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▽レス始

「WILD JOKER巻1(GS+Fate)」

樹海 (2006-03-07 19:10/2006-03-08 06:21)
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 「ん………」
 朝の光が部屋に差し込む。眩しさに薄目を開ける。食欲をそそる味噌汁と思しき匂いが漂い、部屋にはカーテンを開ける人影が……。
 そこまで気付いた所ではっとして飛び起きる。そういえば夕べサーヴァントを召喚したから、今家にはあいつが…!
 「あ、起きました?」
 が、男の声とは明らかに異なる、というか少女の声に毒気を抜かれる。声のした方を向くと……そこには13、4と思しき愛らしい少女の姿があった。……うっ、結構胸大きい……じゃなくって。
 「え、ええと……貴方…誰?」
 一瞬きょとんとした様子の少女はしかしすぐに気付いたらしくにっこりと笑顔で答えた。
 「あ、そういえば直接顔を合わせるのは初めてでしたよね。私、横島おにいさまの宝具の化身、美神ひのめです」
 ちょこんと一礼した姿は本当に抱きしめたい位可愛かった。けど、同時に……宝具の化身って何!?何でフルネームがあるの!?とか色々な魔術師としての疑問が湧いてきて……口から出てきたのは……「はあ…はじめまして」なんて呆然とした色を多分に含んだ挨拶だけだった。


 『WILD JOKER巻1』


 「ジョーカー?」
 突如として出現した、サーヴァント。だが、そのクラスは私が聞いた事のないクラスだった。
 聖杯戦争は英霊を召喚し、それを既に用意された器に入れる事から始まる。この器には剣の騎士セイバー、槍の騎士ランサー、弓の騎士アーチャー、騎乗兵ライダー、魔術師キャスター、暗殺者アサシン、そして狂戦士バーサーカーの7つのクラスが設定されていると記録にはあった。遠坂の家は初期から聖杯に関わってきたが故にかなりの情報があったが、少なくとも私が解析した範囲ではジョーカーなんてクラスは見た事がない。とはいえ、私の手の甲に赤く輝く令呪の反応は彼がサーヴァントである事を示している。と、なるとこれはイレギュラークラスと考えるしかあるまい。
 出現位置のズレといい、おそらく私が何かミスをして、それ故に……実はうちの時計が今日に限って1時間進んでる事を思い出したのはこの時だった……私の場合触媒もなかったし……。それでこんな事が起きたのだろう。遠坂の遺伝とも言える『肝心要の時に大ポカをやらかす』というのが物の見事に出てしまったのだろう、内心頭を抱えたくなってくる。
 そんな事を考えていたのだが。
 「いやーあなたが俺のマスターっすか?綺麗な女性で嬉しいっす!」
 ガラクタと化した家具に埋もれたまま、そいつは酷く軽い口調で言ってきた。内心セイバーを狙って召喚したはずなのに失敗した自分にとっても腹が立ってる時でもあり、思わず睨みつけてやると。
 「ああっ、その熱い視線っ!いいっすね〜これは是非一度お互いを理解する為にも!」
 などと叫びつつどうやってか一瞬にして抜け出して飛び掛ってきたので思わずガンドをぶちかましておいた。
 「………なんなの、こいつ……」
 だくだくと血を流して倒れてるジョーカーから視線を外して溜息をつく。しかもこんな脆い……。
 「あのーいきなりこれはないんでは?」
 ……何時の間にやら平然として起き上がってた。あんたさっきまで床が真っ赤になるくらい血流して倒れてなかった?何とも非常識な……そういえばこいつもサーヴァントである以上英霊なのよね。非常識で当然か。
 「で、あんた何者よ?」
 ジョーカーの名前を尋ねる。英霊ならそれなりに有名な英雄……。
 「あ、俺、横島忠夫っす」
 ………全然聞いた事がない名前だった。どういう事?英霊じゃない?いえ、でもこの目の前の彼から発せられる力は明らかに人を超えた存在のそれだ。少なくとも魔術師を名乗る者で目の前の相手を普通の人間の範疇に数えれる者はいまい。でも……私ですら聞いた事がない程知名度がない英霊?そうすると、この目の前の彼でも英霊としては弱い部類に入るのだろうか?
 ふっと何かの感触を感じて顔を上げると、目の前に横島の顔があった。
 「大丈夫っすか?ぼーっとして……熱はないみたいっすけど」
 言われて一気に顔に血が昇る。ぼーっとしてる間に、反応がない私を心配してくれたらしい……が、思わず反射的に。
 「何するのよっ!」
 拳が出てしまった。
 「うおっ!?いや、強い霊を召喚した時は大量の魔力を消費するから体調に異変が生じる可能性が…」
 少し冷静になれば、彼がまともな事言ってるし、本当に心配してくれての事だったのが分かるのだが……この時私は魔術師にあるまじき興奮状態だったようだ。なので。
 「避けるなっ!」
 と、言いつつ回し蹴り。今度は見事に命中した、のだが。
 「し、白……フリル付……ハイレグ…」
 何故かキラキラと輝きながらサムズアップで吹き飛ぶ横島の呟きに。
 「だああああああっ、もうっ。いい加減にしなさいっ!」
 そう言って追加でストンピングかました上。
 「もういいっ!あんたあたしへのセクハラ禁止!!」
 ……使った後で思ったけど。まさか貴重な令呪を一つこんな形で使う事になるとは予想してなかったわねー……。後で落ち着いて状況振り返ったら、自分の行動に落ち込んだ。

