え〜〜、電波が飛んで来たんでちょこっと書いてみます。
まぶらほ……?はよ書けや。と言われそうですけど。
一糸纏わぬ姿の少女が、同じく何も身につけていない少年に跨り腰をくゆらしている。
少年よりも長身の、長い黒髪の少女の顔には、淫らな快楽と純粋な幸福が入り混じり、目には嬉し涙が浮かんでいる。
対する少年の方も、少女に少しでも強い快楽を与えようと、その豊満な乳房を揉みしだきつつ、ランダムなリズムで腰を突き上げる。
そして少女は、突き上げられる度に喜悦の声を上げ、更に少年を感じる為の作業に没頭する。
その声はだんだん切羽詰まっていく。
当然、少年の方も既に少女の肉体に酔い痴れており、何時限界が来てもおかしくない。
そして。
「し、式森君っ、わ、私っ、も、あああああああああぁぁぁあぁぁっ!!」
「も、杜崎さ、僕も、もうっ!!」
二人はほぼ同時に達し、少女は少年の上に崩れるように倒れこんできた。
「式森君、いつもありがとうね。」
二人の息が整った後、少女……杜崎沙弓は和樹に甘えるように言う。
その表情は、これ以上ないほど、と思わせるほど幸せそうだ。
「そんな……だって杜崎さんって、あの退魔行の失敗でこういう事しないと飢え死にしちゃう体にされちゃったんでしょ?
杜崎さんは友達だもん。見捨てるなんて出来ないよ。」
少年、式森和樹は間近に見える、もう見慣れたはずの沙弓の顔に、ドキドキと胸を高鳴らせながら応えた。
沙弓は古くからの退魔師の家系で、非常に優秀なため次期当主として将来を有望視され、それゆえにまだ学生の身で実戦に狩り出されていた。
そんな彼女だが、いくら優秀といっても巡り合わせ次第では敗北する事もある。
ある日彼女は、男を誑かして精を啜る淫魔相手に敗北を喫してしまった。
禁欲的な生活を送っていた彼女に、淫魔が紡ぎだす極上の快楽は致命的なものだったのだ。
しかもこの淫魔、厄介な事に絶頂に導いた女性を同類に変える力を持っていた。
幸いというべきか、沙弓は人の心を失わなかったが、あやかしに変わり果てた身で退魔の家の当主にはなれない。
彼女が杜崎家の当主となる可能性は0となり、『沙弓が当主となった暁には』と勝手な期待をしていた者達からは、なじられるようになった。
しかも、淫魔の体は貪欲に男を欲し、人の心は不特定多数の男性と肌を重ねる事を嫌悪する、この両者のギャップに苦しめられつつ飢えていった時に、助けを求めた相手が和樹だった。
事情を聞いた和樹は、戸惑いながらも沙弓を優しく受け入れ、以来毎日彼女と体を重ねている。
「それに、僕の方だって、杜崎さんみたいな綺麗な女の子とこういう事できるんだから、凄い役得だって。」
「ふふっ、ありがと。」
そう言って、沙弓は嬉しそうに目を細めた。
沙弓にとって、相手が和樹でなければならない理由は二つある。
一つは単純。彼女が体を許しても良い、と考えている男性が和樹一人しかいない事。
もう一つは、和樹が全く魔力を持たず、したがって吸精に伴う魔力の枯渇で死んでしまう事がないからだ。
最初から持ってない物を、それ以上に失う事などできないのだから、当然である。
式森和樹・生涯魔法使用回数0/残魔法使用回数0
そして、一かけらも魔力を内包していない究極の落ちこぼれにして、唯一魔力に依存せずに生存可能な人間である。
和樹達が住んでいるこの世界には、魔法が存在する。
人は生まれつき、特に何も訓練しなくても魔法が使えるのだが、その使用には厳しい制限がある。
生涯で使える魔法の回数が決められており、その回数を使い切ってしまうと灰になって死んでしまうのだ。
通常、その回数は数十回程度だが、数千、数万、更には数十万という超エリートも存在するし、逆もまた真。
