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「司貴聖伝史(まぶらほ+ネギま+他作品)」

イグレッグ (2005-07-21 17:05/2005-07-21 20:59)
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司貴聖伝史


第四話 やって来た花嫁(後編) 


「!?って、結婚もしていないのに!?」

余りの出来事に和樹はただ驚くしかなかった。

「確かに。私と和樹さんはまだ結婚できる年齢じゃありません! だけど、気持ちだけでも夫婦の方がいいじゃないですか!」

「・・・・・・・・・・」

夕菜は自分の顔を和樹に近づけてきた。その距離はほんの数十センチだった。
こう言った経験の無い和樹は、顔を赤くし、ただ戸惑うしかなかった。

「これは一体・・・・・どうなって・・・・・んっ!?」

和樹は自分の部屋にある時計を見た。なんと待ち合わせの時間を過ぎていた。

「まずい!!」

すると和樹は眼にもとまらぬ速さで支度をはじめ着替えの入ったスポーツバッグと愛刀の入ったバッグを持った。

「ごめん! これから用事があって実家に帰らなきゃいけないんだ! その話は実家から帰ってきた後で!」

「御実家ですか!? だったら私も御一緒に・・・・・」

「いいって!」

和樹は荷物を持って、慌てて部屋を出た。すると柔らかくて弾力のあるものにぶつかった。

「あ〜ら〜、案外積極的なのね〜」

そう言いつつ和樹の頭を押さえ込んだ。それはなんと女性の豊満な胸だった。

「あなたは・・・・・確か風椿・・・・・先輩・・・・・?」

その女性は今朝、仲丸が弱みを掴もうと狙っていた葵高校の影の支配者風椿玖里子、その人であった。

「あらっ、あたしの事知ってるの? それじゃ、話は早いわそれでは早速・・・・・」

そう言うと彼女は和樹を押し倒す。

「うわっ!」

「しましょう」

床に倒され、横になった和樹の上にまたがり、マウントポジションの状態になった。

「いっ、いきなり何するんですか!?」

「何って? 気持ちいい事よ」

そう言いながら、玖里子は和樹の制服のボタンを一つずつ外し始めた。

「止めて下さい!! 人を呼びますよ!!」

「それ女の子の台詞よ」

「こんな事されたら男でも叫びますよ!!」

和樹は思った、もし、『自分の体』が万全な状態だったら、隙を見て投げ飛ばす事ができるのだが、やめた。
こんな狭い廊下の中で玖里子を投げ飛ばしたら、怪我を負わせてしまう恐れがあったからだ。

「いいじゃない。気持ち良くなるんだから」

「絶対に嫌です!!」

「嫌でもすぐ良くなるから」

「止めて下さい! マジで!」

「もう、ワガママね。あっ、それじゃあ奥さんになってあげる。それなら良いでしょう?」

「そういう問題じゃありません!!」

和樹がそう、叫ぶと、和樹の部屋の入り口で二人のやりとりを見ていた、ピンクの髪の少女宮間夕菜が髪飾りの一部を外し、魔力を集中させた。

「ダメです!! 和樹さんの妻は私です!!」

チュドオオオオオン!!

夕菜が髪飾りを媒介として魔法を発動させ、大爆発が起きた。そして和樹はその隙をついて、玖里子のマウントポジションから抜け出し、荷物を持ち、素早く外に出た。

「ふうっ、やっと抜け出せたよ・・・・・」

和樹はため息を吐きながら、先を急ごうとした。

「全く、今日は女の子に関わるとロクな事が無いな・・・・・おかげで待ち合わせの時間に遅刻だよ・・・・・早く急がないと・・・・・」

和樹が彩雲寮の門に近づくと、ほんの一瞬、殺気のようなものを感じ取った。するとその殺気を放ったのは巫女服のような道服を着た少女だった。その少女は最近、中等部に転入して来た神城凛だった。

