は彼女達とドイツ美術博覧会や歴史博などを回るようで、現在そちらへと移動中。

当然和樹は和美や夕菜に腕を組まれたりして大変であるが、マイペースに対応している。

彼の頭の中を占めているのは、和美やかおりのグゥレイトォ! な胸の感触よりも誘拐犯の事である。

かおりが何か手を打ってくれているらしいが、和樹の腕を引いてウキウキとしている様子を見ると如何しても不安になってしまう。

会場に行く道すがら、露天商や売店でドイツを主としたヨーロッパ方面のアクセサリーやファッションに目を奪われる女性陣。

この辺りはやはり女の子と言った所か。若干二名ほど女の子という歳では…はっ、殺気!?

「和樹君、ほらほらこれなんてどうですか、お姉さんに似合うと思いますか?」

「あの、紫乃先生、その手に持っているチャイナ服も気になりますがその頬の赤い点は…いえ、何でもないです、大変似合うと思います」

「ほれほれ和樹、お姉ちゃんがこれ着たら嬉しいか?」

「かおり姉さん、そんな下着を持って歩かないで。と言うかその手に付着した赤い液体は何なのかと問いたいですよ、問わないけど」

美人のお姉さま二人にキワドイ衣装を見せられても冷静に対応する和樹。

と言うか彼としては二人の身体に付着した赤い液体が激しく気になるところ。臭いと言い粘度と言い、恐らくと言うか確実に血である。

まぁ、誰の血かは兎も角。

「と言うか、なんでドイツなのにチャイナ服があるのよ。ほらそこ、何気なくナース服に手を伸ばさない」

「う、目敏いわね松田…」

ちゃっかり白いナース服に手を伸ばしていた怜子。秘書風ナースさんで迫るつもりなのだろうか。

と言うか、ここは本当にドイツ博なのかと問いたい。

アン〇ラの制服とか馬〇道の袴とか、どう見てもコスプレ衣装の店である。

「ふ〜ん、ドイツの生地製なのね。あんまり意味無い気がするけど…」

「風椿先輩、その制服買う気ですか…?」

口では色々言っているが、玖里子の手にはちゃっかり胸を強調するウェイトレスの制服が。

「あ、あはは、記念よ記念、他意は無いわよ?」

千早に突っ込まれて引き攣った笑みを浮かべる玖里子。その後ろではエリザが下着を物色しているが、幽霊である彼女が着れるのかどうかは不明である。

「すぴ〜…」

「あの、春永さん、その下着は色々と問題があると思うんですけど…」

眠りながら買い物籠にキワドイを通り越して既に危険としか言い様がない下着を入れている那穂の姿に、ピンクの可愛らしいワンピースを手に持った夕菜が顔を引き攣らせていた。

