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「妖姫新妻(未定)奮戦記(クラフトソード物語)」

ばななん王子 (2005-04-16 20:40/2005-04-18 04:47)
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「という事なんですの。アマリエさま」

「あらあら。
 サッパリ解からなかったわ。シュガレットちゃん」


私のお話はスッパリとアマリエさまに切られてしまいました。


むぅ・・・・・・。


私としては懇切丁寧、大盤振る舞いで説明したつもりだったのですけど、残念ながらアマリエさまには理解してくださいませんでした。

当然ながら私のお話は大部分、99.9999999%は超偉大でステキで世界一カッコイイ私の御主人様であらせられる史上最年少で『黒鉄の鍛聖』(見習い)の位になられたクリュウさまのお話で占められています。

美しい白銀の髪。
まっすぐで真摯で、星空すらも凌駕する魂の輝き・・・・・・
それを証明するかのような真っ直ぐ向けられる麗しの眼差し・・・・・・・・・ああ・・・・・・(うっとり)


はっ・・・


いけないいけない。

アマリエさまにご説明しなければいけません。

ちょっと前まではクリュウさまのお父上にして前任の『黒鉄の鍛聖』、シンテツさまを私から奪った人として見ていましたから見るのも聞くのも近寄るのも御免でしたが、現在は言わば私のお義母さま(未定)♪です。

この方がいらっしゃらないと愛しいクリュウさまはお生まれにならなかった訳で、私はお会いする事叶わずワイスタァンはおろかリィンバウムにすら戻る事もなく霊界サプレスで漂っているだけでしたでしょう。


でも・・・・・・・・・♪

今は愛しのクリュウさまと一緒♪

邪魔なブロンさんの眼のある銀の匠合の部屋ではなく、ワイスタァン第二階層に家をもらって二人っきりのラブラブ生活です♪


あ、申し送れました。

私の名前はシュガレット。

霊界サプレス生まれのクリュウさま専用護衛獣。

あ、そしてクリュウさまの妻です♪


────────────────────────────────────────

──妖姫新妻(未定)奮戦記──
     SUMMON NIGHT−CRAFT SWORD STORY−
                    AFTER

─────────────────────────────────


「このクソガキ!! 待ちやがれ!!」

濁声を蹴っ飛ばした毒声を吐いて呼び止める男二人。


ここ剣の都ワイスタァンは武器を求める人間でいつもごったがえす。
傭兵から召喚師・・・・・・果ては召喚獣までが武器を求めに来るからだ。


この街には下手な戦士の能力を凌駕する鍛冶師達の頂点、“鍛聖”と呼ばれる存在がいた。

武器を産出する代わりに軍事力を持たない。
その代わりに鍛冶師達が街を守る為に戦う。

だから鍛冶師は並の戦士など足元にも及ばない能力を持っている・・・・・・いや、持たねばならなかった。


現在はかなり数を減らしたものの、七人の鍛聖が戦いに入るだけで軍事バランスが崩れてしまうというのだからその強さの程も知れるというもの。

現に、『黒鉄の鍛聖を』選び出す大会の折、何故か軍事帝国デグレアが軍艦で攻めて来たのであるが、病気を理由に引退していた『翡翠の鍛聖』ルマリが殆ど一人で鎮圧してしまったぐらいなのだ。

