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「転生日記6(風の聖痕+オリジナル+いろいろ)」

ハネぽん (2005-03-19 17:57)
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転生日記6 第五話 天竜降臨


風牙衆の14歳の少女が神凪から暴行を受けそうだと連絡を受けた和人は、急ぎ現場にやって来た。
お抱えの運転手が運転する車で、だ。
途中で警察に追われたが、警察の上層部に話しをつけたのでパトカーが追ってくる事はなかった。


やっと現場に到着した和人が見たものは、少女を襲おうとする神凪の術者三人と襲われそうな少女。
そして少女を守ろうとしている知らない少年。


(たしか一人の監視員が飛び出したらしいけど、あんな子供いたかな?)


そうこうしている内に、和人の目の前で戦いが始まってしまう。


戦いの始まりは神凪の術者だった。
行き成り神凪の術者が少年に炎を放ったのだ。


それを見た和人は自分を責める。
自分の判断が遅かったせいで、一人の命が失われたのだから。


「って、生きてる?」


炎が直撃した少年は、びっくりした様子で立っていた。
驚いた様子だが、何のダメージも無いようだった。


「どうなってんだ?あのガキ」


通常の人間なら、あの炎で死んでいる。
何かの術で炎を防いだようにも見えなかった。


「結構強いんだな、あのガキ」


和人の視線の先には、鞘に入れた剣で神凪の術者を倒していく少年の姿があった。
遠目でよく分からないが、神凪の術者を気絶させるだけで殺してはいないようだ。


最期に残った神凪の術者も、少年は剣の柄を使って気絶させる。


その後は物語のお約束通り、助けた少女に優しく声をかけている。
助けられた少女も、明らかに年下である少年に対して好意を持ったようだ。


「・・・俺って出番無し?」


急いで来たものの、和人の出番はまるでないようである。

和人も、良い雰囲気で話す男女の間に入ろうとは思わない。


「このまま帰るか」


人生ってこんな物か、と背中に哀愁を漂わせ帰宅しようと背を向ける。
その時、和人は上空に魔の気配を感じた。


空をよく見てみると、人型の妖魔がいた。
その妖魔は地面を、少年を指差し何かを話している。
妖魔の様子から見て、少年と妖魔は敵同士のようだった。


「ふふ、まだ出番があったw」


何時もの和人なら直ぐに助けに入るが、今回は事情が違う。
少年と妖魔の関係がはっきり分からない。
少年には妖魔に負けない力を感じる。


そして、どうせ助けるならかっこいい登場がしたい和人だった。


かっこいい登場シーンを見極める為、和人は妖魔と少年から目を離さず見守る。
出番が何時来ても良い様、戦える準備をして。


「死ね!」


上空の妖魔が突然、地面に魔力弾を撃つ。
戦闘が始まったのだ。


地面の少年は、少女を庇いながら魔力弾を避ける。

少年も妖魔と同じように、氣の塊を妖魔に撃ち込む。


「・・・どこに撃ってるんだ?」


少年が撃った氣は威力こそ妖魔より強力だったが、妖魔がいない空間を撃ち抜いている。


氣とは生物であれば誰もが持っている精神エネルギーだ。
妖魔の魔力も氣である。負のベクトルを持った氣を魔力と呼ぶのだ。


一般的に精霊や仙人、神、そして妖魔はこの氣だけの存在であり、人とは違う存在である。
人は肉体という氣の器を持つ存在であり、器で守られている為に氣の量も質も器を持たない者よりも低い。