だが和美は見ていた。夕菜のワンピースの影に、レースでフリフリな勝負下着が隠されている事を。

まぁそんな和美も今後の為に色々買っていたが。

「ここ、絶対普通のお店じゃないよね…」

居心地の悪さを感じつつ、和樹が溜息をついていた。


「予定通り、ターゲットと鍵が来たぜ。しかし、なんだあの集団は」

「鍵に纏わりついている追っ駆けみたいな連中よ。あれでも優秀だそうだから油断しないでね」

「へいへい、肝に銘じとくよ。俺は俺で動かせてもらうしな」

「ヴィペール、貴方何をするつもりなの…?」

ドイツ博の会場、その一角から和樹達の様子を見ていた二人組み。

その片方である菫 淳子、最近葵学園に転入してきた少女。

だが今の彼女は菫 淳子ではなく、フィアールカ。

彼女の鋭い視線に、ヴィペールは癪に障る笑みを浮かべて立ち去った。

その事に顔を顰めつつも、ディステルに報告すべきか悩む彼女。

「ふぅ…私もあんな風に生きられたら気楽よね…」

楽しそうにはしゃぐ夕菜達を見て、フィアールカは一瞬だけ顔を緩め、そして喧騒に消えていった。


「そんで、とりあえず何処に行くんだ?」

「そうね、とりあえず美味しいお店片っ端から制覇よ。この日の為に毎日粗食にしてお金を貯めてきたわ」

數馬の言葉に拳を握り、ドイツ博美味い物マップと書かれたガイドブックを握るのは未空。

彼女は万年金欠だが、ここ最近はそれなりに裕福らしい。

が、それをあえて以前の状態に戻してまでお金を貯めた様子。完全に腹ペコキャラになっている。

「そうだね、特にスイーツは見逃せないねっ!」

と同じように拳を握るのは裕子。B組一の食いしん坊、異国のお菓子や料理にその腹を唸らせる。

「…俺、昼要らないかもな…」

「私も…」

さっそくアイスやらクレープやらホットドックを食い漁り始めた二人に、數馬と摩琴が胃の辺りを押さえて呟いた。

彼女達の食いっぷりを見ていれば、そりゃ食欲も無くす。

「………………ん、隠し味は少量のスパイス………それにバジル……」

一人マイペースに料理の味を記憶しているのは紗苗。B組内で上位料理上手である彼女は和樹の為に異国の料理を勉強中。

彼女達はお昼まで自分達の好奇心を満たす為に行動する予定。

約二名は食欲を満たしていたが。


所変わって、こちらは大人数の沙弓達。

女の子の興味を引く異国のファッションや化粧品などを巡りながら、午後に訪れる和樹とのデートの為の下準備をしている。

「ここのカフェ雰囲気良いわね、要チェック」

「あ、あの洋服可愛い〜」

メモ片手に会場を見て周る一子と、並べられているショーウィンドウの衣類を見て眼を輝かせるのは松葉。

この辺りはやはり女の子といった所か。見ていて微笑ましいものがある。

「やっぱりドイツ呪術博と密教博は外せないわね」

「何か良い呪いの道具とか売ってたらいいな…」

こちらは正反対な二人。言わずもがな、B組の呪術ツートップ、ケイと矢夜である。

まだ見ぬ異国の呪術に胸を高鳴らせている二人の様子は、ハッキリ言って怖いの一言。

年頃の女の子がそんな怪しげな催しに意気揚々と赴くのはどうかと。

「武器展は外せないわね。もしかしたら和樹達も居るかもしれないし」

「貴様と同じ意見なのは腹立たしいが、私もここは外せません」

対立しつつも結局は意見が同じになってしまう武闘派な二人。

こちらも女の子としてはどうなのかと思うが、もはや深くは触れるまい。

「お土産は後で買ったほうが荷物にならないから、買い物は式森君とのデートの後がよろしいかと」

「そうね、どうぜ一日居る予定だもの、午前中は見るの中心で行こう」

マップを手に確りとした計画を立てているのはB組のお姉さんこと雪江お姉さんと涼。

涼は女性相手のデートは正に百戦錬磨なのでこういった場所の歩き方も心得ている。

さり気無く雪江は買い物リストまで持っている。ここまで来ると最早主婦である。

「麻理子、どっちが式森君のベストショット撮れるか勝負よ」

「望む所よ。勝負の時間は午後もしくは夕方以降の時間帯、判定は審査員制で良いわね」

