外道 序章
注意!!
好きなキャラがイヤというか悲惨な目にあっているのは嫌だとか言う人は絶対に読まないことをお勧めします。
それを無視して読んだあと文句言われても知りません。それを踏まえて読むか読まぬか判断してください。
はっきり言って下記のキャラが好きな人には毒物のように思います。まあ、捉え方次第でしょうけど。
該当キャラ:テンカワ・アキト、ホシノ・ルリ、ラピス・ラズリ、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー
ついでに碇シンジは壊れです。
といっても序章では壊れシンジのみですが
和室に座するは2人の男、部屋の表は明るい日差しに爽やかな風だというのに部屋はドス黒い空気に覆われていた。
「では、北辰殿よろしく」
「うむ、任せられよ」
ニタリと笑った顔が冷酷な爬虫類を想起させる表情に頼んだ方は笑ったまま引きつった。
「で、では、これで」
この場にはもう居たくなどないとそそくさと初老に差し掛かる丸々と太った禿て髪の少ない男が立ち上がる。
「報酬はいつもの指定口座へ。入金を確認しだい行います」
部屋を出て行こうとする男に部屋の主、北辰と呼ばれていた者はは声をかけた。
「わ、わかっている…」
「なら、結構」
北辰は男を見送ると手元にあったお茶をすすった。
「烈山」
「はっ!」
呼び声とともにすっと部屋の主の前に人が現れた。その格好は黒装束、いわゆる忍者と呼ばれるものだった。姿だけでなく現れ方も唐突である。テレビなどでしか存在しないはずの忍者像を体現していた。
「先程の男、依頼が済み次第、静かに消せ」
北辰はただ命じた。
「諾」
シュッ!
「ふふ、腕を上げたな…」
北辰が満足げな笑みを浮かべていると部屋に近づいてくる気配を感じた。
(この気配は…)
「お師様、ただいま戻りました」
部屋の障子越しに小柄な影が映り、北辰にその影が声を掛けてきた。その声はボーイソプラノで少し幼い感じがした。
「シンジか…入れ」
北辰が直接、業を仕込んでいる愛弟子だ。
「失礼します」
スッ
障子は音もなく開かれ小さな影…7、8歳ぐらいと思われる子供が入ってきた。名前からすると少年のようであるがどう見ても見た目は少女であった。
「ふむ、その様子では務めは果たせたようだな」
シンジの顔を見てもう褒めてくださいよといった按配の表情に結果を悟った。
「はい。ここ最近の会心の出来と自負します」
その幼さに比べて確りとした言葉遣いであった。
「それに驕らず精進いたせ」
「はい、ではこれにて穢れを祓いたいので」
シンジは師匠の言葉ににっこりと破顔した。今までの経験上、その言葉は最上級とは言わぬが褒め言葉であるからだ。
「まて、次の務めだ」
「え〜、またですか?」
いきなり砕けた口調で不満を言った。
「今の貴様には毒針以外の使い道がない。それが嫌なら精進するのだな」
仕方ない奴よとほくそえんだ。実際はシンジの年齢でこなすのは難しいものだ。特に毒針などは。
毒針とは要するに暗殺である。特に普通は成人女性が閨で行う類の。
それでもやり遂げているのは素質があるからだろう。今までに色々と鍛えてきたがその中でも一番といっていいものを持っていた。それ故にこういった態度も人目につきさえしなければ許してやっている。
「なんでこう、お偉い人はお稚児さん趣味を持っているんでしょうか。歪んでますよ」
「くくく、そういうのを高尚な趣味としているのだよ(我の主もそうであった…まあ、それは仕方あるまい。お国の事情でおなごは少なかったゆえ、そういう風潮も許されるところがあったからな。我の場合は男は悲鳴であれば心地よく聞けるが流石に抱く気にはなれなんだ)」
「でも、そういう偉い人ってねちっこくって…」
「その割には楽しんでいるようではないか」
北辰はニタッと笑った。大概の人間はその笑みに不気味さを感じて顔を歪めるが目の前のシンジにその様子はなかった。
「くす、ええ、やるからには楽しまなければ。それはお師様の教えてくれた事ですよ? 何ならお師様も試して見ます?」
それどころか艶やかに笑い返した。
ぞくっ
そこにはとても十台に手が届くか届かないかという子供とは思えぬ艶やかな笑みを浮かべていた。それは何者をも虜にしようとする魔性の笑みであった。
ギュ
北辰は一瞬引き込まれ抱きしめ押し倒したい気分になるのを手を強く握り、傷つけその痛みで何とか自制を取り戻した。
(末恐ろしい奴よ…我はとんでもない逸材を手に入れたのかも知れぬ)
「…今度の標的はこやつだ。名を霧島シシト」
「へえ、戦略自衛隊の偉い人ですか。難しそうですね」
年齢の割りに幅広い知識を披露した。写真の男を見ただけでどういった人物かわかったようだった。外見に比べて恐ろしく知能が発達しており、環境のお陰で大人びても居た。それに難しいといっている割には口元に笑みを浮かべているところをみるとやれる自身はあるようだった。
「段取りは烈火、烈水がやってくれる。お前は単純に目標に近づきいつも通りにやればよい」
北辰も簡潔に行っているが実際はかなり実行には困難さが付きまとう。
「はい」
「今回の務めが無事に終われば、次の段階を教えてやる」
教材も手に入る事だしな、教育するには丁度良かろうと北辰はどうシンジを育てていくかを考え始めていた。任務に失敗することなど考えても居なかった。
「では、諾ということで」
そう言ってシンジは自分の頭をつかんだ。
スルッ
手には黒い長い髪、つまり、かつらが握られていた。それが取れただけで少女然としていたのが取れ、少年ぽく見えた。あくまでもぽくである。
「下がってよい」
「はい、あっ! そう言えばさっき、いつもの爺どもが人形いじりを終えてましたよ? 後始末はどうしますか?」
「…シンジがやれ、その後は遊んでもかまわん」
言葉だけを聞けばシンジの年齢ににあったものだが、そこに含まれたものは全然違う。
「はい、わかりました」
シンジは素直に頷くと出て行った。座っていた所にはシンジのやった務めの報告書がおいてあった。
「…………ふっ、シンジめ…」
北辰は哂った。手に取り目を通すとシンジが標的を狂わせ、妻と無理心中する様にしむけた事が書かれていた。子供がひとり居たようだがそれは運良く生き残ったようであった。
もし、何かしらの原因でその子供が原因を知り、復讐を決意したなら責任を持って処分する旨が書かれていた。が、子供の性格などからそれはありえないという分析も添えてあった。
「その子供が気に入ったのかもしれんな。まあ、好きにさせてやろう…」
北辰は呟くとその資料を興味ないと放り出した。その拍子に資料がばらけ、標的だった男、山岸ツトムという名が見えた。
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