プロローグ
西の大国リーザスは、北の大国へルマン共和国からの独立以来、長年、戦争を繰り返していた。
両国は幾度となく戦ったが、ヘルマンとリーザスとの国境の間に高々とそびえるパラオ山脈が、大規模な軍事行動を邪魔していた。
そのため、リーザスはヘルマン軍を各個撃破することができたのである。
そして現在、リーザス王国は、王女リアのもと、温和な気候と肥沃な土地に支えられ、その住民達は豊かな国を築いていた。
そんな、ある春の日の深夜、リーザス城に、凄まじい轟音が鳴り響いた。
たちまち、城中に非常呼集のラッパが鳴り響き、笛の音の元に装具を手にした兵士達は全速で集まる。
さすが城内を警備する兵士だけあって、反応は迅速である。
そして、もうもうと立ち込める煙と瓦礫の山の中から、集まった兵士達は、信じられないものを見た・・・・完全武装の騎士達を・・・・・
騎士たちは瓦礫のそばの魔方陣からぞくぞくとが出現し続けていた・・・・
王女リア付の筆頭侍女、マリス・アマリリスは わずかな異変を感じた。
上掛けをのけて、上体を起こし、耳を澄ます・・・外からかすかにざわめきが聞こえた。
窓まで歩き、ソーッと外の様子を覗いてみた。
そこには赤々と燃える無数のたいまつが見え、辺りには剣戟が響いていた。
(敵ッ?なんてことっ!、リーザス城に侵入者を許すなんて、・・・・何者なのッ!?・・・ッ)
部屋を飛び出すと、マリスはリアの寝室に向かって、まるですべるように急ぎ足で長い廊下をすすんでいた。
静かな廊下にマリスの足音だけが聞こえている。
・・・突然、音もなく窓が開いた。
ハッとして、立ち止まる。
「マリス様、ここです」
スッと声とともに赤い人影が現れた……忍者の見当かなみだ…どうやら城内を調べに行っていたようだ。
マリスは驚いた様子も無く命令した。
「とりあえず、現在の状況を報告しなさい。」
「現在、城内は突然の侵入者にかなり混乱しており、外との連絡は完全に断たれています。連中がどうやって城内に侵入したかは不明ですが、敵の正体はどうやらヘルマン兵のようです。現在、外部との連絡を回復させるため、レイラ様達……親衛隊は一部を姫様の護衛に残し、迎撃に向かわれました。すでに戦闘が始まっています。」
冷静な口調で流れるように報告すると、かなみはいったん口を閉じて、静かにマリスの指示を待つ。
「敵の兵力は?」
「不明です……というより、現在リーザス城は、どの門も閉じており、敵味方、共に城内に孤立しているはずなのに、何故か敵兵はどんどん増えています。現在の状況では、城内からの脱出はかなり難しいと思われます」
「あなたは部下と一緒に城内を回って戦力をかき集めた後、一部を城外に脱出させ、一刻も早く救援の使者を出しなさい。その後、戦況を私に知らせに来なさい、念のためその時、リア様の影武者をつれてきなさい……いざとなれば、リア様には隠し部屋に避難していただきます」
マリスは酷薄に命じた。
「御意」
かなみは頷くとサッと駆け出した。
そして再びマリスも動き出し、廊下には誰もいなくなった。
こうして、その日から世界の動乱は始まった。
後書き
とりあえず、プロローグです。
文章書く練習しようと、初めてSS書いてみました。うーんむずかしい。
楽しみにしてもらえたらうれしいです。
改訂するかもしれないんで、その時は勘弁してやってください。