なにやらカメラ片手に激しい対抗意識を燃やしている二人。

来花も麻理子も自分の写真の腕の方が上だと証明したい様子。

被写体が和樹なのは…言わずもがなである。

「…………………………………」

そんな姦しい集団から少し離れて商品を物色しているのは駒野。

あまり近くに居て野郎に嫉妬されたくないし、かと言って離れすぎると虫除けの意味が無くなり怒られるので、微妙な距離で自分の買い物をしている様子。

「……………………これにしよう…」

台詞は少ないが、さり気無く世渡りが上手い駒野であった。

因みに彼が選んだのはドイツ博のマスコットキャラのストラップ。

姦しい女性に囲まれて買い物できないであろう和樹と、気分を悪くしているであろう數馬の為に三人分買っている。

何気なく良い男だ、駒野。影は薄いが。


「ふ〜ん、銃器も色々あるんだね〜」

陳列されているドイツの武器の数々を眺めながら呟く和樹。

ドイツ歴史博の中にある武器展内を見学中の面々。

和樹自身は銃器よりも剣などの武器を使用するので銃器類に特に強い興味は無い。

単純に普通の男の子が持つカッコいいという程度だ。

「う〜ん、やっぱりモーゼルは渋いなぁ…でもワルサーも中々…でもやっぱりH&Kが一番かなぁ…」

ブツブツと居並ぶ重火器を見ながら呟くのはかおり。

一応ウェポンを銃器にしている彼女は割とハンドガン系が好きらしい。

まぁいざとなったら肉弾戦をするのだし、あんまり大きな武器(例:PSG-1)なんて持ち運びに不便だ。

彼女はチェコスロバキアの名銃をメインアームとして使用しているので、サブとして何かが欲しい様子。

Mark23 SocomとかVP70を見ている辺り、ギミック重視で選んでいるのかもしれない。

「あ、これ家のボディーガードが使ってるわね」

玖里子が防弾ガラス製の展示ボックスに入れられたH&KのMP5K、コッファータイプを見て呟いた。

映画などで有名なMP5をアタッシュケースに入れて持ち歩けるタイプで、要人警護用の武器でもある。

一応名家なんだし、風椿家のボディーガードが持っていても違和感は無い。

ここが日本だということも、まぁ気にしないでおこう。

「山瀬さん、かおり先生って…」

「あはは…聞かないでほしいかな…」

童顔だが美人のかおりが銃器を見ながらブツブツ呟く姿は嫌でも一目につく。

自らの担任の姿に引いた感じの夕菜と、苦笑いの千早。

千早の腕に抱かれたボルグも呆れたようにキュゥンと鳴いた。

移動すると展示されている武器類が段々と古くなり、大砲やらなんやらが飾られている場所に出る。

どうやら進むにつれて歴史が古くなるようで、中央展示会場には飛行機やらなんやらの大型展示物があるようだ。

刀剣コーナーに足を踏み入れた時、和樹は突き刺さるような視線を感じた。

ゆっくりと、周囲に覚られないよいに顔だけ振り向くと、人ごみの中こちらを見ている金髪の女性の姿。

「っ!?」

その姿に瞳を見開いて身体を振り向かせるが、目の前を人が通り、過ぎた瞬間にはそこに女性の姿は無かった。

「どうかしたんですか、和樹さん?」

「え、あ…なんでもないよ」

気になって声をかけてきた夕菜に平然を装いつつ返すものの、その視線は女性が居た場所を暫く見つめていた。


和樹が女性の事を考えて思考の海に意識を沈め始めたのと同時刻、ドイツ博内で同時期に行動を起こし始めた男達が居た。

「ターゲットの捕獲及び輸送はあちらさんがやる。俺達は会場内の混乱、それにターゲットの関係者の捕獲だ」

「多少は手荒な事も許す。だが大事な商品になるんだ、あまり傷つけるなよ」

会場内のあちこちで交わされる会話。暗く、酷く腐ったイメージを抱かせるその言葉は、正に負の塊。

悪徳に捻じ曲がった者達が、その牙を光らせ獲物を狙っていた。

その事に気付いた者は、まだ居ない…。


「ふむぅ?」

最初に異変に気付いたのは、驚く事に未空であった。

都会というコンクリートジャングルでサバイバル生活を送ってきた影響か、はたまた天性の勘か、彼女は自分達に向けられている意識に気付き、クレープを口に含んだまま首を捻らせた。

