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「Fate/capture night9(Fate+CCさくら)」

SK (2005-03-15 18:29)
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ありがとう、協力してくれて
これでどうにか保たせられるかな?
ああ、そんな顔しないで
こんなときになんだけど、楽しいんだよ、僕は
自分だけの望みがあって、そのために動けるってこんなにも楽しいんだね
でも、あなたはちっとも楽しそうじゃない
自分の願いを、役割を果たしたのに

ねえ、■■■■■■■
誰よりも幸せを求めている人ほど、自分の幸せから遠ざかっていくのはどうしてなんだろうね?


幾つもの短剣が、少女の急所をめがけて飛来する
それを少女は細身の剣で弾いていく

「ちっ、すばしっこいやっちゃなあ!」

白い獣が強靭な四肢でもって短剣をたたき落とし、敵に迫ろうとするが、追いつけない

「無駄口をたたくな、ケルベロス」

魔力の矢で短剣を射落としながら、苛立ちの混じった声で月が返す


そもそも、彼らの主以外のこの家の人間が出払っていることが一番の問題だった
主の兄は自称保護者の藤村大河に呼び出され、その使い魔も警護と称してついていっている
同盟者である魔術師とその使い魔も、義手や銃弾等の材料を調達するといって出かけてしまった
どちらも後数時間は帰ってきそうもない

戦況は厳しい
あの魔術師の説明が正しければ、目の前の相手はアサシンなのだろう
侵入され攻撃を受ける瞬間まで、全く気配を感じなかったことからそれが知れる
彼らの主が初撃を避けられたのは、全くの幸運だった
その後、とっさの判断で“剣”のカードを行使したことも
使い手に卓越した技量を与える“剣”のカードであるからこそ、今まで相手の攻撃をしのぎ続けていられる
だが、それも限界に近い
少女は魔力こそ桁外れに高いが、体の作りは未成熟子供のものでしかない
体が行われている攻防についていかないのだ

「―――っ!」

悲鳴を飲み込む
体が軋んだ
だが、彼女は全ての痛みを堪え、“敵”を見つめた
こうして対峙していると言うのに、不思議なほど気配が薄い
昨夜対峙したランサーには威風堂々とした存在感があったが、目の前の相手にはそれがない
しかも、黒づくめの上に妙な仮面を被っているのが余計恐怖を煽る

(お化け、苦手なのにー!)

物心ついたころから保護者でもある姉や、なぜかそれに悪ノリした金の髪を持った兄に植付けられた恐怖感が蘇る
キャスターやランサーのように存在感のあるほとんど人と変わらない姿のものならともかく、この相手のようにいかにも化け物といった感じの姿は、苦手中の苦手であった
それでもさくらは歯を食いしばって、己の中の恐怖と痛みに耐える
自分は無傷だ
痛みは自分の体が未熟であるから起こる痛みのみ
さくらが受けるはずだった攻撃は、彼女の従者が己が身を呈して受けていた
ならば、戦わなくては
彼女の“友達”は自分を守るために戦っているのだから
どんなに怖くても、痛くても、動ける限り


―――強い―――

二匹の使い魔の中に、そんな感想が浮かぶ
これがサーヴァントの、英雄の強さか、と彼らは思う
昨日の男はまだこちらを侮っていた
それでもあの騎士が召還されねば、自分達は主を失っていただろう
まして、此度の相手は本気でこちらに相対している
自分達とは桁の違う幻想
そんな相手に自分達は、この幼き主を護れるのか

「「護ってみせる」」

彼らとて世界最高の魔術師に作られし、最高峰の使い魔
その誇りにかけて、自らが選定し審判を行い、真の主と認めた少女を失わせはせぬ

剣が閃き、四肢が舞い、魔力の矢が降り注ぐこの戦場に置いて、しかしこのサーヴァントは持ち前の敏捷性を持って、全ての攻撃をすり抜けていく
だが、一瞬
ほんの一瞬だけ、彼らの攻撃に圧倒された
その瞬間を、さくらは見逃さない
状況を打破するため彼女は別のカードを行使する

「“風(ウィンディ)”!!」

捕縛の風が、暗殺者を包みこむ
完全に風の鎖が暗殺者の姿を捕らえきった
そう思った、瞬間

「見事なものだ、魔術師」

声が後ろから、聞こえた
あわてて振り向くと、そこには心の臓をめがけて高速で飛来する短剣

「私が相手でなければ、な」

間に合わない
彼女の使い魔たちは、今の彼女の位置から遠すぎ、戦士ではない彼女の反応速度では防御をすることも出来ない
まるで昨夜の再現のように、あの赤い槍と同じ死の匂いをまとって、短剣は迫る


きぃん!

