「それじゃぁ〜〜〜、コレに向かって〜〜〜魔術？ を使って見せてくれる〜〜〜〜？」
そう言って冥香さんが取り出したのは一枚の紙、それは投げられると形を変え人型の何かになった。
作り出されたそれは動かずにジッと待っている。
第三話 イリスの魔術、
「それは式神ケント紙といってね、簡易式神を作る物なんだ。
遠慮はいらない、術が破られても大丈夫なように作られているからね」
神父の言葉に頷き意識を切り替える、作り出すものは黒鍵。
ＧＳという職業は霊体を相手にするのが基本だという、ならばこれ以上ない程役に立つ。
それに宝具のような規格外のものをぽんぽん出すと遠坂にばれた時が怖い。
同じ世界にいるかどうかは分からない、だがもし見つかれば――ブッチＫＩＬＬ――こと間違い無し。
そもそもこの身体はいいとこ中学生、腕力がないため殆んどの武器は射撃がメインになるだろう。
騎士剣だの２メートルを越すような槍だのを振るうなどできるわけが無い。
この点で黒鍵は便利だ、魔力で刀身を作るため大きさと形はある程度変えられる（大きくは変えられないが）。
なんとも不便になったものだな……さて、行くか。
――トレース・オン――
私にとって動かない的など話にもならない。
作り出すと同時に発射、一条の光となってソレは走る。
狙い違わず式神を貫く黒鍵、的は霧散し後には何も……いや、千切れた紙を残して消える。
残されたのは呆気に取られた顔の冥香さんと唐巣神父。
投影魔術が珍しかったのだろう、世界が違うわけだし。
冥子ねぇは無邪気にすご〜〜〜い、とパチパチと拍手を送ってくる。
冥子ねぇの事を形は違えど藤ねぇみたいだと思ったことは私だけの秘密だ。
つまりは結構マイペース。
魔術については実を言うと私もちょっと驚いている、いつもより消耗が少ないのだ。
実体化についても若干早くなっている。
世界が違うために法則に差異があるのだろうか？
見た目随分と似た世界だったし、前に解析で魔術を使ったときは別段おかしな事は無かったのだが。
「すごいわ〜〜〜、霊的攻撃力はかなりのものね〜〜〜〜」
「いや、大したものだねコレは……試合で使うには少々物騒だが」
霊的攻撃力がかなりのもの…当然だろう、あれは対霊体の一級の概念武装だ。
唐巣神父の言については確かに人に向けて使うものじゃないからな（人も刺せるし）、どこぞの家では普通に乱れ飛んでいたが……
まぁ、あそこは特殊だから一般と比較しても仕方が無いな。
「それならこれを使ってみてくれるかい？」
「これ、ですか？」
そういって唐巣神父が差し出してきたのは刀身を作る前の黒鍵のような棒状のもの。
どんな魔術か分からなかった以上、予め俺に使わせる武器を用意していたのだろう。
――解析、開始――
――種類・武器 棍――
――タイプ・物理衝撃及び霊体攻撃――
――霊力（俺の場合魔力）により棍を伸ばし霊波を纏わせるもの――
…これだけ分かれば何とかなるかな？ 一応武器みたいだし魔力は通せるだろう。
――キンッ！
簡単に成功、流す魔力量によってある程度威力を下げられるな……
ただ常に定量の魔力を消費するので状況によっては投影の方がマシかもな、あれは壊れない限り必要ないし。
気分は練習用の模造刀？
「うん、使えるみたいだね。
今度からそっちを使うと良い、準備が済み次第学校に行くのだから」
「……はいっ！？」
何ですと！！？
「そうね〜〜〜、女の子としての所作も覚えないといけないし〜〜〜。
落ち着いたらうちの学校の中等部に編入ね〜〜〜〜」
「ちゅ、中等部…」
まさか二十歳にもなって中等部に入る事になるとは……
夕方になって唐巣神父は帰っていった。
実際こんな時間まで付き合ってくれた事は感謝の一言に尽きる、唐巣神父も色々と忙しいはずなのに。
夜になって食事を取ると冥香さんは仕事のため部屋に籠もってしまった。
冥子ねぇに至っては”おやすみなさい〜〜〜イリスちゃん〜〜〜、また明日〜〜〜〜”と眠ってしまった。
……早くないか、まだ九時だぞ？
仕方がないので部屋に戻って色々と考える事にする。
――トレース・オン――
やたらと広い部屋の真ん中で投影する。
干将・莫耶、黒鍵、ルールブレイカー、アゾット。
準宝具 干将・莫耶は片一方だけなら強化した腕力、両手持ちでなんとか振れそう
……実戦で使えたものではない。
教会の儀式礼装 黒鍵は刀身を最低限に抑える事で片手で使えそう、元々は投擲用なので切りには向いてないし大した意味はない。
宝具 短いのって少ないんだよなぁ、俺が見たのは殆んど攻撃のためのものだからそれなりに長いのだ。