「どうかしたの?」

隣で別の味のクレープを食べていた裕子が未空の様子に問い掛けてくる。

因みに彼女達、これまでに合計34個のスイーツと14個のフードを完食している。

その姿は正にフードファイター。

しかし一番ダメージを負っているのが同行している數馬だったりする。

女の子にとってスイーツは別腹と言えるほどだからまだ良いが、男の數馬には胸焼け胃凭れな光景だったらしい。

今も胃の辺りを押さえている。

「な〜んか…見られてる。しかも嫌な感じ」

探るような眼で辺りを見渡す未空。貧乏借金女王、借金取りに追われた事もあるそうで、その辺りで培った勘だろうか。

まぁ彼女もB組。追った借金取りも二度と取り立てには来なかったそうな。何があったかは謎だが。

「嫌な感じってなんだよ…うぷ」

問い掛けつつも口を押さえる數馬。軽く胃に入れた軽食がリバースしそうなようだ。

大の男が気分を悪くするほど食っているのに太らない二人。なんて羨ましい体質なのだろうか。女性限定でだが。

「なんかさ、ジロジロと舐られるような視線。まるでB組の男子どもが金を目の前にして舌なめずりしてるような…」

「……………確かに、そんな感じ……するね……」

「もしかして、B組男子がっ?」

涙目で辺りを見渡す摩琴。当然嘘泣きだが、周囲に見覚えのある人影は見えない。

家族連れにカップル、後は修学旅行か何かの学生達と、むさい男の集団程度だ。

「…………なんか、ヤバゲだな…」

數馬が気合を入れて体勢を整えるのと同時に、むさい男の集団が彼らを取り囲むようにしてやってきた。

「お嬢ちゃん達、ちょっと良いかい?」

「な、何よあんた達っ」

スキンヘッドの男が懐に手を入れつつ進み出る。

その様子に身構える數馬達。

未空の言葉にニヤニヤしたイヤラシイ笑みを浮かべて、口を開いた。

「ちょっと攫われてくれよ。男は要らないから死んでくれ」

その言葉と共に、懐から黒光りする凶器が現れる。

周囲の人々はこちらに気付いていない、認識阻害の魔法でも使われているのだろう。

男達は、これで終わりだと思っているのだろう。

普通の学生相手なら、拳銃見せるなどせずとも、強面と人数で脅せば直に怯えて言う事を聞く。

だが。だが甘かった。

彼らが普通の学生ならそれで済んだ。

だがしかし。

あの魔術師の名門で地獄の囚人監獄の異名を誇るあのB組生徒が、普通の学生であろうか、いやない!

その証拠に、數馬達は誰一人怯えてなんていない。

その表情は、隙を窺って喰い付こうとする表情。

「さぁ、大人しく―――」

男が勝ち誇った表情で言葉を言えたのは其処までであった。

散れぇっ!!!

數馬が大声を上げつつ肉体を強化させ、拳銃を突きつける男に体当たりしたのだ。

ただでさえ体格が良い方の數馬の、身体能力をフルに生かした突撃。しかも魔法で強化されたその一撃は、男の呼吸を一瞬止めるなんて容易い事。

勢いのまま吹き飛ばされ、後ろに居た男達を巻き込んで倒れる。

それを切欠に、未空と裕子、摩琴と紗苗がそれぞれ二人で左右に分かれて走り出す。

「うぉっ!?」

「ぎゃぁっ!?」

未空は立ちふさがる男の股下をスラディングで通過するとすぐさま飛び起きて男の無防備な背中に魔法を喰らわせ吹き飛ばす。

その横では裕子が手に持っていたクレープを男の顔、しかも眼に叩きつけて、さらに脛を爪先で強打していた。

倒れ、転げ回る男二人。特に裕子にやられた方は眼を押さえて「目がぁぁ、目がぁぁっ」と叫んでいる

思わず周囲の仲間が「ム〇カーーっ!?」とか叫んじゃうくらいに。

「裕子、あんた何やったの」

「魔法でクレープ硬くして投げた」

勿体無かったなぁと呟きながら走り出す裕子と、呆れ顔の未空。

食いしん坊コンビと侮る事なかれ、これでもB組女子なのだ。

「おっと、ここから先は通せんぼ――「…えい」――むぐっ!?

 げはっ、ごへっ、か、辛ぁぁぁあぁぁぁっ!?!?