“魔人槍のルマリ”という二つ名は伊達ではないという事だろう。


そして今、この街に若き鍛聖が誕生していた。


その名はクリュウ。

前『黒鉄の鍛聖』シンテツの息子にして、史上最年少の鍛聖である。
尤も、まだ見習い中であり、正式には鍛聖となっていない。

無論、街の皆は鍛聖として認めているのであるが・・・・・・・・・。


「待てっつってるだろがっ!!!!!」


街の人間でない男には知る由もなかった。

「・・・・・・あれ? ボクの事ですか?」

とやっと振り返った少年。


腰には大きなホルダーを下げ、何本もの武器が入っている。

美しい装飾を施された大振りな剣や、棘の付いた火の気配がする斧等があり、まさかこの少年が鍛えたものであるとは誰も思うまい。


だが、“この町の人間”であれば誰でも知っている。


この年齢がやっと14にとどいた少年こそが新たなる鍛聖、
黒鉄の鍛聖、クリュウその人である。


「違いますわ。クリュウさま」


そう言って彼の肩にそっと手を置く少女。


ふわふわと身体を浮かせ、
常に彼に付き従い、常に彼を守る為に霊界サプレスからこの世界に呼び出された護衛獣──

水の妖姫にしてクリュウの妻(自称)。
名をシュガレットと言う。


「そうなの?」

「ハイ♪」


彼の事が全てのおいて優先される(というか、優先“している”)為、彼に真っ直ぐ見つめられるだけで幸せになる。


「クリュウさまは立派な殿方です。
 少なくとも“ガキ”等と言う呼称で扱われる存在では決してありません」

「でも、年齢的に言えばボクはまだまだ子供だよ?」

「ケノンさまはあのお年で奥様もお子様もいらっしゃいますわ」


ケノンというのはクリュウのいた銀の匠合とは別の、金の匠合の鍛冶師でクリュウが試合で二人目に戦った相手である。
鍛冶師の技術より戦士としての能力が高く、まだナイフ位しかまともに作れなかった駆け出しのクリュウは必死になって秘伝を覚え、何とか作ったアイアンセイバーで戦って苦労したものである。

