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「転生日記7(風の聖痕+いろいろ)」

ハネぽん改め ルージュ (2005-10-05 14:16/2005-10-05 15:14)
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天竜が和人と出会って三日後の朝。


『暴力団、人権侵害で告訴』


この日の朝は、すべてのTVニュース、新聞のトップニュースがこの報道であった。


鈴を連れて帰った和人、(正確には)三咲家の行動は早かった。

次の日には鈴に被害届を出させ、メディアにも圧力をかけた。
メディアも三咲家の圧力が無くても、トップを十分飾ることのできるニュースだったので不満が出る事は無かった。


三咲家の圧力が必要になったのは、警察に対してであった。

被害届のあまりの内容に、警察がまともに対応してくれなかったのだ。

が、そこは三咲家には絶対服従である、警察上層部に圧力をかけ被害届を受理させた。


「暴力団・・・」


捨てた家とはいえ、実家の本当の家業とはかけ離れた世間の認識に和美は胸が苦しくなる。


「暴力団かぁ、用心棒に雇ってくれないかなぁ」
「終兄さんを雇ったら、冷蔵庫に鍵をかけないとダメだよね」
「余、俺はそこまで卑しくないぞ」


弟の朝食を食べながら、終は夢物語を余に話している。
兄に朝食を取られている余も、すでに慣れているのか兄の行動を黙認していた。
三咲家も終の行動を承知しているので、終の料理だけでなく余の料理も量を増やしているのだ。


「鈴の話を聞く限りでは、暴力団で十分じゃ」
「・・・」


和人達と同じ食卓で朝食を食べている天竜と鈴。
天竜は自分が思ったことをはっきりと言うが、鈴は和美がいるので自分の意見は語ろうとしない。
彼女はまだ神凪の呪縛に囚われたままなのだ。


「まあ、神凪の家業は公にはできないから。そうすると、暴力団だけが誰にも疑われない職業だったから」


落ち込む和美を見て、神凪を暴力団と発表した和人は咄嗟に言い訳をしてしまう。
無意識に、和美が悲しみ姿を見たくないと思ったからだ。


神凪の退魔の家業は公にする事ができない。
退魔を公にできない以上、神凪の生む莫大な利益を説明でき、公にできる職業で神凪にもできそうなモノは暴力団しか思いつかなかった和人。


実際、神凪が退魔以外には極道の世界以外にはないだろう。
肉体労働系ならできるかもしれないが、神凪に捜査が入れば商売道具は何も無く簡単にばれてしまう。
また、周りの住人の証言もある。


暴力団なら神凪には物的証拠(?)である、退魔に使用する刀が大量にある。
付近の住人も、神凪が暴力団だと言われれば納得するだろう。


争う声が頻繁に聞こえて来るのだから。


事実、先日から暴力団呼ばわりされている神凪からは何の反論も出ていない。

分家からは反論が山のように出ているらしいが、宗主である重悟は沈黙を守っている。
反論する事ができない事を知っているからだ。


「ぬ、お主それは余の目玉焼きじゃぞ」


抗議の声を出す天竜。
この世界の神でこそ無いが、神の一員である彼の目玉焼きに手を出す者がいたのだ。


「食べない方が悪い。
な、余」
「ちょっと可哀相だよ、終兄さん」
「同種のよしみだよ」


天竜の目玉焼きに手を出した、彼と同じく神の一員である終は悪びれた様子もなく食後のお茶を準備し始める。


「同種って」
「同種だろうが。まあちょっと違うけど、人間で言う白人、黒人くらいの差だろう」
「なんだ、同じ竜じゃないのか?」


いままで同じ種族だと思っていた和人は、その違いを終に説明するように求めた。


「精霊も炎の精霊とか、水の精霊とかに分かれてるだろう。それと同じで、俺達は大きい区分では同じ竜だけど細かい区分だと違うグループなのさ」
「細かい区分では天竜君は仏教系の神に仕えてるけど、僕達は天帝に仕えています。他にも僕達には天竜君にはある逆鱗がありません」
「本当は貧乏神様に仕えてるんだけどな」
「後は仕事場が違ったりしますね」