未空達とは反対側に逃げた紗苗の前に立ちふさがるチャラチャラした男、見た感じヤクザの下っ端に見えるが、そんな彼の話す口に何かのビンを躊躇無く突き刺す紗苗。

突き刺された男は、喉を押さえて涙をダクダク流しながら苦しみ悶えている。

転がったビンには『THE SOURCE』と書かれていた。

良く見れば男の口の周りは赤く腫れ上がり、物凄く痛々しい。

目を見開き、苦しむ姿はあまりにもエグイ。

「………流石タバスコの3318倍………くすっ」

苦しみ悶える男を尻目に微笑を浮かべ走り出す紗苗。

彼女がなんでそんな物持っていたのか気になるが、とりあえず彼女もB組だというのが分かった。

「おおっと、お嬢ちゃんは逃がさないぜっ」

「大人しくしてりゃ俺達も乱暴はしないぜ?」

立ちふさがる男二人に、涙を浮かべる摩琴。

「うぅ、止めて、乱暴しないでください…っ」

涙ぐみ怯える姿に男達は優越感や加虐心を刺激されながら無警戒に近づいてくる。

「へっへっへ、乱暴なんてしないぜ、たっぷり可愛がってやるからよぉ」

「そうそう、大人しく言う事聞いてりゃ天国見せてやるぜ」

下衆な笑みを浮かべて近づいてきた瞬間、涙目であった摩琴の瞳がギラリと光った。

「ていっ!」

「「ぎょほぉっ!?」」

摩琴は男二人が近づいた瞬間、近くにあったブロック(展示物の重石と思われる)を手に持って勢い良く振り上げる。

次の瞬間、男にとっては聞くだけで痛いような音が響き、男二人の表情がカートゥーンチックになる。

舌が飛び出し、目も飛び出しそうな感じで叫ぶ二人。

無理も無い、ブロックが直撃したのは股間なのだから。

「ふふん、女の涙を甘く見ないことね」

ブロックを倒れてピクピクしている男二人の頭に落としつつ、涙なんてありゃしない表情で走り出す摩琴。

正に女の涙は怖いという奴であろう。ちょっと違うかもしれないが。

「全員式森の所へっ、捕まるなよっ!」

「「「「了解っ!」」」」

數馬の言葉に答え、それぞれ二人一組で反対方向へと逃げる4人。

ただの学生と侮っていた相手の行動に面食らう男達だが、すぐさまやられた男達を介抱しつつ追いかけ始めた。

「テメェこのガキ、舐めたまねしがや――げふっ!?」

「舐めてるのはそっちだろうがオッサン、B組舐めんなよっ!」

魔法で身体強化してリーダー格の男をぶちのめす數馬。

B組男子はそれぞれ差はあるが皆成績身体能力共に抜群に優秀な人間の集まりだ。

その上一般人よりも遥かに優れた魔法の使い方を知っている。

ヤクザのゴロツキ程度が普通にやって勝てる相手ではないのだ。

「まったく、式森と居ると退屈しないな」

とりあえずリーダー格だけ気絶させて逃げ出す數馬。

周囲の人々が騒ぐ中、和樹の居る場所を探して走り出す。


數馬達が襲われた同時刻、沙弓達は和樹達の居る歴史博に程近い場所で買い物をしていた。

と言っても荷物になるようなものではない、小物程度の買い物であったが。

ワイワイと姦しく買い物をしていると、黒い服を着た男が一人また一人と集まってくる。

それに比例して彼女達の周囲に居た一般客達が少なくなっていく。

「………………何か用かしら」

異変に気付いた沙弓が鋭い視線を一人の男に投げ掛ける。

その視線に顔色を変える事無く、男は口を開いた。

「式森 和樹の命が惜しければ、大人しくついて来てもらおう」

その言葉に、全員の顔色が変わる。

その様子を見て、初めて男の表情が変わる。所謂鼻で笑うという表情に。

しかし男の意識があったのはそこまでであった。

「…………和樹が…なんですって…?」

拳を振り抜いた体勢のまま静かに問い掛ける沙弓。

その拳の先には、殴られて吹き飛ばされ気絶している男の姿。

商品棚に埋まった男の姿に仲間の男達は一瞬呆然とするが、すぐさま身構える。

それに対して静かに構えを取る沙弓と凜。

帯刀許可を持っている彼女が刀を抜くのと同時に男達も拳銃、形から見て麻酔銃らしき物を取り出す。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

