『小僧…』
一条の光すら射さぬ暗闇から、声がする。
『お前に決めた』
仰々しい声だ。
『お前に、七つの…をやる』
声が、迫ってくる。
『そして、その力でこの世で一番強くなり、…を護るのだ!』
(う…う…うわあああぁぁぁ!)
暗闇が反転し、光に包まれたかと思うと、その白の世界は瞬く間に俺を飲み込んでいった。
「…はっ!」
意識を取り戻す。そこは、電車の中だった。
「夢…か」
一人つぶやき、俺は息をはいた。
ネギま!SEED 第1話
額に滲んだ汗をぬぐうと、俺はもう一度大きく息をはいた。
(しかし、何だって今更あのときのことを…)
そして、もう一度思い出す。俺を数奇な運命に巻き込んだあのときのことを、あいつのことを。…が、運命は俺に考える時間も与えてはくれないようだ。
『次は〜、麻帆良学園中央駅〜、麻帆良学園中央駅〜』
「っ!」
アナウンスが俺を現実に引き戻した。
「…やれやれ、ゆっくり考える暇もねえか」
軽く毒づくと、一呼吸おき立ち上がる。そして程なく電車は目的地に着き、その扉を開けた。俺は電車を降りると改札を抜け、駅の外に出た。
「へえ…」
デカいな。それが最初に思った率直な感想だった。
「オッサンの言った通りってわけか」
つぶやくと、目的地に向かって歩き出す。今はまだ早朝のため人気はまばら。朝の独特な涼しげな空気の中、渡された地図を見ながら俺は目的地へと向かって歩く。程なく、目的の建物が見えてきた。
「…どうやら、ここみてえだな」
地図で近くの建物との位置関係を把握し、間違いないであろうことを確認すると、靴を脱いで建物へと入っていった。そしてある場所を目指して、地図を見ながらどんどんと進む。
「ここ…の、ようだな」
やがて、目的地と思しき部屋の前にたどり着くと、軽くふっと息をはき、コンコンとその重厚なドアをノックした。
「どうぞ。鍵は開いておるぞ」
中からそう声をかけられたので、その言葉に従い扉を開けて室内に入った。そこには、豪華な椅子に座ってこちらを見ている一人の爺さんがいた。
「あんたが近衛近右衛門か?」
不躾な物言いで訊ねる。少しは口の聞き方ってやつを勉強すべきなんだろうが、今更どうにかなるようなものでもない。
(…あいつがいたら、耳ぐらい引っ張られてたかもな)
そう思うと、自然と口元が微笑みを作りそうになっているのに気がついた。
「おお、そうじゃよ」
爺さんが答える。
「そうか、俺は…」
「いや、よいよい」
そう言うと、爺さんは俺を制した。
「君のことは伺っておるよ。ようこそ麻帆良学園へ、草薙護君」
爺さんの言葉に、俺は軽くうなずいた。
後書き
始めまして、セフィロスと申します。
こちらには初めてなのですが、どうぞよろしく。
わかる方にはわかると思いますが、これは『ネギま!』と、もう十年ぐらい前にTVで放映していた『BLUE SEED』という作品のクロスオーバーです。
『BLUE SEED』は結構好きな作品で今でも好きなのですが、どうもこれの二次創作というものを読んだことがなく、いずれ読んでみたいと思っていました。そうしたらネタが自分の頭の中に浮かんだんで、とりあえず書いてみようと思った作品です。
以前他のところに投稿していたのですが、そこが諸事情により使えなくなったので今回こちらを使わせていただこうと思って投稿させていただきました。
連載的には不定期になると思いますが、御感想いただけたら幸いです。
では、第2話で。