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「まぶらほ GUN×GUN 2(仮題)(まぶらほ+ゼロイン)」

参式 (2005-03-15 20:01/2005-03-15 23:39)
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「・・・じゃ、あの銀行強盗に巻き込まれたの?」
「う・・うん」

和樹がクビを縦に振った。

「やっぱり、私と一緒に行った方が良かったんじゃない?」
「・・・・う・・ううん」

今度は首を横に振ったのだが、和樹は何処か集中力を欠いている。目線を落とし、何かを読んでいる。

「何、読んでいるの?」
「あ・・・これ」

と言って少々、手の込んだ案内状だった。そこには『民間警察入隊案内状』と書かれていた。これを見た瞬間、沙弓の整った眉が中央による。

「何、これ?」
「え・・・・うん・・・民間警察の案内書だけど」
「見れば、分かるわ。そんなの、私が聞きたいのは、なんで、式森君が民警の案内を持っているか・・・という事よ」

和樹は言葉を詰まらせてしまう。さすがに、彼女の前で昨日助けてもらった女性に会いたいから・・などと言ったら、どうなるか。

「まさか、拳銃を撃ちたいから・・・・じゃないでしょうね?」
「あ・・う・・・ちょっとだけ・・・」

嘘ではないが、ある意味で嘘だ。そのため沙弓から視線を外してしまう。

「・・・・・・・・・・なにか、隠してない?」
(す・・するどい)

長年、付き合っているだけの事はある。和樹は詰め寄る沙弓に目を逸らすと、今度は鬼が居た・・・・じゃなくて、夕菜の姿がそこにあった。例のごとく、嫉妬と怒気と殺気のオーラを放っている

「!!!????」

恐怖で硬直した。まさに蛇に睨まれたカエルだ。

「和樹さん・・・・」

静かな声。ビックと震える和樹。手が沙弓の袖を握っている。

「何をしているのですか?悩み事なら私に相談するべきです!!そんな、どこの馬の骨ともしらない、女狐に!!」
「え・・うあ・・沙弓ちゃんは、小さい頃からの知り合いだし・・・」
「そんな事!!知った事じゃありません!!」

ズン

夕菜が脚を床に叩き蹴ると、小さなクレーターが出来上がる。

「大体!!私は妻なんです!!分かっていますか!!」

10センチぐらいまで、顔を近づける。沙弓だったら、ドキリとするものだが、今の夕菜には恐怖しか感じない。

「浮気は・・・・・」

夕菜の言葉が途中で切れた。ばたりと倒れる。後ろには沙弓の姿がり、どうやら、夕菜に手刀を首筋に当て、気絶させたようだ。

「沙弓ちゃん・・・」
「まったく、宮間さんが来てから、何時もこうね」
「うぐ・・ごめん」
「私に言われてもね〜〜」

と、沙弓が意地悪そうに言う。この子・・和樹とあったのは小学生に上がった時だ。式森の本家から預かる形で、高校に上がるまで一つ屋根の下に居たが、高校に上がると、和樹は与えられた邸宅からの通学を強制されていた。しかも、メイド付で。しかも、美人で完璧主義者だ。自分は話が通っているらしく、入る事が出来るが、それ以外は不可能だ。リーラが徹底的に排除しているし、彼女は和樹に非常に甘い存在だ。

「まぁ・・私は反対しないけど・・・・・リーラさんには言ったの?」
「・・・・・・・・・・・・まだ」
「あ・・・今日は体験実習日になっているわね?今日は午前中だし・・・行ってみるの?」
「うん」
「まぁ・・うちの道場で基本的な体力はつけてあるし・・・大丈夫だと思うけど・・・」

と、沙弓はチラリと和樹を見た。和樹は可愛らしく首をかしげているが、心配なのは和樹が精神の問題だ。根性が無いわけでもない・・・・だが、軍隊のような訓練をする・・まぁ、それも耐えられるだろうが、怒声と罵声になれば別だろう・・・・・。