余の言う仕事場とは管理する世界が違う事を意味する。
通常、一つの世界を管理する方法は、三界の一界が代表して管理する方法がとられている。
三界内の交流は活発とは言え、それは管理する世界が無い者達に限られている。


それは管理する者達は、管理する世界に寄生するように自分達の住む世界を作り、その世界から世界の管理をするからだ。


その世界はある意味閉じられた世界である為、他の世界を管理する者との交流は少ない。
例外としては、三界に住んでいた頃から交流がある者とに限られている。


「それと存在のあり方も違うな」
「覚えてたんだね、終兄さん」
「…おまえ」


「良いから話せって終」


ちょっと気分が沈んでいる終の気持ちを無視し、和人はさっさと言えと言葉と目で催促する。


「和人も相変わらず冷たいヤツだな、答えを知ってるくせに」
「確認の為だ、終は勉強だけはできないからな」
「…頭悪いみたいに言うなよ」


和人もこの親友は頭が悪いとは思っていない。それは昔からの付き合いで知っている。
終は頭の回転は速いが、知識が無いだけなのだ。


「天界に属しているコイツは陰陽の存在。善にも悪にもなる可能性があり、仙界に属している俺達は中庸の存在。善にも悪にもならず、その両方である存在って事だろ」


「ちゃんと知ってたんだな、終」
「バカにしてないか、和人?」
「竜堂家の人間をバカにする訳ないだろ、殺されるのを解っているのに」


竜堂家の人間に他の兄弟の悪口を言う。それは聞いた竜堂家の兄弟の怒りに触れる行為だが、例外も存在する。それが友であり、恋人だったりする。


「まあ、中庸の存在だから終も人の食い物を勝手に食うと」
「ですね」


三界にはそれぞれあり方の違いが存在していた。
陰陽として存在する天界、中庸として存在する仙界、精霊界。


天界は陽が所属する神界、陰が所属する魔界の二つに分かれている。
他の三界は一つの世界しか無く、二つに分かれているのが天界の特徴である。


中庸として存在する仙界と精霊界の特徴は、善と悪両方を内包した存在が所属している事である。
これは世界の管理には非常に有利な事だった。


元々世界の管理とは、世界を構成するシステム上のバクとも言える怨念や邪念を祓う事にある。
これらの念が溜まる事で世界運営が上手く行かなくなり、世界が崩壊する要因になる。


さらに怨念や邪念は怨霊や悪霊、妖魔などの存在を作る事になり、さらに悪しき念を加速度的に生産する。


天界では陽の存在である神達はこの念を取り除くが、陰の存在である魔は本能的に神の足を引っ張る行動しかできない。
世界を悪しき念で満たすことが存在理由でもあるので、これはどうしようも無いのだ。


だからと言って天界は二つの存在によって世界を構成している為、神は魔の存在を消す事はできない。
それは自分達をも消す行為であり、表裏一体である為に下手をすると自分達が陰の存在になるかもしれないからだ。


そして中庸の存在しかいない仙界には足を引っ張る存在がいない。
その為に悪しき念は発生した瞬間に祓う事を可能とし、念自体の発生率も低い。
当然、悪霊や妖魔などは、おとぎ話の世界だけにしか存在を許されてない。


そして天界と違って、他の世界に遊びに行く時間がある平和で暇な世界だ。


「精霊である和人だけには言われたくない!」
「いまの俺は人間。終と同じ存在だぞ」
「嘘付け、和人の行動を見てると精霊と同じに見える」
「終が精霊という存在を知ってるとは思えんが」


和人のバカにした視線、その口調に終は彼の少ない知識を披露する。


「精霊界は無の世界と言われている。それは、精霊は一部の上級精霊以外ははっきりとした自己を持たない存在で、上位者の命令に従って行動している。
その命令する精霊王などの上位者は、その行動理由は基準がなく中庸とも言える。
しかし、気ままを本質とする精霊である以上、仕事には向かない。
最近の言葉だとニートと呼べる存在だな」