 ……なんて事があの後あったのだが。とりあえず着替えて下に降りる。
 下では横島が朝食を作っていた。……朝の弱い私としては……起きたら先に起きてる誰かがいて、部屋があったまってて……ご飯が用意されてるって状況に少し心が温かくなった……少しだけよ、少しだけ。
 「おっ、凛さんおはようございます。ひのめ、ご苦労さん」
 そう言って、少女…ひのめちゃんか…の頭を撫でている。何だかとっても幸せそうっていうかほんわかした表情をしている。何だか傍で見てるこっちまで幸せな気持ちになってきそうだ。あの様子を見ると、横島はひのめちゃんに好かれているんだろう。
 「その子、貴方の宝具の化身って言ってたけど…」
 「ええ、さる事情でレーヴァテインに宿ってるんですよ」
 ……あまりにあっさり言われたので、思わず「ふ〜ん」と聞き流してしまう所だった。
 「ってちょっと待って!?レーヴァテイン!!??」
 レーヴァテインと言えば、北欧神話に出てくる超強力な剣だ。正に神話級。そんな物を本当に持っているとしたら……。
 「……まさか貴方の本当の名前って…『スルト』?」
 「いんえ、あれは借り物つーか貰い物つーか。ひのめちゃんは違うけど」
 まさか、と思ったが、さすがにそれは否定された。……そう、そうよね、さすがに神自体を呼び出すなんて事はないわよね……でも…だとしたらこいつ本当に何者なのかしら……神剣を借りる?そんな事が本当にありえるのだろうか……頼んでレーヴァテインと呼んでる剣を見せてもらった。実はそう呼んでるだけのただの剣なんじゃ、とか思ったが……それの宿す余りに圧倒的な力に……あたしは圧倒された。レーヴァテインかどうかはともかく、少なくとも伝説や神話級の高名な剣の一振りな事だけは間違いない。私は益々こいつが分からなくなってしまった…。
 「そういえば聞いてなかったわね。貴方何が出来るの?」
 自分のサーヴァントの能力を知らなければ、戦いようがない。敵を知り、己を知らば百戦危うからず。
 「えーとですね」
 聞いた彼の能力は正に英霊というか人を超えた存在の力だった。
 サイキックソーサー。基本的なそれですら、私の宝石魔術を十分防げる位の防御力があるようだったし、霊波刀と言いつつ自由自在に変化する力は色んな場面で活用出来そうだったし、光を利用したって幻覚も色んな場面で使えそうだった。
 更に文珠。
 最早魔法に近いとすら言えるそれには思わず怒鳴ってしまった。……いや、彼が悪いんじゃないんだけど。魔法を目指してる魔術師としてはあっさりとそれを叶えてしまえる彼に……正直に言おう、私は嫉妬したのだ。けれど、その後に付け加えられた一言に本気で頭が停止した。
 「まあ、まだまだ成長途中っすから」
 「……は?」
 ちょっと待って。普通英霊って成長しないんじゃないの?そう言うと、彼の場合本来の生より大分短い時点で死んだ為、本来の全盛期まで時間をかけて成長するんだそうだ……いや、本来なら幾ら本当の意味での全盛期より弱くても世界もそんな事しないらしいのだが、レーヴァテインという外付けの装備がさる事情からついた為にそうなったらしい。……成る程、成長しないんじゃ何時まで経っても強すぎるそれを制御出来ない状態になってしまうって事ね。 
 本来の時間よりは大分時間をかけて成長するそうなのでそういう意味ではまだまだなのだそうだ。彼曰く双極文珠とかも使えないし、文字制御数もまだまだとか言ってたが……。何だか詳しい事聞くと更に腹が立ちそうなのでやめておいた。
 とりあえず試しに文珠を使ってもらってみた。
 魔力の消費が矢張り夕べ彼が言った通り激しかったのだろう、酷くだるい。
 ……それが彼の『回』『復』の文珠だけで一気に楽になってしまった。つくづく非常識な奴…。まあ、お陰で学校に行くのに問題ないレベルにまで回復したのは助かるので一応感謝しておく。
 