しかし、己の氣を操る技術は器を持つ者の方が長けている。
そう、氣は量が多いほど、そして氣の力が強いほど制御が難しいのだ。


「思ったより早く出番が来るな」


どうやら少年は妖魔に手も足もでないようであった。

和人は、かっこよく助けるためにはどうするか考える。
かっこいい方が和人も嬉しいのだ。


和人が見ている前で、少年は抱き上げていた少女を地面に降ろす。
どうやら妖魔の魔力弾が地面に炸裂し、その爆風で気を失ってしまったらしい。


倒れた少女を庇うように、少年は妖魔と少女の間に立ち塞がる。


その少年の心意気に、和人は感動してしまう。


この時の和人は知らなかったが、妖魔の狙いは少年で少女は巻き込まれただけなのだ。
つまり少年が一人で逃げていれば、少女は無事だったのだ。


「さて、そろそろ出番だ」


和人は上空の妖魔に向けて剣を構える少年を見て、己の出番が来た事を本能的に悟る。

この少年では次の魔力弾を防ぐ事は出来ないだろう。


走り出した和人は、手に炎の精霊を集め始める。
それは妖魔が魔力を集めて固まりにするのと同時だった。


和人と少年の距離があと僅かとなった時、妖魔は魔力弾を放つ。


少年に放たれた魔力弾を、和人は炎で迎撃する。


ごおおおお


炎と魔力弾が相殺された音が消えぬ間に、和人は少年の前に立つ事ができた。

少年に背を向けながら、和人は自分に酔っていた。


「大丈夫か、坊主?」


自分ではかっこいいと思っている台詞で、和人は少年に声をかける。
けして後の少年を見ないようにして。

「大丈夫じゃ」
「そうか」


あくまで、かっこよく少年に話しかける和人。


「お主、余より年下で余を坊主と呼ぶでない」


この少年は自分が坊主と呼ばれる事が気にいらないようであった。
まあ、自分と同じ年齢の子供に坊主と呼ばれれば、誰もが気にいらないであろうが。


「それじゃ、何て呼べば良い?」
「・・・天竜じゃ」
「天竜?」


本当にそれが名前かと聞こうとしたが、和人はこの少年が人間では無い事に気が付いた。
自分と同じ、神の魂を持つものだという事を。


「それじゃ天竜、あいつの相手は俺がする。天竜はその女の子を守れ」
「あやつの狙いは余じゃ。だから余が相手をする」
「天竜は空の敵と戦えないだろ。俺に任せろ」


まだ天竜には不満があるようだったが、妖魔との戦いを和人に任せる事にしたようだ。
もちろん任せるとは口に出さず、一歩後に下がる事で天竜は己の意思をしめした。


「それじゃ、行くぜ!」


和人は気合と共に、妖魔に炎を放つ。


が、妖魔は簡単に炎を避けてしまう。


それを見た和人は自分の不利を悟った。
それまでは考えていなかったが、自分の攻撃パターンは二つ。
炎を放つか、炎を纏っての接近戦のみ。


妖魔が空にいる以上、炎での遠距離戦しか無い。
しかし、和人の遠距離戦での攻撃は炎を放つのみ。

しかも炎はそのエネルギー量から、簡単に敵から捕捉されてしまう。


「そりゃ、炎は風と違って見えやすいからな」


風であれば、風を感じたと同時に当たっているが、炎は違う。
目に見えるのだ。
さらに今は夜。光を発している炎は余計に見えやすい。


「まいったな、こりゃ」


予想していなかった己の弱点に、和人は途方にくれてしまう。


精霊であった頃の和人なら空を飛ぶ事で対処したが、今の和人は人間である為に空を飛ぶことが出来ない。


「これで」


和人は無数の炎を妖魔に放つ。


威力を捨て、数と連射速度で対応してみる。


が、妖魔は結界を張ることで和人の炎を防いでしまう。


「この!」


すかさず威力のある炎で結界を破るが、妖魔に命中する前に避けられてしまう。


(くそ。避けられるから数と連射速度で勝負しても、結界で防がれる。かといって、結界を破る威力の炎では避けられる。二つの炎を同時に撃てれば)