「じゃぁ、私も行ってあげようか?」
「え?」
「私も行けば、そう問題ないと思うけど?」

和樹は少しだけ考えてから言った。

「うん、うん・・・一人で行く」
「いいの?大丈夫?」

和樹はコクコクと頷いた。すると、沙弓は和樹の頭を撫でた。まるで、小さな弟をあやすようにだ。和樹も和樹でそれを嬉しそうに応じている。

「はぁ・・分かったわよ」

ナデナデ

和樹が気持ち良さそうにしていると、先ほど気絶させた夕菜が復活していた。無論、凄まじい殺気をみなぎらせていた。

「ふぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????夕菜さん!!??」
「ちょ・・!?宮間さん!!??」

黄金のオーラと炎(嫉妬)のオーラが入り混じっている。なぜか、教室に発火しなのかは実に謎である。退魔師として鍛錬を積んだ沙弓でさえ、一歩引いてしまうくらいだ。和樹にいたっては、気絶寸前である。

咎める言葉も無く彼女は叫んだ

「きしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

2−Bの教室内に小さな太陽が生まれたとか、生まれないとか。


「ここに来た奴は、数多くいるが・・・・・」

いかにもガラの悪い男は和樹の全身を見て、そのように述べた。和樹は夕菜の攻撃を喰らった、おかげで、ボロボロになっていた。

「来る前から、ボロボロ奴は初めてだな」
「デショウネ・・アハハハハ」

和樹は乾いた声で答えた。ちなみに夕菜がついてこようとしたが「嫌いになってやる!!」と子供地味た反撃をしたのが、良かったのか悪かったのか・・・・夕菜は青い顔をして和樹の意見に同意したのだ。

「ちなみに、俺は此処の教官の久巻だ」
「あ・・・式森和樹です」

久巻は和樹を一瞥した。声が小さいのが気にくわないが・・そのわりには背筋がピンと張っていている。何らかの鍛錬を積んでいる感じだが・・・・。それを懐疑的に感じさせるのが和樹の雰囲気だ。

(コイツは・・・なんつ〜〜か、アレだ。子犬って感じだな・・うん?『式森』だと?)

久巻はグイっと顔を近づける。女性のようにドキっとするものではなく、不良がガンクレル様な感じだ。兎に角、目つきが宜しくない。

「式森だと?」
「はぁ・・まぁ」
「あの式森か?」
「た・・たぶん、ご想像の式森だと思いますが・・・(あううううう・・怖い。沙弓ちゃん)」

久巻はため息をついて後頭部を掻いた。『式森』には兎に角、面倒事が舞い込んでくるのだ。しかも厄介事。

「ここで、うだうだ、やっていても意味ねぇし・・・ついて来い」
「ああ・・はぃぃぃい!!」
「『はい』は短く!!」
「は・・はい!!」

と、歩き始めた久巻の後を追って和樹が追いかけるように走った。


久巻の案内で和樹は『訓練風景』を見せてもらった。どうも、米国の海兵隊の訓練を参考にしたらしいのだが・・・・・・和樹は・・・・・。


固まっていた。


簡単に言えば・・・塹壕の上に有刺鉄線を張った場所を匍匐前進している所にM60による射撃を行っている。ちなみに訓練弾でなくて実弾。人一人分の背嚢を背負い運動場を走っている、嫌がらせか・・・自動小銃 ドイツ製G3SG/1  4.75sである。さらには、ビルの三階ほどある高さから、のぼり、落下。脚に響くらしくジッとしていると、教官らしき人物が、足元に銃撃する。

「オラオラ!!タラタラやってんじゃねぞ!!」

と叫びながら。走っていた人物が倒れると教官はムチで叩きつける。やはり、同じような事を叫ぶのだ。

「どうした?」
「いや・・・軍隊とあまり変わらない事をしているな〜〜と思って」
「なに、参考にした程度だ」

和樹はチラリと再び訓練風景を見た。ここに入隊したらこの地獄の日々が待っているのだろうか・・・体力には自身はあるが、精神的に・・・・・和樹は悩むが、あの金髪の女性を思い出し、ッグと拳を握った。気合を入れて頑張ろうと思った。

『え〜〜、今日、来た見学の方・・・・・・ご家族の方・・・お姉さまがお見えになっていますが・・・』

と放送が流れた。

姉様が!!!