 ……ちなみに朝食はそれなりに美味しかったと言っておく。本人曰く、生前の生活が苦しかったので知り合いの女の子に安上がりの料理法とか習ってたんだそうだ。……あんた英雄じゃなかったの?

 さて、事態がどう推移するにせよ……学校はある。別に休日じゃないしね。
 そして私が学校に到着して最初に見たのは……。
 「……何よ、これ」
 学校を覆い尽くす巨大な結界だった。
 「あ〜こりゃ……性質悪そうな結界っすね」
 霊体と化した横島が呟く。
 「分かるの?」
 「なんつーか、危なそうな感じは伝わってくるもんで」
 それはそうでしょうね。私もこれが真っ当な結界じゃないのは伝わってくる。

 『うーむ何故だ?』
 その隣で横島は(霊体化しているが)密かに頭を捻っていた。
 (どうかしたの?)
 心の内からひのめが声をかけてくる。レーヴァテインは普段自らの内に収納されている状態なので、直接魂に声が伝わってくる感じだ。宇宙空間のお肌の触れ合い会話というか骨伝導形式というか……。
 『ん、なーんかこの結界形式違うけど、どっかで同じようなものを体験したような感じが……』
 実の所、世界は違えど、同じメドーサと世界に定義される存在が作ったもの。それ故に火角結界と同じような気配を感じていたのだと後に納得する事になるがこの時には知る由もなかった。


『おまけ』
世界意志代理人「スルト君、ちょっと剣これこれこういう事情で貸して欲しいんだけど」
スルト「ん、当分世界を吹き飛ばす予定はないから構わんよ」


『後書きっぽい何か』
大勢の人に書き込みして頂けて嬉しいです
少しずつ頑張って続篇書いていこうと思います
Fateのソフトに関しては…とりあえず買おうとは決めました(給与入ってからになりますが)。時間かかりそうですが……。体験版をとりあえず入手したので、それで見れた部分まで進めていきたいと思います。セイバー登場の場面までにFateのソフト入手すべく頑張ります

えーと、横島のGS世界とはここは平行世界の一つという形になります。
その為、横島は本来の世界では英雄(いい英雄は死んだ英雄だけだ、の通り死んだからこそ持ち上げられまくってます。生きてる他の英雄達の影響を削ぐ為にも)
この為、ある程度本来の力を削がれていますが、新しい英雄故に記憶が新しい事と平行世界とは言え言わばホームグラウンドの地(日本)であるが故に他の英雄達に匹敵する力を持っています。

>tttさん
レーヴァテインは単体で確固たる存在を持つ有名極まりない剣の一つです
それ故に横島との繋がりが薄くても、繋がりが維持出来るとしています
言うなれば、弱い存在感しかないものは幾ら結びつきが強くても細い糸で数十本繋がってるような状態です。これに対しレーヴァテインクラスの確固たる存在であれば、繋がってるのが一本でもその一本がぶっとい超合金のワイヤーロープ並に頑丈…としています