前半は教科書のような、最後の言葉だけはオリジナルな説明をした終。


「まあ、ニートって言葉が俺達をよく表してるな」


(なにしろ、世界の管理って仕事してないし)


和人が内心で精霊界の真実を思い出してしまう程、終の精霊に対する認識は正しかった。
基本的に精霊は、仕事はせずに自分が楽しいと思った事しかしない。
つまり遊んでいるだけの存在でもある。


では何故世界が維持されているのか?
中庸の世界である為に足を引っ張る存在がいない事、そして世界に精霊で溢れているからである。


勿論、溢れているだけでは意味を成さない。
精霊は自ら義務と感じている事はしないからだ。

しかし、その精霊を操り、世界を管理する仕事をしている者達がいると話が変わる。


精霊に変わり、精霊を使って悪しき念を祓う。
この存在を精霊魔術師と呼ぶ。


精霊魔術師は己を崇高な存在と考えている者が多いが、三界の住民にとっては哀れな精霊のパシリでしかない。


精霊も術者に力を貸しているのも、面白い遊びでしかないからだ。


「ホントに可哀相だよな〜精霊魔術師。管理者が仕事しないから、怨念とかの発生率も高いし」
「終兄さん、前に妖魔と戦える機会が多そうで羨ましいって言ってなかった?」
「それは何時の話だい、弟よ」


ケンカが好きで妖魔と戦う事が大好きな終としては、精霊が管理する世界は妖魔が多くて魅力ある世界である。
天界が管理する世界も戦いは多いのだが、妖魔と陰の存在である魔族の区別が終にはつかない。それに、善とか悪とか考えながら戦うのは終の趣味では無かった。


「三人とも、無言で見詰め合ってどうしたの?」


ずっと見詰め合っている三人に、和美は恐る恐る声をかけた。

「・・・」

「ちょっと気持ち悪いよ?」


ここまでの会話で、和美が口を出さないのには訳があった。


それは人ではない者達どうしが会話していたからだ。
同じ人でも言語が違うならば、会話は不可能となる。
それが違う種族だと、会話の方法すら違うのは必然であった。


「もしかすると俺達って今まで」
「念話で話していた見たいだな」
「気がつきませんでしたね」


三界の住人達の会話は基本的に、念を飛ばして意思を伝えるのが常識だ。
念を飛ばすと言う事は、それを受信する事ができなければ会話は成立しない。


成立しないばかりか、何も話していないように見える。


「もしかして、三人は噂で聞いたホ○なの?」


いまだに念話でこの事態をどうするか話している三人に、和美はトドメの一撃を放った。


その一撃が回避不能だったようで、三人は見つめあったまま(和美視点)静かに灰のように崩れ落ちていく。


この一撃は神と呼ばれる存在である三人を、奈落の底に落とす威力を十分にそなえていたのだ。


この場に念話が聞こえる者がもう一人いたが、彼は仲が良くなった女の子との会話に忙しかった。
その為に三人に念話で話している事も気づかずに、この悲劇を防ぐ事ができなかった…


おまけ

今回の敗因   礼儀正しくお互いの目を見て話していた事
        会話に夢中で周りを見てなかった事


転生日記  第6話 「○モ疑惑発生?」終


補足 妖魔と魔族の違い
 両方とも陰の存在である為に仙界、精霊界の住人には区物がつかない。
 しかし、両者は別の存在である。
両者の違いは、世界を管理する義務が無いか、世界を管理する義務があるかです。


あとがき
復活しましたw

ちょっと改名して名前がルージュになってますが、自サイトで管理人名をルージュに変えたからです

と言っても、まだまだなサイトですが

今後もこちらのサイトに投稿するかは考えてないんですが、一応自サイトでのんびりと書いて行こうと思ってますw


その前にHPをどこかのサイト様とリンクしないとダメなんですがね;;
誰もこれない状態なんで…

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