「貴様が式森和樹か?」

「そうだけど、君は確か中等部の神城凛ちゃん? どうしてここに?」

「気安く呼ぶな!!」

和樹に名前を呼ばれたのが気に入らなかったのか、いきなり刀を抜き、和樹に斬りかかろうとした。

「おっと!!」

和樹は凛の攻撃を紙一重のかわした。

「ちっ! 外したか!!」

「外したって!? いきなり何する・・・うわああああっ!?」

突然、和樹の背中に圧し掛かってきた。彼の背中の上に圧し掛かってきたのは玖里子だった。

「捕まえた!」

「何するんですか!? 風椿先輩! 早くどいてください!!」

「あ〜ら外でやるのも燃えるじゃない?」

「いけません!! 絶対にダメです!!」

何時の間にか夕菜も駆けつけてきて、玖里子を止めようとする。

「いいじゃない。あたしの次にさせてあげるから」

「変なこと言わないで下さい! こういう事は、その・・・・・もっと・・・・・純粋なもので・・・・・心の底から男の人を・・・・・えっと・・・・・」

「愛が無くてもできるわよ」

戸惑う夕菜に対し、玖里子はあっさりと爆弾発言を言った。

「ダメです! そんなの許せません!!」

「そうだ・・・・・許せん」

夕菜と玖里子の口論に凛が乱入してきた。
そして倒されている和樹に対して刀を向けてきた。

「凛さん?」

「あら凛? アンタもいたの?」

夕菜達の様子を見ているとどうやらこの三人は顔見知りのようだ。

「お久しぶりです。夕菜さん、玖里子さん」

凛は二人に挨拶を交わすと、殺気を込めた眼で和樹を睨んだ。

「式森和樹! 貴様が我が良人なる故、貴様を調べてもらった」

「いきなり斬りかかってきて、良人は無いと思うけど?」

和樹がそう言いながらぼやくが、凛はそんな事は無視して話を勝手に進める。

「調べて驚いた、成績と運動は普通で・・・・・特技は料理、掃除、洗濯・・・・・料理は多少許せんが・・・・・それだけならまだ良しとしよう・・・・・だが!!」

いきなり刀の握り手が強くなった。

「貴様はよりによってあの悪名高き葵高校一年B組の一員!! 葵高校一年B組と言えば、金の為ならどんな汚い手段を平然とやり、自分の利益になるなら相手を平気で陥れる、最低最悪の外道集団!! 今まで犯した悪行は詐欺、博打、脅迫、金貸し、答案用紙の密売、食券偽造、そして覗きまで!!」

「そこまで調べないで欲しいけど・・・・・」

和樹は苦笑いな表情になった。和樹のクラスは金の為ならどんな汚い手段も平気でやるが、実際は空回りで終っている。それはなぜかと言うと、儲かろうとするものもいれば、それを阻止しょうと邪魔する者もいて、ほとんどはイタチゴッコの繰り返しである。それを防止するためB組協定が制定されたが守られたためしがない。

「もしかして・・・・・僕に斬りかかってきたのは・・・・・僕が・・・・・そのB組の一員だから?」

「そうだ!! 貴様のような悪党を生涯の伴侶にしなければならないからだ!! そしてそれが屈辱以外何者でもないからだ!!」

帰りの時、キックをしてきた明日菜といい、いきなり刀で斬りかかって凛といい、どうやら中等部の生徒は『葵高校一年B組』イコール『悪党』というイメージが強い。
仲丸や松田といったどうしようもない奴もいるが、ほんのわずかだが和樹のようなまともな者もいる。
しかし彼女にこんな事を言っても信じてもらえないだろう。

「だからその場で死んでもらう」

「何でこうなるの?」

和樹は何でこんな時に限って災難に遭うんだと思った。そしてそんな和樹と凛の間に夕菜が割り込んできた。

「そんな事させません!!」

「どいて下さい夕菜さん。どうしてこんな悪党を庇うんです!」

「嫌です。例え和樹さんがどんな人でも傷つける事は許しません!」

「すぐ終わる。この男の息の根を止めたら話は聞いてやる」

凛は和樹に向けて刀を構え直す。そして凛が本気だと感じた玖里子も立ち上がった。

「ほぅ、神城本家の命令を分家のアンタが無視しちゃっていいの?」

「玖里子さんも邪魔をするのなら・・・・・容赦はしません!!」

凛がそう言うと、刀に魔力を込めた光を刃に包み込んだ。
神城家の伝統技『剣鎧護法』を発動させたのだ。
対する玖里子も胸ポケットから霊符を取り出し扇状に束ねる。夕菜も髪飾りの一部を外し、魔力を集中させ戦う構えを取る。