>遊鬼さん
私も遊びたいんですが……買いたいものの、今財布の余裕がありません(しくしく
当分アニメのFateやネットでの情報収集が主体になりそうです

>陣さん
>横島最強モノ
横島は決して最強ではありません。何分修行してないので剣の扱いも我流の喧嘩殺法です。セイバーと真っ向から剣の勝負やらかしたらあっさり負けますwまあ、あくまで剣だけに絞った場合、ですが
>暴走ヴァルキリーの本体
>TRPG
アルシャードですねw井上さんの演じたイカレタヴァルキリーが登場したアレは田中天氏の演じたアレの方が印象が強くて……私もTRPGは大好きです…るるぶ置く場所が…もうないくらい一杯ありますw

>トールさん
GS側ですか……あちらはあくまで『横島が英霊となった理由』づけの為と『ひのめがいる理由』づけ、という面が強かったもので…
いきなり出しても当然ながらどこかで書かないといけないと思ったもので…

>蓮葉 零士さん
確かにレーヴァテイン自体は極めて強力です
ですが、横島は本来の伝説における持ち主ではない上、完全に使いこなせていません。ただし、ひのめの協力で暴走を起こすような事はありません
そういう意味では潜在能力はEXですが、まだそこまでの力は引き出せません。本来成長しない英霊ですが……理由は本編でどうぞ
>守護者
横島は守護者とは全く関係ありません。守護者は信仰が薄い(英雄として認識されてる割合が低い)者乃至生前に力を得る代償に死後束縛される道を選んだ者となるそうです。横島はこのどちらにも当てはまりません
中にはセイバーのように英雄としての力があるのに敢えて世界と契約した者もいますが……横島の場合、世界が『本当に久々の英霊になれる人材』をスカウトした報酬として剣とかを渡しているので(+ちょっとα)


>不思議な風さん
>覇邪丸さん
>ω・`)さん
>ふぉるさん
>どこぞの某さん
>珍魚落雁閉月封花さん
>七位さん
>無貌の仮面さん
>ryoさん
>ガガガさん
>風の演奏家さん
>ソルグレンさん
>O種さん
>通りすがりの豚さん
>王華さん
>HINOさん
ありがとうございます
希望してくださる方が多いようですので頑張って続きを書いてみる事にしました

>斉貴さん
遠坂さん以外も考えてはみたんですが、他の人ってあまり家の事情とか普段の日常とかが書かれているのが限られてるみたいだったもので
桜も間桐の家での扱いが悪いみたいではあっても、普段実際にどんな扱い受けてるのかまでは…分からなかったし…
それに、媒介が他の人は横島とはあまり繋がりないんですよね。衛宮君は埋め込まれたエクスカリバーの鞘が媒介に、アインツベルンはギリシアからヘラクレス関連の石材を、という具合に狙った相手(衛宮は偶然だが)を呼ぶ為の何かしらの媒介を用意しており、本当の意味で媒介なしでの召喚をしたのは遠坂だけのようなのです
もう一つの理由は遠坂凛ならば割かし『聖杯戦争を戦う理由』が理由なので、手段を選ばないとかそういう方向に走る可能性が低いというのもあります

>ぽん太さん
うーむ……
すいません、今回はこれで……

>meoさん
んーまあ、すぐ下のtttさんも書かれていますが
実際に横島らとひのめが出会った時点で『にーに』とか会話するようになりましたし、そういう意味では0歳ではないんじゃないかな?と思ったんですね
で、そう言われて気になって調べてみた所、赤ちゃんが言語を発し出すのは大体生後10ヶ月から11ヶ月と判明
なので一年を足して修正して2歳としてみました。どうもありがとうございました

>ジョンブリン
以前に公式設定集とかは揃えてみたんですが……まあ、そう言われる方も出るかな?とは思ってました
書こうと思ったのは、これを書いている現在放映中のFateのアニメを見て、なんですよ
アニメなんかで何が分かる、ゲームをやらずして、Fateの魅力が分かるか、と言われるならそれは仕方ないとは思ってます
とりあえずゲームそのものは近い内に買おうとは思ってます

>sigesanさん
さて、どちらになるでしょうw

>HEYさん
今は財布の余裕がないので、まずは体験版の範囲で書いていこうと思ってます
……予定外の自費出張がなけりゃなあ……

>益田四郎時貞さん
ふっ……如何に強力な装備でも使いこなせなけりゃ意味ないのですよ
一般人をF1マシーンに乗せてもまともに動かせないのと同じですね

 

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