その彼も実は妻子持ちである。

尤も、そのくらいの年齢で結婚するのはさして珍しい話でもないが・・・・・・


「それはそうだけどさぁ・・・・・・」

「それでですねぇ・・・・・・
 どうですか? 一人前のオトナとして皆様に見て頂く為に、妻帯するというのは・・・・・・?」


ポ・・・っと頬を染めてうにうにとにじり寄るシュガレット。


「え? あの・・・シュガレットさん・・・・・・?」

「イヤです・・・・・・そんな他人行儀な・・・・・・シュガレットはクリュウさまのなんですから・・・・・・何時もの様にボクのシュガレットとお呼びください・・・」

「い、いや、ボクはそんな事言った事ないし・・・・・・」

「やん♪ クリュウさまぁ〜♪」

「わ、わぁっ!! こんなところで抱きつかないでよぉっ!!」

「ここじゃなければいいんですね?
 じゃあ、早く帰りましょう♪ 私達のスゥイートルームへ♪」


町の住人からすれば見慣れたものであり、何時もの事だ。

妙に軽いこの町の老人によっては『今日こそ年貢の納め時に20b(バーム)じゃっ!』『いやいや、今日も逃げ切るに25b!』と賭けの対象になってたりもする。


だが、“よそ者”がンな事を知る由も無い。


「っざけんなボケがぁっ!!!
 オレ達をほったらかしにするんじゃねぇっ!!!」


何気にイジケ気味の怒鳴り声であるが、クリュウとシュガレットを驚かせるに十分だ。

尤も、シュガレットにしてみれば『私達のストロベリィな時間に割り込んでこないでください 凸(`_´メ)』であろうが、そんな都合は知った事ではないのである。

「テメェみたいなガキが鍛冶師気取りってのがムカつくんだよ!!
 このオレが本当の力ってのを見せてやるからありがたいと思うんだな!!!」


「「はぁ?」」


イキナリの展開に訳が解からない二人。
そりゃ当然だろう。

ハッキリいって言いがかり以下なのだ。

だが、この男らが何をしようとしていかは何となく理解できた。

要は見た目弱っちいクリュウと戦って、“鍛聖に勝った”という名声を得ようとしているのである。


この街の人間であればンな戯けた事は絶対にしない。

まぁ、腕試しだと言って勝負を申し込む輩はいないでもないが、それだってクリュウが強い事を知っているからこそ申し込むのである。

当然ながら見た目が弱っちいだけでクリュウのその身体はイヤって程鍛えられているのだ。


特に剣の使い方に関しても、現『紅玉の鍛聖』コウレンのお墨付きだ。


「クリュウくんは私の想像より遥かに強くなっているわ・・・・・・そういう意味では嬉しい誤算だけどね・・・・・・」

「そ、そんな・・・・・・ボクはまだまだですよ・・・・・・
 まだまだ勉強も足りないし・・・・・・目標の父さんの位置だってまだ見えもしないんですから」

「うん・・・・・・謙虚になって男ぶりも上がってきたわね・・・・・・(うふん♪)」

「ちょっと姉さん!! 何やってるの(`щ´メ)!!」

「(ち・・・)」


何気にクリュウは男ぶりを上げていたのであるが、そのせいでコウレンにショタ心が芽生えて以前とは別の意味で姉妹の仲が悪い。


ともあれ、剣の使い手たる姉妹から見ても彼の剣の腕は大したものなのだ。


この町で“大したもの”という事は、世間に出れば途轍もないレベルという事である。

ハッキリ言って、実力を知らないとはいえ子供相手にムキになっている時点で男らの強さも知れるという物。

クリュウの相手などちゃんちゃらおかしい戯言である。


「どうした小僧!! その護衛獣に庇ってもらえなきゃ何にも出来ないってか?!」

「怖いんなら逃げても良いんだぜ?! オレ達は大人だから寛大なんだからよぉ」


殊更煽っているのはクリュウがキレて飛び掛ってくるのを待っているからであるが、彼は眉を顰めるだけだった。

男らの持っている武器は鉄斬刀と雷のエレメントが着いているグラディスパークだ。

そして自分の持っている“マトモ”な武器は・・・・・・

使い込んだセイントブレードと、火のエレメントを用いて打ち鍛えた幻魔の斧・・・・・・

ハッキリ言って、あの二人に使うと殺しかねない代物である。
さりとて“アレ”を使うのは可哀相過ぎるし・・・・・・・・・どうしよう?

等と男達の事を心配していると、横に立つ(とゆーか、ふよふよ浮いている)シュガレットが、クリュウが助言を求めて視線を向ける前に口を開いてこう言った。


「サクっと殺っちゃいましょう凸(―щ―メ)」

「え、ええぇ〜〜〜っ??!!」


ごっつ端的に男二人を見下して屠る事を進める同居人兼パートナー。

その時の表情は飽く迄も微笑みなのであるが、男達に向けている笑みは間違いなく作り物で能面の様。


「そんなクソくだらない事で私達の甘美な時間の邪魔をしたのですよ?
 その行為は賠死に値します。
 ですからサクサクっと殺っちゃって、とっとと二人っきりで武器の材料を探しに参りましょう♪」

「あ、あのねぇ・・・・・・“仮にも”相手はこの町の武器を持ってるんだよ? そこそこ強いと思うんだけど・・・・・・」

「ハッキリ申しまして、あのお二人の力量は最初に戦われたチェベスさま程度です。
 クリュウさまが負けようと努力されないかぎり負けたり出来ません」

「さり気無くボロカスに言ってない?」

「事実を申しているだけです」


チェベス・・・・・・というのはやはり金の匠合の鍛冶師の一人である。
大振りの無骨な剣を作り出す事からも解かる通り、結構力押しで不器用で小回りが利かない。

クリュウが最初に鍛え上げたナイフで勝てたりしたのであるからその力量も知れる。

まぁ、ナイフという素早く攻撃できる得物を持っている利もあった事は間違いないのであるが・・・・・・・・・


訳が解からずとも、男らはバカにされている事は何となく理解できた。


「ふ・・・・・・ざけるなぁっっ!!!
 オレ達を馬鹿にしやがって!!!
 テメェっ!! 召喚獣の分際で生意気だぞ!!!