和人には、もう手が無かった。


和人が考えるように威力が高い炎と、威力を捨て数と連射速度を高めた炎を同時に使えば手もあるだろう。

しかし、炎術はそこまでの器用さが無い。


「口だけじゃな」


後から天竜の声が聞こえてくる。


「五月蝿い、黙ってろ!」
「ふぅ、仕方ないのう」


後の天竜を黙らせ、和人は忌々しい上空の妖魔を見上げる。


と、その時。
上空にいた妖魔が飛び去っていく。


「ふっ、俺の実力に恐れをなしたか」


妖魔の気配が消えたことを確認して、和人はかっこよく決める。
普段の和人なら絶対に言わない台詞だが、今回は言わなければ己のプライドに傷が付くために言ったのだ。

和人が人間に転生して以来、早紀以外との戦いで無力感を味わったのはこれが始めてであった。


「・・・そうだの」


天竜も和人の表情を見て、和人の言葉を肯定してやる。

和人の顔は、言葉と裏腹に悔しさだけで染め上がっていた。


和人は知らなかった。
妖魔もまた、和人と同じように手が無かった事を。

己の攻撃は和人の炎で防がれ、接近戦になれば剣を持つ天竜がいた。

妖魔も遠距離戦だけで戦っていたのには理由がある。
それが天竜の剣だ。
この剣は神剣と呼ばれる部類の剣で、氣を斬るための剣なのだ。

その効果は氣を守る器の無い存在には、絶対の脅威となる物だった。


「天竜、おまえ行くとこ無いだろ」
「そうじゃが、何故分かる?」
「氣でな。天竜は異界の神だろ」
「そうじゃ」
「俺の家に来ないか?」


和人がこう言ったのには二つの理由がある。
1つは天竜が助けた風牙衆の少女を、自分達で保護したいから。
少女は気絶しているようだから、少女を助けた天竜と一緒に家に連れて行きたいのだ。
天竜もここに少女を置いておく訳にはいかない、ならば自然と天竜と少女はセットになる。


そして二つ目の理由が、助けてやると自分で決めたのに役にたたなかったのが嫌なのだ。


「そっちの女の子も、ここに寝かせておけないだろ」
「頼む」
「素直でよろしい。
それと、俺は三咲和人だ。
よろしく、天竜」


そして部下に車を運転させ、和人は二人を家に連れ帰るのだった。


「また女の子を拾ってきたの?」


家に帰った和人を迎えたのは、またも姉の早紀であった。


「拾ったのは俺じゃない」
「余じゃ」


和人の後にいた天竜が、自分が拾った事を早紀に教える。


「・・・そう」


簡単に拾ったと話す天竜に、さすがの早紀も違和感を覚える。
天竜は猫を拾った、と軽い感じで話しているのである。


「ほら、いくぞ」
「わかった」


これ以上天竜が変な事を言う前に、天竜を仲間がいる部屋に連れて行く事にする和人。


「お帰り〜」
「お帰りなさい」
「お帰りなさい、です」


和人達を待っていたのは、デザートのケーキを優雅に食べている和美と終、余だった。
食べるのに夢中なのだろう。誰も和人の方を向こうとはしない。


その光景に和人は驚いてしまう。

まず終が優雅に食べている事。


そして和美だ。
彼女は和人よりも、ケーキを食べる事に集中しているのだ。
これは、和美の中の和人への優先度が下がった事を意味していた。

・・・元からケーキの方が和人より優先度が高いだけかもしれないが。


「和美、美味しい?」
「はい、とっても美味しいです」


和人がいない僅かな時間に、和美に何があったのか。
和人は非常に興味があった。


「それで和人、その二人は?」
「ああ、まだ紹介して無かったな」


和美の事を考えるのは後にして、今は天竜を紹介する事にする。


「それが、事態が複雑になってな」


この時起きていた、和美の心情の変化。
それは和人が厳馬の事を話したからだ。
和美は心の拠り所として、和人だけを求めていた。

しかし、厳馬が不器用にも自分を大切にしていた事を知って、好きになる事は無かったが憎んでいた理由が1つ無くなった。

それにより、和美は和人だけを心の拠り所をして求める事がなくなったのだ。
もっとも、依然として和美の心には和人がいる。
割合が100%和人から、99%和人1%厳馬に変わったのだ。


小さい変化だが、今の和美には大きい変化だ。


そしてこれからも、和美は成長を続けていく。
その成長が、後に風の巫女をこの世に誕生させるのだ。


おまけ
「あら和樹、帰ったの」
「ええ、何とか」


炎の精霊王の城で、和樹は溜まりに溜まった仕事を片付けていた。


「そうだ和樹、あの子の事知ってる?」
「ええ。今は人間に転生して和人と名乗ってるんですよね」
「知ってたの?」
「当たり前じゃないですか、息子の事ですよ。玖里子さんは僕を何だと思ってるんです?」
「別に良いじゃない。その和人くんの事だけど」
「どうかしたんですか?」