そして、回数の多い物ほど社会で優遇される。そういう世の中である。
そういうと、和樹の回数0というと、社会の底辺のようにも感じられるが、さにあらず。
0という突き抜けた数値を叩き出している人間は、世界広しと言えども和樹だけ。
それに目をつけた正体不明・年齢不詳の紅尉晴明という男が、彼を魔術師のエリート校、葵学園に強制的に連れて来たのだ。
その目的はただ一つ。和樹をモルモットにする事。
……やはり底辺なのかも知れない。
さて、今この二人が睦み合っていた時間は朝である。
これは、沙弓の『朝食』なのだ。
高校生である二人は、何時までもベッドの中で幸せに浸っている訳にも行かない。
二人は一緒にシャワーを浴びると、葵学園の制服を身につけ、手短に和樹の朝食(沙弓作)を済ませてマンションを後にした。
本来、葵学園は全寮制なのだが、和樹と沙弓は事情が事情なので、紅尉の出資で近くのマンションに二人で住んでいる。
紅尉は、無理やり和樹を葵学園に連れて来ている弱みがある為、和樹の為にいくらかは便宜を図ってくれるのである。
美しく、スーパーモデルが裸足で逃げ出すほどのプロポーションを誇る沙弓と二人暮らしなのだから、当然和樹には凄まじい嫉妬が向けられる。
教室のドアを開けた瞬間に、魔法拳が飛んでくるなど日常茶飯事である。
「天誅ぅぅっ!!」
と、和樹はカウンター気味に、瞬時に取り出した巨大なコインを殴りかかってきた同級生、スポーツマン風のアジテーター、仲丸由紀彦の顔面に叩きつける。
和樹は魔法が使えないが、鉄の硬度とカウンターだったという事実、これだけあれば仲丸を沈めるには充分だった。
続いて、男子生徒達が投射系攻撃魔法を構えるが、魔法が解き放たれる前に、和樹は無数のコインを散弾のように男子生徒たちに浴びせかける。
怯んだ所を、彼等自身の投射系攻撃魔法が暴発、自滅する。
「式森君、毎回思うんだけど、一体どういう原理でコインを出してるわけ?」
「手品だから魔法と違って『タネ』がある。これしか教えられないよ。」
二人はもう何度目になるか分からないやり取りを交わした。
和樹はこの世界では珍しい、というより絶滅危惧種である手品師である。
魔法が普通に存在する世界で、あえてタネも仕掛けもある見かけ倒しに過ぎない(この世界の人間主観)手品をしようなどという輩は少なく、最早手品は遺失技術一歩手前。
しかし、見かけ倒しだろうがなんだろうが、魔法の使えない和樹には手品しかない。
その為に和樹がしている血の滲むような努力は、沙弓も間近で見ている。
そして、その結果得られた有り得ない程の器用さを持つ指先が、魔法に劣らぬ様々な芸当をやってのける事も彼女は知っている。
だから、沙弓は世間一般のように、手品を蔑むような事はしなかった。
そういう沙弓の反応は、和樹にとっても救いだった。
「式森にちょっかい出して返り討ちにされたボンクラ共。
とっとと起きて席に着け。」
ホームルームの時間。
教師というにはあまりにも似つかわしくない、ゲーマーな童顔の美女、和樹達2−B担任伊庭かおりは、欠伸をしつつ男子達にそういった。
仲丸以下、和樹を襲った男子達は、体の痛みに耐えつつ自分達の席に向かう。
その全員が席に着いた所で、かおりはおもむろに言い放った。
「もう情報の早い奴は知っているかも知れんが、今日転校生が来る。
お前達と違って真人間だから、間違ってもネズミ講や株の売買に誘って、お前達の色に染めるなよ。」
というまぶらほ。
続き書くかどうかは分かりません(汗
夕菜達が来る理由がないから、どうしようかな?とは思ってますけど。
いくら先祖が凄くても、こんな奴の血を入れるほどの度胸が、宮間家、神城家、風椿家にあるとも思えませんし……