鞘からシュ・・・っと剣を抜いて喚き倒す男。

状況を面白そうに見守っていた町の住人達(クリュウが負ける等とは毛ほども思っていない)は、


「75点!」
「や ありゃあ50点だろう?」
「作ったのは金の方か?」
「ったり前でしょ? 完全に外部売り出し用の数打ちモノよ? アレは」
「だよなぁ・・・・・・ブロンの方であんなの売りに出したら半殺しだぜ?」


お気楽に言いたい放題だ。

それが余計に男らをイラつかせる。


「女の・・・・・・それも召喚獣の分際で人間様の話にしゃしゃり出てくるんじゃねぇっ!!
 すっこんでろっ!!」


完璧に八つ当たりする男。
ピキっとシュガレットの額に怒りマークが浮き上がり、こーなったら自分が魔法でカタつけちゃると自分最強の攻撃魔法、ラピッズバーストの水流で押し潰してやろうとする。
だが・・・・・・


す・・・・・・


と、そのシュガレットの前に手が出されて詠唱が止められた。


「ダメだよシュガレット」

「クリュウさま?」

止めたのは自分が愛する少年だ。

無論、この少年が男達に同意するとはスライムの体毛程も思っていないが(つまり全然無い)、止めるという事は自分がやるという事ではないだろうか?

見習いとはいえ鍛聖となったあの日から他人との争いはできるだけ避けている彼である。
自分から戦おうとするとは思えなかったからだ。

だけど・・・・・・


「シュガレットが術なんか使う事ないよ。
 あの二人はボクでたくさんだよ」


彼は怒っていた。

そう、あの男達はシュガレットに八つ当たりしたのである。

童顔で子供っぽさの抜けないあどけない顔のクリュウであるが、中身はちゃんとオトコノコしているのだ。
自分の大切なパートナーの侮辱は許しておけないのである。


『いやん☆ クリュウさまぁ〜〜ん♪』


当然、シュガレットの眼はハート型だ。

クリュウ尊攘主義者であり、(自称)愛妻の彼女である。
メロメロとなるのは然るべくして起こる実情であった。

「後悔しませんか?」

「ざけるなっ!!」
「テメェみたいなガキに負ける訳がねーだろが!!」

毒を吐いて吠える男。

だが、街の者から見れば滑稽な見世物以外の何物でもない。

「父ちゃん。何であのオッサン達ってクリュウ兄ちゃんに喧嘩売ってるの?」
「そりゃあバカだからだろ?」
「クリュウちゃん優しいからねぇ・・・・・・ケンカは好きじゃないのに」
「女の子の為に戦うってのがボウズらしいじゃねぇか」
「だよなぁ・・・オイ、何分に賭ける? オレは二人だから二分だな」
「う〜ん・・・・・・じゃあ三分。フツーに戦わねぇと思うしな」
「あ、じゃあじゃあ、アタシは二分三十秒!」

ブロンのプロポーズが成功する確率程(つまり、ありえない)もクリュウが負けるとは思っていない住民は、とっとと賭けをおっぱじめていた。
当然、クリュウが勝つのにどれくらいの時間を掛けるか・・・・・・だ。

そんな皆の声が聞こえているのかいないのか、クリュウはホルダーに手を突っ込み、“ソレ”を引き抜いた。

流石に男達にこれを使うのは躊躇われていたのであるが、自分のパートナーを侮辱するのなら話は別だ。


シュラ・・・・・・・・・


彼が持つ武器の中で一番使い込み、且つ手に馴染みきっているそれ・・・・・・


あらゆる攻撃を受け止めきる恐るべき硬度!

手に馴染み切っているせいか、ナイフより軽く感じる“ソレ”!

数多の挑戦者達にとって具現化した悪夢そのもの。


其れは・・・・・・・・・


「「お、おたま??!!」」

「「「「「「「「「「出たっ!!!」」」」」」」」」」


上は男二人、下は町の住人の感想である。


そう“おたま”!!

彼が握り締めているのは台所でお馴染みの「おたま」である。

だが、只のおたまと侮る無かれ。
その「おたま」は炎の属性をもって輝いているではないか。

名は「鉄人のおたま」!
何と赤鉱石、青鉱石、緑鉱石、黄鉱石を50づつも消費し、尚且つ魔鉱石まで足さねば生み出せないのだ。
ハッキリ言って見た目はアレであるが、ヘタな上級武器に匹敵する能力を秘めている一品なのである。


「「ば・・・・・・バカにしやがってぇっ!!!」」


見た目が見た目であるから挑発効果もバツグンだ。
これに敗れた時の敗北感もスゴイのであるが・・・・・・


視覚的挑発にうっかり乗ってしまう男。

大上段からクリュウに襲い掛かってくる。

振り上げられたグラディスパーク!