その光景を見てしまった子連れの母親が思わず悲鳴を上げてしまった。

そしてそれが、開戦のゴングとなった。

「剛牙・双嵐脚ッ!!」

沙弓の放つ蹴りが、それぞれ二つの嵐となって襲い掛かり、男二人を同時に蹴り飛ばす。

男は一度の攻撃のはずなのに何度も蹴られたような攻撃に倒れ呻く。

「剣鎧護法、はぁぁぁぁぁっ!」

神城特有の魔法を発動させ、切りかかる凜。

そのあまりにも速い踏み込み速度に反応できなかった男の持つ麻酔銃が真っ二つにされ、返す刀で昏倒させられる。

一応刃では切っていないが、魔法を纏わせた一撃を喰らえば骨折してもおかしくない。

「切り裂きなさい!」

「吹っ飛んじゃえっ」

一子の放つ魔法が衝撃刃となり男をボロボロに切り裂き、その後ろでは松葉の攻撃で男が宙を舞っていた。

「汚らしい手で触れるなっ」

未だに和樹以外の男が嫌いな涼の放つ電撃魔法に黒服が倒れる。電撃喰らっていた時骨が見えたのは気のせいだろう。

「フラッシュ攻撃!」

「ぐわっ!?」

麻理子の持つカメラから失明してもおかしくないクラスの光が放たれて角膜が焼けてしまう男。

「あらあら、えいっ」

目が見えなくてフラフラになった男の頭を、その辺に何故か落ちていたフライパンで殴り倒す雪江お姉さん。

笑顔でのんびりとそれをやる姿に、ちょっぴり恐怖な麻理子だったり。

「行くわよ〜、激写激写激写〜〜っ!」

ジャキンッ!と来花の持つカメラのレンズ部が異常なまでに伸び、そのレンズを男達に向ける。

シャッターを押した瞬間放たれる衝撃。なんだその大砲はと言いたい。

喰らった男達は漫画のように吹き飛び倒れる。

その光景に周囲の人たちは催しか何かと勘違いしたのかやんややんやの大歓声。

ちゃっかりお捻りを回収する人が居たり居なかったり。

「ぐ、くそ、貴様ら式森 和樹がどうなっても良いのかっ!?」

殴られて気を失った黒服とは別の黒服が叫ぶ。

男達の予定ではそろそろ和樹が捕まっている頃のため、人質になった前提で話している。

が、その男達に対して沙弓達が浮かべるのは失笑と嘲り。

「馬鹿ね、和樹があんた達なんかにどうこうされる訳ないでしょう」

「そうだ、貴様等が先輩を捕らえるなど私達に勝つこと以上に無理だろうしな」

凜の冷たく鋭い視線に威圧される男。

彼女の言うことは尤もだ。何しろ体内、正確には魔力内に多くの魔獣を住まわせ、子供とは言えベヒーモスに守れらている男。

相手をするには魔法旅団とかプロを呼ばないと相手にならないだろう。

一応男達もプロなようだが、レベルが低すぎた。

「くそっ、応援を呼べ、武器も使ってもかまわん、殺せっ!」

沙弓達の態度に切れたのか、叫ぶ黒服。

意識のある男達が懐から拳銃を取り出すのを見て、身構える沙弓達。

やがて入り口や通用口から黒服の仲間らしき連中が次々に現れる。

「さぁ、これで形成逆転だな」

「く…っ」

男の言葉に顔を顰める沙弓。

流石に本物の武器相手では、沙弓や凜は兎も角、涼や一子達が危険だ。

包囲された今の状態では下手に動けば蜂の巣にされてしまう。

「よくも暴れてくれたな、お礼にたっぷりと仕返しさせてもら――ぐぺっ!?