「和樹さんは妻の私が守ります!」

3人は睨み合い、三つ巴に入ろうとしたその時、そのまん中にいた和樹が突然立ち上がった。

「いい加減にしろ!!」

和樹がそう叫ぶと、刀を入れてあるバッグから刀を取り出した。

「和樹さん?」

「何!?」

「貴様!? 刀を持っていたのか?」

三人はいろんな反応を示した。

「君達・・・・・余りおイタが過ぎると・・・・・痛い目を見るよ・・・・・」

そう言いながら和樹は刀の柄を握った。すると全身を突き刺すような鋭い殺気が放たれた。

「きゃああああっ!」

「何よ!? これ!?」

「何だ!? この凄まじい殺気は!?」

夕菜達に戦慄が走り、和樹が刀を抜こうとしたその瞬間、彼に向けて一つの火の玉が放たれた。

「はっ!?」

和樹はその火の玉を難なくかわした。そして空から巨大な白い龍が現れた。その龍の頭の上には白い陰陽師の服を着た三十歳半ばの青年が乗っていた。

「和樹? どうなっているんだこれは?」

「仁宇さん!? どうしてこんな所に?」

「どうしてって? お主が待ち合わせの時間になっても全然、来ないから様子を見に来たのだが、しかし和樹が三人の女子に一同に迫られるとは意外と隅に置けないな」

「違いますって!」

仁宇と言う男は白い竜から降りて、和樹に近づき、彼をからかうような口調で話し掛けてきた。そして和樹も顔を赤くし、必死で否定しようとした。つい先程の殺気を放ったのが嘘のようだ。

「あのう・・・・・和樹さん・・・・・すいません」

何時の間にか蚊帳の外に出された夕菜が話し掛けてきた。

「ん? えっと・・・・・宮間さん・・・・・だっけ? 何か?」

「はい・・・・・和樹さん・・・・・この人・・・・・誰ですか?」

「ああ、この人は龍鳴院仁宇。父さんの古い友達だよ」

「よろしく。そしてこっちの白い龍は式神の飛龍だ」

「式神!? あれが!?」

玖里子は驚いた。こんな巨大な龍を式神として使役するとは並大抵のものではない。この男の陰陽師としての能力は高いものと思える。

「それはそうと和樹。そろそろ我等の里へ行くぞ」

「あっ、はい・・・・・」

そう言うと和樹は刀をバッグへ入れ戻して、荷物を持ち、仁宇と共に飛龍に乗った。

「和樹さん!?」

「ちょっと!? 何処行くの?」

「貴様! 逃げる気か!」

「ごめん。用事があって、実家に帰らなきゃいけないんだ。君たちの話は戻ってきたらゆっくり聞いてあげるから・・・・・」

和樹と夕菜達の話を見ていた仁宇はとんでもない事を言った。

「和樹・・・・・」

「はい?」

「この娘達も連れて行くぞ」

「えっ!?」

和樹は物凄い顔で驚いた。

「仁宇さん!? 何で!?」

「何でもだ! さあ、君達も乗った、乗った」

仁宇に勧められ、夕菜と玖里子と凛の三人は飛龍に乗った。

「どうも」

「よいしょっと」

「失礼する」

三人が乗るのを確認した仁宇は飛龍を空へ飛び立たせた。

「行くぞ! 我等司貴一族の里へ!」

仁宇はそう言いながら、飛龍に乗った和樹達と共に空へ飛んでいった。


後書き

スランプ等や色々な事情で書けませんでしたが、やっと久しぶりに更新できました。次も書けるよう努力します。オリキャラの龍鳴院仁宇(りゅうめいいんじんう)は私が出演させたかったキャラの一人です。実はこの小説、まぶらほとネギまの他にある作品もクロスしています。その作品に出てくる人物達は司貴一族の民と言う設定に出演します。その作品はネタばれにつき今はふせておきます。次のエピソードで明らかになります。感想があったらお願いします。

Dさん

和樹の両親は既に他界しています。だから夕菜はお義母様と言って
暴走する事はありません。

きりらんしぇろさんへ

明日菜のクラスはバカレンジャーが中心にB組を撃退しています。チビ吸血鬼は余りB組を相手にしていません。

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