雷のエレメント付きであるからか、パリパリと電気を纏った大上段からの一撃だ。
普通であればまっぷたつである。


がんっ


「な・・・・・・っ??!!」


当然のように軽く止められる雷の刃。

それも“おたま”で。


弾かれた時の感触にしてもとてもじゃないが“おたま”とは思えない程重い。


がんっ!


今度は思いっきり殴られる男。

何とか剣で受けたものの、熊に殴られたのかと錯覚するほど途轍もなく重い一撃は男の身体を浮かせて背後に飛ばしてしまう。

「ぐぅ・・・っ」

だがそれで終わらせてはもらえない。

がんがんがん、がんがんがん、がんがんがん、がんがんがん、がんがんがん、がんがんがんっ!!

三連撃が何度も男を襲う。
間隙を狙おうにも、その感覚が小さすぎて防御を解けない。

信じ難い事であるが、男の持つグラディスパークの刃が削られていっている。

このままでは持たないっ!!

「畜生っ!!」

クリュウの背後から無骨な鉄斬刀で切りかかってくる。

だが、余りと言えば余りにも遅い。


ス・・・・・・


男の眼前から掻き消されるクリュウの姿。


まさかこの少年が“あの”ルマリやコウレンに教えを請い、修業をつけてもらっている事など・・・・・・・・・知る訳が無い。


『クリュウくん?
 うん。踏み込みはまだまだ甘いけど、病気にでもなってない限りデグレアの黒騎士団程度だったら一人で戦っても負けないんじゃない?』


等とルマリが言っている等知る由もない。


ドガッ!!!


空を飛び、男の背後に着地していたクリュウが、“鉄人のおたま”で思いっきり男をぶん殴った。


一言も喋らず・・・・・・否、喋られずに地面を水平に吹っ飛んでグラディスパークを持つ男に突っ込んで動かなくなる。


「ぐ・・・・・・ぐぉ・・・・・・な、なんだそれは・・・・・・?」


身体を何とか起こすと、鉄斬刀を持っていた男がずり落ちる。
完全に気絶しているようだ。


「“鉄人のおたま”です。
 耐久度200以上の一品で、長く使える便利な調理道具です」

「んなぁっ?! た、耐久度200以上??!!」


驚くのも無理はない。

彼らが持っていた武器を二つ合わせてもまだ耐久度が足りないのだ。


「これしか手加減できる武器がありませんでしたから・・・・・・・・・
 もしこっちを使ってたら・・・・・・・・・」


シュラ・・・・・・とおたまの代わりに引き抜いたもの・・・・・・美しき白亜の剣がそこにあった。


クリュウは徐に転がっているグラディスパークを拾い上げるとヒョイと宙に投げた。

何気ない動作であったが、上の階層に突き刺さるが如く高く跳ね上がり、真っ直ぐ降りてきたそれを・・・・・・


かつん・・・・・・


何と、叩き斬った。


「な・・・・・・っ???!!!」


二つになって転がるそれ。
切り口からして、物凄い切れ味と技を窺い知れる。


男は今更ながらクリュウの幼い顔を見直し、傭兵達や騎士達の間で言われ続けている言葉を思い出していた。


───戦に勝ちたきゃワイスタァンの武器を手にしろ
    勝ち続けたいのなら這ってでも手にしろ

    その代わり、鍛聖には手を出すな
    “勝利”を産み出すモノに逆らうと敗北しかない


そう、見た目子供でも彼は鍛聖なのだ。


最高の武器を産み出す街で、最強の証そのもの一人。

黒鉄の鍛聖・・・・・・

それが彼、クリュウなのである。


残っている紅茶を喉に流し込みながら、それでも微笑を絶やさないアマリエさま。

言ってはなんですが、傍目には『話なんか聞いてませんでした。テヘ☆』な感じにしか見えません。

ですが、この方を甘く見てはなりません。

何と言ってもアマリエ様は“あの”シンテツさまの奥様です。


腹で何を・・・・・・・・・あ、いえ、
とても思考の広い方ですから油断ができないのです。


「それで・・・・・・」


ホラ来た・・・・・・
私は心の中で身構えます。


「それでシュガレットちゃんは何が言いたかったのかしら?
 何度聞いてもクリュウのお惚気にしか聞こえないわよ?」


へ?

