「城戸、おい、目を覚ませ!真司!」
ああ…誰かが呼んでいる。
この声は親友の蓮の声だ。必死で呼び掛けてくれてるんだろう…
でも今の俺にはその大きな声も微かにしか聞こえない。
「蓮…俺は闘いを…止めた…い…」
その声に応えるように最後とも言える力を絞り、蓮に願いを託す。
「だったら生きてその願いを叶えろ!死ぬな!」
ああ、そうだな。まだ…優衣ちゃんの事も……
あの女の子の事も……
でも…もう目が暗くなってきた……
「死」が俺に迫ってくる……蓮、お前ならきっと、あの『男』を止めれる…
頼む、止めて……くれ…彼女の兄を……
『私は間違っていた……のか…』
俺、秋山 蓮は目の前のライダーを一瞥した。
ぼろぼろの黄金の鎧を着込んだ、俺の妹とも呼べた彼女の兄…
「妹を思うことは悪いことじゃない。」
俺はゆっくりとファイナルベントのカードを装填する。
『ならば…何故……』
「お前は一定のラインを超えてしまったんだ。人としての最後の…ラインを…」
【ファイナルベント】
バイザーの声と共に俺は跳躍…相棒のブラックウィングを身に纏い槍を構え奴の体に向かい突き進む。
ズドォオオオン!
「だから、あいつは死ぬべきじゃなかった。これをお前に教えるのは俺のはずじゃなかった。」
俺は爆発した後の奴の確認もせずふらふらとミラーワールドの出口に向かう。
『最後のライダーはお前だ…願いは叶えられる…』
目の前に強く発光する何かが現れる。俺はこれを不思議と『何』であるか理解した。
「これが、新しい命…?」
俺は体を引きずり、『彼女』が待つ病院へ向かう。
指輪と『命』を携えて…
あいつの手が微かに動いたのを見て、俺は……意識を手放した…
俺が最後の戦いで出来たもう一つの願い…
どうか、あの男に幸せな未来を…
同時刻 麻帆良学園 学園長室
時刻は夜の10時。いつもならもう誰もいなくなる学園長室は慌しかった。
この学園の教師のほとんどが集まり、円卓を囲んでいる。
「すみません、遅れました!」
「おお、高畑君、来てくれたか。早速じゃが会議を始める。」
高畑と呼ばれた30代ぐらいであろう男が入ると場は一気に緊迫する。
「しずな君、始めてくれたまえ。」
この学園長こと近右衛門がセクハラせず、真剣に会議を進める=かなりの異常事態だ。
「はい、先ほど、世界樹のエネルギーが一気に計測不可能値にまで上がりました。手元の資料をご覧ください。」
ざわっと場がざわめく。この地において特殊な結界のエネルギー源ともいえるあの樹が唐突にエネルギーを放出したのだ無理もない。
「あのっ…!」
そんな中、少年ともいえるこの子供…ネギ・スプリングフィールドが挙手する。
「何かな、ネギ君?」
学園長が発言をするようにネギに声をかける。
「それならパトロールに出たほうが…」
最もである。ただの世界樹の気まぐれならいいのだが、かなりの確率で何かが侵入したと見るべきである。
「その必要はない。」
いきなり学園長室が開き、2人の少女…いや3人の少女が入室…した。
エネルギー放出時刻 麻帆良学園 世界樹近くの広場
学園長に極秘裏に依頼された二人の少女の前で、世界樹が発光している。
「マスター、計測エネルギー安定値を越えました。」
緑の髪の少女、いや正確には作られし少女…2−A生徒茶々丸が目の前の少女にそっと言う。
「ああ、信じられん。近くに居る私の封印さえも解けそうな魔力量だな…」
もう一方のアルビノと呼ばれる眼をした少女…2−A生徒エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
真祖と呼ばれる吸血鬼の彼女すら戦慄するエネルギーを世界樹は溜めているのだ。
「マスター、今計測値を不可能レベルまで計測……?…エネルギー計測値下降します…」
茶々丸は同時に後ろを振り向くと…
「どうした、茶々丸?」
エヴァンジェリンは報告を続けるように見るが……
ゴィン♪
後頭部に何かがぶつかり声にならない声を上げる。
その後頭部に落ちてきたのは………少女……だった。
その少女も意識があったのか、エヴァンジェリンの隣で声にならない声を上げて転がっている。
ボーイッシュといえばいいのだろうか?青いGジャンに白いシャツ、そしてGパンと言う格好だった。
流石に人が落ちてくるという事態に対応できない茶々丸が出した結論は…近くの泉で2枚のハンカチ浸し2人に渡すことだった…
「く……こいつが落ちてきたのか、おい!お前!」
エヴァンジェリンはハンカチで後頭部を冷やしつつ、落ちてきた少女に何か言おうと肩を掴むが当の少女は胸を触ったりズボンに手を入れたりした後、ふるふる肩を震わせている。
「お、おい、どうした?」
流石に気になったエヴァンジェリンは少女に聞こうとすると…
「……なんじゃこりゃーーーーー!」
少女は唐突に絶叫し……
「こっちの話を聞け!お前何者だ!」
エヴァンジェリンは負けじと叫び返す。
一つの戦いの英雄とも言えた者が麻帆良の地に舞い降りた。
それは幸なのか不幸なのか…誰もそれを知る由もない。
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第一話をお届けしました。
シリアスははっきり言うとここまでです(笑)
次回からは真司君にたっぷり受難と鼻血を味わってもらう予定です(爆)
ネギま!の方ですが時系列的にエヴァンジェリンとの戦いを終えた辺りになります。
流石にあの戦いの最中落ちたらまずいと思いましたので。
次回は校長との対談と真司ちゃん初めての女子寮編ですw
レス返しを
>アクセル・ウェイカーさん
感想ありがとうございます♪
た、確かに、最初のは予告編でしたね。
急遽修正し、こちらをプロローグにしました。
男であると色々問題あるんですよ、副担任にするにしても用務員にするにしても彼ですからねえ(笑)
修学旅行編の事とかもありますし、しばし、女性化真司を見守っていただければ幸いです。