「あ〜〜かまわんぞ・・いって来い」
「あ・・あの、久巻教官・・・で、できれば一緒に・・・・・」
「なんで、俺が」
「お願いします〜〜〜!!!」

すがるように久巻に訴える和樹。涙を流して訴えるのに根負けした久巻はついて行く羽目になった。

(やはり、面倒なことが起こりそうだ・・・ッタク)

応接室に入ると、そこにはコーヒーが注がれている粗末なカップだけがあったのだが、件の女性はいない。

「だれも・・・・・・!!??」

久巻が気配を感じて振り向くと、和服の女性がいた。ロングストレートの漆黒の髪。和的な美人だが、その眼光は友好的とは言えない。

(コイツ・・俺の後ろを・・・・探知結界も無視してだと?)
「・・・・・・・・・・・・・この程度を悟れないのですか・・・・優秀と聞いていましたが、呆れるばかりですね・・・まぁ・・それは、兎も角として・・・・」

女性は久巻から視線を外す。

「で・・・・・和樹がなぜこのような場所に?」
「あ・・・楓姉様・・なんで・・と言うか、僕が此処にいるって事が?」
「貴方の行動は監視されています。貴方が式森として不当な行動をすれば、すぐに通報してきます・・・・それは、分かっているはずですが?」

すくみ上がる和樹。

「おい、コイツ自身が決めたことを・・・・」
「貴方は、黙っていなさい」

楓が腕を伸ばす。とっさ久巻は防御結界を展開するが・・・・・・防御耐性のまま吹き飛ばされる。

「・・・・まぁ、この程度は防げますか・・まぁ、いいです」
(な!?コイツは・・・・)

驚愕を表す久巻から、アッサリと興味をなくす楓。和樹の腕をつかんで歩き始めた。

「ちょ・・ちょっと、楓姉様!!待ってくださいよ!!」
「待ちません。来なさい」

細い腕から信じられない力で握れ、そして、引っ張れて行く。和樹には抗うすべがない。教習所にある来客用の駐車場に駐車されている、高級感はあふれる車、メルセデスベンツ SL600に和樹放り込み、楓が乗り込むとベンツは流れるように出発した。

「あ・・あの、楓姉様・・ぼ・・僕は」
「言い訳は、私の屋敷に着いてからです」
「え・・・楓姉様の・・・屋敷にですか・・・なら、せめてリーラさんに連絡を・・・」
「それは、私の方でやっておきます」

すっぱりと外部への連絡を途絶される。楓の屋敷に行けばさらに、露骨になる。行けば外界からの情報が遮断される。パサコンは勿論、TVや新聞、電話すらないのだ。まぁ・・それはいい・・・・・1泊もすれば、満足してくれるが、一番は・・・・和樹の貞操の危機があるからだ。何回か危機があったが・・・・なんとか、難を逃れている。無表情で冷徹な彼女が唯一、笑顔を見せるのも和樹だけ・・・と言う理由からして。

「和樹」

と、楓が和樹の脚・・・太股に手をそえた。

「か・・楓姉様・・え・・え〜〜と」
「すぐに怖がらなの・・・和樹」

寄り添う楓。和樹はかなり鍛え上げられているはずの楓から、女性独特の柔らかさと香りの感覚が襲ってきた。

「か・・・楓姉さま・・・・・こ・・此処は車の中ですよ・・・」
「そう・・・私は気にしませんよ?」
「ぼ・・僕が気に・・しますよ」
「・・・そう」

と、手を離し、すぐに無表情な顔に戻る。和樹はそれを見て深い安堵感を覚える。
しばらく、進むと和樹の暮らす町の郊外を出て、しばらく経つと広大な私有地に入って行く。堀と塀で囲まれた土地だ。塀は西洋風の物ではなく、和風の物だ。20分ほど車が進むと大きな木製の門が現れる。
その前に車が止まると重苦しい音を立てて開く。車はそのまま邸宅内は入る。

屋敷内・・・・楓の私室に連れて行かれる和樹。その部屋で正座をさせられ、姉と対峙していた。

「・・・・・・・・・・・そう、やめる気はないのですね?」
「は・・はい」

和樹は強く頷いた。和樹は楓には『自分を変えたいから』と説明をしていた。無論、件の金髪の女性の事を離せば、楓は民間警察を解体させてまで阻もうとするだろう。

「・・まぁ・・いいでしょう。どうせ、父上に話しても大笑いするだけでしょうしね」
(父さんだったら、見抜くんだろうな・・・・)