勝ったつもりでいる黒服が突然奇声を上げてガクガクと人形のように動きだした。

その様子に黒服の仲間が呆然としていると、黒服が突然手に持った拳銃を仲間に向けて発砲した。

「ぎゃぁぁぁっ、な、なにしやがるっ!?」

「気でも狂ったかっ!?」

脚を撃たれた男が痛みを堪えながら銃を向けると黒服は「ぎぺっ、ごぺっ」と奇声を発しながら無茶苦茶に拳銃を撃ち始めた。

銃が本物である事を知り逃げ惑う一般客と、何が起きたのか分からず呆然としている沙弓達。

しばらくすると、黒服が気を失ったかのように崩れ落ちた。

「な、なんだ、何が起きたっ?」

「おいテメェら、何しやがったっ!?」

黒服の仲間は沙弓達が男に何かしたと思ったのか拳銃を向ける。

が、突然金縛りにあったかのように身体が動かなくなる。

「が…ぎ…うごけねぇ…っ」

「な、なんなんだ…っ」

動けず呻く男達。その問い掛けは沙弓達の方が聞きたかった。

「ふふふふ、どうかしら私達の呪の効果は?」

が、答えは上から聞こえてきた。

吹き抜けになったフロアの上から聞こえるのは、クラスメイト、しかも呪術に関してはトップを誇る少女の声。

「呪の金縛り、時間がかかったけど、その分強力…」

その相方の呪い少女の声。

これだけで沙弓達は何が起きたのか理解できた。凜は訳が分からずキョロキョロしていたが。

「諏訪園と千野だったのね。相変わらず呪に関しちゃ最強よね…」

「そう言えば居なかったわね、どこ言ってたの?」

一子と松葉の言葉にふふんと得意顔をしつつ階段を下りてくる二人。

「ちょっとお手洗いにね。戻ってきたらこの状況、正直ビックリしたわ」

「呪をかけるのに時間がかかっちゃったけど、間に合って良かった…」

「ありがとう、今回は助かったわ」

B組において呪術ではトップレベルの二人の束縛魔法と呪の重ね掛けによって全く動けない襲撃者達。

何時まで経っても警備員等が来る気配がないのでどうしたものかと考える面々。

その時、気絶していたはずの一人が目を覚まし、懐に手を入れる。

距離が離れていたので気付くのが遅れた沙弓と凜。

二人が反応する前に、男は懐から取り出した拳銃の引き金を――――


「…………………させん…」


――引けなかった。

倒れている男の傍に突然現れた駒野の脚が男の腕を踏み抜き、痛みに拳銃を落としてしまう。

「…………寝ていろ」

そのまま鳩尾を爪先で蹴り上げ、昏倒させる。

彼のクールで無駄のない動きに女性陣がおお〜と歓声を上げる。

その歓声に照れているのかそっぽを向きつつやってくる駒野。

「助かったわ駒野君。ところで何処に居たの?」

「………………トイレだ」

ポツリと呟く一言に空しい空気が流れる。

駒野 智和、美味しい登場だがいまいち活躍できないキャラだった。

「と、とりあえず、こいつらどうしましすか?」

気を取り直した凜が動けない男達を指差しながら全員に問い掛ける。

これほどの騒ぎになったのに、未だ警備員が来ないのは流石におかしい。

周囲には隠れている一般客も居るので、最低でも誰かが連絡しているだろうし。

動けない男達、倒された連中も含めて21人。

どうも人には言えないことをしている職業関係者らしい。

「とりあえず、警察に任せたほうが楽だけど、また襲われたら嫌だわ」

「そうなると、私達で如何にかするしかないわね。和樹が心配だし、一度合流しましょう」

沙弓の言葉に頷いて全員が移動しようとした時、正面ゲートから何やらケースを大量に持った男達が入ってきた。

次の瞬間、男達はアタッシュケースやギターケースなどから重火器を取り出し、沙弓達に向かって発砲する。

「隠れてっ!!」

沙弓の言葉に、素晴らしいまでの反射速度で物陰などに隠れる面々。

魔法で防御壁を張りつつ、柱や壁、ショーウィンドウなどの下に隠れる。

発砲してきた連中は、先ほどの連中と違い統率のとれた動きで迫ってくる。

「どうなってるのよ今日は…和樹、皆、無事でいなさいよ…」

頭の上を掠める銃弾に身を屈めつつ、沙弓は和樹達の身を案じていた。


時間は少し巻き戻り、他の二組が襲撃された同時刻。

和樹達は歴史博の会場にある休憩スペースに居た。

売店で売られている飲み物を飲んだりしながら、次に見に行く物を決めている様子。

「ねぇ、夕菜ちゃん遅くない?」

トイレに行っている夕菜と同じくらいにトイレに行った玖里子が時計を見ながら言った言葉に、確かにと頷く和美。

時間にすれば5分そこらだが、少し遅いと思っても仕方がない。

汚い話だが大ではないだろうし、小なら時間がかかっている。

「もしかしたら体調が悪いのかも…もしくはメイク直しかもしれないし、私見てくるわね」

「うん、もう直面白そうな催しがあるから早くね」

和樹に言われて、「OK」と可愛くウィンクしつつトイレへと走る和美。

トイレの前までたどり着くと、そこには何故か清掃中の立て札。

それに首を傾げる和美。先ほど彼女が利用した時はこんな物なかったのだ。

ふと、嫌な予感を感じる和美。

慌てて中へと入ると、そこには黒い服の男女達に囲まれ、気を失っている夕菜。

「夕菜ちゃんっ!? あんた達、何して――(プスッ)――る…の…よ……」

得意の魔法である九龍鞭を放とうとした和美の首筋に、細い針が刺さる。

意識に霞がかかり、倒れこむ和美の視界に、見た事のある顔が入り込む。

「余計なおまけがついたけど、とりあえず第一段階は作戦成功ね。連れて行きなさい」

黒服の男達に命じているのは、つい最近クラスメイトとなった少女。

「すみ…れ…じゅん…こ……」

「そうよ、おやすみなさい松田さん。ふふふ…」

彼女の笑い声を聞きながら、和美の意識は深い闇に沈んだ

(助けて……和樹………っ)

愛しい男の名前を心で叫びながら…………。


続く。


あとがき

皆様お久しぶりです、前回の投稿から約2ヶ月とちょっと…長々と停滞しておりました(汗)
理由としては新生活とかPC事情とか色々なんですけど、何よりも文章を打つ時間がなかったのが痛かった(何)
ちまちまと書きながら何とか投稿、しかし駄作、駄目だこりゃ(マテ)