あ、ああ確かにそうでしたわ。

やはり、一見ぽややん中身ガッチリのアマリエさまです。
よくぞお気付きになられました。

考えてみれば本題に入ってませんでしたわね。
失敗です。


「えとですね・・・・・・」


兎に角、姿勢を正して私は本題に入らせていただきました。


「クリュウさまは確かにまだ見習い鍛聖ですけど、ご立派な方です。
 自分の目標にひた走り、シンテツさまに少しでも追いつこうと武器や農具の研究は元より、武器貿易や鉱石採掘場に関しての書類に眼を通されて“鍛聖”という仕事にまで手を抜かれておりません」

「そうねぇ・・・・・・
 ちょっとガンバリ過ぎという衒いもあるけど、クリュウはがんばってるわね」


「そうなんです!!!!
 だというのに今言ったような輩が恐れ多くもクリュウさまに対して無礼な振る舞いを・・・・・・・・・・・・
 そんな事はあってはならない事なのですっ!!!!!」


私は身を乗り出させ、『ココがポイント♪』と無礼な振る舞いという箇所を強調して説明いたしました。


「ああ、でもその二人組の傭兵ってたしかコウレンさんやブロンさんに物凄く説教されたんじゃなかったっけ?」

「それはそうですけど・・・・・・・・・」


アマリエさまの仰られるとおり、あのショタ女・・・・・・おっと・・・コウレンさまとブロンさんは、『街中でクリュウにイチャモンつけて攻撃してきた』というならず者を石の板の上に重石を抱かせて無理矢理座らせ、二日間ガッチリ説教なさったそうです。

ブロンさんは大切なお友達だったシンテツさまと、今だ(懲りもせず)諦めていないアマリエさまの一人息子であるクリュウさまにたいしての暴行未遂に激怒し、
コウレンさまは・・・・・・・・・どーみても理不尽な事で文句言ってらっしゃられましたけど、ガッチリお怒りになられて永延と交代交代で説教なさっておられました。

なんだか、あのならず者のお二人にウッカリ同情してしまった程でしたけど・・・・・・・・・


因みに、やっと説教を終わらせてもらった二人に与えられた次の試練は、ルマリさまの槍付き説教だったそうで・・・・・・・・・

解放された時には幼児退行なさってました・・・・・・・・・


ま、それはどーでもいいんですが。


「つまり、シュガレットちゃんは『クリュウがもっと皆に一人の男として認知してもらいたい』のね?」


「え・・・・・・?
 あ、ああ、ハイ。そうなんです」


いきなり確信を疲れて戸惑ってしまいました。

やはりアマリエさまです。

奥が深い・・・・・・


「そろそろ必要だと思ってたから用意してて良かったわ・・・」


そう仰られてアマリエさまは台所の戸棚から陶器の壷を持ってこられました。

私の両の掌にスッポリと納まる程度の小さな白い陶器の壷です。

どちらかと言うとお茶の葉でも入っていそうな感じのものでした。


「これは何ですか?」

「これ? 催淫香よ」


「ハイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」


香?
じゃなくて?


「そろそろ奥手過ぎるクリュウもちゃんと女の子知っておかないといけないじゃないかって思うの。
 男の子がオトコに羽化したら、誰だってあの子を認めるに違いないわ。

 でも、全然知らない女の子や“商売”やってる娘に初モノもってかれたらヤでしょ?
 それにシュガレットちゃんはクリュウの許婚だし、そろそろ子供作ってもいいかな〜〜〜って」


左手の指で輪っか作って、右手の人差し指をズボズボ出し入れなさるアマリエさま。


「あ、あの・・・・・・・・・」


「シュガレットちゃんは本妻なんだから、とっとと唾つけて先手打っておかないと鳶に油気攫われちゃうわよ?」


アブラゲって何ですか?
ていうか、なんで性行為を勧めますかぁ―――っ?!