そして昨夜と同じように、第三者によって防がれた
とっても長い刀を持った、綺麗なお侍さん

「女子供に害をなすとは、見下げ果てた英雄もいたものだ。いや、この場合はマスターが愚か者なのかもしれんがな」

侍の長刀が閃く
それを跳躍して距離をあける事によって、暗殺者はかわした
そのまま、塀を飛び越え逃げる

「逃げられたか。まあ、良い。それよりも無事だったか?幼き娘よ。怖い思いをしたな。だが、もう大丈夫だ」

刀をしまい、優しく桜の頭を撫でる
そこで、今まで堪えていたさくらの堰が切れた

「ふぇっ、ふぇぇーーーーん!

今の状況も、男の正体も気にする余裕はなかった
昨夜は兄の怪我で気が動転し、神経が興奮していたのでそうでもなかったが、本来闘い向きの性格ではないのだ
大声で泣きじゃくる
男はおびえさせぬように、ゆっくりと胸の中にさくらを導き、抱きしめた

「よしよし、こんな胸でよければいくらでも貸そう。思う存分泣くといい。……済まぬな、もう少し、早く来るべきだったか」

頭を撫でながら、優しい声音でお侍さんはいった
だから、また涙が出てきてしまう
結局、泣きやむまでずっとお侍さんは私の頭を撫でて、抱きしめてくれていた

「…ありがとうございます。あの、お茶でもどうですか?」

ようやく泣きやんで、やっとこれだけいえた

「ありがたく礼を受け取ろう。主殿の用事が済むまでには、しばしの時間がかかろうしな」

そして、お茶と一緒に出した江戸前屋の鯛焼きを、美味そうに口に運びながら青年はいった

「私の主殿に追い出されてな。何かを調べているらしいが、サーヴァントはおらぬほうがいいらしい」

茶を口に含むと、嬉しそうに顔を綻ばせる

「仮初のこの身でも、味を感じる事が出来るというのは良いな。……それで、暇だったのでな。この町の地理も知って置いたほうが良かろうと、歩き回るうちにサーヴァントの気配を感じてここへきた」

「なんでここへきたんや?戦場になりそうなところは、いくらでもあったやろうに」

「主殿から、外へ出るのだったらここの様子も見てこい、と言われただけだ」

その言葉に、空気に緊張がはしる

「つまり、それは兄ちゃんかさくら…あるいは両方の知り合いっちゅーことか?」

問いに、青年は肩をすくめる

「さてな、どのような関係かは私も知らぬ。ただ、あの案じ方ではおぬしらの敵でないことは確かだと思うぞ。今後の展開にもよるがな」

そう言うと、湯飲みをおいて立ち上がる

「茶も菓子も馳走になったことだし、そろそろ行くとしよう。生前は甘味などには縁がなかったが、なかなか美味かった。感謝する」

その言葉に、さくらはさびしげな表情になる

「もう、行っちゃうの?お侍さん」

青年は顔を笑ませて、少女の頭を撫でる

「名残惜しくはあるがな。それと、私の名は佐々木小次郎だ。次にもし会ったら、そう呼んでくれると幸いだ」

そう告げると、青年――佐々木小次郎は、悠然と去って行った


<Interlude>


「見つからんな。この寺の付近にあるのは確かなのだが」

呟くのは、佐々木小次郎と名乗った青年のマスター

「聞いたとおりのものなら、聖杯の中身はこの世に出してはならぬものだ」

同時に、霊体であるサーヴァントを接触させる危険も冒すことは出来ない
ゆえに、彼は己が従者を離れさせ、この寺の探索を行っていた

「まだ一体も取り込まれていない状況では、兆候がない、と言うことか。それとも何らかの封印によって隠されているのか」

どちらも可能性があるな、とごち、眼前の池を見る

「一番怪しいのがこの池。正確にはこの池の地下なのだが…」

“彼”は、探索系の術は苦手としていた
もとより、己のような役目についているものはこの寺ではごく少数なのだが

「今回はここまでだな、もう少し状況が進まねば、何も分からぬか」

そう結論を下し、黒衣を翻す

「何にせよ、この寺の避難を急がねばな。聖杯戦争が進むに連れ、ここも戦場になろう」

己の為すべき事を為す
それが、彼がこの下らない聖杯の奪い合いに参加している理由なのだから

<Interlude out>


To be continued

忘れたころにこんにちは、もう皆様の記憶から消え去ってるんじゃないかと思われるSKです
実は今回、さくらちゃんはアサシンに連れさられ、蟲爺に酷いことをされる予定でした
が、いざ書きはじめたら書けないんですよね
どうやら、私はさくらちゃんに辛い目は合わせられても、酷い目には合わせられないようです
で、プロットをかなり改変して小次郎先生に助けていただきました
おかげで、話の筋がだいぶ変わりました…

ついでに、このお話とは関係ないのですが、最近夢を見ました
なんか、女の子Verの士郎が出てきたんですが、これは書けと言うお告げなんでしょうか
現在、創作意欲が高まってしまい、困ってしまっています

kurage様>遅レスで申し訳ありません。間桐の兄妹には私の愛と贔屓が詰まってます

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