和樹の質問には答えず、玖里子は和樹に近寄っていく。


「ねえ、しましょう。やったら教えてあげる」
「・・・久しぶりですね、この展開」
「懐かしいでしょ」


こうして、和樹は玖里子に押し倒されるのだった。


あとがき
GS美神編に突入しました。
和美の修行と風牙衆の救済も同時に進んでいきます。

なぜ美神がこの世界にいたかは、GS掲示板に投稿した「若き竜の涙」を読んでください。
こちらだけでも分かりますが、天竜童子を捜しに来たんです。


今回は和人の初戦闘シーンがありましたが、役にたって無かったです。
自分の中の予定では、活躍するはずだったのです。

しかし、和人の空飛んでる敵への攻撃方法は炎を飛ばすだけ。炎って見えやすいよね。
などと考えたら、引き分けという結果になりました。
和人の中では負けですが。

こちらには出ていませんが、しばらく薬師寺涼子は登場しません。
それは薬師寺涼子の活躍の場は未来だからです。
この作品中の五年後、彼女が警視庁刑事部参事官になった時が本当の出番です。

予定ではGS美神編の後に、薬師寺涼子の怪奇事件簿編をやりたいと考えてます。
間にまぶらほ編が入るかもしれませんが。

もしかすると、原作の話しは永遠にこないかも・・・
風の聖痕ファンの方、本当にすいません。
言い訳ですが、風牙衆の反乱が無くなったら一巻は書けないで


最期に
このSSとGSにある 若き竜の涙 両方を読んでいただいた方へ

このSSは氣など、なるべく風の聖痕の設定に近い設定で書いています。
氣と気で字が違うんですけどね。あとは炎術とか

このSSでは氣と読んでいますが、若き の方ではGS美神の呼び方で書いています。
これは世界が違う為で、呼び方が違うだけで同じものです。

今後もこのSSでは、風の聖痕の設定に近い設定で書いていきます。

レス返し
ラッキーリー様
>20才も過ぎてるのですから中継中に顔が映っても
グッジョブです
すると神凪の大部分が映る事になりますね


突発感想人ぴええる様
>竜化した小竜姫に飲み込まれたら、そこは異世界だった。とか?
これでも良いかなと考えたのは、秘密です


無貌の仮面様
>横島あたりがまた逆鱗にふれて異世界に飛ばされたとか
これもありそうですね。
今回の主役は天竜童子なので、今回はできませんが


月流様
>合法的に神凪の力を削ぐ……。今まで見たことのないパターンですね
合法的がと物語的に面白く無いからですかね。
GS関係でシリアスをするので、神凪関係はギャグでいきます。


tori様
>何の説明も無いので薬師寺涼子が泉田に「泉田センパイ」といっているのに凄い違和感があります
すいません。今までおまけだけの登場だったので、ちゃんと説明してませんでした。
間接的には説明できていたかなと思っていたんですが。
若き竜の涙の方に少し書きましたが、今の涼子は研修時代です。
学生の自分にはよく分からない部分ですが、研修中ってこんな感じの人間関係かなと思っています。


皇 翠輝様
>○と千○の神○し?
千尋とハクの設定が逆になりますが、これって何気に近いです。


nacky様
>本編に絡んでくるんですか?このおまけの方々は
絡んでくる時期は違うんですが、ちゃんと本編に登場します。

>単に悪童コンビ(横島・終)と良識コンビ(おキヌ・余)の掛け合いが見たいだけだけど。
こちらはあります。期待していてください。


良介様
>報道内容が気になります
報道では、神凪が酷い扱いを受けます。
これは作品中の設定が大きく関係してるんで、もうどうしようも無いんですが

>薬師寺凉子に関しては全く知らないのでコメントできません
まだ出番では無いので大丈夫です。
知らない方も楽しめるよう、最低限の説明もいれます


mon様
>4の方の注意点なんですが、女性のセリフで「〜だわ」「〜わね」「〜わよ」みたいなのは、一般的に「は」じゃなくて「わ」の方みたいです。
なるほど。忠告ありがとうございます。
これから気をつけてみます。

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