さて、ついにドイツ博内で事件発生。
やたら多い敵さんたち、追われるB組生徒、敵の手に落ちた夕菜&和美。
これから先どうなるのか私にも不明です(マテ)
とりあえず、次回は物凄く壊れることになるかと(何)
言える事は一つ、夢の共演とでも…(オイ)

あぁ、今回召喚獣ボルグしか出てないし…orz


では、久しぶりのレス返しであります。


D,様
はい、外伝突入、これが終わったら修学旅行かメイド編の予定だったりします。
フィアールカに関しては…あえて触れません(何)
ただ言えることは、私は女性キャラを貶めることができない男であると…(マテ)
伊庭ファイルの中身ですか、ゲームのセーブデータとか色々です。
でもプロテクトがかかったフォルダ内にはうわなにをするやめ(ry


アト様
お待ちしていただいてありがとうございます、またも待たせてしまってすみませんですorz
今回はノーガールノークライですね、私も偶に素で間違えますが(何)
と言うか、アージの方は半分しか読んでいないという正に外道な私です(マテ)
大人しい夕菜、この先どんどん大変な目に遭う予定です(何)


ゆん様
そうですね、かおりの駄目教師はデフォですよねw
ついでに駄目お姉ちゃんにもなってもらいまうわなにをするやめ(ry

和樹の虜になっている敵さん、どう動くのか私にも予想できません(何)
とりあえずヴィペールが脱ぐとだけ言っておきます(マテ)


ヒロヒロ様
そうですね、バジリンもありですが、石化させたらHGな石像が出来上がっちゃいますねぇ(汗)
ヴィペールに腰振りをさせようと考えている私はもう駄目でしょうか(何)


なまけもの様
檻の説明をちょっと間違えましたね、同室というより同フロア、お隣さんの方が正しかったですね(汗)
リーチェは健気で尽す系の妖精さんです。
フィアールカについてはまだ何とも言えませんが、ヴィペールは落ちている、むしろ堕ちている状態ですw
紫乃先生の活躍は待て次回と言った感じです(何)
モフモフ動物、次に登場するのはあのモフモフです(マテ)


REKI様
和樹の召喚獣は基本的に仲良しです。一部、種族的に仲が悪いのも居ますが(何)
頬にピトっ…あとは頭の上や肩に座ってスリスリですか?(何
どちらも女性陣の対抗意識を刺激することでしょう、もしくは微笑ましい?(マテ)


千葉憂一様
ねちっこい感じのHG相手に、どこまでマイペースを貫けるかが勝利の鍵です(違)
お姉ちゃん連合…相手にしたらそれこそ身の破滅ですねぇ(汗)
えぇ、彼女ならノーミスどころかボムすら使わずにクリアだって…(何)


京様
楽しく読んでいただいて幸いであります。
ヴィペールさん…実はドイツ博内でベンチに座って「や ら な い か」をやらせようかどうしようか迷っている私が居ます(何)
やったらやったで色々ヤヴァイですが(汗)


まおー様
壊れキャラマンセーな私が書いているお話ですからw
やまじゅんネタは色々な場所で使われていたので、私も使いたくなりました(何)

なるほど、ヘルハウンドがヘルケルベロスに…これは良いネタ頂きました、是非使わせて頂きます。
ちょうど和美主役の閑話を考えていたので、そこで使わせて頂こうと思いますです。


いぶすき様
ブギー〇ップ…呼んだとして、HGに対抗できるのかが問題ですね(何)
何せHGですから(マテ)
人類の敵といえば彼(彼女?)の出番ですし、滅してもらえば色々楽かもしれませんねぇ(コラ)


ダイ様
和樹君は犬猫どちらでも好きな方ですが、犬系が多いのが現状です。
一応、猫系の召喚獣も居るのですが、未だ出番なし(何)
三毛猫は遺伝的に本来は雌だけですからね、当然雌ですw

伊庭フォルダについては触れてはいけません、頭に風穴開いちゃいますから(何)
でも実は中にはうわなにをするやめ(ry

B組女子(あと男子二人)、ヤクザのような連中相手に大奮闘。
人間相手なら彼女達も負けませんよw

玖里子さんのカード化ありがとうございます、しかし玖里子さんって影が薄いというか、扱いが不遇と言うか…まぁ私の話でも出番がすく なうわなにをするやめて(ry
実は純情な彼女がどこで巻き返しを見せるかがミソですね(何)

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