楓の言葉に和樹は父の事を思った。たしかに、あの父親なら豪快に笑ったあげく、餞別に世界中の拳銃を集めて和樹を送り出すだろう。

「決意は変わらないのですね?」

和樹は頷く。

「和樹がそこまで言うのは、珍しい事ですからね。・・・・いい傾向だと言えますしね」
「それでは・・・」
「ええ・・・許可しましょう・・・ただし」

パンパン

と楓が手を叩くと襖が開けられる。その奥には布団が敷かれていた。ただし、枕が二個だったりするが。

「楓姉様・・・・・質問が」
「なんですか?」

姉の微笑み・・・・・いや、薄っすら笑みを浮かべただけだ。これも和樹だけにしか向けられないものだが、和樹はたじろいだ。

「何上に、布団が・・いえ、なぜ枕が二つなのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぜだと思いますか?」

和樹は黙り込む。下手に突っ込むと危ないので、現在、本能が求める事を口にしする。

「あ・・・の、少々・・・お腹が空いているのですが」
「そうですね。もうそろそろ夕餉の時間ですし・・・・・湯浴みもしたいですし・・・・」

楓は少し考えて再び手を叩いた。襖が閉じられると、廊下側の戸が開き、質素な和服を着た女性が現れた。楓に仕えている侍女・・稲田である。

「稲田・・そろそろ、夕餉の支度は出来ているわね?」
「はい、既に調っております」

楓が頷くと、和樹に向き直る。

「稲田は仕事が速いですね。和樹、行きましょう」

と楓が立ち上がり、私室を出て行く。和樹もそれを追いかけていった。

食事は恙無く終わり、和樹は風呂に入らされていた。露天風呂であり、しかも温泉だ。和樹はやや熱めの湯船につかっている。今日は天気がいいので星が綺麗だ。

カラカラ

と、風呂の戸が開き、人が入ってきた。楓・・・・・だ。前を隠そうともしていない。

「楓姉様・・?」

楓が和樹の方を見てニッコリと笑った。確かに楓は和樹の前では笑うが、こんな風に笑わない。和樹は違和感を感じた。

「カズちゃ〜〜〜ん♪」

と、抱きついてきた。タオルなぞ放り出している。和樹に抱きつき、スリスリと頬擦りをしている。

「なぁ!?・・・い・・泉美姉様!!!???」
「いやん♪イズちゃんって呼んで♪」

和樹が一瞬勘違いしたのも仕方がないと言えば、仕方がない。楓と泉美は双子・・・髪型も胸の大きさは別として、身長もほぼ同じ。一見すると全く区別がつかないが、性格が全く違う。泉美は非常に人懐っこい性格なのだ。

「いや・・・あの・・・なんで、泉美姉様が此処に?」
「う〜〜とね。カズちゃんがいるから」

ギュ〜〜〜〜

と楓よりも大きめな胸を和樹の胸に押さえつける。・・・・・・・・・・・・・嗚呼。柔らかいな・・・と和樹は思いつつ、質問を繰り出す。

「よ・・よく、楓姉様が入れてくれましたね?」

ちなみに、楓と泉美は仲が悪い(まぁ。一方的に楓が嫌っているだけだが)

「黙っては入ちゃった。テヘ」
(テヘ・・・・おい)

和樹が心の中で突っ込むとした瞬間。風呂の扉が吹き飛んだ・・・・いや、粉々・・・・と・・いや、原子の塵に還った。

そして

が出た。

「イズミ」
「楓・・・・ね・え・さ・・ま」

楓はタオルを巻いている。どうやら彼女も風呂に入るつもりでいたらしい。だが、顔は怒りに満ちている。(無表情だけど)

「泉美・・私をよくも亜空間に放り込んでくれたわね?」
「だって、そうしなきゃ、カズちゃんに会わせてくれないじゃな〜〜い」

泉美が頬を膨らませた。

「此処は私の屋敷です。分かっているわね?」
「カズちゃんの独占は良くないぞ?」

魔力を放出する二人。魔力と魔力がぶつかり合い放電現象が始まる。

和樹は・・・・逃亡した。


あとがき

さて・・・・・まぁ、和樹の貞操は守れました(?)いや・・・守らない方が良かったかな?

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