そ、そりゃあ確かに私とてオンナですから、クリュウさまに無理矢理押し倒されて無理矢理大人にされて、無理矢理孕まされる・・・・・・なんて夢のような幸せなゾッコンらぶらぶ生活を想像しないでもありません。
でも、親公認と言うものはなんだか気恥ずかしいものが・・・・・・・・・


「あ、そー言えばサナレちゃんもクリュウを狙ってたわよね?」


ぴく・・・・・・


「ラジィちゃんなんていつも言ってるみたいじゃない。
 『ボクはアニキのお嫁さんになるんだ♪』って・・・・・・・・・」


ぴくぴく・・・・・・


「ナゼかサクロさんも時々頬を染めてクリュウを見てる気がしない?」


ぶちぶちぶちぶち・・・・・・・・・


「ここは一つ、覚悟完了して孕んじゃわない?
 だったら、私も全面的にバックアップしてあげられるのにねぇ・・・・・・・・・」


右手を握り締め、人差し指と中指の間から親指を出してピコピコ動かしてらっしゃるアマリエさま・・・・・・


ぷっちん♪


とーとつに腹が決ま・・・・・・いえ、覚悟が完了しました。

当方に蹂躙の用意有りです。


「うわっかりましたぁっ!!
 不束、このシュガレット!
 見事、宇宙一大切で宇宙一カッコよくて宇宙一愛しく、ブロンさんの人権の56兆8000億倍重要なクリュウさまをコマしっ!! 押し倒しっ!! 中田氏・・・・・・
じゃない、中出しされまくって孕ませていただきますっ!!」


私はビシっと敬礼し、アマリエさまに覚悟を告げました。


ナゼかアマリエさまはテーブルの上に肘をつき、顔の前で手をお組になって、ニヤリと微笑まれました。


「・・・・・・問題ない」


スーパーにイカスセリフを頂き、意気揚々とスゥイートなルームに帰る私。

当然ながら私の手の中には例の催淫香があります。

今晩でもコレを使って・・・・・・・・・うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ・・・・・・・・・・・・


いやん♪ クリュウさまぁん♪ 後の方はダメですぅ〜♪


等とごっつ幸せな妄想の中を漂いながら空中をスキップして第二階層に向う私。


いやん♪ 内側から熱いのぶっかけされちゃう夜は迫ってくるのね♪


顔をぽっぽぽっぽピンクに染めながら、私はタイムレコードを叩き出すハイスピードでお家の前につくのでした。


「んん〜〜・・・・・・クリュウ、ごめんね〜♪」


何となく上の階層・・・・・・それも以前はサクロが住んでおり、現在はクリュウの家となっている辺りを下から見上げながら、満面の笑みを浮かべつつアマリエは一人ごちていた。


「私ね、“おばぁちゃん”って言われるのは御免蒙りたいけど、三十代の内に孫を抱くのが夢なのよ♪
 だから私の夢の礎になってね〜〜♪」


碌でもねー勝手な家族愛をほざきつつ、可愛い息子ともう直デキるであろう愛らしい孫の事を想い、アマリエは夕日が沈みゆく海に反射する光に全身を赤く染めたまま何時までも見つめ続けるのであった───


 〜POSTSCRIPT〜

どうもです。

稚拙な文章で申し訳ありません。

ナゼに今クラフトソード? と聞かれましてもお答えは出来ませんよ?
強いて言うのでしたら“なんとなく”ですから。

続きは・・・・・・皆様の反応次第ですね。いやホント。

次はえっちいかもしれませんが、ハーレムにするつもりは(今のところ)ありませんし、あくまでもシュガレット×クリュウですので一つヨロ〜〜w

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