一般的な儀式礼装 遠坂のアゾット剣、少々重みがあるが他のに比べたら扱い易い、近距離はこれかな？
結局のところ宝具は当分なしだな、アゾット剣と黒鍵でやっていくしかないだろう。
アゾットと黒鍵を残し剣を片付けて明かりを消す……六道冥香、あれが母親というものなのだろうか？
記憶にない母の姿、声、日常……少しだけ恋しいのかも知れない。
翌日、すぐに書類が用意できるわけでもない。
よって冥子ねぇと中学校で必要なものや私服等を買い揃えに行った。
私の名誉と精神の安定のために黙秘するとしよう。
追記、買った私服は私が最初に着ていた服がゴスロリだったためかその多くがゴス ロリ系になったとさ……なんでさ？
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アトガキ
士郎（以下イリス）の『私』っというのは頭の中でもそう考えないと絶対に普段からも俺と言ってしまいそうなので私になっています。
説明抜けててごめんなさい。
イリスの魔術はこんな感じになりましたが、如何だったでしょうか？
神通棍を模造刀扱い、なんて贅沢な！
ではステータスを……
現在のイリスのステータス現在値内は強化時
腕力 Ｅ ＜Ｅ＋＞ 敏捷 Ｄ− ＜Ｄ＞
耐久 Ｅ ＜Ｅ＋＞ 魔力 Ｄ
幸運 Ｅ− 宝具 Ｅ〜Ａ＋＋（ただし固有結界は不可）
スキル及び備考
家事 Ａ＋ 家事仕事は大抵出来る。 しかも下手なプロより上手。（料理も含まれる）
霊的抵抗 Ｄ− 某人形師特製なので少々の耐魔力がある。 この場合一般人より少しましな程度。
空間把握 Ｃ 一度見れば正確な地図が頭の中に出来上がる、場合によっては結界も感知可能。
腕力・耐久・敏捷は通常Ｃが最大で限界の壁を突破した者だけがその先に辿り着く。
魔力に関しては人間とサーヴァントでは規格が違うのでこちらは人間バージョン。
幸運については女の子になるという未曾有の不幸のためステータスが更新された……哀れな。
固有結界？ は使えるわけないですね。 凛もいない、回路に至っては三本だけ、幾ら神秘が濃くても限界があるのです。
魔術に関してはやっぱり上昇補正を受けています、どうも霊的なものが形を取りやすい世界のようなので。
こうしてみるとイリス（士郎）ってＧＳやるより専業主婦の方が似合いそうだな。（やはり家事Ａ＋は大きい！）
もとから専業主夫っぽかったけど。（笑）
レス返し
法師陰陽師さん、
＞神父に違和感が…
やっぱりそうですか？
いや最近になって読み返し始めたんですけど中々掴めないんですよね〜
なのでしばらく神父がおかしいかもしれません。
kzyさん、
心象説明が抜けてますですか……すみません、すっかり頭から抜け落ちていました。
多くの人から違和感があると指摘されて自分の至らなさを痛感したり。
これからも頑張って精進して行きたいと思います。
アガレスさん、
投影はこんな感じになりました、当分事前に創って（誤字にあらず）用意した剣を使う事になるでしょう。
前もって知っているのは今回の三人くらいですかね？
冥子ちゃんは聞かれなければ言わないだろうし……聞かれたら答えそうなところが怖いんですけどね。
桜庭 愛さん、
時間軸については次回の予定です。
士郎はきっとこれからも色々と大切なものを失くしていくのでしょう（男として）。
でっくさん、
女学院は結局行く事になりましたとさ、めでたしめでたし。
で終わっちゃいけませんね、固有結界は登場するにしても当分先のことになりそうです。
次の次辺りに外伝で凛の事書こうかな？
アンディーブさん、
その通り！ 家事Ａ＋なんですよ、未来視のように先読みされてしまいましたよ。
士郎君は式神についてちょっと変わった使い魔程度にしか感じていません。
ただでさえやたら印象の強い連中を最初に見た上、時計塔では使い魔を常に引き連れている連中くらいいる……と思いますから。
まだ暴走させてないですし……
流石の冥子もそうしょっちゅう母親の前では暴走しないでしょう。
一人称に関しては…勘弁してください、一応思うところがあったりするのですよ。（しばらく秘密）
長さは今回はもう出来上がっていたので次回ぐらいから少し長くしていく事を目標にしてみます。
今回も読んでくださった皆様、感想をくださった皆様ありがとうございます。
ご意見・ご感想、応えられるようがんばっていきます。
ではまた次回、ＧＳなのに美神達でてないなー。
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